月姫うろ覚え 作:にわかですまん呼符で出た
「なぁ、FGOって知ってるよな」
「あぁ、記憶が確かなら2015年からやってるスマホゲーだろ。俺もやってたよ」
この世界で初めて出会った同類との会話。すこしばかりテンションがおかしかったのを覚えている。
――同類、いわば転生者や転移者と分類されるファクターを持った者たち。
そのなかでもとりわけ、サブカルチャーに詳しい寄りの奴だったのは幸いだった。
チート能力的な何かを持っている俺だが、その力の振れ幅とか力を持つにあたった経緯とかは記憶にない。
だが、推測はできる。
多分、世界を救ったのだろう。記憶にはないのだけど。
あらためて自己紹介をしよう。
俺は藤丸立香。「Fate/Grand Order」主人公のデフォルトネームと同じ名前を持った転生者だ。
これは、2025年8月までの知識を持った俺と、2017年くらいまでの知識を持ったこの友人。遠野志貴がだべるだけの話。
「なぁ。そもそもの話なんだけどさ」
「どうした。急に」
志貴が頭を掻きながら困った風に問いだした。
「ここ。月姫の世界であってるか?今2014年だぞ?
あのゲームの舞台は2000年代くらいじゃなかったか?」
そう、こいつは月姫がリメイクされたことを知らない。
「月姫はリメイクされたんだ。たしか年代も2015かそこらへん。多分その世界だなここは」
「月姫りめいくぅ?あのやるやる詐欺みたいな型月が?エイプリルフールはもう終わったぞ?」
「志貴もアルクェイドもシエルパイセンも。全員しっかり美形になって再登場だ。ネロ・カオスは降板したぞ?」
「待て待て待て。情報詰め込むな」
「さらに言えば」
「待て。言うな」
知識マウントとは楽しいものである。
とはいえ、この世界の騒動の中心たる主人公くんに果たしてどこまで伝えるべきなのだろうか。
魔術師やら吸血鬼やらに頭の中覗かれそうな危険は大いにあるだろう。
……まぁ、何とかなるだろう多分。
「するってーとだ。二十七祖やら死徒やらの設定がまるっと変わってるのか」
情報をかみ砕いたのか、そこまで推察がいったらしい。
「おぉ、超速理解じゃん」
「へへ、存分にほめたまえよ。そんで原作知識もほぼパーになっちまったと」
「まぁ、最初の流れは(多分)同じだからセーフセーフ」
調子よさげに喋ったとたんにテンションガク下がりである。
「んで、フジマルくん。君がこうして俺に話しかけてきたということは
なんか、まずいことでも起きるわけ?特異点的な?」
「あー、そういうのは無し。単純に郷愁というか、そうメモリアマリー的な」
「何言ってんだこいつ」
「場合によっては手伝えることもあるかもだけどさ、俺は正直一般人だしな。超人バトルには手が出せないよ」
「はー、つっかえ。やめたら?この仕事」
「多分辞めた後なんだよなぁ。カルデア」
おそらくは第二部終わってから記憶消された感じなんだよなぁ。
身体は修羅場くくったのを覚えてる感じはあるんだけど。
「んで志貴くんは現在、有間だっけ?なんかカンフー娘のとこに住んでると」
「都古な。正直いつ原作とやらが始まるか戦々恐々としてるよ」
「そんな志貴くんに、朗報です。君はリメイクでもちゃんと17分割するよ!」
「何が朗報か、たわけ。そんなグロ情報いらんぞ」
「最初の話にもどるけどさ、FGO完結したん?確か1部は終わったの覚えてるけど」
「あー、終わってない。一応終章の情報は出てたんだけどなぁ。
せめてクリア後に転生したかったわ」
「まだ終わってないんかい。ドル箱コンテンツの寿命は長いなぁ」
「まぁ、FGO終わったら多分月姫Rの時代よ。いやエクストラ系か?」
「そんで君は、サーヴァントとか召喚できちゃうわけ?無敵じゃん」
「んー、できなくもないけど。負荷はかなり大きいだろうな」
「そりゃまたどうして?」
「一つ、俺の魔力量は雀の涙。サーヴァントは特上の神秘。
カルデアのバックアップなしじゃ無理。
二つ、そもそもこの世界には英霊の座がないはず。なので多分無理」
「英霊の座がない?いやいやクロスオーバーやらなんやらしてたじゃん。
何なら同一人物登場してたやん」
「残念ながら、Fate世界と月姫世界は分岐して別世界になっているというのが公式だ」
つまりはこの世界だとサーヴァントの召喚はかなり厳しい。影召喚が限度というレベルだ。
「なのでだ。俺はここじゃ端役。モブってわけよ」
「そんなこと言わずに助けてくれよ。リツカエモン」
「語呂わる。いや俺もこの三咲町が住居なわけじゃないからなぁ」
とはいえ、東京であることには間違いはなかった。ここで吸血鬼騒ぎとかごめん被るのも事実。
「これ。電話番号。なんかあれば連絡しな」
「通話アプリじゃねぇのかよ」
「お前さんスマホ持ってたっけ?まぁ持ってても没収されそうじゃん」
「否定できないのが悲しい」
本編開始時におそらく遠野秋葉にいろいろ言われて没収されるはず。
オタク、いや凡その一般人には厳しい対応といえる。
まぁ、他人事だが少しは同情するよ。
「じゃあまた。因果の交差路でまた会おう」
「シャナじゃんなっつ。またな」
2014年6月。もうだいぶん暑い季節だった。
実は物語開始は2014年10月で、あと半年切っていたのだった。
月姫Rもう一度やらないと…
あと月の裏側マダー?