『悪徳教官』   作:クマぴょん

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【制圧戦】

 

 

 数時間後。都内、某所にある雑居ビル。

 昼間なのにバーはやっていた。そこに出入りする人間はそこそこ居たが、カタギには見えない人物らがたむろしていた。そこへリコリスたちとフレディがずかずかと歩み寄る。バーの前にいた外国人は目線を団体様に無言で向けていた。止めに入らないのは故にフレディとズヴェノの関係がずぶずぶなのだろうか?とふと考えてしまうリコリスたち。

 バーに入ってバーテンダーに近づいた団体様。バーテンダーは気づく。

「そんな重武装でどうした?」

固定機関銃を2つ持ち歩いているフレディと分隊支援機関銃を携えたリコリスに声をかけたバーテンダーは恐れを知らなかった。むしろフレディのタマを取れるなら取りたかったのだろう。フレディは合言葉で答える。

「祖国の為に。」

バーテンダーは舌打ちをした。

「チッ・・・ラジミールに会いたいのか?何様のつもりだ?」

「密輸入の件でここを襲撃する大馬鹿野郎たちがいる。」

「どこのどいつだ?」

「己たちだよ。」

と言って、千束が即座に拳銃を引き抜いて非殺傷弾を撃つ。悲鳴を挙げることなく気絶した。バーの中にいた数名の外国人が反応したものの、フレディを除くたきなたちが非殺傷弾をばら撒いた。外からの増援は居たもののフキお嬢率いるαチームによって倒れた。

 バーテンダーの後ろにある扉に近づくフレディは、混合爆薬を取り出して6か所ほど扉の隅に取り付けた。爆薬が発生する振動でトラップを一斉に発火させるつもりだろう。そのトラップの構造を知るのはフレディのみ。敢えて赤外線センサーじゃなく振動で感知するのは単に火薬と紐に括り付けられた簡易的なトラップと見ている。ラジミールはカリスマ性はあるが、攻防戦が不得意なのは知っていた。デカい振動でラジミールたちの士気を挫く、それが狙いだった。

 爆薬を取り付け終わったフレディ。これで建物がろうそくになるのは時間の問題だ。千束とたきなに酸素ボンベとマスクを渡した。

「これからは時間との勝負だ。準備しろ。」

「わかった。」「はい。」

2人はそれぞれ答え、酸素ボンベとマスクを装備した。

「下がっていろ。」

2人はフレディの後ろに立つ。フレディは外套を千束とたきなの2人を覆いかぶさるようにした。αチームはバーの向こう側に隠れているか扉から離れている。

 発破と同時に激しい振動と爆風が団体様を襲う。外套の影に隠れていた2人も外套とフレディがなければモロ爆風に巻き込まれていただろう。当の本人であるフレディは半分機械化しているのでわずかに後ずさりしてしまう。

 扉を吹っ飛ばしたせいで大きな穴が空いた。同時に建物の半数が燃え始めた。千束とたきなの2人に突入を促すフレディ。それに呼応して突入する2人はズヴェノのリーダー、ラジミールの捕獲・連行を再確認した。

「さて、フキお嬢たちはここでリリベルを迎え撃つぞ。時間がないから片付けは後だ。」

とフレディはVickers machine gunことヴィッカースを2挺展開し始めた。機銃手と弾薬ベルト手で1組。フキとサクラの組とエリカとヒバナの組で2挺。モモとその他のリコリスたちはRPKことカラシニコフ軽機関銃を組み立てて、出入り口を待ち構える形になった。因みに銃弾と装備は全部フレディのお友達である武器密輸入業者のお中元である。

 バーカウンターの上にはヴィッカース。カウンターの足元にはヘンリー銃を携えたフレディが。バー全体にはRPKが。時間通りならば後3分でリリベルが到着する。その間は燃え上がりろうそくになった雑居ビルによる室温との戦いだった。あるリコリスは汗を垂らして銃に落ちる。他のあるリコリスは冷や汗と室温の高さによる汗が入り混じる。戦いはまだかと迫る。そんな長くて短い時間帯だった。

 3分経過した直後に外へ通ずる扉に金属音が響いた。

「テルミットだ!気を付けろ!」

扉の接続部を溶かすテルミット爆弾と混合爆薬で扉もろとも吹き飛ばすだろう。その混乱に乗じて突入するつもりだろうが、こっちは機関銃のオンパレードだ。

「来るなら来い・・・」

そうフレディは呟く。

 

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 同時刻。

 千束とたきなの2人はろうそくとなった雑居ビルを急いで駆け上がる。武装した、してないに問わず傭兵らは戸惑いを隠せず、突入した2人によって制圧されていった。それでも室温の高い室内戦は難しい戦いに近かった。

 まず、酸素ボンベの容量が少ない。これによってはラジミールがいる最上階に辿りつく前に2人が倒れる。大容量の酸素ボンベを用意しなかったフレディの責任ではあるが、フレディは敢えて少し小さめで少ない酸素ボンベを選んだのは、この2人なら右往左往して逃げ惑う傭兵相手を制圧するには充分たり得ると判断した。これに答えずして教官に頼りすぎるのも問題ではあった。

 次に室温が高い。建物がろうそくとなった以上、室温が異常に高い。汗まみれで服装がどうのこうのって言うよりも、室温のせいでくたばってしまう可能性もある。その可能性をフレディは指摘していない。2人が苦しい時は相手も同じだと判断している。現に制圧する時に苦しい顔をした外国人を見ている。一言で言えば惨い。その惨たらしさがフレディらしい作戦に尽きる。

 それはさておき制圧戦は順調に進み、最上階についた2人がある音を耳にした。重低音が響き渡る。これは・・・銃撃戦が始まった合図だろう。2人は顔を合わせて頷いた。最上階の扉一つ向こうに『ラジミール』という男がいるらしい。急いで助けなければならない。この地獄のような建物から。

 扉を開けて2人は拳銃を構えた。髪が黄色にくすんだ1人の男が煙でむせていた。たきなが予備で持っていた酸素ボンベとマスクをその男に当てる。

「ゴホッゴホッ・・・助かった。」

男はそう言う。

「落ち着いて。あなたがラジミールさん?」

千束の問いに男が答える。

「そうだラジミールだ。皆からそう言われている。君たちは?」

 ラジミールが答えては質問をする。2人は顔を見合わせる。どう答えた方がいいのか悩んでしまった。DAって答えたら敵対するだろうし、かと言ってフレディの名を出したらどう反応するか解らない。解らないまま時間が進みラジミールが言う。

「言えないことなのか?・・・ならそれでいい。ここから逃げよう。状況はどうなっている?」

ラジミールの問いにたきなが答える。

「ここを襲った集団と私たちの集団で襲撃者を抑えています。」

 襲ったのはフレディたちの団体様なのだが、敢えて言葉を選んだ。敵対しない為にも・・・。

「そうか・・・君たちがここに来たということは部下はやられたんだな。」

飲み込みの早い男だ。単に頭の回転が早いとも言えるが今の現状をよくわかっている。千束が落胆するラジミールに言う。

「まだ息はあるけど、私たちの仲間が回収する予定だよ。ラジミールさんと3人だけでは酸素ボンベが持たないから先に逃げた方がいいかも。」

「わかった、君たちについていく。」

「裏口には車輛を用意しています。それで一旦離れましょう。」

「恩に着るよ。」

たきなの答えにラジミールは頷いた。

 

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 裏口にはミズキと車輛が待っている。フレディがクルミを経由して頼み込んだのだ。ただ、この裏口からろうそくとなった建物がよく見えており、ミズキは落胆の声を上げた。まぁ無理もないだろう。こんなことになるとは思ってないからだ。

 この裏口からろうそくまではかなりの距離があった。建物の地下に通路があり、10ブロック(約250m)離れたところに裏口がある。そこにミズキと車輛が待っていた。

 まだかまだかとミズキが苛立ちを覚え始めると千束がマスクをぶら下げて裏口から出てきた。

「ミズキ、おっまたせ~!」

ミズキに元気に挨拶する千束。それに対してミズキは鼻を鳴らした。

「フンッ!遅いわ全く。で、作戦はどんな感じなの?」

「よゆーよゆー。」

千束の答えにミズキはガミガミと指摘する。

「ほんとか~?あんな火柱上がっているし、あんたたちススまみれよ。」

「そんなことでリコリスは務まらない・・・けど。」

「けど?」

「ちょっとフレディさんがむちゃぶりをね?」

 千束がフレディの名を言ってしまった途端、千束の後ろで控えていたラジミールが急に吠える。

「おい!今、フレディって言ったか!?」

「あ、まずっ!」

「やっぱり君たちはフレディの手先か。連れていって口を割ろうとしても何も言わん。絶対にな!」

激怒したラジミールはお口にチャックをした。それをみたミズキは千束に向かって言う。

「あーあー、千束どうすんのよ?」

「まぁフレディさんがなんとかなるっしょ。私たちは見守るだけで十分でしょ。」

「なるようにはなれってか?あまりあの人に無茶かけないでよ。私の飲み仲間なんだから。」

愚痴をこぼすミズキは車輛に乗り込む。千束も続いて乗り込み、たきなはラジミールを押さえていたので無言で千束と共に乗り込んだ。

 

 

⇒次回【情報交換】




描写が難しい。
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