《急成長》スキルから始まる異世界人の《技能樹(スキルツリー)》が何かおかしいんじゃが!? 作:天都ダム∈(・ω・)∋
「痛っ、てええええええええええええええええ!」
“
先ほどまで戦っていた
「イ、ツキ――――!」
アンゼリセが二の句を告ぐ前に、“
間違いなく、アンゼリセを狙っている。その間にあるすべてのものは単なる障害物でしかなく、興味を示さない。
「っ、だああああああああああっ!」
『ギイイイイイイイイイイイ!』
どうやら配下とは違って、“
バチバチバチ、とイツキが右腕から解き放った電気を嫌がり、悲鳴を上げて顎を開き、拘束を解く。
「っぐぁ――――!」
反射的に腕を抑えるイツキだったが、“
尻餅をついたまま、まだ立ち上がれていないアンゼリセに、逃げる余地などない。
「――――【
割り込んだのは、オルレアの一声。
あらゆる儀式を省略し、発動した【
オルレアが望み、最近になってようやく芽生えた《守護》スキルの真骨頂。
信仰厚き者にしか与えられぬ、あらゆる災いから身を守る防御魔法。
『ギィイイイイイイイイイイイイイイイイ!』
本来であれば三〇層の《階層の主》であった“
「お"っ――――――」
喉の奥から、濁った声が零れ出た。思考を司る脳の部分がチカチカと明滅して、ぐるりと視界が回って、衝撃が全身の神経を伝い、鼻からぼたり、と赤い雫が落ちた。
障壁の強度は――扱う者の祈りの強さと、精神力に比例する。
(まだ、まだ、まだ…………!)
飛びかけた思考を、無理やり引き戻す。
手を組む、祈りの言葉を唱える。
「『星の果て、祈りの先、奇跡の一片』――――」
時間を稼いだ所で、何の意味もないかも知れない。
『ギシャアアアアアアアアアアアア!』
「あ"……ぐっ、ゔ――――」
再び“
それは、オルレアの
途絶えかけた意識の中、オルレアの視線は、自然とイツキへ向いた。
右手を噛み砕かれながらも、左手は腰の刀の柄を握り、歯を食いしばって……まだ、戦おうと足掻いている。
酷い傷だ、治してあげたい――ああ、でも、この祈りを中断するわけには。
(――オルレア)
ふと、頭の中で、泡が浮かぶように、過去の記憶が蘇ってくる。
(呪われた子、忌まわしい子。穢らわしくも
(お前は、祈ることを止めてはいけないよ)
(生涯をかけて、自分を犠牲にして、人を助け続けなければならないよ)
(せめてそれぐらいのことをしなければ――――お前が生まれた罪は
わかっています、知っています、だから、こうして祈っています。
ああ、でも。
あんなに痛そうに、あんなに辛そうにしているのだから。
……良いのでは? だって、もう次は耐えられない、心が壊れてしまう。
せめて、あの苦痛だけでも、取り除いてあげられたら……
だって疲れてしまった、もう、休んでしまいたい。
最後に人を助けて、
“
「――――――うわあああああああああああああああああっ!」
生身のワーブが横から“
『ギィイイイイイイイイ!』
「オルレアさんっ! 大丈夫ですかぁっ!」
「っ!」
その衝撃と声で、オルレアは我に返った。
亀裂の入った心を、かろうじて繋ぎ止めて、正しく
ワーブが“
埒が明かないと判断したのか、“
「ぐ、ううううううう!」
それでも。
それでも、なお怯まない。止まらない。進ませない。
「私の、後ろに、いる人たちをぉ!」
喰い込む牙を必死に抑え込みながら、小さな巨人は咆哮した。
「ぜったいにぃ! 守るんだぁっ!」
じりじりと、“
ワーブは牙を引き抜こうとしているのではなく、動かさないように、牙が抜けないように、抑え込んで……
「オル、レア」
イツキが、オルレアの名を呼んだ。
「――――頼む、右腕、治してくれ……!」
「っ」
「俺が、なんとかするから――――諦めるな…………!」
己に残された魔力はわずか。思考は未だゆらぎ、傷つけられた
けれど、オルレアは再び、祈りの形に手を組んだ。
一言一言ゆっくりと、言葉を紡ぎ、唱えた。
「『夜の涙、星の雫、月の光の粒を一滴』」
非効率で、扱いづらく、流行とは真逆の道を征くシスター。
それが、オルレア・リーンケージに与えられた、世間からの評価。
「『慈悲を受け止める手のひらはここに』」
けれど、一度時間を確保して……その祈りが届いたならば。
「――――【
……穿たれた肉を、断ち切られた腱を、砕かれた骨を。
その場で回復できるほどの……治癒力を誇る。