ナザリックレ○プ!至高の"元"御方と化した先輩!   作:ニコラス―NICORUTH―

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 せっかくペルソナ使うんだから、深掘りせんと。
あ、あとデジモンやっぱ面白いっす。
ストーリーが結構ペルソナなかんじがしました。(小並感)
我は汝、汝は我、って感じで。
ちなみに女主人公の中の人はハム子( P3P女主人公 )の人らしいッスね。だからなんだよって話ですが。


ペ ル ホ モ

 

「 なにやってんだ、お前? 」

 

 オレの目の前にいる黒い衣装の男女、正確には男性の方に、そう尋ねてみる。

 

 

「 見ての通り、ダンスに洒落込んでいる。最愛の人と一緒にな。 」

 

「 こんなところであんなことしておいてよくいうぞ。 」

 

今あったことを話すぜ。昨日捕らえた捕虜の様子を見に牢獄の一室に来たみたら、そいつが死んでいた上、行方知れずだったうちのギルマスが女連れでダンスしてた。

本当にキレのある動きで、彼女らしき女性もノリノリで踊っている。

のはいいんだが、こいつ今の今まで何処行ってたんだ?

こちとら結構大変なことになってたってのに。

 

「 お前の心中推し量れるぞ。オレが何処で何をしていたのか気になるのだろう? 」

 

 やはりというべきかギルマスこと、ルルは察しがついているらしく、オレにそう問いかけた。

 

「 そうだ。お前何してたんだよ?タドコロがみんなで集まろうっていってお前がバックレたからオレだけで行ったんだぞ。 」

 

「 そのことと今のオレの現状を教えておきたくてここに来た。酒、あるか? 」

 

「 飲めるの知ってんのかよ。 」

 

「 ある程度、傍受させてもらったからな。

・・・彼女に何をしていたのかも知っている。 」

 

 ギルマスは鎖に繋がれて事切れていたダークエルフに瞳を向ける。

こうして見ると確かに死んでいる。もはやうんともすんともいう気配はない。

口から血を流している。弟の末路を教えてやった後につけたギャグが外されている。

ルルは蘇生魔法を覚えているが、それをしないということは、そういうことだろう。

彼女の生命は、永遠に喪われた。

拠点NPCは金貨消費で蘇生させることができるが、それをする意味も薄い。

 

 

「 口枷を外した瞬間、お前たちへの呪詛を吐きながら舌を噛んで自害した。弟を奪ったお前たちを永遠に呪う、とな。

酷い震えようだったぞ。 」

 

「 そうか・・・オレは失敗したのか。 」

 

「 失敗? 」

 

「 ・・・先ずはそこから話してやる。 」

 

 オレは、昨日の転移後のことから、今に至るまでのことを話した。

シモキタザワで過ごしていたこと、現地人がアウラに追われていたこと、プレイヤーにしてはデザインに統一性のある弟の存在からかつてタドコロから聞かされたぶくぶく茶釜のNPCだと気づいたこと、そして彼女を陵辱し、殺すには惜しいとして保護したことも。

ルルの表情には意外なことに怒りやらなんやらの感情を感じることはなく、オレの話を聞いていた。

隣りにいたメガネの女も、同様だった。

 

「 エラく冷静だな。 」

 

「 相手が相手である以上は、な。 」

 

 

「 そうか。それでオレは、これから拷問と調教を施して、彼女を獣から人間にしてやろうと思っていたんだ。

それで、これまでの行いを贖わせようとした。 」

 

「 お前なりの、更生というわけか。 」

 

「 お前は認めることはないだろうが、あの娘はそうせざるを得ない、ナザリックの悪魔の手先らしい感性をしていた。

いってしまえば、人の皮を被った獣、人面獣心の忌み子だ。それに説教垂れるとあれば、身体しか友好的なweakポイントはない。 」

 

「 あんなちっちゃい子を獣や悪魔扱いかよ。 」

 

「 そうだ。曰く、彼女はそれだけのことをしてきた。多くの人命を魔獣の群れを差し向けて奪い、愉しんだ。

己の軽視したものが如何なるものかを、肉体で訴えさせる。それが彼女の人間としての成長に繋がると信じていた。 」

 

 思えば、なんとも酔狂な話だ。賢者タイムに至りかけている今だからこそ、悟れるが。

 

「 違う、間違っているぞ、あるじぇんと。 」

 

そんなオレを、ルルはこう諭すのだ。

 

「 そのやり方では、彼女を矯正するのは不可能だとオレは思う。何故ならば、それは相手の恐怖心、こうすれば痛めつけられるという認識が前提になるやり方だからだ。

それでは本当の意味で成長しているとは言い難い。あのギルドのプレイヤーから、お前に支配者が代わり束縛させるだけで、それでは価値観そのものまでは矯正できんからな。 」

 

「 タクヤさんがやってたみたいに記憶を消したり、いっそ死なせてやった方がマシなわけだ。

調教中に連中が乗り込んできて、仲間を返せって暴れて対応が遅れる可能性だってあるんだし。それなら、いつでも迎え撃てる態勢を整えてる方がいいから、可哀想だけどあの子に構ってるメリットはないと思うぞ。 」

 

 隣の女性もそう言った。厳密に言うと記憶消したのはKMRさんだが、確かにそうだ。ナザリックの宝物殿を占拠した以上、あちら側は死亡した戦力を蘇生させる手段は無い。

そう考えれば、レイムたち幻想響が宝物殿からワールドアイテムを強奪して帰還した時点で、もうアウラを生かしておくメリットも無きに等しい。

オレ的にそうしたくなかったが、合理的観点からみれば、あの後に即座に彼女を殺害すべきだったのかもしれない。

 

「 あるじぇんと。 」

 

「 なんだ? 」

 

「 思うところはあるだろうが、割り切るしかない。彼女は拠点NPC。元々ギルド拠点を守る為に生み出された。作った者を妄信するようにできていて、彼らの世界は、あの大墳墓の中で完結してしまっている。

如何に苦痛を与えようが、それは変わらないだろう。

下にみている連中に痛い目に合わせられることはあっても、決して他のものを認めようとしない。

オレたちとは決定的に違うんだ。 」

 

「 アウラは・・・ 」

 

「 彼女は救うべき子どもではない。オレたちが立ち向かうべき敵だ。 」

 

「 ・・・ 」

 

「 そもそも、記憶改竄をせずに彼女を改心させたいならば、獣のように見ず、きちんとハナから人として認識すべきだったろう。

お前はその時点で間違っている。 」

 

 返す言葉がなかった。記憶を遺したまま、アウラを友好的な存在にできると思っていた、オレの認識は誤りだった。

言われてみれば、その通りだ。

こいつらは母親の胎内から生まれ出でたわけではない。

その腕に抱かれ、愛を感じたことなど勿論ない。

身内にそんなものがいるわけでもない。

あの荒廃した世界の中でも、親という存在は、最低限自分たちのことを顧みてくれるものだった。

小学校に通うにも莫大な費用が掛かるあの時代に、必死こいて働いて過労や労災で喪に服す親も、珍しくはない。

まさにウルベルトのとこがそうだった。

だからこそ、彼はあの世の中を、それを作った上位層を恨んでいたのだ。

あの娘はそうか?否、断じて否だ。

 

 元々プレイヤーに作られたゲームの一キャラクターに過ぎず、そんな風にデザインされたなにかが、そんな風に振る舞っているというだけのこいつらに、人の生命の何たるかが理解できるはずがない。

ユグドラシル金貨でいくらでも蘇れるこいつらには、そんなものがわからない方が自然なのだ。

もはやナザリックには、彼らが至高の御方々などと崇めるプレイヤーだっていないのだ。

 

「 すまない、ギルドマスター。オレは、自分のみならず、アンタの顔にまで泥を塗るところだったのか。 」

 

「 偉そうにこうしてお前に説教垂れているが、お前が頭を下げる必要はない。

オレだって、集合の誘いを突っぱねねば、お前もこうはしなかったろうし、止めに入れたろう。 」

 

 そう言うと、ギルドマスターは改めてアウラに目を向けた。

その噛み跡だらけの身体からはすでに体温が失われ始めていた。そのオッドアイにも、もう光がない。

なるほどよくできている。

 

「 これさ、考えた人、声優さんだったんでしょ。どんな人だったんだよ? 」

 

「 ・・・知りてぇのか?ぶくぶく茶釜さんのこと。 」

 

 メガネの女は、オレにそう聞いてきた。こうしてルルと一緒にいるということは、まぁそういうことなんだろう。

話してやってもいいか。どうせ戻りようのない昔のことなんだから。

しかしこんな牢屋の中でそんなことを話すのもアレだと思ったのか、ギルドマスターは気を利かせてくれた。

 

「 ・・・いつまでもこんな所にいると辛気臭くなってしまう。酒場はないか? 」

 

「 ある。〈転移門〉。 」

 

 闇の門を開き、オレたちは牢獄から出ようとした。その時だ。

 

「 そういえば、だ。 」

 

 ルルが一言なにかを言い出そうな言動を見せると、枷の外れる音がした。

そういえば、彼女のことを忘れていた。

タドコロが連れてきた女。彼女もまたナザリックの住人であり、例に溺れず異形種だ。

 

 

「 彼女も連れて行きたいが、いいな? 」

 

「 ・・・構わねぇよ、ギルドマスター。

着替えなら問題ない。魔法でその服の耐久値を回復させる。 」

 

 

 

 

 

 

「 あらいらっしゃ・・・おっ!? 」

 

 闇の門からでたオレたちの前に広がっているのは、さっきまでオレがワインを飲んでいたあのバーだった。あの上半身だけ筋肉質な男がオレたちに気づいて、やはりというべきか驚いた表情を浮かべる。

当然だろう。転移当時、我がギルドマスターも、隣の恐らく彼女はいなかったのだから、急にでてきたらそんな反応もするもんだ。

 

「 オメェ、来てたのか!?そしてそっちの女は!? 」

 

「 タクヤ、酒を用意できるか? 」

 

「 ウッス。今洗い物してるんで注ぐのは自分で頼みます。 」

 

 タクヤさんはバン!というデカい音を鳴らしながら、缶ビールとグラスをだしてくれた。あのワイングラスではなくウオッカなんかを飲むときのコップである。

 

 

「 ぶくぶく茶釜は普通の女だった。普通にゲームしてて、普通に誰かを好きになって、普通に誰かを蔑んで嫌ってた。

その嫌った誰かが、オレだった。

どういうわけかは知らないけどな。

生理的にどうとかと思ってたんだろう。あんな弟がいるくせにな。 」

 

「 あんな弟?ああ、前に聞いたな。ダメ人間でエロゲーに興じるのが趣味というあの・・・ 」

 

「 あいつも、いい加減な奴だった。別段嫌いなわけではなかったが、クランをやめるあの日は、特に苛立ったな。

オレとたっち・みー、モモンガの間に入って仲裁に入ろうとして、それでいてあちらの側に寄っている、中途半端なやり方でなにがしたいのかわからない。 」

 

 言葉にすれば、なんとも懐かしいものだ。

ペロロンチーノ。あいつのことは嫌いじゃなかったがたまにイライラしてくるんだよな。

エロゲーの話になると周りのことなど見えなくなる。

その度にぶくぶく茶釜がキレて落ち着くのだ。

ああもしっかりしているとこは好感はもてるんだがなぁ。

 

 

 

 

「 あの子へのそれは、その時の復讐ってわけか? 」

 

 

「 そうなのかもしれない。」

 

 ビールの無くなったグラスを見ながら、当時を思い返す。十年経った今でも、あの日のことはよく覚えている。

あの場の全員が、なにを思っていたかなど知りようがない。

ただ一人、あんな口を利いたぶくぶく茶釜唯一人を除いては。

 

「 どうあれ、いえるのは、あの人はオレを何処かで毛嫌っていただろうってこと。

そしてそれはクランメンバーの大半が認知していて、あの日のあの失言にだれも苦言を呈さなかったのは、みんな心の何処かで同じことを考えてたってことなんだろうこと。

声優だろうが、警官だろうが、所詮人は人なんだよな。

本当の意味での超人になんて、誰もなれはしないんだ。

でも、正直、あの時に一言欲しかった。

"ドラゴン"ごときにやっきになっていてキモい。

ああいわれた時、ユグドラシルをやめようどころか、人生まで嫌になりかけてな。 」

 

 本当、苦々しい思い出だ。あの後、本当に辛くなって、仕事もおぼつかなく成りかけていた。

あの頃に比べれば、今はなんともなくなっているが。

十年も経って、オレも大人になったんだろう。

ユグドラシルをやめきれず、ムスペルヘイムに移って、ルルや他のギルドメンバーとの出会いや、ホモの団への加入、それからのイベントの数々。良い思い出が出来たというのもある。

しかし、何処かであの時の遺恨が、まだ残っているような気がする。

それが昨夜に、表に出てきてしまった。

たかがゲームと思うかもしれない。だが、そう考えてしまうのも、ユグドラシルのDMMORPGというカテゴリーの特徴だ。

電脳法に縛られながらも、極めて高度なリアリティを有したゲーム体験を実現した。

それ故に、得たものの喪失の体験も、より現実味を帯びたものになってしまう。

それまで仲間にして、共に過ごしたドラゴンたち。

彼ら一体一体に、愛着を持っていた。

それらの多くが、喪われた。

偶然クエスト中に現れた、ワールドエネミーによって。

その間、オレを含めた3人以外のクランメンバーは何をしていたか。

他のメンバーが発注したクエストをやっていた。

先にオレが、ついてきてほしいといっていたのに。

そのメンバーというのは、なにを隠そうぶくぶく茶釜だったのだ。

ある意味、アウラの弱った姿をみた時に芽生えた加虐心は、あの日の恨みだったのかもしれない。

 

「無意識のうちに、そんな手にでたのかもな。

クランをでた時に、オレを罵った彼女。

それになんの反応を示してもくれなかった当時の仲間。

それらを未だに憎悪する自分が、心の何処かにいて、それが表にでて働いたのかもな。 」

 

「 シャドウ、か。 」

 

「 ここでペルソナの話か? 」

 

「 それの元ネタだな。人が社会に生きるにおいてそれらは仮面を被る。しかしそんな中で無意識のうちにないがしろにされた自分がいる。 」

 

「 オレの中に、もう一人のオレ? 」

 

「 そうかもな。 」

 

 ルルはコップを満たしたビールを一気に飲み干す。

 

「 良い飲みっぷりだ。 」

 

「 この世界に来てから、落ち着いて飲めた試しがなかったからな。 」

 

「 来てから? 」

 

「 かれこれ、半年ほどだな。 」

 

 半年?そうかナザリックがシモキタザワより前に転移して、ここらで悪さをしていたように、別の所にいたルルも、別のタイミングでこの世界に来たのか。

ん?おい待てよ。

 

「 ともあれあるじぇんと、もうあのようなことは控えろ。オレたちは獣じゃない。心ある生き物だ。 」

 

「 それは分かったがルル、アンタは転移してから何してたんだ? 」

 

「 革命だ。 」

 

「 革命? 」

 

 彼は転移後のことを話してくれた。なんでもエルフ王国という、エルフの国の王がとんでもない外道だったらしく、それに天誅を加えたところ、そのまま一国を統べる王になってしまったそうだ。

彼としてはあまり本意ではなかったものの、すぐ近くのスレイン法国とは、このエルフ王のやらかしのせいで敵対関係にあったらしく、その王がいなくなった以上、エルフたちのアフターケアが必要になったこともあって、ルルは現在、その国で王政を敷いているのだとか。

 なんでも今より数百年も前から、ユグドラシルのプレイヤーがこの世界に転移していたらしく、前王は500年前に真なる竜王とかいう超強いドラゴンたちを狩りまくった

「 八欲王 」とかいうプレイヤーの一人の嫡子だったらしい。

さらに法国はそこから100年前に来た「 六大神 」というプレイヤーたちの興した国で、今でも彼らの遺産が残っていたそう。

残っていたというのは、3カ月も前に、法国はナザリックの襲撃を受けて壊滅的な打撃を受けたからだ。

 

「 奴らの幹部らしき者が昨日、エルフ王国にも来た。

デミウルゴスとかいう名前だったのとこちらを見下す態度が死ぬほど気に入らなかったので、〈大罪の徹甲弾〉を喰らわせてやった。

あの橙色の一張羅は良かったがな。

ほれ、これが奴の目玉だ。 」

 

 そう言って、我がギルドマスター(マイトリックスター)が懐より取り出したるは、ダイヤモンドだった。

それも指輪に使うものよりもずっとデカいサイズの。

なるほど。奴の目は宝石になっていたのか。

そういえばタドコロがウルベルトの奴が大分凝って創ってたっていって・・・

 

「 やりますねぇ! 」

 

「 アァッ!? 」

 

 急にでてきた聞き慣れた声に、仰天していると、やはり見慣れた顔がそこにいた。

 

「 タドコロ、い、いつからいたんだ? 」

 

「 ついさっきだな。風呂入ってさっぱりしてよ、ビール!ビール!って飲みに来たらよ、お前らがいたから話を聞いてたんだよ! 」

 

 あぁそうだった。こいつ風呂上がりにはビールを飲むって習慣があるんだった。

 

「 しかしルルよぉ、来てるんだったらよ、一声かけてほしかったんだけどさ、お前どう? 」

 

「 すまないなタドコロ。こちらの私情ながら厄介事を抱えていてな、お前たちを巻き込むリスクがあるから挨拶は後回しにしていた。 」

 

「 私情・・・あっ(察し)、ふ~ん。んでもよ、こうして会えたんだらよ、飲んでって、どうぞ。

いいよな、タクヤさん? 」

 

「 ウッス! 」

 

 バァン!バァン!バァン!と、タクヤさんはビールの入った大ジョッキをテーブルにだす。

本当にその音、どうにかならないのだろうか。

そして、その場の空気に馴染めないものが一人だけいた。

ルルに手枷を外され、何故かツインテールに髪を結ばれ、酒の席に同行させられたユリだ。

 

「 お前も飲め。 」

 

「 よ、よろしいのですか? 」

 

「 構わん。それと・・・ 」

 

「 なんでしょう? 」

 

「 そのツインテール、よく似合っている。今宵よりお前は

"べっきぃ"と名乗れ。 」

 

「 は、 はぁ・・・」

 

 こうして我々は宴を催した。ひたすらに酒を飲み、頬を赤らめる。タドコロはピールしか飲まなかったが、オレはやはりワインが良かったので牢屋に行く前にも飲んでいた赤ワインでグラスを満たしていた。

 

「 ハァー上手ぇなぁ。 」

 

「 コイツ他の女とセックスしたんだ! 」

 

「 やっぱりな♂女のせいでいなかったのか。 」

 

「 そうだな。迷惑をかけてすまん。 」

 

「 大丈夫ッスよ。(人間の鑑) 」

 

「 おいあるじぇんと、お前なんか唄え。それで私を励ませぇ! 」

 

「 おおいいぜ、無限大なぁ夢のぉ後のぉ〜!

なにもない世の中じゃあ〜♪・・・ 」

 

「 よし、次はこれ使え。 」

 

「 お、"召喚器"か。こうだったかな?」

 

 パァンッ!

 

「 ベイベベイベベイベベイベ・・・ 」

 

「 ンアーッ!! 」

 

「 タドコロォ!? 」

 

 

 

 

 

 

『 お前、これで満足なのか? 』

 

「 ああ? 」

 

『 あの娘を嬲りものにして、己に屈服させる。ある意味それは、彼女に対する最高の復讐じゃあないのか? 』

 

 洗面所の鏡越しに、誰かがオレにそう語りかける。

 

「 お前、誰? 」

 

『 オレはお前だ。お前の影だ。 』

 

「 シャドウだくま。 」

 

『 ネタに走るな。真面目な話をしている。 』

 

 オレの影と名乗るオレそっくりななにかは、その金色の瞳でそらさずにオレを見つめている。

 

『 お前は未だに十年前のことを引き摺っている。アインズ・ウール・ゴウンを恨んでやまない。 』

 

「 それは自分自身よく知っている。 」

 

『 恨むからこそ、奴らの遺産にはなにをしてもいい。そんな考えがあるだろう? 』

 

「 あぁ、それは考えたことなかったわ。 」

 

『 お前があの娘を陵辱したのはそういうこと。

お前には、奴らを害する大義名分がある。

奴らはあの匹夫共の遺した汚物だ。それを叩きのめして何が悪い?踏みつけにして何が悪い?

奴らの神、至高の御方々はもういない。誰も奴らが死んだりしたところで、文句はいわない。

直接お礼参りをするのももはや叶わない。なら、奴らを奴隷や家畜のようにしてやるのが一番だ。

そうだろう?

連中だって、何の咎もない奴らを己の勘定で玩具のように扱っていたではないか。 』

 

「 ・・・ 」

 

 ペロロンのことを悪く言えんな。こんな考えがオレの中にあるとは。

 

『 なにも言わんか。そうやって目を背けるのか。これまで十年間そうしてきたように。 』

 

「 ・・・ 」

 

『 認めろ。奴らを穢し、冒涜しても良いのだと。 』

 

「 そうなんじゃない?でもよ・・・ 」

 

『 そうだな。でも・・・ 』

 

「 『 ルルはそれをやめろと言った。 』 」

 

「 オレはあいつを信じる。たとえそうでなくとも、所詮具現化したデータごときに憂さを晴らしたところで、なんにもならない。過去が変わるわけでも、あの日喪ったものが戻るわけでもない。 」

 

『 ・・・ 』

 

「 それくらいなら、この未知の世界をもっと知りたい。

真なる竜王なんてドラゴンもいるんだぞ?探検しがいがあるじゃないか。

この世はでっかい宝島なんだ。そんな大昔の怨嗟に喘いでいる場合じゃあない。 」

 

『 だがその宝島を、戻ることのない奴らの為に荒らさせるわけにもいかない。 』

 

「 ナザリックはやはり邪魔だ。即刻排除するべきだ。その考えは、オレもタドコロも同じだ。 」

 

『 許すな。ナザリックを。アインズ・ウール・ゴウンの残り滓どもを。 』

 

「 だが、叩き潰して終わりじゃない。それからも見据えないとな。 」

 

 

 オレと影、鏡合わせ。

息を揃えて、双眸見開きて今発さん。

 

 

「『 我は汝、汝は我。 』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ん、ンン・・・ 」

 

 気づいた時には、そのまま洗面台の前で眠りこけていたらしい。暗闇の中、外から月の明かりが照らす鏡には、やはりオレの顔が移るが、その目は金色ではない。

まごうことなくオレ、あるじぇんとの顔だ。

 だが、アレが空想だとは思えない。その証拠なのかどうかはわからないが、ステータスに変化があった。

巨竜化(ドラゴラム)〉や一部の超位魔法を使う為の職業レベルが消失し、新しい職業を会得していた。

 

「 ペルソナ使い・・・ 」

 

 オレもどうやら、心の鎧を呼び出せるようになってしまったらしい。

酔った拍子に召喚器を撃ったせいだな。

使用者にペルソナ使いの職業レベルを与える手段の一つともいえるマジックアイテム。もしレベルが100だった場合、職業か種族のどちらかがランダムに消えて、代わりに10レベル分入ると聞いたことがある。

もしかして、あのオレの影とやらも、それで出てきたのか。

少なくとも、あんなもの、恐らくユグドラシルにはなかっただろう。

ゲームの中と違ってフレンドリーファイアがあり、一部の魔法の効果も変わっている。

同じことが、ペルソナにも起こっている。

あのシャドウは、きっとそれだったんじゃないのか。

 

 そう考察するも、実のところはよくわからない。しかし・・・

 

「 満月か。 」

 

 窓から見たその晩の月は、やはり美しかった。

夜闇の静寂の中を、月光が優しく照らしてくれていた。

それでも、今晩はそのまま静かにはさせてくれないようで、少し離れた所から爆発が起き、ドラゴンたちの叫びが木霊した。

早速、力を試すときが来てしまったらしい。

 

 

 




 ギルマスの元ネタは某反逆の王子と屋根裏のゴミに御座います。サービス最終日にこれなかったのは、もうおわかりですね?
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