都内・某所、喫茶リコリコの地下射撃場にて。
千束たちリコリスらはフレディと共にフレディの荷物の中身を嗅ぎまわった。嗅ぎまわった結果、フレディの武器がゴロゴロ出てきた。ただ、フレディは納得のいかない形で見つけたのだった。
「これじゃあ足りないな。」
「足りないって何がっすか?」
サクラの問いにフレディはあっさりと答える。
「あと10個武器が足りないんだよ。銃火器よりも重要な武器もある・・・それが足りないんだ。」
「これでも充分じゃないんですか?」
これほどの武器が充実していると判断したフキが言うがフレディは首を振る。何でも戦術的に物足りないとのこと。仕方がないので近距離はヘンリー銃、スペンサー銃、レ・マット・リボルバー。中距離はフェイエットビルで対処することになった。今後は調達先に工面しながら武器を調達することになるだろう。
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荷物の後片付けする時にフレディはふと思い出した。
「千束お嬢、ついでだから近距離の精度上げておくか?」
「うーん、いいかな。」
フレディの突如の思いつきに突っぱねる千束。
「いい?いいとはなんだ?どっちの意味で言った?」
「遠慮するってこと。教わることはあるけど、あくまでも戦術面っていうの?それぐらいだけだと思うし・・・。」
困ったものだ。千束の言い分はもっともであり、何せ千束が持つ能力がフレディの持つ銃撃戦の能力とは違う。その場しのぎの精度で銃撃戦するのがフレディのやり方で、千束の場合は接近戦に近い形で敵に接近し、死ぬほど痛い非殺傷弾で相手に打ち込む。2人が持つ能力はそれぞれ相反しているのだ。
自信過剰なのか、それともただ単に遠慮しているのか解らない。でも教わるにはちょうどいいきっかけでもあった。フレディは他のリコリスたちに目を向けた。
「ならフキお嬢たちに教えるか。」
「「「お願いいたします。」」」
フレディは2つの銃火器を取り出した。延空木事件でαチームが用いたKRISS Vector SMG Gen2と普段使いのGlock21C Gen4を取り出した。
「KRISS Vector SMG Gen2の連射速度は速すぎず遅すぎず高威力の.45ACP弾を用いた短機関銃だ。また砂や泥に曝された状態での動作確認、落下の際に暴発やパーツの破損が起きない安全性が高いとの評判だ。特にディレイドブローバック/クローズドボルト方式によって、ブローバックの反動力を下へ分散できる代物だ。他に、装弾数30発。連射速度は毎分1200発。重量は3.4kg。低ボア軸と特殊な機構を用いた精度の高さ。どれをとっても一級品だな。」
フレディの詳細な説明が展開されるがリコリスたちは理解出来なかった。むしろ理解しろなんて難しい話である。どれも早口の呪文に聞こえ、チンプンカンプンであった。フキとたきなが辛うじて理解出来ているかどうかレベルである。
「・・・どこでその知識を?」
「傭兵時代の時だ。」
フキの問いにフレディは足早と答える。
そう、彼の経歴は傭兵で元をたどれば少年兵から始まっている。得た知識のほとんどは彼が経験したモノか密輸品から得たものある。特殊な経歴を持つ彼ならこの程度の知識はどうってことない。知識自慢はとっくの昔に流れた。今は教壇に立つだけで物語っている。
「打つ前にGlock21C Gen4の簡単な説明をだな。装弾数13発。使用弾薬は.45ACP。ショートリコイル/ティルトバレル方式。強化プラスチックの多用。安価で製造もしやすい。重量の軽さと錆びにくさが強み。あとお嬢たちが扱えるようにコンペンセイターというマズルブレーキの技術を応用したモノが取り込まれている。軽いから狙いやすさもピカイチだな。撃ってみろ。」
一通り説明しきると的に案内されたリコリスたち。撃ってみろと言わんばかりに促すフレディ。フキが撃ってみる。撃っている最中に他のリコリスに撃つ所作などの説明を行っていた。フキが撃ち終わると、次はサクラが的に撃ちこむ。先ほどの説明をフキにして、フキは頷きながらまた射撃に戻っていった。
千束を除いた全員が射撃でてんやわんやしていた。たきなの拳銃はフキ、サクラと違って別の拳銃なので別の機会に教壇に立つ必要がある。リコリスという子供たちが訓練するのは感心してるが、どこかでリコリスがやる必要性のない時代が来るのかって思っていたりするフレディであった。
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ひとしきり撃ち終わると次は銃の取り出し方について教わることに。とは言えリコリスたちが装備しているホルスターは鞄に付いており、通常のホルスターではないからだ。なのでフレディはホルスターを背中に装着して仮定のまま所作を教えることに。
「まず、マガジンは最初から外すこと。指にかけた時に暴発する恐れがある。」
「それについては最初から外すように言われてます。」
たきなに言われてフレディは、
「そうか。」
と反応した。話が早いと見たんだろう。
「ならば装填してフレアチェックせずにそのまま撃った方がいいな。」
「フレアチェック?チェンバーチェックの間違いじゃないの?」
千束の指摘にフレディはしまったと思いつつ語る。
「フレアは薬室のことを指す。だからフレアチェック。チェンバーの違いはほとんどない。言い方の問題だな。」
「その言い方だと軍民じゃ言い方も違うのかな?」
「地域差によるものだろう。少なくともイギリス陸軍とアメリカ陸軍ではフレアチェックと言う人間もいる。その上で民間が扱う拳銃は敢えてチェンバーチェックと区別していることが多い。ま、些細なことだ。」
元州兵上がりでフランス外国人部隊にかつて所属していた作者はチェンバーチェックとは言わずにずっとフレアチェックと言っていたのは、単に訳し方の問題と見ている。作法はチェンバーチェックとはさほど変わらないし、普及率はチェンバーチェックの方が映画によって多く普及しているのも過言ではない。因みにフレアチェックは薬室口に指を挟む事で銃弾が入っているのを確認するが、慣れていないと指をちょん切ってしまう恐れがあるので良い子の皆はマネしないでね。
「取り出す時は指をかけたまま給弾。そのまま標的に向かって撃てば数秒の短縮にはなる。だが暴発だけには気を付けろ。」
「気を付けろって言っても・・・難しくないですか?」
実際に難しいのでお勧めは出来ない。軍ですら暴発するので指には手にかけない方が安全性は上がる。最も作者は散々訓練して暴発したため更迭を喰らっている。
「まぁ何事も訓練あるのみだな。」
そう言って今回の教練は終了した。
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「はぁ~。やっぱりフレディさんがいると安心する。」
千束が何もしていないのに背伸びしながら言う。
「なんもしてない癖にどういう意味だ?」
フレディは嫌味たらたらで言い放つ。
「そんな言い方しないでよ・・・そのままの意味で言ったの。」
「己が教官である必要性か?」
「フレディさんが教官でいる以上はどんな任務でも百人力だよ~。」
「あまり過信するなよ。ただでさえ嫌な職務についてて腹立たしいんだから・・・」
とフレディは射撃場を後にした。
リコリスたちはフレディの言う職務について顔を見合わせる。やはり後方指揮よりも最前線で戦った方が彼にとって気が楽なんだろう。彼が望む世界と彼女たちが望む世界とでは計ることが出来なかった。
⇒次回【給与と情報】