【CLATTANOIA】黄昏の超越者(オーバーロード)‐ファイナルファンタジーXIV‐   作:ウルトラナポリタン

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プロット作ってたら黄金のレガシーが出ちゃって黄色被りしちゃいました。


第一章
第1話 光の戦士(前編)


 

 

 

 ――英雄、という言葉は好きじゃない。

 

 英雄なんていない。確かにオレは人を救ったし、町を救ったし、国を救ったし、世界を救い、星を救った。だがそれが何だ? オレは皆には無い力が、知識があった。全能じゃないけれど、救えて然るべき天賦の力があった。

 

 

 ――オレは英雄じゃない。やって当たり前のことをやった奴は称えられるべきじゃない。……何故全てを救えなかったのか、怒られないといけない。どうしてそれほどの力を持ちながら、どうして"未来の出来事"が解りながら、この世の全てを幸せにできなかったかのかと糾弾されないといけない。

 

 英雄なんかいない。死んで逝った奴らは戻らない、流した涙は乾かない。起きた事は返らない。

 

 

 なぁパパリモ、オレは頑張ってないよな。頑張り切ってたらお前も救えたよな。イダにもリセにも申し訳ない、奢ってもらった酒代を一銭も返してないクソ野郎になっちゃった。

 

 イダごめんなぁ、お前の相棒助けられなかったよ。

 

 

 

 

 ――英雄はいないんだよ。

 

 ――それでももし、英雄と呼ばれる奴らがいるとすれば、それは、きっと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦

 

 

 

「……うぅ」

 

 二日酔い特有の、脳の中心で鐘が鳴り響くかのような鈍痛。前日はどれだけ飲んだのだろうか……ベロベロになったアリゼーが追加の酒樽を運び込み、それをそのまま胃に流し込んでいる場面で記憶が飛んでいる。

 

 そう、あれは本当に豪勢な宴会だった。エオルゼア各国の要人が一同に会し、関係者のみが参加した無礼講。普段ムスッとしているフルシュノさんすら、アメリアンスさんの肩を借りなければジョッキを傾けられない程にはっちゃけていた。

 サンクレッドは愛を語り、シュトラは魔法を語り、ウリエンジェは星を語り、クルルは知識を語り、ナナモ様は国を語り、メルウィブ団長は海を語り、カヌ・エは自然を語り、シドは技術を語り、ヒエンは風流を語り、アルフィノは夢を語り、アリゼーは冒険を語り、ヒルディは何故か居てなんか語っていた。ナシュはヒルディのことを垂れ流しながら必死に料理を食べていた。

 

 誰もが笑顔で……恐らく、初めて自分の"好き"を腹を割って語った瞬間だ。本当なら在り得ない、国家の壁なんて存在しない本当の自由。皆が首元の締め付けを緩めて歯に衣を着せずに口を動かす。

 

 楽しかった。新しい旅の予感がした。でも飲み過ぎたようだ。頭が馬鹿みたいに痛い。

 

 

 どうやら気を失う前に、いつもの癖で鎧を着こんでいたらしい。ガシャガシャと金属の擦れる音を鳴らしながら、ゆっくりと体を起こす。

 自室や宴会場の床材である石畳とは違う。体重が臀部にかかった際に少し沈んだ感覚から、土の上の様だった。

 

「ん……?」

 

 違和感を覚え、周囲を見渡すと一面の緑色。

 肝っ玉な世話人が「頭冷やせ」と放り出したのかと考えたが、全身鎧の男を宴会場からナル大門へ運んで外にぶん投げるのは流石に無理がある。もし本当ならその辺りにサンクレッドやエスティニアンが転がっていないとおかしいが、見た限り姿も無い。

 

 装備を軽くチェックしたところ、鎧だけでなく剣と盾、腰のポーチも無事だ。流石に悪意のある人間に体を触られれば、いかに泥酔してようと飛び起きるので当然だが。

 

 しかし――

 

「いや、ここはザナラーンじゃないな。こんな植物は見たことねぇし、この空気の質感はエオルゼアで感じたことが無い」

 

 全身から一瞬で酒が抜けるくらいには異常な状況。即座に立ち上がって左腰のライトブリンガーと背の英雄の盾を抜き放ち、周囲に意識を張り巡らせる。

 …半径500m以内にノンアクティブなモブ以外の気配は無い。双剣士のかくれるを警戒し、いつでも盾でぶん殴れるよう注視するが、30分経っても敵視が感じられなかった。

 

 一先ず納刀するも疑念は晴れない。果たしてここは何処なのか、自分以外に同じ状況の仲間は居るのか、……誰がどのような意図でこんなことをしたのか。

 何より最も異常なのが、テレポもデジョンも発動しないことだ。何回発動を試みても動作する様子が無い。並みの敵が束になって襲い掛かってきても倒されるつもりはないが、普段何気なく使用している技術がうんともすんとも言わないというのはどうにも不安が煽られる。

 

 どうしたものか……初めての事態ではあるが、身ぐるみを剝がされていない現状からどうにも緊張感が高まらない。平和ボケしたなぁと思いつつ、推理を続けても出ることの無い答えに苦笑いする。

 

「……!」

 

 警戒を緩めず、とりあえずトコトコと歩いていると、微かに人の叫び声が聞こえた。聴覚に集中すると、数人の絶叫と共に人種のものとは思えない鳴き声も混じっている。

 足りない頭であっても、モンスターか何かに人が襲われているのは明らか。オレは帯びた剣に左手を添え、悲鳴のする方向へ全速力で走り出した。

 

 

 

♦♦

 

 

 

「うわああ、くるなあああぁ!」

 

 リ・エスティーゼ王国の貴族の末端に連ねる、王都の一角の管理を任されているラインズ家。その家長であるゴルズは、自身の不運に打ちひしがれながら、涙や鼻水を垂れ流し必死に走っていた。

 

 簡単な商売のはずだった。

 王都で適当に鉄等級の冒険者を雇い、エ・ペスペルにて新しい装備の卸すだけの仕事。懇意にしている鍛冶師が鍛えた目玉商品のロングソード、当人はそのついでに作ったと言っていたが素晴らしい出来の鎧や盾。最近はモンスターの活動が少し活発で、鋼製の武具は冒険者たちからの需要が増えている。それを突いての商談だ。

 総じて120点。雇った冒険者たちには無償で与えて微々たる宣伝効果を期待しつつ、今回は多少安く売り、次の注文を待つだけ。

 

 政治にはてんで才能が無かったが、商売に関しては自負があった。特に武具への目利きには一家言あり、ゴルズの見繕った武具は戦士団からも積極的に採用されている。ぺスペア侯にも一目置かれており、その期待に与る形で商談を持ち掛けたのだ。

 

 だが、これは何だ?

 王国が管理する道中でオーガが出るなんて聞いていない。2体のオーガに、5人の冒険者たちは既に皆殺しにされた。所詮鉄等級では、鋼製の業物を以てしても奴らの分厚い皮膚を切り裂けず、何でもない太い棒に岩を巻き付けただけの斧で粉砕された。

 残されたゴルズと2人の家臣は、迫りくる死から逃れようと足を動かす。数m後ろには、醜悪なモンスターが命を狩り貪り食おうと迫っている。

 

 様々な液体で顔がぐしゃぐしゃになったゴルズの脳裏に浮かんだのは、王国に残してきた妻と息子たちの笑顔。それでも、腰に下げている剣を抜き放ち応戦する勇気は湧かなかった。

 

 決して裕福ではない。それでも、家族とそんな自分たちについてきてくれる民のために頑張れた。

 

 

 ろくでもない死が迫る。出来損ないの石斧を振り上げたオーガは、ゴルズの身体を食い貪るため両断しようと――

 

 

 しかしその死は、聞いたことの無い美しい音色によって阻まれた。

 

「おい、大丈夫かおっさん」

 

 身の丈ほどもある石斧が、ドスンと重苦しい音を立てゴルズの足元に落ちる。石斧を持っていたオーガの腕は衝撃に耐えきれず破裂した様で、どす黒い血を噴水のように撒き散らしていた。

 脳をつんざく不快な悲鳴。それでも、ゴルズの耳残るのは先ほどの不可解で可憐な響きだった。

 

 小便を漏らし、尻もちをついているゴルズの眼前にそびえ立つ堅牢な城壁。白銀のフルプレートアーマーを身に纏った偉丈夫が、弱者を守るため脅威に相対していた。

 

 震えて歯が鳴る口を何とか制し、ゴルズは口を開く。

 

「あ、貴方は」 

「怪我はないみたいだな。……仲間、間に合わず済まない」

 

 オーガの背後に転がっている、息絶えた冒険者たちを一瞥し偉丈夫は悔しさを滲ませる。ゴルズの瞬きの内に、彼は光のような速さでオーガへと斬りかかっていた。

 

 彼の持つロングソードの刀身は、オーガの胴体の太さに及ばない。しかし、まるでバターの様にスラリと一太刀で輪切りにして見せた。オーガは斬られた事に気づいていないのか、グチャグチャになった右腕を苦しそうに左手で押さえたまま、泣き別れた上半身が地に落ちる。その衝撃で、ようやく上半身の傷口からドパリと血が溢れ出していた。

 

 ゴルズがそんな不可思議な光景に唖然としていると、その間にもう一体のオーガも縦に両断され絶命していた。

 

 血が一切付着していないロングソードを左腰に、翼を模したカイトシールドを背に仕舞った偉丈夫が何事も無かったかのようにゴルズへと近づいてくる。

 

 

 ゴルズの耳から離れない、盾と石斧が衝突した際の音。まるで金属同士がぶつかったかのような、甲高い音色。

 幼いころ、父が持っていたアダマンタイトの欠片を石材の床に落としてしまったことがあるが、その際に響いた音とは全く違う。

 未知の金属で作られた装具。あのカイトシールドだけではなく、きっとロングソードも鎧もそうだとゴルズの勘が告げている。

 

 それらを体の一部のように扱う、凄腕の騎士。まるでおとぎ話に出てくる純白のマントを纏った精悍な青年。

 

 御年42歳。体の節々の痛みと戦う中年は、年甲斐もなく高鳴る胸を抑えきれなかった。

 

 

 




「主人公」
暁月ひろし、31歳。全ジョブ制覇の廃人。

「サンクレッド」
元盗賊だけど超偉い男前。事故で魔法が使えなくなったため、弾倉のある剣に魔力を込めた弾丸を装填しぶっぱして戦う男前。相棒はリス。

「ニャン」
エスティニアン。蒼の竜騎士と呼ばれる超凄い槍使い。同じく馬鹿みたいに強いラウバーンと合わせて、ひろしの対人戦闘の師匠。飲み友。

「主人公の装備」
暁月アーティファクト。ジョブ毎に誰でも貰える装備だが、原作と性能が違って超強い。

「オバロ世界」
アインズ様はまだ来てない。
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