ナザリックレ○プ!至高の"元"御方と化した先輩!   作:ニコラス―NICORUTH―

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"彼が好きだ"

 

 月下の夜。その街には脅威が訪れていた。

灼熱都市シモキタザワ。ユグドラシルでも有数の上位ギルドの拠点として知られる街。龍や獣によって守られた、広大な大都市。

クッソ汚いホモ、一昔前に台頭したネットミームを擦り続ける男色家と、その傘下の者たちの築いた、『 ホモガキの街 』。

 

未だに過去の栄光の残り香が色濃く残る、あの日終わったユグドラシルという世界の遺産とも呼ぶべき存在の一つ。

それは如何なる理由か、何処ともしれぬ異界に飛ばされ、三日と経たぬうちに災いに見舞われていた。紫電が轟き、建物や住人を蹂躙している。

 

その主は、女だ。手に鋭利に輝く刀が握られ、あの雷を刃に纏っている。

その背後には、紫の女武者。

長身と膨らみの目立つ恵体と、それに漂う魔性の気配。そして、その手にも持たれた刃は、彼女の母性や女性性、そして狂気が両立していることを示すかのよう。

一見すれば優しく朗らかな人柄をしてそうなその女性。

彼女のこの暴挙の原因は、簡単なようでそうでない、そしてこの手の話ならば、ド定番の要因だ。

 

 

 男、である。

 

そう、この事態の大元は、「 愛欲 」、そしてそれを無下にされたことによる「 激情 」だ。

 

 ある男の不義、罪が、そしてそのグレートマザー的な精神の鎧が彼女を狂わせた。

 

女の嫉妬、執念とは末恐ろしいものである。

無数の矢が降りかかりシモキタザワの大地が陵辱され、雷光と一閃が、シモキタザワの街並みを両断する。

あぁ、もうめちゃくちゃだよ・・・

余人が見たならば、そういって思わずその目を背けたくなるような惨状。

規模こそ違えど、その瞬間その稀人は間違いなく、大墳墓の悪魔など非にもならない脅威であった。

彼を手に入れるまで、彼女は止まらない。

そう思うと、都市に轟く轟雷はまさに彼女の怒りそのものであるかのようだった。

 

 そんな彼女に、立ち向かう者がいた。

件の男の友である。のっぴきならなくなってしまった事態を終息させるべく、その女の前に立ちはだかった。

 

 自らもまた、心の海より漆黒の鎧騎士を召喚し、二人の間を仲介人として割って入り、彼女を説得しようとしているのだ。

それも、かなり身体を張って。

 

「 なんで、邪魔するの?悪いのはルルくんだよ? 」

 

 女のこの一言は的を射ていた。このシモキタザワを襲う眼前の脅威の原因は、あの男の自業自得だ。

それを知った上でこの男は彼女の前に立ちはだかっている。

 

「 ギルドマスターを守るのは当然の帰結だ。 」

 

「 "ギルマスのいうことは絶対です"ってことでいいのかな?」

 

「 嫌味な言いようだな。 」

 

「 だってさ、ユグドラシルはもう、終わったでしょ?これはゲームじゃないよ。現実だよ? 」

 

 

 シモキタザワのど真ん中、大陸西側全土に木霊すような鈍く大きすぎる金属音を鳴らしながら、火花を散らしながら、一人の男を巡って男女は刃や杖を競り合わせながら、舌戦を繰り広げる。

 

 

 

「 確かに色恋にはだらしがなさそうな奴だが、それでも、数少ない友だちだ。守ってやりたい。

ゲームでも現実でも、付き合いのある仲間だ。 」

 

「 健気だね。まるでロボットみたい。 」

 

「 オレはロボットじゃない。オレは身内を守りたいだけだ。 」

 

 

 男の忠義に揺るぎはない。この女は確かにギルドマスターの悪戯の被害者だろうし、恨まれるのは身から出た錆だが、だからといって彼の生命までも奪いかねない行為を見過ごす道理もない。

 

「 でもさ、それ、体よく利用されてるんじゃないの? 」

 

「 そんなに信じられないのか? 」

 

「 現に騙されたもの。あんな嘘つき、どうして守ろうとするの? 」

 

「 あんなペテン師に、10年も付き添ってて、悲しいね。 」

 

女は男の意思に揺さぶりをかけようとする。

 

彼はよくモテることを知っているため、同じように泣かされた女たちもいるだろうことはこの男にも察しがついていた。

だからこそ、この女はこう言いたいのだ。

 

"ギルドマスターは、男のこの長年の友情すらも踏み躙っているのではないか"。

 

そんなことを言いたがるのも無理はない。

彼らがこの世界に来る前日は、ヴァレンティヌスの命日(バレンタインデー)だ。

まだ詳しくは聞かされていないが、その時になにかあったのだろうことも、男にも想像がついた。

どんな形であれ、彼女は大方そんな想いを伝える一大イベントを台無しにされたのだろう。

といっても、あの恋多きギルドマスターが女に背を向けるというのはやはり異常だとしか言いようがない。

なにか事情はあったんだろうが、結果として彼女は裏切られた。

どんな下心があったのかどうかは知る由もないが、彼女にとって知りうる限りの純然たる恋情は、ズタズタに踏みにじられたのだ。

彼女の怒りはごもっともだ。どんな理由があれ、約束事を反故にされ、あまつさえ浮気などされていれば、怒髪天を衝く勢いにもなろう。

 

それこそ、愛憎のあまり化生の類に成り果てることだってあり得るのかもしれない。

そんな男の為に身を粉にする義理など、恐らくないのかもしれない。

しかし、

 

「 彼が好きだ。 」

 

 男は、友人を庇う理由をその"友愛"であるとした。

10年来の付き合いなのだ。それに報いてやらねばなるまい。見知らぬ誰かからの不義の糾弾より、知ってる誰かの悲鳴にこそ、人間は耳を傾けるのだ。

ともあれ彼女と戦う動機はそれだけで十分だった。

決してあのタドコロやMURの好きなネットミームの住民たちのような、やましい意味合いではない。

アイスティーに薬を盛り、眠気を誘った上で地下室に監禁した後に、裸が乳繰り合ってお前のことが・・・というわけでは断じてなかった。

"好き"というのは、そんな肉体だけの爛れた意味合いの言葉ではない。

男のその言葉の意味は、間違いなく、その意味ではない。

あの10年前の出会いがなければ、自分がどうなっていたかなど考えられない。

この女にとってはどうあれ、しでかしたことがどうあれ、男にとって、自身の属するギルドのマスターたるあの男は、間違いなくかけがえのない友人であり、恩人であった。

そんな彼が、貞操どころか生命の危機に晒されているのならば、どうにかしてやるのが、彼のなすべきことだ。

 

―――オレが彼を護る。オレが彼を守護(まも)るのだ。

 

「 Arrrrrrrrrrr!! 」

 

 その胸にそう誓う彼の傍らに立つ、黒騎士は、スリットから赤い輝きを放ちながら獣の如き絶叫をあげるとともに、手に持った大剣で女、正確には女の守護霊と呼べよう異形の女武者に斬り掛かり続けた。

そのクレイモアは何度も乱雑に振り回したことで既にボロボロになっていた。

そして、その一合でとうとう粉々に砕け散ることとなる。

端から見れば、この黒騎士が不利になったように見えるだろう。しかし、その点は彼はカバーする術がある。

 

「 〈 |魔法二重化上位道具創造《ツインマジック・クリエイトグレートアイテム》 〉! 」

 

 ユグドラシルの、魔法の武器を創造する魔法。これによって二振りの剣が創り出され、それらは黒騎士ことペルソナ「 ランスロット 」の手に渡る。

すると質素な剣が漆黒を帯び、まるで脈打つように赤いラインが入る。

こうすることで、このペルソナはこの双刃を、まるで自身の身体の一部のように扱う事ができるのだ。

そしてそれは、本体である男も同じだ。

手に持った杖も同じように黒く染まり、手に握られた取手からはやはり同様の赤線。

ペルソナは伝承や神話の神性や悪魔、怪物の姿を再現した、本体の心の鎧として顕現する。

この黒騎士も同様だ。

王妃との不倫という罪が目立つランスロットであるが、その実、円卓屈指の実力者としても知られ、敵の罠にかかり、丸腰の状態で襲われた際には、楡の木の枝1本のみで、これを退けたというエピソードもある。

この赤い葉脈も、それに由来するスキルなのだろう。

双剣を踊るように繰り、女武者に斬りかかる様は、アーサー王伝説に名高い裏切りの騎士そのものだった。

 

自らも禍々しく脈打つ杖を振るいながら、男は続けた。

その赤は彼の妄念のようであり、同時に彼にとってたった一つの確かな物の為に流す血潮のようである。

女は、そんな男のむせ返るような友情だかなんだか分からぬものに軽蔑する姿勢を崩さなかった。

 

 

「 アイツが好きだ。それだけで十分。オレを拾い、10年もの月日を共に過ごした。アンタよりもよっぽどアイツを知っている。 」

 

「 君、ホモなの?モテなくて、結婚とかできなさそうだもんね。

・・・女の子になにか酷いこと言われたんでしょ?だから彼に執着してるんだよね?

可哀想。 」

 

 女、HALは男の過去を見抜いてか、そんな線などない彼をせせら笑う。しかし、男はめげない。

ただ、友を慮る限り。

眼前のそれは人間ではない。ギルドマスターに集る怪物に見えているというのもある。

 

「 そんなんじゃない。彼は聡明で、それなりに人徳はある男だ。それこそオレなんかよりよっぽど。

冗談も休み休み言ってほしいものです、魔女。 」

 

「 あれれ?お嬢さんの次は魔女呼ばわり? 」

 

 

 

「 ナイト気取りもここまで来ると清々しいね。 」

 

「 あぁ、ナイトか。いいねぇ、それ。貴女みたいなのを寄せ付けぬためには、お守り役もアイツには必要だな。 」

 

「 そうやって、彼を妄信する。裏切り者のペルソナをつけてる癖にね。 」

 

「 そういう貴女のペルソナはなんだったか?源頼光?

女のバージョンはお母さんごっこがしてぇ化け物だったか?まさに貴女にお似合いだ。

ヒステリーを起こす女型の怪物とも、まさしく魔女ともよんで差し支えない今の貴女には。 」

 

「 あらあらまぁまぁ♪虫がミンミンよく鳴くね♪ 」

 

 

 口論と共に、戦いはヒートアップしていき、両者は一歩も譲らない。

雷と刃が交差する。雷光に武器が砕かれるたび、また新たに創り出す。

 

狂戦士は吠える。片や友の為。狂戦士は吠える。片やバレンタインを不意にしたクズ男への誅罰の為。

男と乙女の杖と剣、そしてペルソナは激しくしのぎを削る。

 

そしてその有り様を、傍観していた女が二人。

 

「 んんんんんん。どうしたもんかな。 」

 

「 なんというか、私たちが入る隙ってありますかね? 」

 

「 このまま割って入ると、こっちがやられそうだ。もうちょっと見てようぜ。 」

 

 男の救援に来たはずの彼女たちだが、両雄の衝突による凄まじい衝撃波などもあり、介入するタイミングを測りかねてしまい、手がだせない状況にあった。

 

 

 そして、この女とはまた別に、招かれざる客が一人。

夜闇の中を飛翔している。

翼を備えた紅い鎧に身を包む女。その瞳もまた燈月のような赤。その色白と呼ぶには色の抜けすぎた肌も合わさり、一見すればわからないが、よく観察すれば、一目で人間ではないと分かる。

彼女は、この場において蚊帳の外であった。

彼女はこの街の者たちが警戒する、大墳墓の悪魔の一体である、にもかかわらずだ。

 

「 妙ね。こんな都市の中、誰とも会わないなんて。 」

 

 シャルティア・ブラッドフォールン。ギルドランキング9位に入ったこともあるギルド、アインズ・ウール・ゴウンの拠点、ナザリックの第1〜3階層守護者。

守護者の中でも随一の兵である彼女は今、このシモキタザワの街々を破壊していた。

といっても、先に来ていたHALの方が被害が大きい。

彼女がやっていることといえば、建物に魔法をぶち当てたりして崩し、その中を確認するというものだ。

しかし、こうまでやっても、音沙汰一つない。敵らしい敵もいない。この規模にして人っ子一人いないなどありえない。

この街の、そうバハルス帝国なんかでいえば、冒険者とかいう雑魚どものように、自分に向かってくるものもいない。

自分には敵わぬと逃げた。いやそんなことはない。彼女がここに来た理由を考えれば。

 探し物は、この近くで行方を晦ました同胞である。

第六階層守護者の、ダークエルフの双子だ。彼らを創造したのは自身の生みの親の姉にあたる人物。

「 至高の御方々 」。彼女が敬愛すべき者たちだ。

自身も双子も彼らによって創造された。

彼らのみならず、あの大墳墓の全てが、この御方々が創ったものだ。少なくとも、彼女たちの認知では。

そして、件のダークエルフたち。彼らは彼女にとって、特に距離感の近い存在だ。

仲悪くあれという「 かくあれかし 」に沿って、シャルティアは彼らをからかいこそすれど、本気で嫌うことはない。

そこは、親に似たのかもしれない。

それが先日、帝国で、その双子が消息を絶ったのだ。

そう、丁度この辺りで。日が経っても戻らず、連絡にもでなかった。まさかどこの馬の骨とも木っ端とも分からぬ者に捕らえられたのではないかとも思ったが、そんなことはあるまいと高を括っていた矢先に、その片割れが死んだことと、御方々の指輪、宝物殿の鍵になる至宝すらもなくなっていたことが判明し、これらは同一犯の仕業と守護者統括が睨んだので探しに来てみれば、この街があったというのが事のあらましだ。そのためシャルティアは内心腸が煮えくり返りそうになって、それを探していた。

といっても、こうまで壊してなにもでてこないのをみるに、恐らくこの辺りには目当ての者はいないだろうことは彼女にも理解できた。

少なくとも、これまで人間たちを蹂躙していた彼らが後れを取るのだから、それなりに手応えのある者がここにいるとは考えられるだろう。

罠だって仕掛けられていることも想像するに難くない。

が、シャルティアはそんなことは考えもしなかった。

強者ゆえの慢心と、いってしまえば脳筋的な彼女の性分が理由である。

実際彼女がこれまで戦った相手は、殆どが格下なのだから。

ペロロンチーノ様に創られた自分が、負けるはずはないとそういったものに無警戒になってしまっている。

 

現に身内が、それで後れを取っているというのに。

学習能力がないわけではない。

だが、至高の御方々、基ギルドアインズ・ウール・ゴウンのメンバーたちを信奉し過ぎるという人格、そしてそれに創られた自分たちは他の塵芥どもより偉いのだという驕りが、そうさせてしまう。

だが、実のところ進まなければ、なにも得られないというのも確かではある。

その為、何処かなど気にせずに進むというのが、彼女の考えうる最適解となるわけだ。

そして、実際にそれを目の当たりにすることになった。

 

「 ・・・! 」

 

 その時、シャルティアは見た。街中の影を。

それは建物から建物へ飛び降りながら、ワイヤーらしき物を使ってそれらを渡っている。

ようやく見つけた第一村人らしきものであるが、あの動き、どうも怪しい。

行方不明になったダークエルフについてなにか知っているかもしれない。

であれば、アレを見逃す手はない。捕らえ、双子の居場所を吐かせた後に惨たらしく殺さなければならない。

舐めた真似をしてくれた者どもに、自分たちナザリックの威を示さねばならない。

でなければ、御方々に合わせる顔がない。

 

戦乙女は、使命感に駆られながら、闇夜の中、それを追う。

 

「 逃げるな! 」

 

 真紅の戦乙女、灼熱都市を飛翔する。対するその影は彼女に気づいてか、ワイヤーを駆使して3軒ほどの屋根に飛び乗った後に路地裏に降り、そこからでて全力で走りだす。

こうまで逃げの姿勢を通すならば、なにか後ろめたいことがあるのかもしれない。

ますます彼を逃がすわけにはいかなくなるシャルティアであるが、やはり妙なことに気づく。

彼女は自身の魔法、〈自己時間加速(タイムアクセラレータ)〉によって、周囲の時間を遅くし、その中を自由に移動できる。

つまり、この男には既に追いついて、その手の独特な形状の槍を突き刺していても可笑しくない。

しかしながら、それを使っても、あちら側の動きは遅くはならない。

これまで、それこそこの大陸西側の3カ国を滅ぼしながら、御方々を捜索していたこれまでにはそんなことはなかった筈なのに。

まぁ、どうあれこのまま追いかけてばかりでは埒が明かない。

一応は、この街の住人らしき者。土地勘はあちらが勝る以上、地の利も恐らくあちら側。

であるならば、面倒になる前に処理するべし。

そんなことくらい、彼女の親譲りのお頭にも分かっていた。

 

「 〈上位転移〉! 」

 

 彼女のとった手段とは、転移魔法による先回りであった。これならば、奴を逃さずに済む。

気が早いのか、シャルティアは既にこの影の主を痛めつける妄想を頭に浮かべていた。

どう料理してやろうか。腸を引き裂くか。頭を串刺しにしてやろいか。

それだけでは芸が無い。ナザリック一の知恵者であるデミウルゴスならば、もう少し凝らすのだろうが、彼女はデミウルゴスではない。変なこだわりなど気にせずに、ただ殺すのみ。

・・・この人物が、見目麗しい美女ならば、話は別だが。

いずれにせよ、この吸血鬼に目をつけられた時点で、破滅は確定しているようなものだ。

双子の情報とついでに、その尊厳から命に至るまでを奪い尽くされるのだ。

たとえこれがシャルティアのお眼鏡に適う女だったとしても、大墳墓に連れ去られ、死ぬより凄惨な陵辱の憂い目に遭うだけ。

 

 そうして、顕になったその顔は、男だ。

容姿端麗な優男。興味の対象ではない。

これは、処刑確定である。

 

 少女は勝利を確信していた。

 

 

 

 

 

 

 していたが故に、その次の瞬間のことまでは想定などしているはずもなかった。

 

「 ちょっと刃当たんよ〜。 」

 

「 !? 」

 

 その気さくそうな口調と共に、横からなにかがシャルティアに差し込まれる。

槍だ。それも伝説級の紅い鎧を貫通して自身にダメージを与えているところからするに、かなり上のランクの品だ。

 

「 な、何者だ!? 」

 

 思わぬ反撃に、いつもの廓言葉も忘れ、〈 上位転移 〉で咄嗟に距離をとったシャルティアは、その槍の主と相対することとなる。

が、彼女はその時、目を疑うこととなった。

 

「 な、何故、何故貴方が、こんな所に・・・? 」

 

 それは、彼女が、彼女たちナザリックの悪魔が探し続けた人物の一人だった。

メラニンが比較的濃い目のクッソ汚い色合いの肌。

人によってはステロイドを疑われそうながらも、自然体ながっちりした体格は、彼女も久しく目にしてはいなかった。

ちびすけこと、アウラのそれにも引けを取らぬような、いや比較することすら烏滸がましいほどに獰猛な魔獣の群れを背後に控えた姿、間違いなく彼女の崇拝の対象の一柱だ。

 

「 何故、私を刺すのです・・・!? 」

 

その手には、鮮血に濡れた槍が1本、握られている。

つまり、この男こそ、先の一撃を加えた張本人だ。

シャルティアにはわけがわからなかった。

どうして、"至高の御方"が、自分を攻撃するのか。

 

「 獣王メコン川様・・・! 」

 

 獣王メコン川。ギルドアインズ・ウール・ゴウンのメンバーの一人で、見ての通りビーストテイマー。その魔獣による制圧力は随一であり、またナザリックに於いては、戦闘メイドの一人の生みの親としても知られる。

 

最も、彼はもう、その名を使ってはいない。

ギルドとの決別とともに捨て、そして今、名乗りたい名を名乗っている。

その名は、野獣王タドコロ。

かの「 先輩 」に由来する名である。

 

「 ペルソナ・・・! 」

 

 カッ!(迫真)とばかりの眼光でシャルティアを見据えるタドコロから、青き光がとめどなく溢れてくる。

そしてその身から、ヌッとそれは現れた。

それは、おおよそナザリックの者どもにとって、未知を超えた力だった。

 

「 我は汝、汝は我。(い つ も の)

我は汝のクッソ汚き心の海より出でし者・・・ 」

 

 

 灰色の憤怒の形相の仮面を纏った、黒い道化師。とだけでは形容しきれない、なにかだった。

それは、破壊の神とともに、最上の存在として崇め奉られる。

それは世界の危機にて化身してそれぞれの現世(ユガ)に降り立つ。

4大文明が一つ、インダスにて成立した神話の神。

 

「 秩序司りし、ヴィシュヌなり・・・! 」

 

 アヴターラとして多くの顔を持つこの神格は、タドコロにはうってつけのペルソナだった。

 




 タドコロの第一ペルソナはめちゃくちゃ悩みました。(小並感)
あ、あと今作のペルソナの設定的に、タドコロとあるじぇんとにはあともう一体いますが、それがでるかどうかはオレの頭の中の構想と、展開しだい。
HAL姉貴の元ネタは、いうまでもないですね?
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