『悪徳教官』   作:クマぴょん

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【前章のあらすじ】
教官フレディの教練を受けたフキ率いるαチーム。
ややこしい銃火器の簡単説明や扱い方を教わるものの、フレディが考える世界観とリコリスたちが考える世界観がすれ違う今日この頃だった。


~ズヴェノを確保せよ~
【給与と情報】


 

 

 後日、日本・某所。DA本部の司令室にて。

 そこには傭兵稼業の時から変わらないフレディの姿と重い腰を据えた楠木司令がいた。司令室の扉1枚挟んで千束やたきな、フキやサクラ以外の多くのリコリスたちが待ち構えていた。皆、新しい教官の存在や経歴は知っているが、どんな人間なのかは知らないリコリスが多い。

 そんなことは機械化された脳を通して耳にしていたフレディだが今回は違った。給与がどういった形で支払うのか額はどれくらいなのかという生々しい話をこれから楠木と面向かって話す。なのにどうしたものか、楠木は別件でフレディを呼んでいた。ただでさえ延空木事件でもらうはずのレンガすら未払いというのに・・・。

「どこから話そう・・・」

「どこからというよりも給与について話だったんじゃないのか?」

「は?」

「違うのか?」

楠木とフレディは思わず口にしてしまった。

「お前さん・・・レンガの件ですら未払いなのは知らないのか?」

楠木は首を振る。

「いや、ちゃんと払ったぞ。お前以外の人物にはな。」

「んじゃその話はなしだ。己の給与額と支払いはどうなっている?たかが100$で働けって言うんじゃないよな?」

フレディはレンガの未払いよりも現在の給与額を見ていた。が、100$という少ない額に呆れを取っていた。飯食うよりも銃弾の確保が取れないと見ているのだ。たかが100$では何もかも足りないのだ。

「最低限の衣食住と銃火器の確保・・・見積もるなら5000$は欲しい。」

「衣食住はこちらで面倒見るからその半分の2500$だ。」

「いやDAは信用出来ない。リリベルという最大の敵がいる限りその額は見合わない。」

 今回フレディの麾下、千束ら含むαチームのターゲットはリリベル。延空木事件直後に発生したリコリスがリリベルによって締め上げられている。それを救出するには見合った額とリリベルの手足に叩き込む銃弾の数が必要になる。そうなると見込んでの5000$だ。因みに5000$を現在の円相場に直すと、約72万4400円(2025年06月01日時点)だ。

 フレディはJose L Piedraに手を伸ばして火をつける。楠木は「火を消せ」と促すが、ヤニカスが性分の彼は動じなかった。何せ今後の給与で武器調達、密輸取引、数多の行動を作戦に取り入れるためには金が必要なのだ。それを半分の額で交渉するなぞ馬鹿馬鹿しいし、ビジネスが出来ない相手に対して腹が立ってしょうがない。だから葉巻で誤魔化しているのだ。レ・マット・リボルバーに手にかけるよりかはマシだろう。

楠木はため息をつきつつも値引き交渉には粘った。

「5000$は多すぎる。せめて3000$にしろ。」

「無理だね。最低ライン5000$は欲しい。さもなくば教官という座は捨てる。」

 ハッタリに見せかけた脅し。フレディが得意とする交渉という名の脅しだ。金で間引こうとするなら今の地位を捨てることを厭わない。楠木はそれを聞いて慌てた。

「ま、待て。その座から降りるものならーーー」

「子供たちでも差し向けたら全員、行動不能にさせてやるよ。お前さんに出来るというのならな。」

 殺意マシマシの目線が楠木を貫く。これ以上間引いたら本気で消えるだろう。リコリスから逃れるための能力は彼には備わっている。今度こそ消えると日本から離れてしまう。今困るのは楠木の立場だ。彼の能力を高く買っている。それを見越してαチームや千束とたきなの教官として任を付かせたのだから・・・。

「わかった・・・とりあえず最低保証の5000$はキープする。他には?」

「裏で取引している連中の身柄を離してやって欲しい。己の大事な商売人なんだ。」

 日本で暗躍する武器商人は、フレディにとっての商売相手だ。彼ら無しではフレディの1週間という短期間の潜入任務でさえも無しえなかっただろう。楠木は解ってはいるものの、武器商人を捕まえたのはリリベルで管轄が違った。どうしたものかと考えたがこれから彼らは今後リリベルと対立する。そのうえで先に交渉するのは必要不可欠だ。

 楠木はうなずきながら、

「・・・本来ならばリリベルの管轄だが交渉に試みよう。」

と言った。

「あとは潜伏期間で得た情報交換で充分だろうか?」

「情報?」

「テロリズム拡大を防いだんだ。その情報が欲しいだろ?その情報をリリベルに売りつけて別の商売人を解放するんだ。」

「情報の価値はあるんだろうな?」

「もちろん。リリベルを欺くためなら命を惜しまないさ。」

 フレディがリリベルにやっけになっているのは単にリコリスが捕まった点ではとどまらない。彼が傭兵時代、恩師である傭兵隊長が大昔にリリベルに狙われて、図らずも勝利をもぎ取ったのが事の始まりだった。恩師はリリベルたちに命の大切さを教えたが、それを無視して恩師を欺き再度殺そうと企んでいたからだ。

 だが、延空木事件で彼と彼の戦友でリリベルの士気をボコボコにしてやったのだが、その時の恨みを買ったのか事件直後にセカンドリコリスを含めたリコリス4名をリリベルの手に渡った。リリベルの態度に一番腹が立ったのはフレディ本人で弱いモノから奪う態度にご立腹で仕方がない状態だった。

「情報は至って簡単。かつて傭兵稼業で稼いだ密輸入品情報をリリベルに押収させるのさ。」

「その情報は古すぎやしないか?」

「いや、この情報は今でも使われている。右傾化したブルガリア人の傭兵集団がいる。そいつらが日本に居て、密輸入の手引きをしていたのならばDAは動くだろ?これを使って傭兵集団とリリベルまとめて始末する。」

「気は確かか?」

楠木は問うが、元から気が狂っている彼はこう答えた。

「元からさ。」

と。

 

 

⇒次回【ブリーフィング】




書き始めてから1年以上もお蔵入りにしてたし、書いた時期と多少のズレが生じているのは「仕方がない」と思ってください。
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