アビドスの6人目   作:____―--

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Lies and Truth 1

 

 白洲アズサ。ミカの口から発せられた裏切り者の名前はアズサだった。特に驚きもせず、淡々とその事実を受け入れる。そしてミカから提示された一つの案として、アズサを守って欲しいと言われた。

 

 アズサの元いた学園はアリウス分校という、歴史の闇で隅に追いやられた学園。彼女はそこからやってきた。ミカはアリウスとの和解を図るため、ミカが彼女を意図的に引き入れたとのこと。

 

 でミカの意図としてはエデン条約に反対の立場を取っている。ゲヘナとトリニティの軍隊がまとまったら誰も手がつけられない戦力になる。そんな軍を用いてナギサは何をやらかすか分からないからと。

 

 次に話したのはセイアの現状について。彼女は……ヘイローが破壊されていた。すなわち、何者かに暗殺された。生徒会長が死亡するというのはどう考えても由々しき事態だ。聞いた時は呆然自失となったが、今は少し落ち着きを取り戻している。

 

 ミカの考えとしてはエデン条約が締結されてしまえば、アリウスとの和解は不可能になる。だから阻止したいという。

 

 次の話題は、ナギサが組み立てた補修授業部の真意である。補修授業部に入れられたのは、ナギサが疑いをかけた子達だった。ナギサは疑っている子達をあえて補修授業部に入れて、監視しているとのこと。

 

 ハナコは既知の通り、成績が優秀でありティーパーティーの候補として挙げられるほど。そして上層部との繋がりが幾つかできており、色んな秘密を知っていた。だからナギサはハナコを疑っている。

 

 コハルは彼女自身に疑われるようなものは無いものの、正義実現委員会への牽制として道具にされている。特にハスミは反ゲヘナの思想が強く、条約を結ぶ上では障害にならないよう、人質としてコハルは利用されている。

 

 ヒフミはナギサのお気に入りだった。しかし推定ブラックマーケットへの出入り、恐らく覆面水着団への加担により、疑いの目をかけられている。この話題が一番冷や汗をかいたものの、何とか隠し通すことができた。

 

 なぜ変態行為、一回のテストすっぽかし、傷害事件という学業と関係ない部分で補修授業部行きか。ミカの言葉を聞く限りは筋が通る。そしてミカによるとナギサは疑心暗鬼に陥り、裏切り者かどうかの確証よりも、既にいるとして疑っているという。

 

「という感じかな? 長かったね」

 

「ありがとう。参考程度にしておくよ」

 

「あはは、参考程度なんだ。信用されてないのかなー……」

 

「で、ミカ。あなたはどうしたい?」

 

「ん? どうしたいって?」

 

「仮にナギサが失脚したとして、残るティーパーティーはあなた、必然的にホストになる。そうなったら、トリニティをどうしたい?」

 

「んー……。考えてないかな。私、そこまで頭良くないし」

 

「そう……」

 

 ミカはようやく伸びをして、プールサイドから離れて行く。

 

「そろそろ私は行くね。私かナギちゃんか、選ぶのは先生次第だよ」

 

 ミカはそれだけ言うと合宿所を後にして、私はプールサイドに一人取り残された。

 

「選ぶのは私次第……か」

 

 ミカの言葉を反芻する。しかし考えても何も答えは出てこない。確実に言えるのは、二人の主張も鵜呑みにできないと直感的に感じていることだ。

 

「気持ち悪い……。この空気が」

 

 必然的に選ぶのは第三の道、しかし道も方法も分からない。思わずため息が出る。正解はどこにあるのか、そもそも正解なんてあるのか、何もわからないまま教室へ向かうのだった。

 

――

 

 教室に戻ると、すでに模擬試験をやってくれていたようだった。結果はヒフミ以外不合格だったものの、アズサが本当に紙一重まで点数を詰めてきており、コハルも点数を上げてきてはいた。

 

 そんな中、『シスターフッド』というトリニティの組織の伊落マリーというシスターが合宿所を訪問してきた。目的はアズサが助けた生徒からの感謝の伝言だった。アズサはいじめが気に食わずに戦いになった結果、あの立てこもり事件に色々あって繋がっていた。

 

 ハナコとシスターフッドの間には何かの因縁、微妙な繋がりがあったらしいものの、何かが分かるほどでもなかった。

 

 今日の授業が終わって夜に。

 

 ハナコが四人分の洗濯物をまとめていく中、『先生も一緒に洗濯しますか? いえ、しましょう』とスーツや下着などの洗濯物を奪われていく。

 

「ハナコ、いいよ。先生と生徒のものが混ざるのは嫌がる子とかいるし」

 

「いえ、私たちは気にしません。洗剤の節約にもなりますし。ね? コハルちゃん」

 

「ええっ!? でも……。まあ先生だったら別にいいわ」

 

「じゃあ、お願い」

 

 とハナコに洗濯を任せる。明日の朝には乾いているだろうと伝えられ、私は自室へと戻った。勉強の効果は出ているし、あとはハナコがやる気になれば二次試験での全員合格が見えてきそうだ。自分の中での教え方も確立してきているし、このままいけば……。

 

 そこでノック音。恐らくヒフミだろうと、ドアを開ける。

 

「失礼します、先生♡」

 

 不自然にコートを着けたハナコが、そこに立っていた。彼女は怪しげな笑みを浮かべ、コートのボタンを解いていくと見事に解放された姿が露になる。

 

「パジャマないの?」

 

「はい♡ 今日は解放したまま眠ってみたくて♡」

 

「そっか。でも、風邪ひかないようにね。それでどうかしたのかな?」

 

「はい、実はアズサちゃんことでお話が。少しお時間よろしいでしょうか」

 

「アズサのこと? わかった」

 

 ハナコを部屋にあげ椅子に座らせると、またもノック音。

 

「し、失礼します……。先生、いらっしゃいますか……?」

 

「いるけど、今ハナコと一緒」

 

「えっと……後からの方が良かったですね、また後で……」

 

 そこでハナコがガタッと立ち上がり、ドアを勢いよく開ける。

 

「待ってくださいヒフミちゃん、詳しく教えてください! 深夜におふたりで何をするつもりだったのですか!? ぜひ説明を、いえ、内容によっては私の目の前で実際に再現を……!!」

 

「な、何もしませんよ!? 先生、なんでハナコちゃんが裸なんですか!? というか着替えてください…!」

 

「今日はその格好で寝たいんだって」

 

 結局ハナコに捕まったヒフミは私の部屋に入ってきて、三人で部屋の中に。ヒフミは寝間着でハナコは裸コートという状況だが、ヒフミがハナコに怒って結局彼女は着替えることに。

 

「先生は本当にハナコちゃんに動じませんね……」

 

「そうだね。彼女の中にもきっと色々あるし」

 

 そう告げたところで、ハナコは沈黙して私から目線を逸らした。今までの色っぽい表情から一転して、何か恐れを抱いたような、そんな表情。しかしすぐに表情は戻る。

 

「ハナコ?」

 

「……いえ、何でもありません。ヒフミちゃんは先生と一緒にこれからについてご相談をされていたのですね」

 

「ハナコちゃんも先生に相談したいことがあって……」

 

「ハナコ、さっきの話はヒフミがいるとまずい?」

 

「いえ、大丈夫です。ヒフミちゃんも一緒に聞いていただければ」

 

ハナコがヒフミに向き直り、話し始める。

 

「……アズサちゃんのことで」

 

 ハナコによると、アズサは夜にちゃんと眠っているところをほとんど見たことがないと。夜明けまでに戻らないことも多々あるという。

 

「先生、ごめんなさい。実は先生とアズサちゃんが一緒に訓練しているのを、覗き見していたんです」

 

「そっか。でもそれはアズサが心配だからだよね?」

 

「はい。ですが、そろそろ彼女もしっかり眠ってもら……いえ、眠ってもらうべきです。先生もですよ? しっかり寝ないとお身体に障りますから」

 

「自室籠りなのに見られてたんだ……」

 

「ええ。ドアの隙間から明かりが漏れているのが見えますから。確かに試験も大切ですが、ただ落第というだけです。身体の健康と比べられるようなものではないと思いませんか?」

 

 ハナコの言葉に、ヒフミと私は沈黙してしまった。ヒフミが私に目で訴えてきたので、私は頷く。

 

「……いえ、落第では済まされないんです。あと二回不合格だったら……退学なんです! 私たちはトリニティを去らないといけないんです……!」

 

「……退学? そんなこと、校則的には不可能なはず……」

 

「できるの。私のせいで……」

 

 私はハナコに補習授業部の裏事情について打ち明けた。彼女の表情はだんだん深刻そうな表情に変わっていく。

 

「先生、ヒフミちゃん。そしてアズサちゃんやコハルちゃん。ごめんなさい。私はわざと試験で点数を低く取ろうとしていました。知らなかったんです。失敗したら、まさか『全員が退学』だなんて……」

 

「どうしてかは言える?」

 

「ごめんなさい。言えません。私の個人的な理由で……。ですが、それでみなさんが被害を受けてしまうのは望むところではありません。これからは試験で点数を低く取るのはやめます。そしてみなさんが退学にならないよう、私も協力します」

 

「もちろんです!」

 

「ありがとう。お願い」

 

ハナコの決意表明にヒフミが賛同し、私も感謝を述べる。

 

「ところで、この事実を知っているのは、ヒフミちゃんと先生だけですか?」

 

「そうですね、私たち以外はまだ誰も……」

 

「なるほど……。となると、アズサちゃんの不安は試験に起因するものではなさそうですね。何か私がまだ知らないことがある、と……」

 

 ミカからの情報が正しければ……。彼女は恐らく裏切り者関連で不安を抱えている。しかし今彼女たちにそのことを伝えるのは、かえって不信感を与えてしまう。今は口をつぐむことにした。

 

「いえ、それ以上に今は、この補習授業部の存在そのものが気になりますね。ミカさんは……無理でしょうし、まあこんなことを企むのはナギサさんでしょうか」

 

 そこから、ハナコの鋭い推論が始まった。

 

 補習授業部はエデン条約の邪魔者となる容疑者の集いであることを言い当てる。箱ごと捨ててしまえばいいというロジックも当たり、私もナギサに上手く乗せられてしまったこと、成績の振るわない生徒を助けてほしいという名目で、シャーレの権限も利用されたこと、補習授業部が集められた動機など、全部言っていたことを彼女は言い当てていく。

 

「……そうだね。そう言っていた。私もまんまと乗せられて……。ごめんなさい、私のせいであなた達四人を退学に……」

 

「いえ、先生のせいではありません。むしろ、ありがとうございます。私たちを思ってくれてこの補習授業部に来てくださったんですよね。先生は良い人です」

 

「凄い……。ハナコちゃん、探偵みたいに……」

 

「では、私はアズサちゃんともう少しお話をしてみた方が良いかもしれません。あと、この深夜の密会に参加していただいてもよろしいでしょうか? 三人で朝までしっぽり、と♡」

 

「その言い方はちょっと……」

 

「……あ、夜も遅いから、みんな寝よう」

 

 私の言葉を皮切りに、ハナコが「はい」と返事をしてヒフミは頷いた。おやすみを告げて出ていくが、廊下からコハルの何らかの叫び声が聞こえた。しかし気にしないことにして、引き続き教材作りに努めるのだった。

 

――

 

 今日は雨と落雷のある日だった。私の着るものはほぼ全滅で、タンクトップと下着程度しか残っていない。

 

 ハナコに洗濯物を任せていたのだが、雨が降って洗濯物全てが濡れてしまったとのこと。

 

「先生、ごめんなさい……」

 

「仕方ない。もう一回洗濯してる?」

 

「はい。ところで先生は……着るものはありますでしょうか?」

 

「しばらくはこの格好でいるしかないかな」

 

「そうですか……。では先生も一緒に水着パーティにしませんか? 他のみんなも着るものが無いということで、一緒に水着に着替えることになりましたし♡」

 

「じゃあラッシュガード着ないと……」

 

「ダメです♡」

 

 ハナコがまたもラッシュガードに対してダメ出しをしてくる。

 

「先生は私の水着を貸してあげますので、それを着てください♡」

 

「ハナコの水着? いいの?」

 

「はい♡ こちらです」

 

ハナコから水着を渡され、着替える。今度は黒のビキニタイプで、少し余裕がありすぎる。

 

「微妙な気心地だけど、これでいい?」

 

「先生、よくお似合いです♡ では向かいましょう!」

 

ハナコに手を引かれて向かうのだった。

 

――

 

「先生を連れてきました♡」

 

「先生、その水着……」

 

 ヒフミが私の格好に驚いている。そしてコハルは……。

 

「アウトーーーーーー!!!」

 

「えーっ」

 

「先生死刑!! エッチ! どうしてラッシュガード着けて来なかったのよ!」

 

「ハナコから借りてきたんだけど……ダメ?」

 

「ダメに決まってるじゃない!」

 

「先生、とってもお似合いですよ♡」

 

「ちょっと胸空いてるから抑えないと下がっちゃう……」

 

「その仕草もエッチ!! ダメ!!」

 

 ハナコに連れられてきて四人と合流。全員スクール水着着用なので、ハナコに唆されるまま私だけビキニにされたのである。少し前に停電で洗濯機が止まってしまい、水着で過ごさざるを得なくなったのだ。

 

 配電盤でも弄って直そうか考えもしたが、絶縁手袋も無いし、そもそも配電盤の場所が分からないので諦めた。

 

「こうなると授業もやりにくいし……。こんな落雷くらいで全部の建物が機能不全だなんて、ひどいセキュリティだ」

 

「リカバリー電源あっても良かったよね……」

 

「というか、授業もできないし着る服も無いんだったらおとなしく部屋で休めばいいでしょ!」

 

「でもハナコが居るよ?」

 

「あはは……」

 

 ヒフミがハナコの方を見て苦笑いする。ハナコはそんな視線は気にも留めず、私の側にやってきて……。

 

「では先生♡ 両手を頭の後ろに回して、足を肩幅に開いてください。最後に腰を少しひねって……はい、セクシーポーズ♡」

 

「うん。雑誌の表紙デビューだね。って胸が……」

 

「ギャアアア!! セクシーなのはダメ!」

 

 ちょっとおふざけをしていたら、ビキニが下がりそうになって咄嗟に手で抑えようとする。

 

「まあ♡ 素晴らしいポロリです♡」

 

「あうう……」

 

「ハナコ、やっぱりこのビキニ駄目。サイズが合わない」

 

 こうして雑談をしていると、アズサがある言葉を呟いた。

 

「……ここに来て、楽しいことしか無かった」

 

「アズサ?」

 

「私は……。この補習授業部に来れて良かったと思っている。何かを学ぶことも、みんなでご飯を食べることも、洗濯も掃除も、一つ一つが楽しい。コハルと一緒に勉強するのも楽しい」

 

「っ!? きゅ、急になに!? 何でそんな急に恥ずかしいことを!? でも……私みたいなエリートと一緒に勉強してタメになることは多いと思うけど?」

 

「ハナコには色々なことを教えてもらった。水着のことといい、為になった」

 

「あら……♡」

 

「もちろんヒフミもだ。本当にいつも世話になっている、ありがとう」

 

 ヒフミは感極まったのか、アズサを抱きしめて泣き始める。

 

「うわーん! アズサちゃん……! 良かったです!」

 

「ひ、ヒフミ……息が苦しい……」

 

 ヒフミの抱擁から解放されたアズサは今度は私に真っ直ぐな目で向き直る。

 

「そして先生」

 

「ん?」

 

「先生は……そばに居ると不思議に落ち着く。大人だけど、同じ仲間のようにも感じる。先生、これからもよろしく頼む」

 

「うん、よろしくね」

 

 アズサが手を差し出してきたので握り返す。涼しさが籠る空気の中、汗が滲みそうな熱い握手を交わした。

 

 それからは、トリニティのアクアリウムにて『ゴールドマグロ』の展示がされていること、アズサが海を知らず、ヒフミがいつか連れて行こうと約束していること、怪談、覆面水着団の噂、他愛もない雑談が続いていく。

 

「アズサちゃんはもっと、夜はきちんと眠った方が良いと思いますよ?」

 

「……うん。今朝は寝坊して迷惑をかけてしまった。慣れない場所で寝坊なんて、これまでほとんど無かったのに……。もうここは、『慣れない場所』じゃないからかもしれないな」

 

「……とにかく、もっとしっかり寝た方が良いです。深夜の見張りは減らしていただいて……」

 

「見張り……? なにそれ?」

 

「ああ、毎晩夜中にちょっと見張りを……」

 

「アズサ」

 

 ここで私はアズサに声をかける。

 

「ハナコがあなたのことをすごく心配していたよ」

 

「そうなのか……? ごめん。実は、見張りは言い訳で……ブービートラップを設置していたんだ」

 

「ここが戦場になる可能性はあるの?」

 

「いや、そんなことは無い。ただ……。その……」

 

「癖、みたいなものだよね。わかるよ」

 

 私の言葉にハナコが反応した。観察者の目が私の顔を捉えている。

 

「心配しないで、ここに悪意を持って侵入しようとするルートにだけ設置してるから。普通の生活をする上では、安全面に問題は無い。もちろん先生も含めて」

 

「……そっか。もし良ければ今度夜動く時、私も手伝おうか?」

 

「そうだな、先生も居てくれると心強い」

 

「先生、アズサちゃんの心配をするのもいいですが、先生もしっかり寝てくださいね?」

 

「ごめん、次の授業のことを考えてて。でも、ハナコに心配かけないように気をつけるよ」

 

「はい♡ 今度起きていましたら、夜這いをさせていただきますね♡」

 

「ハナコ!!」

 

「はーいコハルちゃん♡」

 

「この世界は、全て無意味で、虚しいものだ」

 

 アズサが突然そんなことを言い始める。

 

「もしかしたら……。私はいつか裏切ってしまうかもしれない……。みんなのことを、その信頼を、その心を」

 

「そんなことないよ」

 

「先生? なぜそう言える?」

 

「理由も、証明も無い。ただ、私はそう思う。アズサは裏切らない」

 

「そう、か……」

 

 私の言葉にアズサは戸惑う。私は話を続ける。

 

「虚しさのことで、ある逸話があるんだ。神を欺いた男は罰として、麓にある岩を山頂に運ぶことを課せられた。でも山頂に岩を置いた瞬間、再び転がって麓に落ちてしまった。でも、男はもう一度山頂に岩を運ぶ。これが永遠と続く。虚しいでしょ?」

 

「ああ、虚しいな」

 

「でも、その繰り返される労働の中で何か意味を見出すことができたら? その労働に幸福を見出すことができたらその男は幸せだと思わない? そういう話」

 

「なるほど……」

 

「シーシュポスの神話でしょうか?」

 

 ハナコはどうやらその話を知っていたらしい。

 

「そうだね。本で軽く読んだ程度だけど……」

 

 その瞬間、停電から復帰し照明が点く。

 

「では、もう一度あらためて洗濯しましょうか」

 

 ヒフミの言葉で第一回水着パーティーは閉幕し、私たちは再び水着から普段着に着替えることになった。そして授業を終えて夜、ハナコが突然飛び起きてみんなで夜の散策をしようと言い出した。一応私も先生という立場なのだが、誘われて断る理由もない。五人で夜のお散歩がスタートした。

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