言い訳:風邪引いた状態で書いたら頭回んなかった。(夏休み明けの久しぶりの学校が楽しくてはしゃぎすぎたせいで、体力が尽きちゃいました。)
夏休みが明けてから二ヶ月が経ち、秋の季節になった。
相変わらず俺はマトウに無視され続けている。
ダメ元で話しかけているとはいえ、無視されるのはやっぱり悲しい。
マトウと会ってからの約半年間で気づいたのは、基本的に『間桐桜』の心を開かせるのはムリだということだ。
『間桐桜』の心は、蟲による陵辱の苦しみから自己を守るために、固く閉ざされている。
あれを真正面からこじ開けられるのは、おそらく主人公様だけだろう。
俺のようなモブが正攻法で砕くには、あの心の殻は硬すぎる。
だからといって、この程度のことでは俺はマトウと関わることを諦めはしない。
それに、俺にはマトウの心の殻を砕くための秘策があるのだ。
そして今俺は、その秘策、あるいは外法の下準備のために、学校の校庭である人物を探して…あ、いた。
俺は10人くらいの同級生の友達と一緒に、8人くらいの2年生の集団に突っ込んだ。
「先輩方ー!俺達1年生と一緒にドッチボールやりましょうよ!」
「ゲッ、またお前達かよ。俺達は2年生だけで遊びたいんだ。お前ら1年生は向こうの方で遊んでろよ。」
「そんな冷たいこと言わないでください!いつもの優しい慎二先輩に戻って!」
「僕がお前らに優しくしたことなんて一度もない!」
マトウを直接攻略するのがムリなら、彼女の身近にいる人間を利用すればいいのだ。
2月頃、俺は慎二先輩と、商店街の駄菓子屋の前で雑談をしていた。
「慎二先輩、俺って先輩の妹と同じクラスで席が隣なんですよ。」
「ふ~ん、そうだったんだ初めて知ったよ。桜…アイツ凄く暗いし全然喋んなくて気味悪いだろ。」
「気味悪いとは思いませんけど、暗くて喋らないってのは同意します。俺は桜ちゃんと友達になりたいからよく話しかけるんですけど、全部無視されちゃうんですよ。慎二先輩、桜ちゃんと仲良くなるためのコツとかってありますか?あったら教えてくださいよ。」
「『桜と友達になりたい』だなんて、お前も物好きだな。桜と仲良くなるためのコツ?そんなの僕が知ってるワケがないだろう。」
「………先輩達って、兄妹仲悪いんですか?」
「勘違いするなよ。僕は優しくしてあげてるのに、桜が僕と仲良くなろうとしないんだ。」
「つまり仲が悪いってことですね。でも仲が悪いって言っても、家族なんですから桜ちゃんの好きな食べ物とか趣味とかくらいは知ってますよね?そういう仲良くなるのに役に立ちそうな情報教えてくださいよ。」
「………何で僕がアイツなんかの好みを知ってなきゃならない。」
「え!?一緒に暮らしてるのに何が好きかも知らないんですか!?」
「アイツは養子だし、僕は最近まで留学してたから、一緒に暮らし始めたのは最近なんだ。しかもアイツはほとんど喋らないから、僕がアイツのことをほとんど何も知らなくても仕方がないだろう。」
「ふ~ん、そういうもんですか…桜ちゃんってどうして養子に出されてたんですか?」
「そんなの知らない。桜はもちろん、お爺様もその件に関しては何も話さないからな。」
「へー、そうなんですか。………そうだ慎二先輩、急に話変わりますけど、慎二先輩の住んでる家、凄い豪邸で、お化け屋敷みたいじゃないですか?やっぱり隠し扉とか地下室とかあったりするんですか?」
「お前はバカなのか?そんなのあるワケないだろ。」
「あらま残念。それにしてもあんな豪邸建てられるなんて、慎二先輩の両親ってなんの仕事してるんです?」
「ハハハ、ウチの財を築いたのは両親じゃなくてお爺様だよ。母さんは僕が物心つく前に死んでるし、父さんは才能がない上に腑抜けだったから、間桐の家業を継いでいないんだ。」
「へー」
『お爺様が資産家をやってる』とかだけ言っておけばいいのに。
『父親が継いでない』とか余計なこと言っちゃダメでしょ。
まぁ、いくら『間桐慎二』が天才とはいえ、慎二先輩はまだ8歳だ。
口を滑らすのも仕方はないし、俺にとっては失言してくれた方が都合がよかった。
「『継いでない』ってことは、間桐の家は世襲制なんですね。」
「あぁ、そうだ。いつか僕が間桐の家を継ぐんだ。」
「間桐の家業はどんな仕事なんですか?」
「それは言えないな。あぁ、勘違いするなよ?お前に嫌がらせしたくて言わないワケじゃない。ウチは継承者にしか家業の詳細を教えちゃいけないんだ。お前や学校の同級生はもちろん、妹の桜にだって教えちゃいけないんだぜ。」
「…そんなに徹底的に秘匿しなきゃいけないんですから、きっと凄い仕事なんでしょうね。…でも、そうなると益々謎が深まりますよね。」
「は?何がだ?」
「『どうして桜ちゃんを養子にしたのか?』って話ですよ。慎二先輩が家業を継ぐことが決まっているのなら、それ以外の兄妹はいらないというか邪魔ですよね。」
もちろん今言ったことは戯言だ。
世襲制が当たり前だった昔の日本でも、家督を継ぐ長男以外にも兄弟姉妹が多数いる大家族は多くいた。
一子相伝の暗殺拳を使う男にも、兄弟はたくさん(3人?4人?)いたしな。
だから、世襲制と兄弟の人数にあまり関わりはない。
ただ今の俺の場合、慎二先輩をイジメることができれば、発言の真偽なんてものはどうでもいいのだ。
「………アマエ、お前何が言いたいんだ?」
「間桐のお爺様がわざわざ桜ちゃんを養子をもらったのは、慎二先輩にその家業の才能がなかったから代わりに、桜ちゃんに家業を継がせるためじゃないかってことですよ。」
「そんなワケないだろ!ウチの仕事が何かも知らないくせに適当言うな!僕よりも桜なんかの方が才能がある?ふざけるなよ!」
「別にふざけてません。ただ俺の見解を話しただけです。」
「〜〜〜〜ッ!お前が人の才能の有無も分からないようなバカだとは思わなかった!お前には失望したよ!帰る!」
慎二先輩は顔を真っ赤にして走って帰っていった。
さて、慎二先輩は蟲蔵の存在に気づけるのか…
かなりヒントをあげたんだ、原作よりも早く気づいてくれるとは思うが…
まぁ、気長に待とう。
できるだけ早く見つけて欲しいが、極論思春期に入る前、小学生の間に見つけてくれさえすればいいのだ。
…さて、慎二先輩イジメも終わったし、ご飯食べに行くか。
ピンポーン
「はい遠坂です。どちら様…ってアマエじゃない。来るの早くない?ま、いっか。門開けに行くから待ってて。」
午後5時頃、俺は凛姉の家にご飯を食べに来ていた。
本来なら6時頃に訪問する予定だったのだが、用事が思いの外早く終わったし、他にすることもなかったので早く来たのだ。
「はい、これ前回のお返しです。」
そう言って俺は凛姉に食材の入ったエコバッグを渡す。
「お返しはいつもいらないって言ってるのに。」
「料理作ってもらった分いくらかお返ししないと、次にご馳走になる時に美味しく食べられないんですよ。」
凛姉が袋を受け取らないので、『勝手知ったる』とでも言うようにキッチンに入った俺は、買ってきた食材を冷蔵庫に入れる。
その後リビングに行き、普段座っている洋風の椅子に腰を下ろした。
「今日は何作ったんですか?」
「チャーハン。」
「やった。凛姉のチャーハンは絶品ですからね。」
「褒めても何も出てこないわよ。」
「別にそういうつもりで言ったんじゃないんですけどね…」
俺の前にチャーハンとスプーンが置かれ、自分の分のチャーハンを持った凛姉も席に着く。
「はい、出来上がり。熱いから火傷に気をつけてね。」
「了解です。ではでは、」
「「いただきます。」」
モグ
うん、やっぱり美味しい。
この少しペチャついてるのが凄くいい。
これが家の味ってやつか…(違う)
「いつも通り美味しいです。」
「そう、よかったわ。」
少ないけど、しっかり会話のある食卓というのは素晴らしい。
何を食べるかよりも、誰と食べるかとはよく言ったものだ。
オリ主くん両親が死ぬ前は結構いいもの食べてます。
それなのに小2が作ったペチャついた微妙なチャーハン(作った人に失礼すぎる)の方がいいとかほざいてます。
舌バグって(殴…