オレの友達がラノベの主人公なんだけど。   作:竹御谷 流華

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3-1.穏やかな夏の始まり……なのか?by冬樹

 あれから数日ほど、特になんてことのない日が過ぎて、夏休み前最後の授業と終業式が終わった。オレを含めた全ての学生が、夏休みフィーバーでテンションが上がるのと同時に、気温も上がり続けていたのが昨日の夜の話。そして……

 

「あっつい……」

 

 今は夏休み初日の朝7時。オレ、南坂夏はあまりの寝苦しさに目が覚めた。横になったまま枕元に置いておいたスマホを手に取り、少しいじってわかった事は、今日の天気は晴れで最高気温は37℃らしいということだ。ベッドのシーツは汗と寝相でグチャグチャ、布団も足元に蹴り飛ばされていた。

 

「エアコンにタイマーをつけたのは失敗だったな……」

 

 エアコンをつけたままだと寒いし、途中で止めればそれはそれで暑い、そんな日あるよな?困ったもんだ。おっと、そんなことを考えている場合じゃない。今のこの暑さをなんとかしねーと。オレはベッドから起きて立ち上がり、カーテンと窓を開けた。オレの部屋は二階で、部屋にある大きな窓の先にはベランダがある。開けた窓からベランダに出ると、数メートル先に隣の家のベランダが見えた。さて、ここで問題だ。涼しくなりたいならエアコンのスイッチをつければいいと思うだろ?実はエアコンが効き始めるよりもっと早く涼しくなる秘策がオレにはある。何だと思う?……それを今からお見せしよう。

 

「よっと!」

 

 オレはベランダの手すりに上って―――隣の家のベランダに飛び移った。そして勝手に窓を開け、中に入る。鍵がかかってないのは元から知ってるからな。部屋の中は予想通りクーラーが効いていた。ついでに部屋の主に挨拶しておこう。ベッドですやすや寝ているそいつに顔を近づけて、すぅ……っと息を吸い込み、

 

「起きろー!!」

 

「うわぁぁぁ!!……って夏!」

 

「よっ、おはよー冬樹」

 

 飛び起きた冬樹に向かって、まるで当たり前のように挨拶をする。あはは、びっくりしすぎて面白い顔になってんな。玄関から入るのが面倒な時はいつもこうして入っているので、冬樹は開いた窓を見て状況を察したようだ。

 

「お前また飛んだな!?危ないからやめろって言ってるだろ!」

 

「大丈夫だって、オレの運動神経知ってんだろ?それにいつも鍵開いてるじゃねーか」

 

「はぁ……夏が入ってくるから開けてるんだよ。っていうかまだ7時過ぎじゃん、何しにきたんだよ」

 

「よくぞ聞いてくれました」

 

 腕を組んで得意げに言葉を続ける。

 

「昨日寝る前にエアコンのタイマーつけたんだけどよ、朝で電源が切れて暑かったから涼みに来た」

 

「聞かなきゃよかった!帰ってエアコンつけろ!」

 

 冬樹がベッドから立ち上がり、オレを帰らせようと服をつかんで引っ張り出そうとした時、

 

「うわっ、濡れてんじゃん!何これ!?」

 

 冬樹は慌てて手を離した。丁度着ていたのが黒い服だったから濡れてることに気づかなかったようだ。

 

「あぁこれオレの汗。ほら、こーしたら体にひっつくづらい濡れてるぞ」

 

 そう言って服の表面をなでおろした。

 

「汚な!あと風邪ひくぞ!帰ってシャワー浴びてこいよ!」

 

「えー、さっき窓からの行き来は危ないって言ったじゃねーか」

 

「誰も窓から帰れって言ってないだろ……!普通に玄関から帰れよ!」

 

「だって靴ねーもん」

 

 冬樹はあっ、という口のまま固まった。そりゃ玄関から入ってないからな。

 

「ほらほら、どーする冬樹?裸足じゃ帰れねーぞ?」

 

 ニヤニヤと笑うオレを一瞥すると、冬樹は肩を落とし、片手で頭を押さえながら大きなため息をついた。

 

「はぁ~……わかったよ、俺が夏の家に行って着替えと靴持ってくるから、もううちのシャワー使っとけ……」

 

「いえーい、ラッキー!じゃあ厚意に甘えて使わせてもらうわー!あ、ついでに朝ご飯もよろしくー!」

 

 言うが早いか、オレは部屋を飛び出して冬樹の家の風呂場に向かった。ちゃっかり朝ご飯の要求もして。

 

*** !CHANGE 夏→冬樹! ***

 

「あっ、おい!なんで朝食まで……ってもう遅いか……」

 

 部屋に一人残された俺はさっきの夏の恰好を少し思い出していた。汗で濡れた服がぴったりと体に張り付いていてボディラインが……

 

「あいつ……結構着やせするんだな……」

 

 普段の制服よりも、はっきりとスタイルが見えてしまった……特に胸が思ってたよりもかなり……うん、とりあえず夏のおばさんに着替えをもらいに行こう。まぁなんだ、たたき起こされた割にラッキーな、じゃない。そんなに悪くはない一日かもしれない。

 

「さてと、じゃあ取りに行ってきますか」

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