「兄…さん…?」
見間違えるはずがない、黒のウルフカットに炎家の家紋が入った純黒のコート。
ボクがこの手で殺し、葬ったはずの兄さんが…そこに立っていた。
「…よぉ、久しぶりだな。白炎」
「ッ…兄さ、お前はあの時、ボクがこの手で殺したはず…!この手が殺し損ねるわけがないっ!」
倭ノ国で大戦の英雄・齊藤影吾郎師匠直々に鍛えてもらい、認めてもらった刀の腕だ。
即死するようにちゃんと斬ったし、その時感触も未だ離れていない。
だというのに、目の前に立っている兄さんは間違いなく本物だ…ボクの勘がそう告げている。
「ああ…間違えなく俺は華ノ国、始まりの十三氏族『炎家』前当主・光炎とその妻・李炎の間に産まれた第一子、黒炎だ」
ボクは『
炎家前当主・光炎が世間ではまだ生きていることになっており、実際は死んだいるということを知るのは炎家の人間とごく一部の関係者のみである。
これはまだ後を継げる者が育っていなかったというのと、直縁のボクら兄弟が父の異能を完全に発現できなかったことで後継者として認められなかったことが原因でもある。
が…もうひとつは父の隠し子であった青炎が炎家が代々異能を完全に発現したことによって、元平民である青炎とその母を炎家次期当主としての教育に時間を要しているためだ。
「…間違いない。お前は正真正銘ボクの兄、黒炎だ」
信じたくはなかった、だがもう受け入れるしかなかったのだ。
…兄さんが化け物になってしまったという現実を。
「…それで、なんでここにいる。お前が従っているラヴクラフトの活動拠点は南の大陸なのだからそこにいるべきだろう」
こんなのは理屈にならない、これは現れて欲しくなかったという願望だということはわかっている。
「…あーそういう。やっぱその辺はバレてるっぽいのな、まぁいいや。今からすごいことが始まるぜ?」
「…すごい、こと?」
背中に寒気が走る、悪い予感…そんな感じのものを直感で感じた。
〈あーあー。帝国民の皆さま〜お知らせがありま〜すっ〉
…放送?この声は…若い女か?
〈えっとね〜前ぶりは…いいか、いらない!今からゲームを開始するよ〜、ルールは簡単!今から指定する人間を帝国中から探し出して捕える!そして中央の政府前広場に連れてくること!〉
それと同時に指定対象となる人間の顔が帝国上空に写し出される。
「…は?」
〈指定する人間は『月ノ宮ルナ』『アル・V・ヘイム』『白炎』『メイ・クロスフォード』『ヨナ・アゼフィン』『アリス・ユークリッド』の計6名!全員を提出できると1億ルーパの賞金を全帝国民に配布しちゃうよ〜!ガンバっ!〉