【CLATTANOIA】黄昏の超越者(オーバーロード)‐ファイナルファンタジーXIV‐ 作:ウルトラナポリタン
レイドたちの一件から更に2週間が経った。
順調に依頼をこなし、無事銀級冒険者へと昇格した光の戦士。ゴブリンや調査不足で現れたオーガ、熊によく似たモンスターなどの討伐、商談の護衛等々。銀級になった今は少し遠出が増え、エ・ペスペル辺りまで行く依頼もある。
どうやら冒険者への評価として、金級からようやく一人前と認められるようだ。これは冒険者組合でも共通しており、本来は報酬の20%ほどが諸経費として組合に徴収されるが、金級であれば15%と優遇される。
組合の負担が減るからというのもあるかも知れないが、優越感を煽るためでもあるのだろう。
いろいろと変化があったが、目下最も有益だったのはエ・ペスペルに仕事で行く機会があったことだろう。
冒険者間の人脈も増え、酒の席で出身を聞かれることも多い。また聞きの話と実際に見て聞いて感じ、表現できる話は現実味が大きく異なる。このお陰でより親密になれたと実感出来た。
それでも、やはり時間がかかる。今更ではあるがエオルゼアでは大騒ぎになっているだろう。この三か月半でエオルゼアに帰る手段は一切見つかっていない。手がかりすらない。
光の戦士は、どれだけ離れているとも知らない第二の故郷へ思いを馳せた。旅の先で出会った者ひとりひとりの顔も鮮明に思い浮かべられる。
帰りたい気持ちは変わることは無い。しかし、この世界にほんの少しだけ愛着も沸いていた。
光の戦士は自室のベッドの上に座り、窓から外を眺めながら麦酒を傾ける。
まぁともかく、やることが多い。目的である蒼の薔薇との接触も当然叶っておらず、情報を集めてはいるが、上層部で緘口令が敷かれているのか大した話は聞き出せていない。ゴルズとの手紙でもなしのつぶてだ。
幸いなのは全員の名前がわかっていること、組合に赴いて依頼を受けていないこと、リーダーが貴族であること、噂止まりではあるが王室と繋がりがあること。
やはり階級を上げるしかない。依頼によっては3日で4件こなすバカがいると噂になっているが、光の戦士が欲しいのは珍評ではなく好評だ。正攻法ならとりあえず金級が目安だろう。
空になったジョッキをサイドテーブルへ置く。光の戦士は良い子なので、寝起きは一杯だけと決めていた。
栄養補給を終えたところで、今日も今日とて依頼だ。昇格の目安が公表されていないため、とにかく数をこなす。手あたり次第は光の戦士が得意とするところだった。
「よおーぅ色男! 俺とデートしねぇか!」
ズガンという爆発音と共に吹き飛ぶ部屋の扉。縦回転しながら光の戦士の眼前を通り過ぎた扉は、爽やかな朝の陽ざしを取り込む窓を粉砕し、通路を挟んだ向かいの建物へとメンコの様にへばり付いた。
木くずの煙から現れたのは、光の戦士が並んでも見上げるほど大柄な山、いや人、多分女。
絹のような金髪、端正な容姿、肉食獣のような瞳、岩山を思わせる巨躯、赤みがかった紫色の全身鎧。
肉食獣のようなではなく肉食獣のそれだ。ルガディンもどきの大女が光の戦士を見る目は、まさにライオン。
在り得ない筈なのに、光の戦士は自身の尻が引き締まるのを実感していた。
♦♦
死ぬほど無礼な女ルガディンを一度部屋から追い出し、鎧を着こんだ光の戦士はそのあと無事捕まり、抵抗空しく冒険者組合の前まで連行された。
無茶苦茶な邂逅に、光の戦士らしくなく少し、ほんの少しだけ動揺したが彼女の人相と装備には覚えがあった。
蒼の薔薇、謎多し可憐なる戦士ガガーラン。首都各地の酒場に出没し男を漁るため、他のメンバーよりも得られる情報が多かったのだ。
しかし疑問が残る。アダマンタイト級と銀級では天と地ほどの差があり、組むメリットは一切ない。後進を育てるという建設的な理由はあるかも知れないが……それならば、複数人数パーティが対象でなければ実戦経験としての効果が薄いはず。
「お前、1人で依頼を受け続けてる馬鹿らしいな」
にやにやと笑うガガーランは、隣でげんなりしている光の戦士へ顔を向け心底楽しそうに口を開く。その指摘は光の戦士に効いた。うっと声を出してそっぽを向く光の戦士。ガガーランは回り込んで再度顔を覗き込む。
そう。レイドたちと組んで以来、光の戦士は1度しかパーティに参加していない。理由は単純で、彼らの進行ペースが遅すぎるからだ。
急務でないとはいえ、光の戦士はエオルゼアに帰らなければならない。依頼をひたすら受ける必要があるが、一般的な冒険者は準備も含めて最短で3日、長いと1週間はかかる。そんな速さではいつ金級になれるかもわからない。
光の戦士としては同じ方角に目的地があるなら、それらの依頼をまとめて受けたほうが良いと思う。とても効率的だ。
「俺もそう思うぜ。でもよ、1人でそれやるから馬鹿って言われるんじゃねぇのか? 前衛職で多少無茶が利くっちゃあそうだが、限度があるぜオイ」
ガガーランの本当の馬鹿を見る視線に怒りがこみ上げる。正論は時に人を傷つけるのだ。
念願の蒼の薔薇のメンバーに接触できたというのに、達成感が一切沸かない。光の戦士は重苦しくため息を吐いた。
そんなわけで、光の戦士はガガーランに組合内へ連れ込まれる。しかしよくよく考えてみると、光の戦士を依頼に連れていくことは確定していない。気持ちが先行していたが、もし依頼に同行できるのであれば魅力的ではある。
蒼の薔薇、特にイビルアイという人物が来てくれるなら一気に目標達成だ。
ひと月経っても他の手がかりが得られなかったというのは、光の戦士を少し焦らせるには十分だった。
ガガーランの巨躯はよく目立つし、立場的には冒険者のスター。朝早く人が少ないとはいえ、組合に普段見せないその姿にざわついた。
「あら。いらしてたのですね、おはようございます。それと――ガガーラン様?」
併設されている酒場のテーブルを拭いていたアリシアがこちらに気づいた。作業の手を止め、少し離れている光の戦士に頭を下げようとすると、隣のガガーランに気が付いた。
ガガーランはアリシアに直接的な面識はないのか、ガガーランのいで立ちをしっかりと目視してようやく気付いたようだった。
「おう、コイツと一緒に依頼を受けたくてよ」
「他の方々はいらっしゃらないのですか? それに昨日使いの者がお伝えしていると思いますが、本日蒼の薔薇にご紹介できる依頼は……彼とですか?」
アリシアの疑問はもっともである、ガガーランが1人なのは何故だろうか。
「一応声はかけたんだけどよ、リーダーは実家、双子は仕事、チビは無視だ。ま、俺は2人の方が好都合だぜ」
ガガーランからの熱い、いや灼熱の投げキッスを受ける光の戦士。いつか感じた尻の緊張感を思い出し、光の戦士は逃げ出したくなった。
嫌々期を迎えた光の戦士であったが、アリシアさんがカバーするのだ。
普段は美しい鎧の似合う素晴らしい男だが、定期的に馬鹿になる。光の戦士が冒険者となって大した時間は経っていないが、その中で最も頻繁に顔を合わせているのはアリシアである。酒場で騒いで喧嘩へ発展しかけた時も止めたのはアリシアである。
最早唯一のパーティメンバーと呼んでも過言ではなかった。光の戦士のやる気が下降していることをいち早く察知し、素早く行動に移す。
アリシアは駆け足でカウンターへ戻ると、その後ろの棚の中から紙を1枚取り出して2人のもとへと戻ってきた。
「ふぅ……こちらは本日調査が完了したプラチナ級の依頼となります。エ・レエブル近郊に出現した特殊個体のオーガの討伐。銀級相当の調査官が1名重傷、金級相当の者は戦闘ののちに軽傷で帰還となっています。推定難度は40前半です」
少し上がった息を整え、アリシアは依頼書を読み上げる。ガガーランは内容を聞いている間少し目を細め、目線のみでチラリと光の戦士を一度盗み見た。
「良いねぇ、こいつにしよう!」
聞き終わってすぐに、ガガーランは子供の様に声を上げる。
やはり、戦士らしく気兼ねなくぶん殴ることが出来る敵が好みなのだろう。恐らく光の戦士が相手をすることになるだろうが。
ガガーランはアリシアから依頼書を優しくひったくり、拭いたばかりのテーブルの上でサインしている。……自前の黒鉛ペンでも持っているのだろうか、マメな女性だ。
「もしこいつをぶった切れたら、俺がお前を推薦してやるよ。どこまで聞いてくれるか分かんねぇけどな」
書き終えた依頼書をアリシアに渡し、振り返ったガガーランは両手を胸元で組みバチコンとウインクする。
ガガーランは光の戦士が何かしらの理由で階級を上げたいということに気づいている。そして先ほどの、アリシアから依頼を聞いている際の反応。
なるほど、イイ女だ。
光の戦士は、ガガーランとの共同任務に少し心を躍らせた。
♦♦
その後。準備を整えた光の戦士とガガーランは、馬を2頭借り正午丁度に首都の東門から出発した。
目的地まで馬で1日と少しで到着する距離だ。いつもと違い特に他の依頼も受けていないので直行直帰の形になる。
「今日はこのまま休み無く行くぞ、いいな? 男前」
先導する形で馬に跨るガガーランは、顔だけ振り向き光の戦士へ話しかける。光の戦士が無言で首肯すると、彼女は満足げに鼻歌を歌いながら姿勢を戻した。
光の戦士はガガーランの背へと視線を凝らす。彼女の傍に現れる数字は――27。光の戦士が彼女以外の冒険者を見てきた中で、最もレベルが高かったのはミスリル級冒険者の17レベルだった。
この世界にも、戦う者は冒険者以外に多くの種類がいる。正規兵、半グレ、犯罪者、自警団、異形種、亜人種、モンスター、etc。それぞれ強者と呼べる存在はいるだろうが、人々のアダマンタイト級冒険者への畏怖と尊敬の念は凄まじいものだった。
中でも、王国で言えば戦士長と呼ばれるガゼフ・ストロノーフ。彼はアダマンタイト級冒険者に匹敵する実力を持ち、王国秘蔵の宝物を装備すれば凌駕するという。
光の戦士にとってこの世界の強さの尺度は、アダマンタイト冒険者とガゼフの2つだ。彼ら以上、未満で強さの意味が大きく変わると考えている。
だが光の戦士は、最も気になった部分がある。
「おいなんだぁ、乙女の体をじろじろ見るなって!」
光の戦士の視線に気が付いたガガーランが、大げさに声をあげポリポリと背中を掻く仕草をする。
……そう。この世界では、レベルと実力が必ずしも比例しているわけではない。
光の戦士がガガーランに向けた視線は、何も無い。相応のレベルが無ければ知覚できない。
70のレベル差は、論じる必要のない隔絶したものだ。仮にレベルシンクを解いた光の戦士が彼女に拳をふるえば、掠っただけで即死するだろう。40レベル差でも誤差の範囲。
だというのに、ガガーランは何でもない様に光の戦士の視線に気が付いた。
レベル差はステータス差に過ぎない。まるで、画面の先に人がいるようだ。
心や精神はレベルに依存しない。ガガーランは、きっとガゼフも、イイ戦士だ。
ガガーランの宣言通り、夜も構わずノンストップでの行軍となった。食事は片手で食べられる携帯食料で済ませ、順番に馬上で30分おきの仮眠。光の戦士が提案したわけではなく、皆考えることは同じらしい。光の戦士は安堵した。
正午過ぎ。目的地から少し離れた場所で馬から降りて手頃な木へ手綱を繋ぎ、手持ちの消耗品を確認。足りない分を鞍からポーチへ移していく。
「色男、回復魔法は使えるか?」
一足先に準備を終えた光の戦士が木陰で待機していると、大槌を担いだガガーランが近づいてくる。
もちろん使えるが……そういう訳にはいかない。笑いながら否定すると、彼女はそれよりも大きく笑った。
「あっはっは! 見てくれで信仰系も修めてるかと思ったが、当てが外れたか」
大当たりだ。剣先からケアルが撃てるし、杖だって使える光の戦士である。槍も斧も銃も使える。
流石に異世界の如何をガガーランが知る由もない。仕方ない話だ。
「それと……わかってるよな。俺はお前が死にかけるまで何もしない、俺が加勢したらお前を組合長のオッサンに推薦もしない。もし死んでも、死体は回収するが蘇生までは面倒を見ない」
ガガーランは光の戦士の目の前で立ち止まり、少し腰を落として目線を合わせた。
彼女は光の戦士の勝利を疑っていない。組合の時点で既に、光の戦士が何かを隠していることに気づいている。
アリシアは、ガガーランの人となりを一方的に知っている。ガガーランと銀級冒険者が一緒に依頼を受けると聞けば、ガガーランが甘やかしたりタダ乗りさせるような女性ではないと理解しているだろう。
そのうえで、アリシアは迷い無くプラチナ級の依頼を持ってきた。しかも脅威が安定しない変異個体のもの。アリシアが光の戦士と繋がりが有り、これまでの珍評も加味すれば、光の戦士の実力の予想は容易い。
すべては光の戦士の詰めの甘さが原因だった。
「そうか。ま、頑張れよ!」
光の戦士はガガーランの言葉に右手のサムズアップで返答し、その様子に満足したのかニヤリと笑って目的地への方角を指し示す。
光の戦士がその方角へ視線を向けると、ガガーランは姿勢を戻して両腕を胸の前で組みそのまま動かなくなった。
先導し、標的を見つけてさっさと倒せということだろう。冒険者が歩き出すと、ガガーランは何も言わずに5mほど間隔を空けて光の戦士に追従する。
目的地近くまでしばらく進むと、光の戦士の感知に不自然な存在が引っかかる。周囲を見渡してみれば周囲に大きな足跡。まだ新しいようで、屈んで足跡のふちを優しく指でつつくと簡単に崩れる。
ガガーランへ振り向くと彼女は小さく頷いた。彼女の勘としても、標的に間違いなさそうだ。
足跡が続く先と感知している気配の方角は同じだ。光の戦士はロングソードと盾を抜き放ち、警戒しながらゆっくりと歩を進める。
「グゥゥゥォ……」
見つけた。200m先に粗雑な石斧と木製の大盾を装備した、光の戦士の背丈の以上はある黒く大きな背中。右肩には3頭のヤギが担がれており、寝床に戻ろうとしている途中に見える。
現在地は街道から大きく離れており、西に少し行けばトブの大森林。はぐれモンスターがいるのも頷ける。
光の戦士が変異オーガに目を凝らすと、示す数字は14。軽傷で逃げ帰った調査官は、金級といえど運が良かったようだ。
左手の盾に少し闘気を込めて、光の戦士は走り出した。体勢を低くしオーガとの距離を詰める。
80mほどまで近づくと、光の戦士に気が付いたのか、オーガは即座に肩のヤギを打ち捨て素早く振り返った。
金属鎧の音が原因か、光の戦士の気配を察知しすぐさま敵だと判断したのだろう。それなりに知能が高いようだ。
敵の得物の方が間合いが広い。8mの距離でオーガは、光の戦士の股座を掬い上げようと、右手の石斧を地面に少し寝かせながら滑らせる。
解りやすい大振りの攻撃。光の戦士は右足で強く蹴りつける。走り幅跳びの要領で跳んだ光の戦士は、浮いた体を少し右へ捻り盾を下に向け、斧と身体の間に割り込ませた。
盾と石斧が衝突する。その瞬間光の戦士は、インターヴィーンの応用で斧を盾で強く殴り、更に前へと加速した。
「お!」
遠くからガガーランの感嘆の声が聞こえる。しかし今は戦闘中だ。
ダッシュとシールドバッシュの勢いを乗せたまま、光の戦士は右肩を前へ突き出してオーガの腹部にタックルをねじ込む。
オークは咄嗟に左手の大盾を引き寄せていたが間に合っていない。鎧の重さも相まって、オーガは酷く不快な鳴き声を上げ3mほど背後の地面に墜落した。
光の戦士は一度左足で地面を踏み跳び、仰向けのオーガに胸部へ馬乗りに。右手の剣を振り下ろし、オーガの頭蓋を陥没させた。少し大きな息を吐いて、オーガはそのまま絶命した。
光の戦士が走り出してからおよそ20秒、相手は単体とはいえ先ず先ずの速さだ。剣に付着した血をオーガが着ているボロで拭い、納刀して戦闘状態を解く。
「いやっお見事! デカブツ、しかも大盾持ちの相手に決定打の欠けるロングソード。先制攻撃を打たせていなし、カウンターで体重と勢いを活かしたタックル。迷いのない追撃。感服したぜ」
拍手をしながら、ドスドスと近づいてくるガガーラン。先ほどまで右手に持っていた大槌は仕舞われている。
どうやら合格らしい。光の戦士が開始前と同じく右手の親指を立てると、今度は彼女も笑顔で親指を立て返した。
「一応聞きたいこともある。今回はあのオーガ1体だけだったが、他のゴブリンやオーガがいたらどうするつもりだったんだ?」
水の入った革の袋を投げてよこしたガガーランは、光の戦士に尋ねる。
光の戦士の感知に他の反応は無かったので群れじゃないのは確定していたが、その疑問は当然だ。
弓兵がいても前方はオーガと被り後方はガガーランがいる。左右から射られてしても垂直方向に走っている光の戦士を正確に捉えるのは困難で、矢が当たったとしても鎧が弾く。歩兵だったら追いつけない。
そう告げると、内容に満足したのかガガーランが光の戦士にそれ以上何かを訪ねることは無かった。
討伐の証としてトロフィーを回収しておくように言われた光の戦士は、オーガの右耳を切り取って布に包む。ガガーランは馬を連れてくるためその場を離れた。
狙い通り、身体能力ではなく戦闘技術の高さは、目立ちはするが怪しまれることは無いようだ。何も考えずオーガを真っ二つにするのは簡単だが、ぽっと出の人間が急にそんなことをすれば注目されるのは体験済み。
しかし、技術に依る強さであれば誤魔化せる。才能と言い訳できる余地がある。ゼロから修練と実戦で積み上げたものだし、工夫もできる。
ソードアンドシールドは、剣の両手持ちに制限が掛かるため攻撃力が足りないことが多い。出来ないことは無いが、鎧に盾が干渉してうまく振れないのだ。誰かと組むことが前提とされているジョブなので仕方がない。
ほとんどソロの今ナイトなのは、全ての敵の攻撃が初見だからだ。知らない攻撃は怖い。
光の戦士がそんなことを考えていると、西方向から凄い勢いで近づいてくる存在を感知した。
数は1。しかし――光の戦士の勘が警鐘を鳴らしている。
「おい色男! 今すぐ逃げるぞ!」
ガガーランが、2匹の馬を連れて光の戦士に向かって走っている。顔色は悪く、右手には大槌が握られており既に戦闘態勢に入っている。
「もう遅い」
耳をつんざく咆哮。
「――ギガント・バジリスクだ」
ガガーランはそう呟くと、光の戦士を守る様に前へ出て大槌を正眼に構える。馬たちは、既に逃げ出してしまったようだ。
難度83、レベル28の超巨大モンスター、ギガント・バジリスク。
前衛職の天敵と恐れられるソレが、2人の冒険者の眼前に迫っていた。
「ルガディン」
エオルゼアにおける一般的な人間種族のひとつ、古ルガディン語で"雨の人"を指す。
男女ともに大柄で筋骨たくましい、がっしりとした体格。
「謎多し可憐なる戦士」
自称。
「エオルゼア世界のレベル概念」
原作と違い、個体によって完全に異り強くなればもちろん上がる。光の戦士が目視できるのはレベル100までで、それ以上はわからない。
光の戦士の味方でレベル100だったのは、自身を除くとエスティニアン、ヒエン、ラウバーン、ゴウセツだけだった。
「インターヴィーン」
ナイトのアビリティ。FF14はウェポンスキルという共通クールダウンスキルを順番に使用して戦うが、アビリティは独立したクールダウンを持つ。
対象1体に急接近して盾で殴り物理攻撃。指定範囲は自分から20m以内。