ナザリックレ○プ!至高の"元"御方と化した先輩!   作:ニコラス―NICORUTH―

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 ナザリックが蔑ろ気味だって?
逆に考えるんだ。相手にもされなくなるのが、真なるナ○リックレ○プなのだと。
しっかしここまでやると、やっぱりfgoタグ欲しくなりますねぇ!


悶絶御前虐待おじさん

 ―――女の話をしよう。

 

女の目は、世を灰と金の2色に染めていた。

 

誰もが可憐と謳う美貌。

 

女王蜂の側に生まれ、将来も安寧。

 

 

生まれついて裕福であり、勝者である。

 

しかし、それ故に生まれついての敗者の感情など知り得ない。

 

それを憂う、勝者の気持ちも。

 

女にとってのそれは、意中の殿方。

 

反逆の物語に啓蒙されし、悪戯者(トリックスター)

しかし、別段珍しいものでもない。

 

「 お前にはわからないか。 」

 

「 だって、それが正しいでしょう? 」

 

そんな感性の差異は、男の想いを彼女から遠ざけるに十分だった。

 

富を有しながらも尚も、得られぬものがある。

 

―――欲しい。

 

―――欲しい。

 

―――ホシイ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイ欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しいホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイ・・・

 

 移り気な性ゆえに遊んでいたからか、本性(ふ○なり)がバレたからか、逃げだした男を尚、求めた。

 

それ故女は姿を変える。

 

その醜悪なまでの執念に相応しき、牛頭の異形へと―――

 

 

悪いのは男か その思いは愛か それとも―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 おまたせ。 」

 

「 タドコロォォォォオオオオオ!!なにやってんだお前ぇえええええええ!!! 」

 

 唐突に現れた、薄茶色の肌の男に、赤白の巫女は叫んだ。

 

「 いやなにって、ヤバそうだったからね、多少はね? 」

 

「 多少はじゃないわよ!アンタはアレ壊す方に回る算段だったでしょ!? 」

 

「 大丈夫だって安心しろぉ!?向こうにはMURはんと大総統がいっからねぇ。

纏めるのはあいつらの方が上手いってそれ一番いわれてるから。 」

 

「 たとえアンタは良くてもねぇ!周りがアンタのアドリブに合わせなきゃなんなくなるのよ!?

わかる?この罪の重さァ!? 」

 

「 そのへんも安心しろぉ!?迫真ユグドラシル部はアドリブ力強いってそれも一番いわれてるから。 」

 

 悪びれもせぬタドコロに、レイムは呆れながらも〈伝言〉を飛ばした。

相手は別働隊にいる、シモキタザワ屈指の知将である。

確かに彼ならば、この程度の誤差は修正可能だろうが、それにしてもやはり罪悪感が勝る感が否めなかった。

 

「 あぁ、もう・・・

MUR、はじめて。 」

 

『 タドコロまだ来てないゾ? 』

 

「 あいつこっち来てんだけど!? 」

 

『 あっそっかぁ。ならもうこっちで始めるか。

タドコロにはチャッチャと片してこっち来てって伝えてくれゾ。KMR早くしろ~? 』

 

 思いのほかあっさりと呑み込んだ様子を見せて、MURとの〈伝言〉は切れた。

 

「 で、なんって言ってたんすかね? 」

 

「 さっさとあれを始末してこっち来いだってさ。 」

 

「 そう。んじゃ予定通りあっちに行ってれば良かったかもな。でもこうなった以上はしょうがねぇなぁ。 」

 

 そう言って二人、厳密には彼らよりも前に来ていたタクヤとウルトラマン拉致、平野もそれと改めて対峙する。

 

「 しかし、あれだけ喰らってもまるで効き目がないです。辛いですね、これは辛い・・・ 」

 

「 見立て通り、ユグドラシルのレイドボスなんて比じゃないわね。 」

 

「 勝てるかどうかこれもうわかんねぇな・・・ 」

 

 街々を神雷で以て陵辱する、異形と化した女。

その身には斬られた跡、ところどころ焦げた服装。

しかしその目からは発せられる威圧感は衰えていない。

多少手負いになったとて、彼女の神威は削がれない。

鈴ヶ森の怪物、鬼殺しの化生。

その背後には、あの巨大な神使。

丑御前は未だに健在である。

対するは、異形種の巫女と、ホモが4人ばかり。

葛城蓮は、未だに意識が戻らない。

 

「 驚きました。貴方が如き汚物が、それを降ろすとは。 」

 

 御前は、タドコロにこう言い放つ。彼女が興味を惹いたのは、先ほどの一撃を凌いでみせた、彼のペルソナである。

 

太陽 玉藻の前。

 

 皇帝 ヴィシュヌに並ぶ、彼の初期ペルソナ。現状、ついさっきペルソナ使いになったばかりのタドコロはこの二つしか使えない。が、どちらも高水準の性能を持つ。

汎用性に長けるヴィシュヌに対し、この玉藻の前は魔法に特化している。

しかし、この女怪が注目しているのは、そんなものではない。

 

「 なんだよ?お前ノンケじゃなかったっけ? 」

 

「 貴方にはまるで興味は湧かない。

貴方がその、"やんごとなき神"の分け身を宿したことにこそ目を引くのですよ。

よもや、貴方のような汚濁の虫から、それが生じるとは。 」

 

「 ・・・そう。 」

 

 タドコロは顔色一つ変えない。確かに、自分自身も意外に思うところはある。

というのも、前にユグドラシルがまだサービスを続けていた頃に、こんな噂を聞いたことがあったからだ。

 

"初期ペルソナは本人のパーソナリティによって決定する。"

 

 実際ルルの最初のペルソナは、トリックスターの象徴ともいえるアルセーヌであり、彼は未だにそれを愛用している。

知り合いのペルソナ使いたちのそれも、中々にお似合いなものばかりだった。

ランスロットもセトも、あるじぇんとにはピッタリだと感じている。

しかし、ヴィシュヌはともかく、玉藻の前とは。

何故、女なんだ?と疑問に思うこともあるが、そんなことはどうだっていい。

今肝心なのはそんなことを考察することではなく、目の前の脅威に対処すること。

その気をこちらに逸らすことである。

 

 その為、タドコロは補助魔法を唱えることとした。

 

「 〈 バイキルト( 槍増すねぇ ) 〉!

スカラ(硬くなってんぜ?) 〉!

ピオラ(速くしろ~) 〉! 」

 

 それぞれ第四、五位階に位置する信仰魔法。

攻撃力、守備力、スピードが一定時間高まる。

しかし、それだけでは安心できない。

というのも、タドコロは先のシャルティアとの戦いで、それなりにMPを消費している状態なのだ。

唱えられる魔法も、限られる。

その中で低位とはいえ、補助魔法にリソースを割くというのも、下手すれば悪手になりかねない。

一応、これにはどうにかする打算はあるが、それだけでもやはり丑御前は倒しきれないだろうから、そこはスタンバイさせている彼の旧友次第である。

そしてそれは、あちら側も理解しているようだ。

 

「 その程度の小細工で、私を斃せるとでも? 」

 

「 思ってないです。でもよ、なにもしねぇでやられるよりはましじゃないすかね? 」

 

「 ははははは!虫らしい足掻きということですか!

実に健気な事ですねぇ!踏みつけにされる前に、せめてもの抵抗をと!!

愉快愉快!!! 」

 

「 ははぁ・・・( マジメくん ) 」

 

『 レイム、そろそろええんか? 』

 

「 まだよ。 」

 

 鬼の嗤う様に、タドコロ自身は、自分をなるべく弱く見せようと気張るような素振りをみせる。

勿論彼が本当に弱いわけではない。

 

その姿を見て、彼の知古は、こんなことを言っていたらしいことを、レイムは思い出す。

 

「 PVP、プレイヤーvsプレイヤーにおいて一番重要なことは、相手に偽情報を掴ませることだ。 」

 

 ギルドアインズ・ウール・ゴウンにいながらも、誰からも尊敬された軍師、ぷにっと萌え。

そんな彼の教えが果たして、あのゲームの範疇を超えた存在にどこまで通用するのかは、彼女は勿論、この場の誰にもわからない。

しかしあの丑御前がプレイヤーのペルソナがその身体を乗っ取った存在ならば、そして、アレが丑御前という怪異に由来する存在なのならば、奴に油断を誘わせるのは有効的だ。

如何なる妖怪も、弱点が存在するのだから。

そして、恐らくは・・・

 

 

「 しかし、虫に情けをかけるなど時間の無駄です。

あの男もここにいると確信が持てた以上、アナタ方に構っている暇などないのですよ。

ですので、潰します。

お仲間の御三方と同じように・・・! 」

 

 凄まじい笑みを浮かべる丑御前。その悍ましい表情を見たレイムは、怯えなどしなかった。

寧ろ、これで確信を持つことができた。

丑御前は、あるじぇんとやマリッサが死んだものだと思い込んでいる。

彼と彼女の身体の本来の主人との戦闘で、〈 上位転移 〉を見ているにもかかわらず、だ。

その誤認は、彼らにとって都合の良い認識だ。

その慢心、その迂闊さには、

 

 

 

「 ―――左様。所詮この世は、 」

 

 

 

 

 

 

『 是非もなし!! 』

 

 

「 !? 」

 

 いくらでも、付け入る隙があるというものだ。

 

 

「 撃てぇ、ノッブゥ!テウルギア発動だあぁぁあ!! 」

 

『 天魔降臨!

これが魔王の三段撃ちじゃあああ!! 』

 

 

 突如として降り注ぐ、無数の弾幕。その数、その規模は〈刹那五月雨撃ち〉のそれを優に超えている。

この化生はそれを掻い潜ろうとするが、

 

「 !? 」

 

 再び、縛られている。

身体が、赤紐で拘束されていることに気づく。

そう、平野だ。

彼が突然の味方の攻撃に合わせ、即座に御前の身を縛り上げたのである。

身動きの取れぬ神の化身、兼妖怪。

人々の、畏れの募る偶像。

そんな彼女にはこの弾はよく効くだろう。

そう、かつて戦国の世、第六天魔王を名乗り、天下布武を掲げたうつけ者(時代の革新者にして、旧時代の破壊者)の銃は。

 

「 あ、れ、は・・・! 」

 

 背後の神使諸共銃弾の嵐に晒されながら、その先にその姿を見る。飛竜に乗った黒い三角帽子。黒い法衣。

間違いない。あの場で死んだはずの、いや、そう思い込んでいた魔術師だ。

その傍らには、まさしく魔王のペルソナがいる。

 

 

「 貴様ァァァァア!! 」

 

「 何?アタシが死んだもんだと思ってたのか?悪いな、虫は虫でもゴキブリ並みにしぶといんだよ。

それよりも、あれ、いいのか? 」

 

「 なにを・・・!? 」

 

 丑御前は目を疑った。自身の後ろ、巨大なる神使に、竜の群れが殺到し、それに乗った魔術師たちが魔法を行使して攻撃しているではないか。

やられた、と一瞬焦るが、その隙をホモの団(上位ギルド)は見逃さない。

これより、この大妖怪を討伐するなによりの有効打になりうる手を打つのだ。

タドコロに、遠方にいる仲間からの〈 伝言 〉が届く。

 

『 次ウチが行くでタドコロ。その次にヨームや。 』

 

「 いいすかぁ?レイム。 」

 

「 ええ。コウリュウ、〈 サイコキネシス 〉よ! 」

 

 レイムのペルソナ、黃の龍神の念波が、丑御前を襲う。

しかしこの程度では、多少怯ませるぐらいにしかならない。

だが、彼らはまず、隙さえ作れればそれで良い。

・・・もちうる手札の中で、恐らく丑御前への最大の解答を通す為ならば。

 

「 グゥ、この程度・・・! 」

 

「 ヴィシュヌ、〈 ゴッドハンド 〉! 」

 

 タドコロの放つ、文字通りの神の拳。〈 バイキルト 〉によって威力の上がったそれを、巨腕で以て受け止めてみせる。

神使が攻撃されているとて、どうということはない。

とっとと上に登りて、羽虫どもを芥に変え、この者どもを神使の蹄で沈めればよい。

そう楽観的に考えられるくらいには、丑御前はプレイヤー、この世界の強者は勿論のこと、ワールドエネミーでさえも凌駕しうる力を有している。

神だからだ。

神という、知的生命が最初に想像した、上位存在であるゆえに、彼女は人の子も畜生の類も寄せ付けぬ。

雷神牛頭天王、神道における素戔嗚尊の化身。

それがこの丑御前という心の海よりいでし(アヤカシ)である。

 

神ゆえに全能。

 

神ゆえに無敵。

 

神ゆえに不遜。

 

神ゆえに・・・

 

 

 

「 今よ、あるじぇんと!! 」

 

 

『 椀飯振る舞い、よろしゅうな? 』

 

傲慢。ゆえにこそ慢心し、足を掬われる。

それはまさしく、煙のように突然現れ、彼女の懐に入り込む。

この位置、この状態では雷や黒炎を放つくらいしか迎撃手段はないが、腹部への一撃はそんな隙を与えてくれない。

そして、その激痛ゆえに口が開く。

そう、口が開いたのだ。そこにめでたい時などに用いられるような、中々上質な杯が置かれる。

ならばこそ、ここで一つ思い出されるものがある。

丑御前の兄源頼光は、如何にして、鬼を討ったか。

 

『 「 死にはったらよろしおす。

       千紫万紅・神便鬼毒・・・・・ 」 』

 

 女の口にクイッと注がれる、杯の中の酒。それを無理やり押し込まれると、それまで剛力無双を誇ったはずのその身体が、徐々に顔色を悪くしていく。

 

 神便鬼毒酒。大江山の神仏が、かの鬼の頭領討伐に向かう源頼光と、その配下たる四天王たちに授けた酒である。

神や人が飲めば薬となり、逆に鬼にはこの上ない毒となる。

鬼の首領は山伏に化けた頼光一行にこの酒を振る舞われ、それを飲んで酔いつぶれている内に、拘束され、首を刎ねられた。

その逸話に由来するこの神に働きかける力(テウルギア)は、ルルの、丑御前の宿主たる女の求めた男の目論見通り、この鈴ヶ森の怪物を大きく弱らせる、毒となった。

この丑御前は、源頼光であると同時に、丑御前という妖怪、牛鬼でもある。

それ故に、それを再現したような彼女には、神便鬼毒酒は薬となることはない。

それまでの彼女への攻撃の多くは、この瞬間の為のもの。

壮絶なる、化かしだったのだ。

レイムたちが、山伏に扮するように、彼女の目を欺き、ひたすら隙を作って追い込み、酒を盛らせる。

そう、伝説とは、逆転した形で、それは再現された。

これこそが、ルルが考案した作戦であった。

大罪の徹甲弾を神使に放つ際に、高らかに声を上げたのも、その一環だ。

彼女はまんまと、トリックスターの奸計に嵌められたのだった。

 

「 ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ・・・ 」

 

 地に両膝を突き、咳き込む丑御前。

その前には、彼女に毒を盛った男。

殺したと思ったはずの竜人の姿。

 

「 どうや、ええ酒やろう?身もとろけるくらい絶品やさかい、じっくり堪能しようなぁ? 」

 

 そのはんなりとした言の葉に、もしやと思わず御前は男に顔を向ける。

その傍らにはやはり、それはいた。

角の生えた、恐ろしく蠱惑的な童女。

怖ろしさと見た目の歳に合わない色気が両立したそれが一目でなんなのか、理解した。

この、丑御前という神格が、源頼光という英雄が、決して認めてはならぬ相手。

宿敵と定められし、鬼。

 

「 おのれぇ、やはり貴様かぁ・・・!

 

 

 

 

  酒呑童子ィィィィィィイイイイイ!!! 」

 

 

「 なんや、こいつ嫌いかぁ?そんでもそない怒らんでもええやろぉ? 」

 

 剛毅 酒呑童子。HALとの戦いの中で、あるじぇんとが発現した、三体目のペルソナ。

頼光に討ち取られた大江山の鬼の首魁である。

ちなみに彼が急に京都弁を話し始めたのも、このペルソナによる影響である。

 

『 お~い、タドコロ〜!! 』

 

 またしても、別の人物からの〈伝言〉がタドコロに届く。

相手は神使を攻撃する部隊のサポートに回っていた女だ。

 

「 お、タソネキ、ルルたちは大丈夫か大丈夫か? 」

 

『 バッチェ順調に攻めてんぜ。この調子なら、時間はかかるが、この何処が紳士だかわからない神使とかいう物体は片せそうだ。 』

 

「 おおそうかそうか( NMHI )・・・ん? 」

 

 神使の頭上でそれまでよりもデカい音が鳴る。

見れば、そこには、青い巨神が拳を振り下ろして、神使を攻め立てているではないか。

審判 オベリスクの巨神兵。HALを追ってシモキタザワに来た女のとっておきのペルソナである。

これが一番、神使にダメージを与えているようだ。

 

「 あれはマコト姉貴だな?いいねぇ!んで、あの丑御前ってのはどう、やれそう? 」

 

『 思いの外弱ってんぜ。さっきの毒酒を直飲みさせられたのがよっぽど効いたらしい。

今だったらお前だけでも倒せるかもしんないぞ! 』

 

『 やはり、オレの睨んだ通りだったな。 』

 

「 ルル、そっちは順調みたいだな。 」

 

『 お陰様でな。お前がそっちにいったのは想定外だったが。 』

 

 

 

 

「 無明三段突き!! 」

 

 タドコロとタソ、ルルが話している間に、あるじぇんとと同じく遠方で待機していたヨームが、丑御前に奇襲をかける。

目にも留まらぬ速度で放たれる、三段の突き。

幕末の剣豪、誠の旗に集いし志士の神業。

 

さらに・・・

 

「 お、おの・・・ 」

 

「 ふざけんじゃねぇよオイ!誰が暴れていいっつったよオラァン!! 」

 

「 グゥ、ぅぅ・・・ 」

 

 ようやく復帰した葛城の一閃が、その身を切り裂く。

 

 先までの脅威はどうしたか、この2つの剣術に、手応えのある反応を見せる。

やはり、タソのいう通り、毒が効いて、弱っているのだ。

それを見たタドコロは、これ以上、こちらに人員を割く理由がないことを悟る。

 

「 そう。んじゃ、オレとあるじぇんと以外こっちに回すか。 」

 

『 いいのか? 』

 

「 構わねぇよ。んじゃ切るぜ。 」

 

 〈 伝言 〉は、こうして途切れた。

 

「 あとはもうオレとこいつだけでいいから、みんなあっち回って、どうぞ。 」

 

「 いいの?タドコロ。 」

 

「 大丈夫ッスよ。元々、オレがアッチに回るはずだったから、その埋め合わせが必要ですね。

いいな?あるじぇんと。 」

 

「 よろしおす・・・

パワード・スーツ『 タメトモMARK2 』自動狙撃モード起動。

対象、目前巨大オブジェクト、通称神使。

撃ち方、始め。 」

 

 神使への攻撃に、地上からの狙撃が加わり、下腹部にも、爆発が連発する。

それを放ったのは、あるじぇんとが借り受けた、マーズファクトリーの発明品である。

 

このタメトモは装備品であるパワード・スーツでありながら、この通り自動操縦機能まだ搭載されており、多少下がるものの、極めて高水準な性能を発揮する。

そう、その機能を発動させ、巨大な弓から、矢を連続して放っているのだ。

これが、爆発の元である。

 

ちなみにコントローラは、操縦者の手首に装備されるガントレット型通信機である。

これによる音声入力によって、タメトモの召喚、或いは自動操縦への切り替えを行う。

総じて、パワード・スーツの中でも革新的な1機が、このタメトモであった。

 

そして、これと同じ物が、もう一機、このシモキタザワに存在している。

 

「 タメトモMARK3、召喚! 」

 

また別の影が、凄まじい速度でその場に飛来する。

赤と黒の、威圧感を感じさせる機体だ。

あるじぇんとがそれに搭乗すると、全身に赤い葉脈が 入り、手に独特な刃をした刀が装備される。

幻想響がナザリックの宝物殿より強奪した一振り、

武御雷八式。

丑御前の手に持つ斬神刀皇の、姉妹剣である。

それの到着とともに、二人を除いたメンバーはその場を離れていく。

その場には野獣王と龍の求道者、そして彼らと相対する一匹の鬼だけがいた。

 

「 さて、タドコロ。ここからオレたちのセオリーに乗っ取って戦うんだが、オレは残りのMPが心許ないってことだけは覚えといてくれよ。 」

 

「 大丈夫ッスよ。そのセオリーってのに従う必要は、ないです。

行くぜ、ヴィシュヌ、テウルギア発動!! 」

 

 タドコロが、自身の心の鎧の真の力を目覚めさせる。

黒い魔神が、薄茶色の現身と合一する。

仮面と本体、これらが一つとなるのだが、HALがペルソナに乗っ取られる様をみていたあるじぇんとは、丑御前のそれとは違った印象を受ける。

あれは強引なものだったが、これは少し差異がある。

タドコロが意図して発動している。

HALのそれがレ○プならば、今起きているそれは、双方の合 意の下の行為とも例えられる。

 

「 ほぉ。貴方も、自身の身体を明け渡したのですか。 」

 

『 違います(否定)。お前のようなレ○プじゃないって、はっきり和姦だね。 』

 

 それは、超然として答える。

その堂々たる姿は、まさしく神の顕現であった。

タドコロとヴィシュヌが、合体した。

 

『 我は、ヴィシュヌタドコロ。

24歳、覚醒です。 』

 

 テウルギアには、そんなものまであったのか。

よもやよもやだと、あるじぇんとは関心を持つものの、今はそれどころではない。

 

 

『 行きますよ〜イクイク。 』

 

「 喰らえぇ!! 」

 

 丑御前は雷を放つが、軌道を読まれ、あっさりと躱される。

そして、迫る二人を前に、巨腕で迎え撃とうとするが、

 

『 暴れんなよ・・・暴れんなよ・・・ 』

 

タドコロ、いやヴィシュヌタドコロの一閃によって、脆く砕け散る。

それは今の丑御前が、どれだけ弱体化しているのかは勿論、このヴィシュヌタドコロという神とも人とも、異形種とも取れぬなにかの強大さを物語っている。

そこに・・・

 

「 シェアアアアアアア!! 」

 

 凄まじい叫びとともに、タメトモを纏ったあるじぇんとが斬りかかる。

漆黒と赤に染まった武御雷八式が、もう片方のユニットを叩き割る。破片が飛び散り、目が眩みそうになる中、斬神刀皇で、受け止めるが、連撃の中でそれは弾かれ、地面に突き刺さり、

 

 

「 ヴ"ォ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!! 」

 

『 Arrrrrrrrrrrr!! 』

 

 その一撃が、丑御前の身体を斬り裂く。

先の葛城やヨームのそれよりも、より大きなダメージを受けているようだ。

この武御雷八式、対ワールドチャンピオンを想定してか、かなりの切れ味を誇り、そこにペルソナランスロットのスキルと、タメトモが合わさることで、一撃一撃が並の前衛職のそれを凌駕していた。

そして、そこに・・・

 

「 決めろぉ、タドコロ! 」

 

『 悔い改めて。〈 ゴッドハンド 〉!! 』

 

 強化された神の拳が、その身を打ち砕く。

通常時とは、比べ物にもならない威力である。

毒によって弱っている上では、耐えられまい。

意識が薄れゆく中、彼女が思うのは、

 

( あぁ、ルル、くん(怪童丸)。私は、私は貴方を・・・ )

 

やはり、男か。

 

この一撃を以て、シモキタザワを震撼させた大怪異は、ようやく大地に斃れた。

 

 

 

 

 

「 ようやく鎮まったか。

自分の身を、憐れむなよ・・・憐れむなよ・・・ 」

 

 

いつの間にか元に戻ったタドコロは、あるものを取り出していた。

それは、あるじぇんとにも見慣れた物である。

 

「 ブランクカード。なにをするつもりだ? 」

 

「 見とけよ見とけよ〜! 」

 

カードを投げると、それは回転しながら地面に横たわる丑御前に刺さる。

すると、その身から光り、それをカードが吸収していく。

やがてそれが終わると、タドコロの手元に戻り、それには何処か酒呑童子に似た少女の姿が描かれていた。

 

「 たっち・みーが好きそう・・・好きそうじゃない? 」

 

「 そうだが、そんなんどこで覚えた? 」

 

「 ラーメン屋の屋台の長鼻のジッチャマが教えてくれたッスね。 」

 

「 その話、後で詳しく。

・・・それよりも。 」

 

 

 タメトモから降りたあるじぇんとは丑御前のいた場所を見る。

 

そこには鈴ヶ森の化生の姿はなく、ただ、意識を失いながらも、確かに息をしている女の姿がそこにある。

 

そして、それを彼は目の当たりにした。

 

扇子を持った綺麗なドレスが一人でに立っている。いや、仮面を顔の辺りに押し当てている辺り、透明人間なのだろう。

それは彼らをみるなり、敵意はないと悟ったか、そのまま消えていった。

消滅したわけではない。

本体の、眠る女の中へと戻ったのである。

 

 

 神使もまた、独立しているとはいえ、丑御前とは繋がりがあったのだろう、彼女が斃されると途端に力が弱まり、

それまでのダメージも相まって、崩れていった。

残骸がシモキタザワに残り、それらと生ある者たちを、暁が照らしてくれている。

 

「 いいねぇ。ブループラネットの奴にも見せたかったぜ。 」

 

 ホモの団の、長い二日目の夜は、こうして明けた。





 かれこそ20話書いてるが、まだシモキタザワは転移して二日しか経ってなかったんだなぁ・・・
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