ナザリックレ○プ!至高の"元"御方と化した先輩! 作:ニコラス―NICORUTH―
「 ぬわぁぁあん疲れたもぉおん! 」
「 チカレタ・・・ 」
「 いやぁきつかったっすよホント。 」
「 すげぇキツイゾ〜。 」
「 やめたくなりますよ瓦礫あさりィ〜。 」
翌日、オレはナザリックのさらなる手がかりと生存者を探して、すぐ近くだったらしいバハルス帝国という国に来ていた。国というよりはその規模の廃墟というか、ゴーストタウンのような様相だ。中流階級の民家らしき建物からなにかの重要な施設らしきものに至るまで、徹底的に破壊されていた。
まるで
そんなんでこうして人工物の残骸の石片や木片をどかしてますねぇ。オレはビーストテイマーだから魔獣を連れて行動出来る。今回も、何体かレベルの高い奴を連れてきてるから、大分作業も楽になってるはず、なんだが、それでもここまで苦労する羽目になるあたり、やっぱり破壊の規模が想定を超えてますね、これは。
「 石が多いということは石造りが主流だったのか? 」
「 民家は木製らしいのをみるに、公共施設なんかはそうでいいと思うゾ。しかし・・・ 」
MURはんは険しい顔をして、あるものを見つめている。人だ。赤い血に濡れ倒れ込んでいる。もはや人の形をした肉塊と化したそれは、ついこないだまで普通に生きてたんだよなぁ。悲しいなぁ・・・
「 異形種というのは、こうまで惨たらしく人間を殺せるものなのか。オラもこうする日が来るかもしれないと思うとゾッとするゾ。 」
「 ナザリックに関しては殆どカルマ値マイナスばっかすからねぇ。それが反映されてるとなれば、自分より弱い人間なんてカス以下だと思ってるのが自然なんだろうなぁ。
なにせ悪役ギルドだったからね、多少はね。 」
実際、アインズ・ウール・ゴウンにいた頃は、殆どのギルメンがNPCをそういう風に作っていた。
オレもそうだった。若気の至りってやつだ。
だが、みんなそれがひとりでに動き出して、こんなことをしでかすなんて思ってもみなかったろう。
「 こいつら格好から見るに、民間人かゾ。 」
「 そう、ですねぇ。わかってたつもりだがあいつら、非戦闘員も見境なしみたいですね。 」
「 こんなんでお前らが戻ってくるって連中本気で信じてるのかゾ? 」
「 こんなん誰も戻りたがらないってはっきりわかんだね。たとえこれ見てなにも感じなくても、やってることが、ね。 」
実際、異形種の身体になったからか、価値観というかなんというかが変わっているのがこれ見て実感できますね。
あくまでも変わるのは価値観。起きてる事象そのものでは、ないです。そうである以上は、今のナザリックに行きたがる奴なんて、あのギルドの中でも限られるだろう。
また別の場所に移って、瓦礫を退かす。
「 奴らは本当にお前らを探す為にこれをやったのか? 」
「 少なくともアウラとマーレ、あのダークエルフの双子はそうらしいッスね。ちなみにKMRが頭を覗いてみたら、
あのメスガキども曰く、ナザリック至上主義とでもゆうべき思想がありますねぇ! 」
「 至上主義?つまり奴らにとって、あの大墳墓以外の奴は全員下ってことかゾ? 」
「 そうっすね。多分。んでこいつらへの見解も、
・・・この山にも生きてるやつはいないっすね。次、行きますよ〜行く行く。 」
「 ポッチャマ・・・ 」
実際、彼は自分のNPC、デミウルゴスを作るときにこんなことになるだなんて思わなかったろうな。
丹精込めて作った自分の子ともいえるキャラクターが、自分の大嫌いな奴らと同じになるなんてよ。
本人への尊厳破壊もいいところだ。
悲しいなぁ・・・
瓦礫と屍山血河の中を魔獣に乗って進む中、MURが急にこんなことを言い出した。
「 あっそうだ。急に気になったんだがいいか? 」
「 なんすか? 」
「 お前も向こうでNPC作ってたんだろ?どんな奴ゾ? 」
・・・あぁ、そうか。そういえば、オレも作ってたんだったな。
「 今のオレと同じ、人狼ッスね。第九階層にいる戦闘メイドの一人・・・だったよな。 」
「 第九。あの地獄の第八階層のすぐ下かゾ? 」
「 そうっすね。あそこ突破されるとほぼほぼ詰みなんで、その下のNPCはリーダー格除いてみんな100いってないです。もっぱらギルメンが来るまでの時間稼ぎ要員っすね。 」
「 はえー。あの難攻不落の大墳墓の底はそうなってたのか。しかしメイドってことは、何故女ゾ? 」
「 気の迷い、すかね。正直そんな思い入れもないです。名前も覚えてないしな。
あそこにいた頃はオレにとっちゃ昔のことだしよ。オレにはシモキタザワがあるし、子種王やMUR、アンタたちがいますからね。NPCも、子種王の方が、思い入れもありますあります! 」
「 ・・・嬉しいゾ。そんな風に言ってくれると。 」
「 だからオレも腹を括って、始末しようと思う。
・・・こんな景色を、これ以上生まない為にな。 」
「 ん?・・・あっ( 絶句 ) 」
オレが魔獣の、トオノの足を止めたのを見て、なにがあったのか気になったであろうMURは前方に目を向けて、だんだんと血の気が引くような顔を浮かべた。
やはり、オレたちはまだ人の心が残ってるらしい。こんな悍ましいものを見て、感動なんて覚えたら、それは青髭男爵かなにかだろう。
そこにいたのは、子どもだ。同じくらいのサイズ、10歳いくかいかないか。おそらく双子であろう幼子が、串刺しにされ、丸焼きになっていた。
「 なんてことを・・・ 」
「 だれがこんな・・・ 」
「 それは言うまでもなく、奴らッスね。」
アルシェの頭を覗いたKMRに曰く、この世界では人間種よりも亜人種が幅を利かせているらしく、彼らの多くは、人間を捕食対象としている。
実際に帝国から南の竜王国って国ではビーストマンというライオンみたいな亜人が猛威を振るい、人間を狩って食ってるらしい。
しかし、そんな彼らは勿論、例えば地獄の獄卒だって、こんな真似をしでかそうなんて考えない。
明らかに常軌を逸している・・・!(無惨並感)
それを見て、オレは確信する。
「 もう、オレたちの過ごしたギルドじゃない。 」
―――ナザリックは、本物の悪魔の巣窟になった。
「・・・双子の、かろうじて金髪とわかる幼子。
アルシェ姉貴は妹たちと暮らす為に、ワーカーとかいうファンタジー版エッジランナーやってたんだよなぁ。
つまり、これは・・・ 」
「 タドコロ、それ以上言うな。 」
あるじぇんとがアウラを犯したことを容認し、彼女の身柄をそのままくれてやったオレだが、もしかしなくてもこれは大墳墓からギルドメンバーを遠ざける、最悪の行為だという事自体は理解できる。
実際メンバーの誰か、それこそモモンガがいたのなら、NPCはこんな真似をしようとはしなかったのかもしれない。
たとえ、人間に差別意識が働いたとしても。
こんなものをみせられて、一体だれが戻りたがる。
少なくとも現にオレは、戻りたいとは思えないし、思わない。
「 奴ら正気かゾ。ただ探すだけならば、こんなことする必要ないゾ。 」
「 NPCは、基本ホストやギルメンに忠実。こうすれば、きっと喜んでくれる。とか、考えてたのかもしれないっすね。
なにせ、オレらは奴らにとっての、神らしいからな。
実際アウラとマーレはより多く人間を殺せば、茶釜さんが喜ぶって本気で思ってたらしいからな。
すぎた信仰心も、こうして民草を脅かすわけだ。 」
「 だからといって、ここまでのことが、許されていいのか。食うわけでも、死体をアンデッドとして活用するわけでもない。そしておそらくはなんらの危害を加えていない。
そんな奴らを、こんな風に・・・! 」
MUR、かなりショック受けてますね。みろよなぁ、この無惨な姿をよぉ。年端もいかないロリたちが殺されてんだよなぁ、あいつらのせいでよぉ!
ナザリックはすでに取り返しのつかないところまでいってるってはっきりわかんだね。あいつら中世ヨーロッパ人かなにかかな?これを擁護しろというんなら、そいつは間違いなく頭逝きますよ〜。
早めに手を打たないと、被害が広がるばかりだってはっきりわかんだね。
「 とにかく、この子たち弔いましょうよ。ずっとこうなんてそれこそ救いがないです。 」
「 そうだな。 」
こうしてオレは、一度魔獣、トオノから降りて、同じく連れていた神狩狼、ハタノに穴を掘らせ、その中に2人を埋めた。
申し訳程度ながらにそこらに転がっていたいい感じの木片を立てて、墓石代わりにすると、手と手を合わせて、オレたちは冥福を祈る。
「 憐れむなよ、憐れむなよ・・・ 」
「 葬だよ。(おくりびと) 」
たとえ、この世が弱肉強食だとしてもよ、こんなこと許されるはずがないんだよな。
まずは連中に話を聞くところからか。一度ナザリックに赴く必要があるのかもしれない。
「 MURはん、他に誰かいないか捜索を再開しますよ、するする。 」
「 おっそうだな。
・・・一応、タクヤさんやKMRに伝えとくゾ。アルシェちゃんにはこのことは? 」
「 嫌でも話すことになりますねぇ。辛いですね、これは辛い。 」
そうしてオレたちはまたこの悍ましい殺戮の跡を探っていくことになる。
あの幼子のような死に様を、なんど見ることになるだろう。
そして実際に、弄ばれ、中にはまるで邪教の御神体のような有様になっているものさえ見つかった。
それらには決まって、マーキングがなされていた。
昔懐かしい、アインズ・ウール・ゴウンの紋章だ。
中にはメンバーのエンブレムがあるものまである。
そう、オレやウルベルトはんのものも。
それを見るごとに、焼いたりして弔った。
あいつら、本当に自分たちをそういう風にみているんだろう。神に創られたのだから、何をしても良い、と。
彼らが、自分とは無関係なのは確か。でもよ、今のこの惨状をみると、
反吐がで、でますよ・・・
「 異形種の屑どもがこの野郎・・・ 」
オレは、思わずそう呟いていた。MURもこの悍ましいオブジェクト群を目にする度に、苦々しい表情を浮かべている。
やっぱり、オレ以外からみても、これはあまりに酷く見えるのか。それにどこかホッとしている。人間性がある程度残っていてくれているのは、オレだけじゃないと分かるからか。
「 あ、メコン川様! 」
ふと、そんな声がした方向を振り向くと、修道服、正確にはそれに寄せた改造メイド服の女が一人、オレに向かって歩いてくる。
赤毛に、耳らしきものが覆われ隠された帽子。褐色の肌。
・・・あぁ、こいつだったな。オレが創ったの。
「 お前、確かなんってったっけか? 」
「 ルプスレギナッス!ルプスレギナ・ベータ!! 」
そうだったな。そんな名前だった。MURはんにいった通り、このオレに平伏する女を作ったのは、本当に気の迷いだった。本当は当時も子種王みたいなのを作りたかったんだが、モモンガや他のメンバーから「 ギルドのメンツが云々 」と止められ、真面目に作った結果が、こいつだった。思えばオレも、あの辺りから既に、あの大墳墓を窮屈に感じ始めていたのかもしれない。
ルプスレギナに思い入れがないのも、そういうことなんだろうな。
「 探しましたよ!いやぁ、御方の捜索という重要任務中に玩具がこんなにいたもんだから、遊び過ぎたかなと思ってたら、まさか本当に会えるだなんて。 」
・・・おい待て。コイツ、今なんといった?
「 玩具ってのは? 」
「 はい。人間のことっス! 」
あなるほど。つまり、この女は殺したやつらを本当にそういう認識でしか見てないわけだ。概ね、想定していた通りだ。
オレの内でナザリックに対する嫌悪感がすっげぇデカくなってる。はっきりわかんだね。
「 これやったの、お前? 」
「 私じゃないッス。デミウルゴス様ッス。 」
「 ・・・そう。お前はこれを? 」
「 勿論お手伝いしたッス。 」
「 そのデミウルゴスは? 」
「 今ここにはいないッス。私や他の姉妹たちは見回りに残ってるッス。御方の手がかりがあれば報告しろとアルベド様から・・・ 」
「 ルプスレギナ。 」
「 はい。 」
「 お前には失望したよ・・・ 」
実際はそうするまでもないが、自然とこう口にでていたオレは、〈ポケットスペース〉から、得物の槍を取り出して、このメス狼に向けていた。
「 メコン川様。何故お怒りになられるのです!?私のなにが至らぬのでしょう!?必要あれば自害を・・・ 」
「 必要ないです・・・†悔い改めて† 」
こいつの設定をどう書いたかなんて覚えてない。もうかれこれ10年くらい昔のことだしな。がしかし、よっぽど残忍に書いたのだろう。アインズ・ウール・ゴウンの在り方に迎合せざるを得なかった、あの時のオレは。
だからだな、コイツがその腹を貫かれ、鮮血を噴き出しながら、その黄色い瞳から精気が喪われていく様をみても、なんとも思わないのは。
「 あ・・・う・・・メコ・・・川さ・・・ 」
「 オレはもう獣王メコン川じゃない。オレはタドコロ。
野獣王タドコロだ。 」
一度引き抜いて、地面に倒れた"それ"が消える様を見て、オレは何処か、スッキリしたようで、それでいて後味の悪い気分がした。
「 タドコロ・・・冷えてるか? 」
「 大丈夫ッスよ・・・行きましょうよそうしましょうよ。 」
みんなが丹精込めて作ったNPC。それが動いて、本人たちの意思も知らずに暴れまわる。知ったらそれを望まないメンバーだってきっといるだろうに。
尊厳破壊かなにかすかね?