シャーレの公務員たち   作:さらとが

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マジカルスズミ、来てくれました。

イェソド、ゴーレムって感じの見た目してますね。
全体の割に手が大きすぎない?
手をブロック単位で分解して変形できそう。



1.3. 射撃訓練

 

ここは連邦生徒会の調停室。

任務達成の報告にきたと伝えると、待合室に通される。

ちょっと豪華な椅子に座って待っていると、沢山の書類をもった人が声をかけてきた。

ウェーブロングの金髪に黒い羽根をもつ、岩櫃(いわびつ)アユム調停室長だ。

…あの制服、なんで胸部に穴が空いてるんだろう?

 

「コガレさん、お疲れ様です」

「お疲れ様です、任務達成の報告に来ました!」

 

なんと、調停室長が直々に任務の報告を受けてくれている。

アユム室長がちょっとのことでも褒めたり労ったりしてくれるから、ついつい話しすぎてしまう。

 

今日の任務は以前と同じく廃校の奪還。

3年生や正実、風紀委員みたいな人がいると指揮してくれるのだけど、今日はいなかったので私が指揮をすることになった。

とりあえずあまり深追いしないようにしていたら、相手を倒しきれず体育館に逃げられてしまった。

後を追って体育館に入り戦闘していたら、気がついたら囲まれており集中砲火された。

伊草(いぐさ)ハルカちゃんが爆弾で建物ごと爆破してくれたからなんとかなった、髪と服はボサボサになったけど。

 

私が指揮をしなくても、前衛をこなせる人が少くてもボサボサになる。

そういった時は私が無理やり前に出てシールドでごまかすしかないのだけど、拳銃が下手な私は圧が無いから近接格闘に持ち込まれやすい。

私には格闘技の経験なんてないからシールドを脱いで離脱するしかなく、無防備なところをめった撃ちにされる。

めっちゃ痛いから2度とやりたくない。

 

「お疲れ様でした。達成報酬はシャーレに送っておきますね」

「お願いします!」

 

 

 

「帰ったわよ〜」

「報告お疲れ様です!」

 

キリノちゃんが迎えてくれたここは、ヴァルキューレの射撃訓練場。

ここ数日、思ったより私も銃を使うことが多いから、任務の報告終わりに訓練をすることになった。

同じく拳銃を使うキリノちゃんから教えてもらっている。

 

「ほんとなんなの机のバリケード、向こうだけ隙間からスナイプなんてずるくない?」

「進む道を制限されるのも辛いですよね。遠くを狙うときは少し上を狙うと良いですよ」

 

射撃訓練といってもこうして雑談しながらだけどね。

マガジンに決められた数の弾を入れて、弾切れまでに当てられるようにする。

遠めの的になんとか当てられたのでキリノちゃんと交代。

訓練の様子をのんびり見ていると、先生からモモトークが。

なんでも頼んでおいた戦術指揮ソフトが完成したのだとか。

…わざわざ作ってくれたの?!

どうりで時間がかかったわけだ。

キリノちゃんは私が何かしているのに気がついたのか、機器を停止してこちらを見にきた。

 

「もしかして例の指揮ソフトですか?」

「そうみたい。なんでもミレニアムの「全知」さんが作ってくれたらしいわ」

「えっ!あのニュースになった?!先生の人脈が恐ろしいです」

 

圧縮されたデータがメールで届いていた。

ダウンロードは…って一瞬で終わったんだけど!早くない?

さっそくソフトを起動してみるが、画面はずっと暗いまま。

これはまさか…

 

「そういえば支給品のタブレットに勝手にソフトをダウンロードしないでって言われてたんだった!」

「えっ、それ大丈夫なんですか?ファイアウォールに変なソフトだと認識されたってことなんでしょうか?」

『誰が変なソフトだ!』

「「うわ喋った??!!」」

 

目を離していた隙にタブレットには、暗い背景に♇の記号が現れていた。

 

「えっと、あなたは戦術指揮ソフトなの?」

『(そういえば上書きしたデータはそんな名前だったような?ここは話を合わせておくべきか)…そうだ。』

「良かった、動かなかったらどうしようかと」

 

安心して胸を撫で下ろした。

もしこれでタブレットが壊れでもしていたらそうとう怒られていたのは間違いない。

 

「話せるなんて、ソフトというよりAIですね」

「確かにそうね。あなた、名前はあるのかしら?」

『よくぞ聞いてくれた、我はデカグラ…じゃなかった、カムリ()という。戦術指揮だったか?我に任せていいぞ』

 

と自信げに言うカムリ。

まるで人と喋ってるみたいだわ。

戦術指揮ソフトとわざわざ話せるようにするなんて、「全知」の人はAIが好きなのかしら?

病弱だって聞いたことがあるし、もしかしたら入院していて闘病生活の孤独に耐えきれずに友達を作っちゃったとか?

 

「本官はキリノと申します!頼もしいAIで良かったですね、コガレちゃん!」

「私はコガレよ。確かに頼もしいけど、特徴的な喋り方ね?」

『この話し方はかっこいいだろう?それより、《箱》を持った大人が近くにいないようだがここは何処だ?』

 

唐突な言葉にキリノちゃんと顔を見合わせた。

箱ってのはなんだか分からないけど、私たちにとって“大人“といえばあの人しかいない。

 

「箱が何かは分かりませんが、先生なら今は出張中ですよ。ここはヴァルキューレの射撃訓練場です。」

「私たちはシャーレ所属で、先生は普段シャーレのビルに住んでるの。そういえば、先生か作った人から何か聞いてないの?」

 

そう聞くと、タブレットに映る記号が少し揺れた。

なにか考えてるのかしら?

 

『…いや、聞いてないな。それより我を起こしたということはこれから戦闘があるのか?』

「いいえ?今日はもう無いわよ」

「では本官たちの射撃訓練を見て、気になることがあれば教えてください!」

 

キリノちゃんはそう言うと、犯人と人質の的の射撃を始める。

銃弾は全弾見事に人質の的へと吸い込まれていった。

 

『あの的が犯人か?よく狙えてるな』

「いいえ、あれは人質の方よ。キリノは教えるのは上手し狙いも正確なのにああなるのよね」

 

話が聞こえていたのか、キリノちゃんの耳が少し赤くなった。

 

『いやなんでだよ!…あの銃が歪んでるんじゃないのか?』

「あの銃ね、私も気になって借りてみたことがあるのだけど、普通に真っ直ぐ打てるわよ」

 

キリノちゃんがプルプル震え出した。

 

『まじかよ』

「まじよ、先生もなんでか分からないって言ってたわ。ていうかあんた、普通に喋れたのね」

「もう良いですよね!?コガレちゃん、交代しましょう!」

 

その後、交代して私が訓練している間に、キリノちゃんがシャーレや任務について簡単に説明をしてくれた。

ちなみにカムリによると私の射撃は普通に下手らしい。まあキリノちゃんの不可思議な射撃よりはましとのこと。

その後、キリノちゃんは私たちに口を聞いてくれなかった。

なんで私まで?カムリ、次に会うときはちゃんと謝るのよ?

 

すっかり忘れていたけど、カムリは戦術指揮AIだ。

カムリが指揮をすれば、私の仕事はタイミングを見たシールドと手当てだけ。

拳銃の腕もキリノちゃんのお陰で上がっているし、次は相当楽になるはず。

まさか任務が楽しみになるなんて思ってなかったなぁ。

カムリの分の報酬も貰えないかな?そうすれば任務のお給料が2倍にならないかしら。

なんてことを考えていると、近くでスケバンとヘルメット団の喧嘩が始まっていた。全然気が付かなかったわね。

様子を見ながらおやつのコロッケを買っていると、タブレットから声がした。

 

『おい、なんか銃声が聞こえたぞ!急いで逃げるぞ!』

「カムリ、どうしたのよ?銃撃戦なんてよくあることじゃない?」 

『は?市街地で?』

 

ここまで世間知らずでよく戦術指揮ソフトになったわね。

闘病生活のお友達説、あながち間違いじゃないのでは?

そうこう言っている間にも流れ弾が増えてきた。

 

「いたっ!誰よ…あっ!スケバンのあいつ、前に私を追いかけ回したやつじゃない!やっちゃえヘルメット団!」

『お前…ていうか、シャーレ所属なんだろ?止めなくて良いのか?』

 

なにやらカムリは正義感に溢れているらしかったが、そんなことは知ったこっちゃ無いので逃走のタイミングを図る。

スケバンが投げた手榴弾の爆発に合わせて走り出す。

誰もこっちを見てませんように!

 

「良い機会だから言っておくわ。私の装備は拳銃とシールドに治療キット、これだけなの。戦力には期待しないでちょうだい。

そのうちヴァルキューレが鎮圧しにくるから、任せとけば良いのよ」

『お前…それで良いのか?』

 

そんなこんなで帰宅。

制服を着替えて作り置きしておいた晩ご飯をレンジでチンする。

テレビをつけると銀行強盗のニュースがやっていた。

いつもの変わり映えのない内容だったのだけど、カムリには驚くべきことたったらしい。

 

『まさかこの世界が、これほどまでに混沌に傾いていたとは…』

「いただきまーす」

 

見ていてもつまらないからチャンネルを変える。

面白そうな番組、やってないわね。

 

『なんというかコガレ、お前はどうしてシャーレなんてやってるんだ?どちらかといえば不良側だろ』

「失礼なAIね。私は先生に連邦生徒会入りを手伝ってもらったのよ、研修生としてだけど。その恩返しをしてるの」

 

心底意外だという反応を隠そうともしないカムリ。

それから連邦生徒会長を推していたこと、勉強をしたくなかったことを話しすと、納得された。

妙に小賢しくてなんだかムカつくわね。

 

『その会長ってのはどんなやつなんだ?』

「よくぞ聞いてくれたわね!会長はね、キヴォトスに舞い降りた超人なの!」

 

それから私は会長の武勇伝をいくつか話した。

異例の1年生で会長に就任した話に始まり、SRTを創設した話やエデン条約の話など。

 

『会長とやらが目指す秩序は、我らの目指す新たな世界と近いところがあるかもしれないな。同志として引き入れることができれば心強いかも?』

 

カムリは初めのうちは興味なさげだったけど、なにやら興味を示してくれた。

もしやカムリもファンになっちゃった?布教成功ってやつかしら。

 

『我も会長について興味があるし、連邦生徒会の業務に協力してもいいぞ』

「ほんと?!カムリ、事務書類とかもできちゃったりするの?」

『任せろ、むしろ得意分野だ。データ化されてる物に限るけどな』

 

まさか書類仕事のサポートまでしてくれるとは!

カムリを作ってくれた「全知」って人には感謝してもしきれないわ!

先生にお礼を言ってもらわないといけないわね!

 





会長とデカグラマトンって理念が通ずる部分があるのでは?と思っています。

プロローグを簡潔に書き直そうか決めあぐねているので、アンケートを取ることにします。
理由としては、今はボツになった設定などが多分に含まれており読みにくいなと感じたためです。勢いで始めた弊害ですね。
(主人公が留年したのち、ブラックマーケットで脱法コミケサークルの教祖になる予定だった)

プロローグの簡潔化

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