《急成長》スキルから始まる異世界人の《技能樹(スキルツリー)》が何かおかしいんじゃが!? 作:天都ダム∈(・ω・)∋
ついに七〇階層攻略が本格的に動き出し、【ランペット宝樹迷宮都市】は上も下も大忙しだった。
まず、各最上位クランの精鋭を《
その過程を円滑にする際に必要な消耗品の類をかき集める為、その下位層の素材の需要が跳ね上がる。そうして五〇層代を漁る為の装備を整える為に、四〇層代の素材が必要になり、その需要を見込んで四〇層代の攻略をする為に、三〇層代の素材が……と、どんどんこの流れが連鎖していく。
つまり必然的に迷宮全体の攻略が活発になる為、当然集められた素材を加工する各
他の探索者が倒してくれた《
そんな状況なものだから、そのイレギュラーは起こるべくして起こった、と言えるかもしれない。
探索者ギルドの仕事の一つに、探索者が持ち帰った戦利品の検分がある。
もちろん、基本的にそれらは見つけた探索者のものだが、ツテがなければ素材の売却先を斡旋したり、需要があるので市価よりも高値で買い取りますよ、といったサービスが行われたりするわけだ。
最大の理由は、都市内に何がどれだけ流通しているかを把握する為であるが、時に都市内に持ち込みが禁止されているもの、探索階層からすると入手経路が不透明なものが見つかったりすることもある。それらは事情を確認した上でギルドが買い上げるなり、処分するなり、適切な処置が行われる。
そんな中で…。
普段は三〇階層……中堅に位置する探索者の戦利品を検分する担当官が、その日はあまりに忙しすぎて、上層担当の検分に駆り出された。
結果、下から上へ、下から上へと担当がスライドし、普段は一〇階層を担当している若手が、三〇階層の《
「
「ああ、事前に情報があったから雷石を投げまくってなんとかなったけどな」
パーティのリーダーである青年が並べたアイテムの数々は、今まさに高い需要を有する品ばかりだ。攻略需要を見事に乗りこなす、見事な手腕だった。
「お疲れさまでした。ええと成果物は……《ヒナセル草》に《エクスピリア鉱石》、こちらは……?」
担当官が拾い上げたのは、手のひら大の、三日月型をした、銀色の鉱石だ。触れると仄かに暖かく、強い魔力の脈動を感じる。
ああ、と中堅探索者は得意げに頷いた。
「
「なるほど! 了解です、ではこちらにサインを」
討伐素材【女王蟻の鋼殻】、
探索者当人も、担当官の女性も、ただ成果を喜んでいるだけだった。
……もし本来の担当がこの場に居合わせたなら、その可能性に思い至り、未然に“それ”を防げたかもしれない。
その日、中堅探索者のパーティは盛大に宴を開いた。売れるものは売り払い、使うものは仕分け、迷宮探索の成功を大いに祝い、夜が深まれば皆が酔いつぶれ、良い夢を見た。
故に気づかなかった。拾い集めてきた素材の一つが、蟻の甲殻ではなく、女王が死の間際に、自らの残るすべての力を託して産み落とした、卵であったことも。
それが今まさに内側から殻を食い破り、生まれ落ちたことも。
手のひらサイズの幼体は、すでに聡かった。生まれ持った牙で眠る人間の首をくいちぎることは容易いが、それをすれば己の存在が知られ、討伐されるであろうことを理解していた。
幼体は地面に穴を掘った。金属製の牙であればその作業は容易く、あっという間にもぐりこんで、見えなくなった。
地中を掘り進み、幼体は征く。まずは栄養が必要だ。体を育て、力を蓄え、子供を生み出し、自らの兵を作り出すのだ。
しかし幼体は、この旅立ちが仮初のものであることを、知っている。
故に、幼体はいずれ、迷宮へと帰ってくる事になるだろう。
己の本能が告げる、真なる願望を成就するために。
次回新章
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