《急成長》スキルから始まる異世界人の《技能樹(スキルツリー)》が何かおかしいんじゃが!? 作:天都ダム∈(・ω・)∋
「マジで駄目かと思ったぁー!」
大の字になって寝転がるイツキを責めるものはいなかった。
ワーブの鎧はボロボロで、外側から強く圧迫されたことで全身アザだらけになっているし、ティックの傷は深く、オルレアが治療を施しても完全回復とはいかなかった。しばらくは安静にすることが必要だが……“
それでも、あれだけの
「……しかし、どっから湧いてでてきたんだこいつら」
ぼやくように言うイツキに、アンゼリセはうーむ、と首をひねった。
「これだけの数が居るということは、恐らく女王が居たんじゃろう。何故ランペットに向かってきたのかはわからんが……」
もっとも、迷宮内ではここまでの量を産むことはないが……。
「あれ、倒した蟻の中に女王って居たっけ?」
「さあ……あれだけ数がいたら、細かい大きさとかわからないですし、倒しちゃったんじゃないですかぁ?」
イツキの疑問に、ワーブが言った。
楽観的に考えればそうかも知れない。最初発見した時は遠目で個体の大きさの判別など出来なかったし、接敵してからはもみくちゃだったから何を相手にしているかもわからなかった。
「いや、女王の体躯は一〇メートルを超えるはずじゃ。見間違える事は――――」
アンゼリセが小さく呟いたその時。
「な――――――」
「アニキ!」
大量の土砂が舞い上がり、現れた“それ”は眼の前に居たティックとワーブを突き飛ばした。
『ギイイイイイイイイイイイイイイイイイ!』
そして、その奥にいる標的――アンゼリセの首めがけて、鋭く研がれた大顎を閉じた。
◆
あらゆる迷宮から生じた魔物には、一つの本能がある。
暗い暗い“
自由を手に入れ、再び大地を蹂躙すること。
しかしその願望を叶えられる魔物は稀だ。外に出るには迷宮の中が魔物で溢れ返らねばならず、既に人が攻略対象と定めた迷宮ではあっという間に間引かれてしまう。
仮に何らかの拍子で外に出られる魔物がいたとしても、結局は野たれ死んでしまう。
迷宮から生まれ落ちた魔物は、その迷宮固有の魔力を糧にしなければ、永く生命を保てないからだ。
自由を手に入れるには、迷宮を成立させている
憎き創造神が創り出した、自分たちを封じ込める牢獄の守り人。
即ち――――《迷宮の神》を殺さなくては。
だから、
群れを前進させながら、己は地中を掘り進み、確実に《迷宮の神》を殺せる機会を。
本来ならば群れを人間の巣に送り込み、生じた混乱の隙を突いて、一匹ずつ、屠っていくつもりだった。
群れが全滅させられることも想定外ならば、こんな人間の巣の入口に、《迷宮の神》が居ることも想定外だった。
これらの判断は、明確な知性を以て行われたわけでは――――ない。
魔物に自我はない。魔物にあるのは本能のみ。
ただ、《
最悪をもたらす結末を、そこに至るまでの最適解を導き出す能力が、数段高かった。
《
後にこの個体はこう語られる。都市を襲った鋼の災厄……