俺は窓際に立っていた。おかしいと思うかもしれないが、これにはちゃんと理由がある。
窓際に一通の手紙が置いてあったのだ。
昨日の夜に閉めておいたはずの窓は開いており、俺の住所と共にこのような文字が書いてあった
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夢は泡沫、現実のような嫌悪感
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「なんだよこれ…。新手のスパムか?」
インターネットとかでurlと一緒に怪文書とかを送るのがよくある、と後輩から聞いたことはあるが、現実でも起こるのか?
いや、さすがにわざわざ窓を開けて送るようなものでもないし、urlなんかも書いてない。これではただの怪文書だ。
しかしどうやって窓を開けたんだ…?
__チーン__
「お、弁当温まったか」
俺は、窓際にその手紙を置いたまま朝食を食べに行った。
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「くっそあんのクソ上司野郎が!!!」
何なんだよほんと!プレゼン誰が作ったと思ってんじゃあのボケ野郎…
自分では書かないくせに揚げ足取りやがって!侮辱したいならネットでしとけ!!
「………はぁ」
なんで俺、あんな奴殴っちゃったんだろ…雰囲気最悪超えて地獄だったし、もうあそこでは仕事はできないだろうな…
「どうしたものか…」
ベッドに飛び込み横になる。こういうのは怒ってるから何も思いつかないのだ。
一旦こころを無にして落ち着けば、大抵何とかなる……
…………
目が覚めたら、地面が色とりどりになっていた。…雲か?
いや、なんか丸いし綿あめみたいだな。
起き上がってみると、甘い匂いが漂っている。
赤、青や黄色、紫に橙。色とりどりのでっかい綿あめが、視界すべてに、吐きそうなほど甘いパステル色の世界が広がっていた。
「なんだこれ…夢?」
しばらく呆然と立ち尽くしていたが、高くて幼い声が聞こえてきた。
「おじちゃん!笑顔だよ!笑顔!」
「うわっ!?」
誰もいないと思ってたが、子供がいるようだ。
しかし周りを見渡しても誰もいない。子供どころか、動物も、昆虫さえ見当たらない。
「おじさん、笑顔してよ?にーってしてよ!」
しまった。こういうタイプは言うこと聞かないとめんどくさいのだ。
「に、にー?」
俺は何をしている?
というか子供どこだよ。
「雲の中だよ!おいで!」
おぅ、心を読んだかのような返答だな…やっぱり夢の中なんだろうな。
しっかし、雲の中だと?
周りの雲をじぃ~っと見わたしてみると、足元の雲に子供の顔があった。
顔の輪郭は見えるが…全然見えないな。もう老眼か…なんだか嫌になるな
「きてよ!おじちゃん!」
来て、だと?
どうやって?
行きたいのはやまやまなんだが…ん?なんか雲じゃないのがあるな…
それは木製の棒であった。腕ほどの長さの大きい綿あめの棒だ。
この棒で綿あめ掻けばいいんじゃね?
「おじちゃん!急いでよ!」
「お、おお!わかったよ!」
急いで綿あめを掻き進んでいく。数秒ほど掘り進むと、何か硬いものに触れた。
崩れた綿あめでよく見えないが、子供の体とかだろうか?
これくらい薄かったら手で掻き分けられそうだし、触ってみるか。
そう思って棒を放り投げて掻きわけてみた。
…冷たい。
そう思った瞬間に、それはいきなり腕を引っ張ってきた。
「なんだ!?」
それは冷たい手だったのだ。
足掻きはしたものの、そのまま綿あめの中に引きずり込まれそうだ。
足元が沈んでいく。踏ん張れる場所がない。
そのまま沈んでいってると雲の中から声が聞こえるのがわかった。
「ぎゃはははは!!」
「沈んでってる~♪」
「落ちろ落ちろ!」
「騙されてやがんの~」
子供たちの声だ。声が雲の外に響く度に手が足を、腕を掴んでくる。
俺はなすすべなく綿あめの手に飲み込まれた。
綿あめの中は子供でいっぱいだった。