ナザリックレ○プ!至高の"元"御方と化した先輩!   作:ニコラス―NICORUTH―

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ウルトラマン拉致

 

「 どうだった?あっちの方わ? 」

 

「 タンク職は外せ。後はあるじぇんとさんがドラゴンを魔法詠唱者の足に使ってほしいと。 」

 

「 そうか。彼も腹を括らざるを得なくなったか。 」

 

「 ユグドラシルではその異常なまでの執着からドラゴンキ○ガイなんて言われることもあったが、彼自身は本当にドラゴンが好きなだけじゃからのう。

こうもなってしまえば、やむを得なかろうて。

それに、どうやらギルドマスターの不祥事がこの騒動のきっかけらしいのだから、なおさらの事じゃ。 」

 

「 そうなのか?タクヤさん。 」

 

「 ウッス!酒の席でいってたぜぇ!?

15も股いじまってそれで14人に追いかけられたってな。 」

 

「 えぇ・・・(困惑) 」

 

「 15とは恐れ入ったのう。よもや大人数誑かすとは。いつの時代、愛憎とは人を狂わせるものなんじゃなぁ・・・ 」

 

「 とにかく、人の家に土足で入り込んで、凶器をぶん回している奴を野放しにはできないねぇ。

悪い子はお仕置きだどー! 」

 

「 お、蓮さん。気合い入ってんじゃないっすか! 」

 

「 久しぶりの戦闘だからねぇ!興奮させてくれるねぇ!! 」

 

「 まぁ待て。先ずはあの化生をあのデカいのから引き離さねばならんのう。

タクヤ、当初のとおりにこちらから行くぞ。 」

 

「 いいんすか店長?勝手に始めちゃって。 」

 

「 なあにあちらさんも上手いこと合わせてくれるさ。

どうあれ早いことアレを片さないといけないからね。

KMRさん、向こうにもこっちから仕掛けるって伝えてくれ。 」

 

「 分かりました。 」

 

「 ウッス!んじゃ行け!ウルトラマン拉致!! 」

 

「 シュワッチ!! 」

 

 

 

 

 闇の中、シモキタザワの空をそれは飛んでいた。

銀色の仏頂面に、暮明の中にその黄色の瞳を輝かせて。

首から下は均衡の取れていない、エラく鍛え込まれた上半身と、貧弱そうな下半身をしている。

こんななりだが、彼もまた異形種。

星の戦士(ヴァルヴァドス)。クトゥルフ神話を起源に持つ、俗に言う宇宙人だ。

クトゥルフとハスターという、2大邪神を封印したというエピソードと、そのコズミックホラーらしからぬヒロイックな性質から、国民的なヒーローと紐付けられることも多く、

実際その手のビルドにはうってつけの種族として、ユグドラシルの異形種の中でも人気があった。

そして、彼も、それに肖った名を与えられている。

といっても彼はプレイヤーではない。

あの大墳墓の悪魔どもと同じ、NPCだ。

ウルトラマン拉致。それが彼の名であり、生みの親はアクシード三銃士の一人、調教師タクヤである。

星の戦士の固有の能力として、見ての通りの飛行が可能であり、また幾つもの超能力も有する。

 

 そんな彼の向かう先、荒ぶる神の神使のもとに、それは佇んでいた。

牛頭天王の化身、或いは申し子、また或いは、

男を想うあまり仮面に囚われた、憐れな女。

 

「 おや? 」

 

 丑御前は月の明かりの下の夜闇の中に、それの姿を認める。

 

「 なんとまぁ、酔狂なもののけのいたことでしょうか。 」

 

彼女は本体の身体を奪い顕現した。故にこそ、その記憶も保持している。

そう、ユグドラシルの知識も。

先ほど神使の蹄の錆にした三人組が、ぷれいやーなる者たちが倒されたことを知り、己を討ち取りに来たのだろうが、その姿を、鈴ヶ森の化生は一笑に付したのだった。

まさか、こんなモノが来ようとは。

みれば見るほど、滑稽で、そして悍ましくてならない。

あんなもの、作ったものの顔が見てみたいものだ。

が、そんなことはどうでも良い。

自分ただ、あの男とそのすべてを、壊すのみである。

 

「 牛王招来! 」

 

 紫電を飛ばして、消炭にしようとするが、やはりというべきか、容易く躱され、

 

「 ダアァッ!! 」

 

手をそれを知るものならば、馴染みあるポージングの後に光線が放たれる。

 

直撃。しかし、効いている様子はない。

これでもユグドラシル換算で、レベル100。キャラクターとしては、最大値に到達している。

にもかかわらず、ダメージを与えられないのは、彼女がその範疇を遥かに超えている、なによりの証左であった。

 

「 その程度の攻撃しかできませんか。ならばどうとでも料理できますねぇ。 」

 

 鬼は、辺りに無数の雷を降らせる。雷属性の広範囲魔法、

〈マハジオダイン〉に似ているが、どこか別物であるように思えるそれらを、ウルトラマン拉致は巧みに躱していく。

 

「 ダアァッ!ダアァッ!! 」

 

 続いて繰り出すのは、回転する光の円盤だ。

それは流石に避けた方が良いと思ったのか、ここでやっと女は神使の頭上から動いて、軌道から離れた。

 

「 ダアァッ!! 」

 

 その胸の乳首から、細い光線が放たれる。その様に不快感を覚えているとそれが命中するが、その身体を貫くことは勿論、焦がすこともない。

ただただ、不愉快になるばかりだった。

 

肉弾戦に持ち込むと、具足についた大きな腕で、ウルトラマン拉致の腹に腹筋ボコボコにパンチを喰らわせた。

 

「 ヴォエッ!? 」

 

 あまりの威力に、怯むウルトラマン。

そこにすかさず、紫電を喰らわせ、地に墜とされ、叩きつけられる。

その身は痺れによって痙攣し、無防備な様を晒している。

所詮は造物。神には敵わぬか。

 

「 〈 風斬り 〉! 」

 

 何処からともなく、風の刃が彼女を切り裂く。やはり傷一つつきはしないが、また新手が現れたことをこの女怪は知ることとなる。

 

「 おうお前!よくもここまで暴れやがったな!!

もう許さねぇからなぁ!? 」

 

 それは建物の屋上にいた。

やはり均衡の取れていない躯体と、グラサン。手に持った大きな包丁のような刃。そしてなにより目を引くのはその格好。

 

「 不快です・・・ 実に不快です。 」

 

 平安の鬼子の口から、実に人間らしい嫌悪感からくる言葉(ことのは)

おおよそ、感性そのものには、常人と近いものが残っているのだろうか。

網のタンクトップに、黒いボクサーパンツとは、見るものによっては悍ましいことこの上ない。

 

「 ペルソナ! 」

 

 その男の身体から、それは現れる。

白と黒の、水の王冠を戴く魔人、否魔神。

 

「 ヴァルナ!〈 ブフダイン 〉だ!! 」

 

 アクシード三銃士の一角、少年専属調教師タクヤ。

またの名を、「 サーフ系ペルソナ使い 」。

そんな彼の放つ冷気、そして氷塊の雨に晒される。

強力な氷属性魔法攻撃。やはり平然とした表情を崩さないが多少は効いているのか、身体中に寒気がしているようだ。

 

「 見れば見るほど目が腐りそうだ。

・・・消えろ!! 」

 

 先のように落とされた雷が、タクヤの身体を焼く。この世界に生息する人間、亜人、そして異形種。

それらが喰らえば、多くが消炭になるような一撃だ。

が、そこは腐ってもプレイヤー。まだまだ余力を残している。

 

「 おっ!?イッテェ!おい、もう許せるぞオイ!! 」

 

「 なにをいっているのか理解に苦しみますね。 」

 

「 お前を芸術品に、してたんだよ!? 」

 

 してやるよ、というつもりが、とんだ言い間違いをしてしまう。こんな状況下、そして相手が相手ゆえに、全然笑えない。

 

「 やはり面妖な、汚物ですね。 」

 

 そんなものに反応するのも時間の無駄と、丑御前は変わらず蔑むような視線をタクヤに向け、再び豪雷を振るわんとする。

その時だ。

 

「 YO!! 」

 

 怒号とともに、一閃が彼女の身を斬り裂いた。並のプレイヤーならば、大ダメージを負う一撃。

切り傷を負うが、やはりそれでも有効打たりうるようには見えない。

そして、目の前にはその主であろう、男が現れる。

 

「 また、新たな虫ですか。

素直にあの男を差し出せば良いものを。 」

 

「 それで済みそうにないし、見ろよなぁ、この無惨な街並みをよぉ。

ここまでやられて引き下がれるわけないだろう。

それにな・・・ 」

 

「 それに? 」

 

 男は、鞘に納められている刀を構えて続けた。

 

 

「 おじさんはねぇ、君みたいなねぇ、調子乗ってる子の悶絶する顔が大好きなんだよ! 」

 

 葛城蓮。アクシード三銃士の一人。そしてまたの名を、

「 虐待おじさん 」。

ユグドラシル屈指の居合の名手であり、幾人ものプレイヤーをその凄まじいほどの閃によって、葬ってきた。

そして今宵、久方ぶりに剣を振るうこととなる。

相手は、神。あのゲームの中ではいなかった存在。

それ故に、昂る衝動胸に、彼はいつにも増して鋭利な、いうなれば魂の斬撃をお見舞いしていく。

しかし、それらの多くが躱されていくのだった。

 

「 動くと当たらないだろ!動くと当たらないだろう!? 」

 

「 当たりにいく者が何処にいると・・・? 」

 

 

「 ならば儂が当てさせてやるかのう・・・ 」

 

 突如、自身の身体が荒縄によって、拘束される。抜け出そうと思えば抜け出せるのかもしれないが、その隙を、蓮は、タクヤは逃さなかった。

 

「 〈ブフダイン〉もう一発くれてやるよオラ!! 」

 

「 Yo!! 」

 

 氷塊の中に囚われ、それごと一閃される。

氷が砕け、中からでてきた神は、地に沈むことはなかったものの、3人目の存在を認識する。

浴衣姿の男だ。

 

緊縛師、平野である。

得意とするのは肩書きの通り、縄を使った拘束と魔法。

この緊縛のスキルによって、相手の身動きを封じ、そこに上級の攻撃魔法を叩き込むというのが、彼のバトルスタイル。

今回は遠方からのサポートに徹し、他二人に攻撃を任せるとして立ち回ることとしていた。

彼らは個々人での戦闘は勿論のこと、なによりもこの三人組による集団戦をこそを得意としていた。

類まれなる連携、チームワークによって、屍の山を築いていった。

ユグドラシルに点在していた傭兵ギルドも、この三人で幾つも壊滅させ、ワールドチャンピオンすらも、討ち取ったことがある。

2ch連合殲滅戦においても、彼らはホモの団において、3位位のキルスコアを叩き出した。

それほどまでにアクシード三銃士は、ユグドラシルにおいて最強クラスの集団だった。

 

のだが、彼女にとって、相手がどんな人物かなどどうでも良かった。

 

―――みな一様に、こわすのみ。

 

 瞬間、丑御前の周囲に凄まじい雷が迸り、男たちを吹き飛ばす。

その様たるや、荒神と評するには、十分過ぎるものだ。

ゲームの中の、異形種のアバターを被っているのや、この世界の支配者であった真なる竜王とはわけが違う。本物の、怪物である。

彼らアクシード三銃士はホモの団の実力者たちであるが、そのうち二人は早くも戦闘不能に陥ってしまった。

丑御前の力は、3人の想定を遥かに超えたものだったのだ。

 

( 不味いのう・・・ )

 

 あまりにも迂闊すぎた。一番距離をとっていた平野は後悔しながらも、仲間二人の状態を〈 生命の精髄(ライフエッセンス) 〉にて確認する。

タクヤと蓮はまだKILLされていないようだが、気絶しているらしく、意識がない状態だ。

つまり単独であの化け物を相手取らねばならなくなったわけであるが、土台無理な話である。

自分一人では、到底アレを抑え込めない。

この状況から逆転は難しいだろう。

死んだふりで、いつまでも目を誤魔化せられるわけでもないだろうし。

 

「 生きていられても困りますねぇ。ならば、我が神使にて綺麗さっぱり消し飛ばしてやるとしましょう。

汚物は、汚物らしく。 」

 

 自身の下僕の巨躯でもって、彼らを踏み潰そうと考えた丑御前であるが、思わず思考を一瞬の間、止めることとなる。

何故か。

 

 

「 奪え、サタナエル!! 」

 

 

 その声を聴いたからである。

聞き間違いのあるはずも無い。

本体、自身の主人格が、会いたいと願いつづけた、その声を。

その後に、神使になにかが当たり、爆裂した。

六脚でがっちりと大地を踏みしめる巨躯が、体勢を崩すほどの威力を見せたそれを見たのもあって、化生は確信する。

 

 あの男だ。ひたすら逃げ続けた、あの男だ。

見つけなくては。殺さなくては。

根掘り葉掘りと探しだし、惨たらしく死に晒させなければ。

しかし、そんな彼女には、さらなるハプニングが。

 

「 平野さん、大丈夫!? 」

 

「 おおレイムくんか。見ての通り、ワシ以外あの様じゃあ。 」

 

「 とっとと回収しないと不味いわね。

やって、マリッサ!! 」

 

 

 

 

 

 

『 まさかまさかの掎角一陣! 』

 

 弧を描き、丑御前に巨大な矢が飛来命中し、炸裂する。

一撃だけでも葛城の一閃と同じくらいには効いているものの、それだけでは終わらない。

 

『 炸裂するは掎角一陣! 』

 

『 三度三度の掎角一陣! 』

 

『 よもやよもや掎角一陣! 』

 

『 五等分の掎角一陣! 』

 

『 卑の呼吸 掎角一陣! 』

 

『 卑遁掎角一陣! 』

 

『 掎角一陣ったら掎角一陣! 』

 

『 掎角一陣! 』 『 掎角一陣! 』『 掎角一陣! 』

 

 

 なんと、先のものと同じ矢が複数に渡って飛んでくるではないか。

こんなものを何発も受ければ、いよいよ自身の身が危うくなることは一目瞭然な丑御前はそれを掻い潜ろうとするが・・・

 

 

 

 

「 ダアァッ!! 」

 

 倒れていたウルトラマン拉致が両手をクロスして高速回転。不可思議な音とともに、光の輪を三束ほど飛ばして丑御前の動きを封じてみせた。

 

「 ナイスよ拉致!マリッサ、聞こえてる?タクヤさんのNPCがやってくれたわ!今のうちに撃ちまくりなさい!! 」

 

 

『 あいよぉ!陳宮、ぶっ放せぇ!! 』

 

 

『 掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣!掎角一陣! 』

 

「 うわぁぁぁぁあああああ!! 」

 

 無数の矢、爆発に晒される妖の叫びが、夜闇に木霊す。これほどの威力の弾幕を放つのは、平野のもとに駆けつけたギルド幻想響のギルドマスター、レイムの友、マリッサのペルソナ、陳宮だ。

固有スキルによって、街に住まう者を矢に変え放っているのである。

 

街が伽藍堂になるのではないか?その心配はご無用である。

なにしろここは天下の連合ギルドホモの団の拠点、灼熱都市シモキタザワである。

替えの効く生命(POPモンスター)の輝きのなんと尊きことか。

それは確実に、丑御前に打撃を与えている。

が、それも限りあるものである。

これだけでは、打破には至らぬだろう。

 

 その間に、レイムと平野は意識を失った二人を回収すると、バイクに乗ったライダースーツの女が現れた。

 

「 キミは? 」

 

「 話は後で。アナト!〈 メディアラハン 〉!! 」

 

 機械質の、有角の魔神。ウガリットの主神バアルの伴侶のペルソナはその恐ろしい表情には似つかぬ癒しの力で、三銃士の二人を癒やした。

 

「 これで大丈夫。あとは意識が戻るのを待つばかりね。 」

 

「 弾幕が止んだわね。マリッサ、弾切れかしら? 」

 

『 すまん。手元のPOPモンスターがなくなった。そろそろデカいのぶっ壊しにかかるから。 』

 

「 わかったわ。 」

 

 爆発と矢の雨の降った後、煙の中にそれは立っている。

そう、丑御前だ。アレだけ喰らってもまだまだピンピンしている他、ウルトラマン拉致の光輪による拘束も解けている。

その様をみて、レイムとマコトは、改めて目の前の怪異が、自分たちの想像を超えた存在なのだと認識することとなる。

 

「 おや、貴女は確か、マコト、でしたね? 」

 

「 私がわかるの? 」

 

「 ええ。彼女と親しい間柄だった。 」

 

「 なら、話は早いわ。HALを解放しなさい。 」

 

「 それは叶わぬことです。 」

 

「 ならば、力ずくでもあの子を引っ張り出すまでよ。 」

 

「 作戦を忘れないで。 」

 

「 わかってるわよ。ペルソナ! 」

 

 鋭利かつ、高貴な二輪車を思わせるフォルムのペルソナが顕現し、マコトはそれに乗り、疾走する。

 

「 アグネス!〈 チェックメイト 〉!! 」

 

 その魔法が発動すると、丑御前は全身の力が抜ける感覚を覚え、さらにそのバイクも、また姿が変わっていた。

飾りのない、銀のフォルム。アナトと違った慈愛に満ちた表情は、女教皇に相応しい。

 

「 ヨハンナ!〈 金剛発破 〉!! 」

 

 その躯体の突進に、拳で迎え撃ち、吹き飛ばす。

ならばとマコトは別のペルソナを呼び寄せる。

 

「 ラクシュミー・バーイー!

〈 刹那五月雨撃ち 〉!! 」

 

 かつて大英帝国に立ち向かった、誇り高きジャーンシー藩王国の王妃(ラーニー)が、無数の弾幕を放つ。

やはり効いている。しかし、まだ底が見えない。

 

「 〈 ブレイブザッパー 〉よ! 」

 

 渾身の斬撃を見舞わす。これも、さほど効いてるようには見えない。

 

「 無駄無駄ァ!! 」

 

 またしても雷を喰らわせんとするが、これまた奇妙な現象が起きる。

その雷が、跳ね返ったのだ。

その原因は、マコトが咄嗟に付け替えたこのペルソナである。

 

「 スカアハ!〈 空間殺法 〉!! 」

 

 かつて、アルスターの大英雄を育てたという、影の国の魔女。それが手をかざすとその空間に無数の斬撃が発生する。

丑御前はそれでも、まだ虫の息にはほど遠い様子だ。

 

「 私もらしいことしてないとね。

いくわよ、クオン!ペルソナ!! 」

 

 それをみたレイムもまた、とっておきの一体を呼び出す。法衣を纏った、両性的かつ神秘的な陰陽師。

スキルで呼び出された式神たちが合わさり、白い巨人となって彼女に使役される。

これはこのペルソナ、クオンのスキルによるものだ。

式神を束ね、強力無比なる一となすのである。

 

『 五行は吾に。テメェじゃ無理だ(よ)。 』

 

 その式神、貴人の一撃が直撃、後ろの壁に打ちつける。これまでで一番手応えの感じる攻撃だ。

 

「 やっぱり神さまの化身といえども妖怪は妖怪ね。

貴人のありがたいパンチがよく効くわ。 」

 

「 てことは、やっぱり神聖が通りいいのかしら? 」

 

「 多分そうね。それよりも、そろそろアンタも、あちらと合流するべきよ。ここはアタシらでどうにかするから。

十分人足りてるし。 」

 

「 いいの? 」

 

「 いいの。早く行って。 」

 

「 ・・・ありがとう。 」

 

 マコトは再びヨハンナを呼び出し、その場を後にした。

彼女はアクシード三銃士が既に丑御前と戦っていると聞いて、急遽彼らの救助に来たのであるが、作戦での本来の役割は、御前の呼び出した神使の破壊であるのだ。

その為、彼女はこれより、その為の部隊の下へと向かうわけである。

 

「 おのれぇ・・・! 」

 

 憎悪の相を浮かべて、その場を去るマコトを睨む化生であるが、百戦錬磨の巫女はそんな彼女の好きにさせるわけがない。

 

「 アンタの相手はこっちよ・・・貴人!! 」

 

「 なんだか起きたら人が増えてたが、あのバイクの女は味方でいいかウルトラマン? 」

 

「 ジュワ! 」

 

 

「 ウッス!なら手ぇかしてやるか!!

行くぜぇ!ダブルチクビウム光線だ!!! 」

 

「 ダアァッ!! 」

 

 貴人の瞳、そして意識を取り戻したタクヤとウルトラマン拉致の乳首から放たれた光線が、丑御前を焦がす。

 

「 ガァァァァァァアアアアアアア!! 」

 

 マコトの見立て通り、神聖属性がよく効くのか、それとも不快に思っていた相手から、不快な技を受けてしまったことからか、悍ましい叫びが轟く。

 

「 続いていくぜウルトラマン!キメショットだ!! 」

 

「 ダアァッ!! 」

 

 あのおなじみのポージングに組んだ二人の手首から、不浄な真っ黄色の文字通りキメェ、もしくはキメまくったションベンみたいな光線がやってくる。

どちらの意味であってもこんなもの、誰も受けたがらない。

先までの丑御前ならば難なく躱したのだろうが、今この状況ではそんなことできるわけもなく、もののみごとに命中してしまう。

 

「 ・・・あんな技、よく運営はだそうと思ったもんじゃのう。 」

 

 タクヤのこの技を見るたびに思っていた感想を、平野は声に漏らした。

未知の探求を旨とし、そういったものには厳しかったユグドラシルの運営も、こういうネタに走るものなのか。

それとも、あんな世の中を生きているのだから、運営もいろんなものが溜まっていたのかもしれないが、今となってはわからない。

 

 これで終わってくれれば楽なのだが、いかんせんそうはいってくれないだろうことが分からぬレイムではない。

次なる手を打つべく、味方に〈 伝言(メッセージ) 〉を飛ばす。

 

「 ヨーム、準備して。あるじぇんと、アレはどう? 」

 

『 よろしおす。いつでもイケるわぁ。 』

 

「 アンタ、また京都弁でてるわね・・・まぁいいけど。 」

 

『 それよりもな、レイムはん。 』

 

「 なに? 」

 

『 タドコロの奴が、いなくなりおった。 』

 

「 ・・・はぁ!? 」

 

『 さっきまで一緒におったんやけどな、急に何処かに行ったか煙みたいに消えおったの。 』

 

 

 

「 はぁ、はぁ、はぁ・・・ 」

 

「 まだまだ元気みたいね。 」

 

「 よくも、よくもあんな・・・!

あああああああ!! 」

 

 凄まじい雷をスパークさせ、丑御前は己の怒りを示した。その様はまさしく神、或いはその『 形 』をした異形の怪物。

牛頭天王の鬼子、鈴ヶ森の大化生そのものである。

 

「 ぐぅうッ!! 」

 

 咄嗟に貴人を盾にして味方パーティを守るレイムであるが、あまりに威力が凄まじいのか、貴人は一撃にて消滅することとなる。

 

「 消えぇぇえ!! 」

 

 今すぐにも消し去りたいという激情溢れる鬼の形相を晒し、紫電をレイムたちに飛ばす。

これをうければ、彼女たちとてただでは済まない。

が、

 

「 玉藻ォン!アオォン!! 」

 

『 呪層・黒天洞!! 』

 

 なにかが割って入り、雷を凌いでみせた。

その声に聞き覚えがある。

さっきいなくなったと聴いたはずのあのステロイドハゲ。

傍らには、キツネの耳した女。もとい彼のペルソナがいる。

 

「 おまたせ。 」

 

 このシモキタザワのギルドマスター、野獣王タドコロである。

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