ナザリックレ○プ!至高の"元"御方と化した先輩!   作:ニコラス―NICORUTH―

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すいまへ~ん!(大墳墓滅亡は)まぁだ時間かかりそうですかね?

所変わってナザリック地下大墳墓宝物殿。

 

「 どうですか?進捗の方は。 」

 

「 よっぽど溜め込んだみたいねぇ、あのイキリ骸骨。

まだまだ全部にはほど遠いわ。

ユグドラシル金貨に至っては、まだ60%ものこってるし、ポーションやスクロール、素材の類も全然よ。 」

 

 『 幻想響 』のギルドマスターとその仲間は今日も、悪魔どもの財宝の略奪に励んでいた。

腕を組む巫女服の女の眼前には、尚も高くそびえる黄金の山。これをひたすら灼熱都市に放り込む日々が続いていた。

しょっちゅうという程ではないが。しかし、ここまでの量であるとは、レイム自身も想定外であった。

 

パンドラズ・アクター、ならびにシズ・デルタ、そしてギルドアイテムであるリングオブアインズ・ウール・ゴウンの殆どが彼らの掌中に収まってしまっている以上、もはやこの宝物殿は伽藍堂になるのを待つばかりである。

そうなれば、ギルドの維持費を払えなくなり、この大墳墓のすべてのセキュリティは崩壊する。

そこまで至れば、あとは残りのNPCたちを処分して、この大墳墓との因縁も終わるというわけである。

 

 しかしながら、最後の日まで残っていたギルドマスターのモモンガはよほどこの大墳墓への思い入れが強かったのだろう。数週間経とうが、数人程度の人員では、まだまだ三カ月ほどはかかるくらいにまで、資源を貯蔵していたようである。

 

ならば人数を増やせばいいのではないかという話になるが、そう簡単でもない。

MURやタクヤは直ぐ側の連合国にいることが多くなり、タドコロとルルはここ最近ワーカーとしての仕事でシモキタザワを留守にしていることが多くなった。

蓮や平野もルルを狙ってきた虜囚の監視についてることが多い他、NPCたちも、都市の警護などで、そんなに多く駆り出せない。

他にも、ルルのいなくなったエルフ王国に行ってしまったプレイヤーもいるので、とにかく人手が足りない。

結局、この宝物殿から宝の山を持ち出せるのは、彼女くらいなのが現状だ。

 

 ヨームがレイムに進捗を尋ねたのも、彼女がいつでもこの宝物殿にいるわけではないからだ。

彼女は普段、カッツェ平野にてアンデッドを討伐し、その氾濫を防いでいる。

ちなみにマリッサは先日燃やされた合ドラ農場の後始末と、異種交配用の牧場の管理でやはりいない。

あんな酔狂なもの、そう上手くいくものかとレイムは疑問に思っているが、あの親友のことだ。

倫理観をガン無視してなにかしらの策を講じているところであろう。

彼女は子どもが欲しいわけでは無いが、マリッサの努力自体はできれば報われてほしいものだと密かに願っている。

成功するかどうかは別として。

 

 

「 暇だったんでしょうか?このギルドの人。 」

 

「 そんなんじゃないわ。きっと寂しかったんじゃないかしら? 」

 

「 寂しかった・・・そうか。アインズ・ウール・ゴウンはユグドラシルの衰退の煽りをもろに受けた。

にもかかわらず、新メンバーの募集をかけたり、うちみたいに他のギルドと連合を組むなどしなかった。

在りし日の頃を求めるばかりに、それが疎かになったと?

サービス終了日までずっと、資材集めをしてたわけですか。 」

 

「 そんなところでしょうね。

ユグドラシルが終わる終わるって言われても、また最盛期のように過ごせるなんてどっかで思ってたんでしょうね。

そんな筈がないのに。

あれが日本のゲームの代名詞なんて言われたの、大分昔なのよ?

過去を求めたところでそれが戻ってくるなら、誰も苦労しないし、後悔だってしないわよ。 」

 

「 過去、ですか。 」

 

「 そう。ルルじゃないけども、すべてはもう、過ぎ去ったことよ。 」

 

 ヨームは少しばかり、その二言を聴いてかつての自分たちを思い返す。

 

 

―――そういえば、あんなことがあったものだ。

 

 その昔、ユグドラシルに存在していた傭兵団、薩摩ギルド。

その殆どのメンバーが鹿児島付近の九州地方方面出身であるそのギルドは、他に類をみない近接職オンリーの戦闘集団だった。

ワールドチャンピオンクラスのプレイヤーすらも含めた100人もの隼人、それらがたった13人を前に全滅したのである。

彼女自身、そんなもの誇るでもないが、

その当時、誰もが耳を疑ったまさしく幻想の如き噂が、ムスペルヘイム中に響き渡ったのを、よく覚えている。

が、そんなもの、昔の話である。

今は今なのだ。

あの頃は楽しかった。だが、ユグドラシルは終わったのだ。

 

 

「 文字通り、兵どもが夢の跡ね。

それが一人歩きしてるとあれば、アイツも胃に穴が空きそうなところでしょう。

あちこち歩き回って、連中のやらかしを直に見てしまっているだろうし、病んでてもおかしくない。 」

 

「 タドコロさん、今どうしてるんでしたっけ? 」

 

「 このナザリックのすぐ近くにいるらしいわ。

外の大森林の調査とかなんとかだそうだけども、化け物がでるらしいから、ほぼ確実に鉢合わせるでしょうね。 」

 

「 え?大丈夫なんですか? 」

 

「 連中の主戦力の殆どはもうとっくにやられてるわ。それにアイツだって、伊達にあんなゲームを十年も続けてないわ。

問題ないでしょうね、身体の方は。 」

 

 レイムは古い付き合いの友人の身を案じていた。既に過去のこととはいえ、古巣であるナザリックが、己の預かり知らぬところで、無辜の民を虐げる。

そして彼は、その跡を見せつけられるわけである。

なんの罰ゲームか。

これがもし、自分たちのギルド拠点とかだったらと思うと、ゾッとしてくる。

そんな目に遭うタドコロの精神的負担は計り知れないだろう。

 

「 その化け物って、ユグドラシルのモンスターなんでしょうか? 」

 

「 さあ。ただこの世界の連中に手に負えないものではあるだろうし、それに・・・ 」

 

「 それに? 」

 

「 嫌な予感がするのよ。あの帝国のオブジェクトを見てしまってるせいかしらね。

もっと酷いものがでてきそうで。 」

 

「 もっと酷いもの? 」

 

「 例えば、あの丑御前みたいなのとか。 」

 

 例外あれども、彼女の勘、女の勘はよく当たる。

あの夜以降、レイムは考えていたことがあった。

あの日、シモキタザワを襲った鈴ヶ森の化生。

あれと同質の存在が、この世界には存在しているのではないか。

原因など、もはやいうまでもない。

 

「 この世界の現地人の中に、ペルソナ使いがいるんですか? 」

 

「 そんなんじゃないわ。

ただ、やつらが思っている以上に被害者の、もとい知的生命の恨みってのは怖ろしいものなのよ。

アレはルルへの歪んだ愛情、というより執着からああなったっぽいけど、あの時のそれに勝りうる感情を私は知ってる。 」

 

 人はそれを、憎悪と呼ぶ。

踏み躙られた者。なにかを奪われた者。貶められた者。

形はどうあれ、人ならば必ずといっていいほど一度は覚える感情だ。

なにかを喪った悲しみ、自分たちがなにをしたのかという嘆きから、なにかを憎み、怒り、その中でそれは育っていく。

地獄の炎になんど焼かれようと消えぬようなそれ、黒一色の負の感情に彩られた、毒々しい異形の花々のよう。

それらしい動機もあるのだ。アレのような化け物が、他にいたっておかしくないのかもしれない。

 

レイムは、黄金の山に登って金貨をズダ袋にいれながら、考察する。

この世界の者たちは自分たちよりも力が劣る。

レベル100のNPC一人にも到底太刀打ちできないほどに。

しかし、そんな力の差と感情の有無はイコールしないものである。

文化や言語に差異あれど、知性はおおよそ自分たちのいた世界の人間と大差はない。

 

ヨームの囲った少女、アルシェは危険なワーカーの仕事に身をやつしてでも双子の妹たちと暮らそうとしていた。

それは、彼女の、姉妹への"愛情"である。

それに彼女はナザリックに手も足も出ない存在であるのは確かだが、死にたくない一心でなんとかシモキタザワにまで逃げ込んでこれたのも事実。

これはまさにレイムたちも持ち合わせている生存本能そのものだ。

いつぞや、どこかで聞いた気にする言葉がある。

"どんなにみっともなくても、生物は最後の瞬間まで生きようとしますよ。"

 

生命ある限り、生き足掻こうとする。これぞ生命たる所以。

そして、その生きたいという感情もまた、まさしく人間のそれだ。

この世界に生きる人間たちも、きっとそうなのだ。

現にナザリックがこの大陸西側を目茶苦茶にして以降、カッツェ平野では、それまでは考えられないような、高レベルのアンデッドが出現するようになったのだという。

 

 それまでは、レベル40以下のデスナイトですら、滅多に出てこないくらいであったが、かの悪魔どもが暴れてからは、アンデッドのレベル帯だけが、段違いになっていったそうである。

ただでさえ亜人に追いやられ気味な人間種の生存圏、そして人口が目に見えて減少したのみならず、それと入れ替わるように、生者の敵たる魔物が増加する。

人間にとっても亜人にとっても、由々しき事態ではある。

 

 

が、はたしてでてくるのは、オーバーロードやグリムリーパータナトスのような、ユグドラシルのモンスターだけなのだろうか。

先のあの鈴ヶ森の牛鬼のような、より怖ろしいものだってあり得る。

レイムは、そんなゲームの存在ではない、なにかの出現をこそを警戒すべきと考えていた。

ナザリックを倒せばそれで終わりではない。

奴らとの因縁は、たとえこの大墳墓を滅したとしても、暫く残り続けるだろうという予感すら、彼女は感じていた

その証拠足りうるのが、最近巷で噂される大森林の化け物、

"炎の魔神"であるということも。

 

 

 

「 化けてでるってことですかね?

その怪物はナザリックに殺された誰かのお化けとか。 」

 

 

「 さあ?あまりにも情報が少なすぎて、はっきりとわかんないのよ。だからそこが不安なの。」

 

「 MURさんはなんて? 」

 

「 調査にでた冒険者のうち、生き残りはたった一人。そいつも足が速かったから、なんとか逃げ切れたみたいなんだけども・・・ 」

 

「 そいつね、あまりその冒険者たちに執着してなかったらしいの。

狙える位置にいるのに、逃げてく生存者をそのまま逃してどっかにいったみたい。

殺せるのに、なに考えてるんでしょうね? 」

 

 全貌こそ分からぬものの、ヨームには、それがなんなのかがなんとなく掴めた感じがした。

 

 

「 もしかして、復讐しようとしてるんですかね?ナザリックに。 」

 

「 さあ?あのトブの大森林に何かしらの種族の現地人がいたんじゃないかしら?

エルフ王国だってエイヴァーシャにあるんだし。

そいつらも、帝国と同じ目に、なんて想像つくわ。

奴らにとって、カモ以外の何物でもないもの。

でもね、人の恨みってのは、怖いのよ。

どんな怪物よりも。 」

 

 レイムもヨームも、そしてこの場にいないマリッサも、あるSTGのフォロワーだ。

そのゲームには設定として、人と妖怪が共存する楽園が舞台である、というものがある。

それで妖怪に興味を持った、というより、もともとオカルトに人一倍以上に関心のあって、それがより加速化したレイムは、それらのデータを片っ端から集めていった。

そうした結果、22世紀には珍しい、ちょっとした妖怪博士になっていたのだ。

あとは、特撮にも少し明るい。

その点はマリッサやアインズ・ウール・ゴウンにいたワールド職の二人のほうが知識があるらしいが。

 

 

「 ねぇヨーム。 」

 

 妖怪のいくつかには、人の怨念から生まれたものがある。人は勿論、犬や猫、果てはなにかの道具なんかも、何かしらの怨恨によって、怪異へと変じる。

そんな風に言い伝えられている辺り、昔の人というのは、他者からの恨みをおそろしく思っていたのだろう。

妖怪やら霊魂を扱った創作に共通することが一つ。

酷い所業の末路は、より怖ろしいもの。

 

「 魔神って、なに(どこの誰)かしらね? 」

 

「 異形種、でしょうか? 」

 

「 少なくとも、ナザリックの奴らではないのは確かよ。あれが外敵をみすみす逃すわけがないもの。

奴ら、人形の癖に仕事だけは一丁前なのよね。その趣旨は今のところ、おおよその需要はないけれども。 」

 

怖ろしいのはやはり人である。

NPCなど、所詮は余人の造った人形でしかない。対して人間は、恨み辛みを募らせて、より悍ましいものへと変わる。

憎悪に染まった者は、なにをするかわからないものなのだ。

そう、あの丑御前のように。

レイムは嫌な予感がしてならなかった。

ナザリックの犠牲となった者たち。人間種亜人種問わずに、彼らは果たして、理不尽にも己らのすべてを奪った奴らを如何様に思っていようか。

すべての人が、仏頂面でいられようものか。

不当な搾取に、虐殺に怒り狂って当然だ。

もといた世界にもそんな人たちがいたのを、彼女は覚えている。

旧友、あのステロイドハゲの身内にも、そんな人物がいるとも聴いていた。

親しい仲であったらしいことも。

だからこそレイムは、その"怪物"と相対することになるだろうタドコロの身を案じている。

さて、またナザリックのつけを彼が払わされるのは半ば確定となったが、怪物は、如何なる仕打ちを受けたのだろうか。

こうして思い返されるのは、前に読んだことのある、小説の魔法使いの言葉。

 

「 怪物はね、言葉を喋ってはならないし、正体不明でなければならず、不死身でなければ意味がないのよ。」

 

「 空の境界、ですか?面白いですよね、あの小説。 」

 

「 それがなにか、それが何故起こったのかを知った時、目撃者にとって、それは怪物ではないなにかになる。

その正体を知った時、そのなにかがなんであるかを理解した時アイツは何を思うんでしょうね? 」

 

「 ・・・ 」

 

 ヨームも段々と心配になってきていた。

彼女自身、この頃出突っ張りのタドコロが精神的に余裕をなくし始めている状態だと察し始めていた。

外の惨状を直に目の当たりにしているのだから、疲弊していくのも無理はない。

怪物を見た時、どんな反応を示すか。そんなもの、良いものでは絶対にないであろう。

というより先ず、その怪物は彼らの手に負える存在なのだろうか。

 

「 そもそも、タドコロさんたちが勝てる相手なんですか? 」

 

 

「 性質によると思うけど、元がプレイヤーだった丑御前よりは確実に弱いし、十二分に勝ち目はあると思う。

あくまで、"思う"、だけども。

ルルもいるし、問題はないはずよ。

・・・メンタルの方は別だろうけどね。 」

 

 そう、勝ち負けだけではない。重要なのは、その後だ。

タドコロがどうなってしまうのか、二人は心配になっていたが、そのまま黄昏ているわけにもいかないので、作業を続けることにした。

 

「 そういえば、レイムさん。 」

 

「 なに? 」

 

「 こないだカッツェ平野にいた時にいた時に、プレイヤーらしき人をみたんですけども・・・ 」

 

「 プレイヤー?どんな? 」

 

「 白い軍服の女の人でした。オッパイも大きかったの覚えてます。あれJはあるんじゃないすかね? 」

 

「 白い軍服?ブ■ーチとかででてくるみたいな? 」

 

「 あぁ、はいはいそんな感じ、ていうかまんまですね?

あの部屋にイケメン連れ出して殺してそうな感じの・・・ 」

 

「 あぁ、アイツか。忙しいのにご苦労なことね。 」

 

「 え、レイムさん知り合いですか? 」

 

「 知り合いもなにもあんたも知ってんでしょ? 」

 

「 え、知り合いのプレイヤーに滅却師のなりきりさんなんかいませんよ? 」

 

「 実はね・・・ 」

 

「 え、えぇ!? 」

 

 ヨームは、レイムの話に驚きを隠せなかった。

 

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