《急成長》スキルから始まる異世界人の《技能樹(スキルツリー)》が何かおかしいんじゃが!?   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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“鋼の災禍” Ⅸ

 

「ティイイイイイイイイイイイイイック!」

 

 右腕が癒え、かろうじて動かせる様になったイツキが、名を呼びながら咆哮し――左手で構えていた刀を、思い切りぶん投げた。

 

「…………本当にお前は! 人使いが!」

 

 傷を負っても、イツキは刀の柄に触れ続けていた。

 それは即ち、己以外を扱う不届きな所有者を縛る呪い、《業炎剣カルマイド》の【炎熱付与】によって熱され続けていた、という意味であり。

 

 《不壊(アンブレイカブル)》の特性を付与された刀は、その熱を全て受け止め続けていた。

 空気すら焼くほどに赤熱した刃を、飛び出したティックが掴んだ。

 柄を握ってすら、じゅう、と皮膚が焼ける音がする。

 

 ティックは刀を使うためのスキルなど持っていないが……元より磨き上げられた刃だ。

 ()()()()()()()()()()()()、事足りる。

 

「――――荒いな!」

 

 “鋼禍(カーリサー)”は他の鋼鉄蟻とは違うその巨体故に、甲殻と甲殻に大きな隙間がある。

 無論、その間を埋める薄い膜ですら、金属の硬度に守られているが。

 無尽蔵に赤熱した刃は、その甲殻を熱し、溶かし、ずぶりと皮膚まで入り込む。

 

『キイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!』

 

 さすがの“鋼禍(カーリサー)”も苦痛を感じたのだろう、顎を開いて絶叫し、身悶える。

 

「ワーブ!」

「っ、伸びろ、魔鎖(グレイプニル)ぅっ!」

 

 取っ組み合いから開放されたワーブは、名前を呼ばれただけで、すぐさま意図を把握し、魔鎖(グレイプニル)を伸ばした。

 ティックの足を絡め取り、引っ張って、空中に投げ出す。

 

「これで終わりだぜ蟻のバケモン!」

 

 仲間が無事に範囲からでたことを確認したイツキは――――。

 癒やされた右腕を、高らかに伸ばし。

 最後の力を込めて、振り下ろした。

 

「――――――鉄は電気を、良く通すんだぜぇええええっ!」

 

 【雷槌】。

 天から伸びる、光の一閃。

 雷槌が、ティックが突き刺した刀目掛けて落ちる。

 

『ガッ、ギッ――――――』

 

不壊(アンブレイカブル)》によって壊れず、曲がらず、そして熱を与え続けたそれは、主の雷を刀身で受け止め、エネルギーを内部から伝播させていく。

 

 

 

 

 

 

『ギ、ギイイイイイイイイイイイイイ! ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!』

 

 

 

 

 

 

 外と中、二箇所から浴びせられた電撃。

 外殻全体に伝うエネルギーが、何度も体内で循環し続ける。

 なまじ、種として強くなりすぎた――――皮膚、血管、臓器、細胞。あらゆる身体部位が金属の性質を持つが為に。

 

 その連鎖反応は――いかな“鋼禍(カーリサー)”といえど、耐えられるものではなかった。

 巨体がぐらりと傾いて、どしゃ、と崩れ落ちた。

 

 中の肉まで焼かれたのだろう、焦げ臭さが漂い……それは今度こそ、戦いが終結したことを意味していた。

 

「へっ、ざまあみやがれ」

 

 その場にペタン、と尻餅をついたイツキは、“鋼禍(カーリサー)”の骸に向けて、べ、と舌を出して言った。

 

 

 

「――――今夜はこいつで、焼肉食べ放題だな!」

 

「嫌じゃ!」

「嫌です!」

「嫌だよ!」

「やったあ!」

 

 四人が同時に叫んで、そのうち一人だけが、あれ? と首を傾げた。

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