では1話どうぞ
とある日の夜、少年と少女が必死の形相で道を爆走していた。
少年の名は高倉健、通称オカルン。少女の名は綾瀬桃といった。
では何故この2人はこの時間帯に爆走しているのか。理由はただ一つ。
とんでもなくでっけぇカニに追い掛け回されているためである。念のため言うが聞き間違いではなく本当にでっけぇカニに追い掛け回されている。
当たり前だが普通のカニではない。背中に数多の女性の顔をつけ、身の丈が一軒家ぐらいあるカニの化け物である。
どうして2人はカニの化け物に追われることとなったのか。話は2日前にさかのぼる。
元々、この2人に接点などなかった。だが同級生からいじめられているオカルンを庇う形で2人は面識を持ちひょんなことから幽霊と宇宙人の存在しているかについて口喧嘩をするに至った。
そしてそのひょんなことが後にこの2人の運命を大きく変えることになる。
幽霊の存在を信じていないオカルンは桃の提案で絶対出ると噂のトンネル。逆に宇宙人の存在を信じていない桃はオカルンの提案でUFOの聖地ともいわれている奈木病院という場所に足を運んだ。
お互い信じていないながらもその場のおどろおどろしい雰囲気にビビってしまいややへっぴり腰で奥へと進んでいると奴らはいた。
オカルンの前に現れたのは何やら古めかしい恰好をし、明らかに人ではない異様な者。桃の話によると名をターボババアと呼ぶらしい。
一方で桃の前に現れたのはまるでコピー&ペーストしたかのように指の先など細部に至るまで外見的特徴が一致している3人の男たちであった。だが彼らも人間ではないらしく自らを惑星セルポから来たセルポ星人と名乗っていた。
そしてオカルンはターボババアに呪われ、桃はセルポ星人に誘拐されあやうく繁殖のための研究材料にされるところだった。
だが桃がやられる直前にオカルンがなぜかスマホから出てきて桃と合流、さらには桃が超能力者に覚醒しセルポ星人を撃退することに成功した。
宇宙人の方は撃退に成功し一件落着だがオカルンの方はまだ解決には至っていなかった。なんとオカルンのイチモツがターボババアに奪われてしまいまだ解呪できていないのである。オカルンのイチモツを返してほしくばあのトンネルに来いとだけ言いターボババアは姿を消した。
今まで信じていなかった存在に遭遇するだけでなくあまつさえ呪われたり誘拐されたりとんでもなく忙しい体験をしたオカルンと桃だったがこの2人にひと息つく暇などなかった。
一旦、桃の家へと行くことになった2人だがそこではターボババアに呪われたオカルンのために家の周りにある結界用のお札をはがしてしまったことが災いしオカルンの性器を狙う宇宙人、フラッドウッズモンスターに襲われた。
何とかフラッドウッズモンスターに対抗しようと模索した結果、この戦いで桃の協力が不可欠な状態だがターボババアの力を少しコントロールできるようになった。そして最後は桃の見事な作戦でフラッドウッズモンスターを倒すことが出来た。
ちなみに何故、ターボババアの力をコントロールするのに桃の力が不可欠かというと桃の超能力は人や物に宿る
戦いが終わり夜が明け桃の祖母であり霊媒師をやっている星子が帰宅。危うくオカルンがターボババアごと祓われかけたが事なきを得て祖母からターボババアの詳細を教えてくれた。
ターボババアはその昔、『100キロババア』と呼ばれ全国各地で暴れ回っている近代妖怪らしい。だがそんな神出鬼没の妖怪が最近になりあのトンネルに長いこと居座っているらしい。
しかもそのトンネルにいたのはターボババアだけではなかった。驚くべきことに地縛霊もそこにいたのだ。
地縛霊は自分の
そんな地縛霊がターボババアと共にあのトンネルで長い間、共にいた。それがどういうことを示しているのか祖母は衝撃的な言葉を放った。
なんとターボババアと地縛霊が合体しているというではないか。
100キロを誇る神出鬼没の妖怪と自身の
桃にこの件から手を引きオカルンのことは忘れて日常に戻るよう忠告する星子だが桃のオカルンを助けたいという意志は固かった。
桃の覚悟を見た星子は次にターボババアとの戦い方について教えてくれた。
その戦い方というのはターボババアに鬼ごっこを仕掛けること。脚に絶対的な自信を持っていることを利用して挑発し、死ぬ気で逃げて地縛霊のテリトリーである正能市からターボババアを市外へと誘い出す。
テリトリーから引き離されてターボババアは弱体化するためそこを2人で叩くという戦法である。
だが鬼ごっこの最中で捕まってしまってはマズイので星子は2人に修行をつけることにした。
オカルンは今は2回しか使えないが呪い状態で力を最大限発揮できる”本気”を常時出せるよう生身の体を鍛えること。桃は超能力発現時の”無敵感”に近づくために今以上にレベルアップさせる必要がある。
星子の指示通り修行をし、より力をつけた上でターボババアを倒してオカルンの呪いを解こうと意気込む2人だが翌日、予想外の出来事が起こった。
ターボババアが影となり桃の目の前に現れたのだ。
どうやらターボババアは自身が呪った者つまりオカルンを媒介としてオカルンが見た人間を遠くからでも呪い殺すことができるらしい。
そのことを利用してオカルンを使いそこら中の人間全てを呪い殺されたくなければ今夜、あのトンネルに来いと脅してきた。そのため2人は修行をする暇もなくターボババアと再戦することとなった。
そして2人は再びあのトンネルへと足を運びターボババアと邂逅。早くも全滅の危機に瀕したがオカルンの機転と桃の能力のおかげでなんとかターボババアを捕らえることに成功した。
だがまだ戦いは終わってはいなかった。
ターボババアを取り返そうと今まで大人しかった地縛霊が襲ってきたのだ。
そして長くなったがここまでが桃とオカルンがカニの化け物もとい地縛霊に追われることとなった経緯である。
桃・オカルン「カニいいいいい!」
絶叫しながら夜道を爆走する2人。後ろからはカニの姿をした地縛霊が四方八方を破壊しながら迫ってくる。
ちなみに地縛霊がカニの姿をしている理由として考えられるのは死んだ人は三途の川を渡る際、沢蟹の姿になるためだそうだ。
桃「オカルン!変身するよ!」
オカルン「綾瀬さん!早く!」
オカルンの中にある青い
桃「難しいんだって!前と違ってターボババア本体が入ってんだから!」
迫り来る地縛霊の攻撃。だが桃はすんでのところで超能力ではなく自身の生身の手で直接、ターボババアを掴むことでなんとかオカルンを変身させることに成功し、オカルンが桃を背負い高速で移動することで地縛霊の攻撃から逃れることができた。
オカルン 「モモちゃん。ヤバいぜ。」
桃「おい!気安く下の名前で呼ぶな!」
オカルン 「クソが!モモちゃんが重くてカーブ曲がりきれねえ。」
桃「うそでしょ!」
曲がり切れずカードレールに衝突し、そのまま空中へと放り出された2人。しかしオカルンが1回目の”本気”を使い足をプロペラのように動かしてなんとか着地時の衝撃を和らげることに成功した。
桃「オカルン、大丈夫!?」
オカルン 「萎えるぜ・・・。」
桃「下敷きになってくれたの!?ごめん助かった!」
オカルン 「でも”本気”1回使っちまったぜ。」
桃「そっか!全力出せるの2回だっけ!でもショートカットできたおかげであいつとの距離ひらいたんじゃない?」
そう言った矢先、空から地縛霊が降ってきた。
桃「キタアアアア!」
再び桃を背負い爆走するオカルン。しかしこのままオカルンの体力も底をつきそうな上に距離的にもう一度”本気”を使ったとて正能市を越えられないためこのままではジリ貧であると判断した桃は近くの建物を見てある作戦を実行することにした。
近くにある『健康ランド』と呼ばれる複合施設へと入り2階へと登った先にある銭湯へとカニの地縛霊を誘き出し熱湯を浴びせた。すると普通のカニ同様、茹でると筋繊維が硬くなり動きが鈍くなった。
オカルン「うほおお!止まった!止まりましたよ!」
普通の状態に戻り地縛霊の動きが止まったことを喜ぶオカルン。対して桃はボイルされ赤くなったカニの地縛霊を見てヨダレを垂らしていた。
オカルンはこんな状況でも意外と呑気な桃を連れて脱出し、まっすぐ行けば正能市を出られるという道までやってきていた。
しかしそこで2人は先ほどまでと違う雰囲気を感じた。
桃「何かさっきより人少なくない?」
オカルン「確かに・・・」
辺りを見渡しても先ほどまで沢山いた人が全く見当たらないのだ。まだ深夜でもないこの時間帯でここまで人気が少ないとなると違和感を感じざる得ない2人。
桃「何あれ?」
桃が何かを見つけたのか横道を見ると1人の男がこちらに向かって走ってきていた。
それだけなら何か急ぎの用事がある人なのかなと思うところではあるが様子がおかしかった。
最初は走ってくる人が1人だけでだったがどんどん増えていき何十という数の人がこちらに向かって走ってきている。しかもよく見ると走ってくる人間の顔に生気はなく皆、眼球が消えひび割れた顔面をしていた。
桃・オカルン「ヤバイヤバヤバヤバイ!!!」
明らかに普通ではない光景に逃げ出す2人。それを見たターボババアが叫ぶ。
ターボババア「バカが!そう簡単に逃がすかよ!正能市の境にはデケエ墓地があるんだぜ!そこに眠ってる霊達にちょいと力を借りたのさ!」
どうやら墓に眠る霊をそこら中の人間に取り憑かせているようだった。そんなこともできるとは想像もしていなかった2人はスピードを上げるがなんと目の前からは取り憑かれた人間に加え、カニの地縛霊まで迫ってきていた。
ターボババア「正能市からは出さねえぜえ。」
迫り来る群衆。桃は意を決してオカルンに言った。
桃「オカルン!本気出して!」
その言葉に驚くオカルン。
オカルン「え、いいんですか!?ここで使っても隣の市には届きませんよ!」
桃「使わなかったらここで死ぬ!ウチを信じて!」
オカルン 「あ〜鬱だ。」
ターボババア「終わりだ!もっかい”本気”使ったらこのガキは動けなくなるぜえ!」
オカルンの背に乗り叫ぶ。
桃「やって!!」
その合図と共に走り出すオカルン。迫り来る取り憑かれた人間たちの間を掻き分けカニの地縛霊の攻撃を避けながら爆走する。
だが走っている途中で限界が来たのかオカルンの変身が解けてしまい2人は地面へと倒れ込んでいた。
オカルン「もう無理っす!限界です!」
桃「ヤバ過ぎ!内臓出るかと思った!」
オカルン「か、体がちぎれそうです!」
桃「オカルン立って!あと少しだから・・・!」
なんとか立ちあがろうとする桃だがここであることに気づいた。
桃「あ!ターボババアが!やばい!放しちゃった!」
オカルン「え・・・?」
瞬間、普段の姿に戻ったターボババアの蹴りがオカルンを吹き飛ばす。桃も蹴られそうになったがなんとか超能力で防御。しかし威力を殺し切ることができず吹き飛ばされた。
ターボババア「許せねえなあ。ズルばっかりしくさりおってよお。何が気にいらねえってよお・・・」
「年上に対するリスペクトが無え。」
こちらを睨みつけるターボババア。その後ろにはパッと見ても数十人はいるであろう霊に取り憑かれた人間たちとカニの地縛霊がいた。
桃「ッ・・・!」
オカルンはさっきの蹴りで気絶し、動けなくなっているこの絶体絶命の状況。もはや諦めるしかないのかと思われたその時、誰かが2人の目の前に立っていた。
???「やめろ!何をしてるんだお前たち!」
桃「!?」
現れたのは自分たちと同年代くらいの青少年。髪は黒く筋肉質で薄紫色の道着に赤い帯を身に付けていた。
ターボババア「おめえ誰だ?」
突然、登場した少年に対し、ドスの効いた声で問いかけるターボババア。
だが当の本人は後ろで倒れている2人を気にかけておりターボババアの話を全く聞いていなかった。
???「大丈夫!?」
ターボババアの言葉を無視し、こちらの安否を確認するためか話しかけてくる少年。普段ならありがたいことこの上ないが今はそんな状況ではないと桃は少年に向かって叫んだ。
桃「私たちのことはいいから後ろ!」
ターボババア「全く最近の若者はどいつもこいつも年上に対する礼儀がなってねえぜ!クソだらあ!」
ターボババアが少年との距離を一気に詰め、蹴りを放ってくる。
ターボババア「死ねや!」
そしてターボババアの蹴りは少年に直撃・・・していなかった。
なんと謎の少年はターボババアの拘束の蹴りを後ろを向いた状態で避けたのだ。しかも避けただけではない。まさかのカウンターでターボババアに蹴りをぶち当てたのだ。
ターボババア「!?」
自身の攻撃が簡単に避けられ、あまつさえ蹴りを入れられた事実にターボババアは驚愕する。
ターボババア「ワシの蹴りを避けた上で蹴り返してくるとはおめえ何者だ?」
???「お前に教える義理はない。」
ターボババア「チッ!生意気言ってんじゃねえぜ!」
このままやっても埒があかないと思ったのかそう言うとターボババアは地縛霊と合体した。
桃「うわ!何あれ!」
???「カニとお婆ちゃんが合体した・・・?」
ターボババアの変貌に驚く一同。
ターボババア「ぶっ殺してやらあ!」
桃「!?」
少年も驚きながら構えるがそこで桃があることに気付き、少年に向かって叫んだ。
桃「そこの君!あの列車にそいつ乗せて!」
桃は後ろの高架線を走る電車を指差した。
???「わかった!」
少年に桃の意図は通じてなどいない。しかし少年は直感で桃を信じることにした。
ターボババア「何をごちゃごちゃ言ってんだ!」
カニの巨大なハサミが少年を襲う。だがそれを少年は避けて体の下へと潜り込み思いっきりカニの腹を蹴り上げた。
ターボババア「グギャアッ!」
少年の蹴りに空へと飛んでいくターボババア。
そして少年は飛んでいくターボババアとの距離を一瞬で詰めそのままカニの腕を掴み電車へと叩きつけた。
少年がターボババアを乗せる前にオカルンを連れてあらかじめ乗っていた桃は少年に再度、指示を出す。
桃「そのハサミ離さないで!絶対ここで倒す!」
ターボババア「ワシを電車なんかに乗せて何するつもりだクソガキども!!」
叫ぶターボババアに桃は言った。
桃「てめえは乗っちまったんだぜ。負けのレールによお!」
遠くで腕を組みながら電車を待ち構えている人物を見た。頭の上の方で髪を結いタバコを吸っている雰囲気から只者ではないと感じる女性。そう星子である。
星子「うい~。ようこそ神越市へ。」
そこでターボババアもようやく桃の作戦に気付いた。自分を電車に乗せそのまま正能市を抜け、桃たちの本拠地である神越市へと自分を引き摺り込むつもりなのだと。
ターボババア「クソブタドグサレ野郎がああ!その手を離しやがれえ!」
暴れるターボババア。しかし少年はハサミを掴む手を緩めなかった。
ターボババア「さっきの蹴りといいなんちゅう力してんだ!このガキはよお!」
少年の細身な身体からは想像もできないほど強い力に驚くターボババア。
そんなターボババアに桃は最後の言葉をかけた。
桃「パイセンめっちゃ速かったっすよ。ウチらもそこの男の力がなかったら死んでたかもしれねえ。だてに長生きしてねえなって感じで誰もパイセンには勝てねえっすよ。でも・・・」
「この勝負はウチらの勝ちだ。」
ターボババア「ファァァックゥゥゥゥゥ!」
その言葉を最後にカニの地縛霊とターボババアの体は崩壊した。そしてカニの地縛霊の背中についていた少女も姿を消した。
こうして桃とオカルンそして謎の少年によってターボババアとの戦いは幕を下ろすこととなった。
そして時は過ぎ翌日、桃とオカルンはいつも通り学校へ登校していた。
授業前、オカルンは昨日のことについて考えていた。
ターボババアとの決着。桃とのこれからの接し方。そして自分たちを助けてくれたという謎の少年。
オカルン「綾瀬さんが言ってた男。名前も告げずに去ってったらしいけど一体どんな人なんだろう?」
色んなことを考えていると入ってきた担任の先生が連絡があると告げた。
先生「突然ですが転校生を紹介します。」
いきなりの転校生にざわつく生徒たち。先生の入ってきてという言葉とともにクラスのドアが開かれて転校生が入ってきた。
オカルン「・・・!?」
他のみんなが転校生の性別や容姿などで騒ぐ中、オカルンは全く違う理由で驚いていた。
一致しているのだ。昨日、桃から教えてもらった謎の少年の特徴と。
意外とある身長。ちょんと出てる前髪。前髪とは別に全体的に逆立った髪。そして何より彼の一挙手一投足から滲み出ている純粋さ。
本来、断定するにはあまりにも早計であるがオカルンはなぜか確信をもっていた。
彼だ。彼が僕たちを助けてくれた男だ。
そしてその彼が黒板に自分の名前を書いた。
???「僕の名前は悟飯。孫悟飯です!」
桃とオカルンと悟飯。果たしてこの3人に何が待ち受けているのだろうか。
よくよく考えたらカニとはいえ霊なのに茹でることができるってなんなんですかね?