元ロケット団のしたっぱは穏やかな暮らしを夢見ている。   作:瑠璃色砂糖月

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 バグポケの「ラシヲオコス」の表記を「らしをおこす」に修正してます。ポケモンだし地文のひらがなと続くとちょっと読みにくいしということで、意図的にカタカナ表記にしていたんですが、やはりバグポケの表記は正しくありたいということでひらがなに修正です。


いあ! いあ! あお!

 ドアを潜り抜けた先は水の中だった。

 あ、やっべ。と思った瞬間にらしをおこすが私を泡で囲んで空気を確保してくれた。『バブルこうせん』の応用である。

 

「ありがとう、らしをおこす」

「りゅ」

 

 らしをおこすは短く鳴いて、私の入った泡を長い体でぐるりと囲う。

 ニャルさんとハスラマは、水の中でもあまり動きに制限は無いらしく、空気がなくても大丈夫なようだった。

 

「で、ここはどこだ?」

「にあ」

 

 かなり深い水域らしく、真っ暗で静か過ぎる場所だった。らしをおこすに光を点けてもらうか、と考えていたら、ニャルさんがびゅるりと肉色の尻尾を振った。すると、辺りが鮮明に浮き上がる。暗視ができるようになったのか。

 「ありがとう」とニャルさんに伝えれば、誇らしげに胸を張った。

 

 さて、ここはどこかな。

 周りを見るに、石の建造物の中……長い廊下らしい。水中だからか藻が石を侵食している。

 

 ……見たことがある場所だな、ここ。

 

 

「る、ルーるルる、ルー」

 

 

 ずるり。

 

 

 廊下の突き当たりにある、扉のない部屋の入り口。そこから触手が1本出てきた。更に1本、2本と入り口に絡みつく触手の数が多くなり、本体が廊下へと現れた。

 

 蛸のような頭と胴体、蝙蝠のような翼、巨大な爪のある手足を持った、不自然な形状の軟体生物。

 色は緑色。……というか、表面を覆う藻のせいで緑色に見えているだけだ。

 

 彼はグレート・オールド・ワンの1体。

 せいしんポケモン、クトゥール。

 

 ギョロめく瞳が私を捉えた時、彼は嬉しそうに目を細めた。

 しかし、ハスラマを見つけた瞬間嫌そうな鳴き声を出す。「おいテメェ誰の縄張り入っとんじゃクソ黄色」とでも言いそうな眼力である。

 一方でハスラマは涼しい顔をしている。フードで顔は見えないけど、多分そんな感じだと思う。

 

 この2体、なんか仲が悪いんだよなぁ。

 いや、お互いが嫌悪しているというよりは、クトゥールが一方的に嫌っていると言うべきか。

 

「莠峨>縺ォ譚・縺溯ィウ縺倥c縺ェ繧、繝ィ。繧「繧カ繝亥「薙せ繧呈爾縺励↓縺阪◆繧薙□」

「るルる、ルる……?」

「縺ェ繧薙°縺ュ、霑キ蟄舌∩縺溘>」

 

 ハスラマが事情を説明すると、クトゥールは遠い目をした。「あいつ何やってんだ」と言いたげである。

 

「じゃあ、クトゥールはアザトボスを見てないってこと?」

「るルる」

「だよねぇ」

 

 頷いたクトゥールに頭を掻く。

 またもや外れたらしい。ニャルさんが石の床をくんくんと嗅いでいる。

 

「繧ッ繝医ぇ繝シ繝ォ縺ッ鬲疲ウ暮劵縺ィ縺玖ヲ九※縺ェ繧、?」

「?」

 

 魔法陣は見てないか、というハスラマの問いかけに、クトゥールは目をパチクリさせた。

 まあ、クトゥールはケーシィ並みによく寝るので、多分人間が来たとしても気づかない可能性が高い。その代わり、目覚めた時に近くにあるものに興味を惹かれる、かつ、可愛がりすぎて壊すタイプなのでこいつにも近寄らない方がいい。タイミングが悪かったら発狂待ったなしなので。

 

「じゃあ捜索しようか」

「にあ!」

「繧ェ縺」繧ア繝シ」

「ルぅ……?」

 

 クトゥールはよく分かっていない感じだったが、何かを探しているというのは分かったらしい。

 自宅探索を嫌がるタイプの引きこもりなのに、私達が神殿内を彷徨(うろつ)いても怒らなかった。ハスラマは許容できないのか触手でゴスゴス突いていたが。

 

「りゅ!」

「あー、あったあった」

「にあ」

「縺ゅ▲縺溘ロ」

「るル……?」

 

 らしをおこすが見つけてくれた。

 神殿の外壁に赤い召喚陣。

 血。で、描かれてはないだろう。おそらく赤く着色された油性の液体で描いている。ペンキかな、これ。

 ハスラマに見てもらえば、これもカルコサに残されていた召喚陣とよく似ているものだった。

 ニャルさんが反応しているから、おそらくこれからアザトボスの気配がしているのかもしれない。

 

「る、ルるル」

「え、なに? 何か思い出した? ……は?」

 

 ちょっと前に人間(生け贄)が来たけど、あれって食べちゃ駄目なやつだった?

 

 ……首を傾けられて思わず頭を抱えた。

 食ってんじゃねぇよ人間食うなって再三言っただろうがおバカ。しかも貴重な情報源を。おバカ。このおバカ。ぐうたらおバカ。大いなるおバカ。

 らしをおこすがクトゥールの首に長い体を巻きつけて『アイアンヘッド』を食らわせたら、クトゥールは悶絶した。

 よくやった。ハスラマと一緒にサムズアップした。

 らしをおこすは、ふんすと鼻を鳴らした。

 

「……いや待てよ。カルコサとイェルルに魔法陣があったってことは、ンガイとマドネス山脈にも魔法陣があるってことか? これ」

「りゅー……」

「にあー……」

 

「ちなみにクトゥール。どんな人間だったかは覚えてる?」

「るル……?」

「いつも供物を持ってくる連中と同じ格好してた?」

「るゥ……」

 

 クトゥールは首を横に振る。

 ということはベスティア秘密教団ではない誰かが魔方陣を描いた、ということ。

 

 ベスティア秘密教団には指定された修道服がある。ジャノメさんが着ていたあの修道服だ。

 クトゥールも自身を信仰して供物を持ってくる都合の良い人間が着ている服くらいは覚えているため、修道服さえ着ておけば命の危険はそこまでない。私服で来るという手も無いことは無いが、いつ覚醒するか分からないクトゥール相手にはハイリスクが過ぎるだろう。

 それに、万が一指定された服以外で供物を捧げるところを見つかってしまえば、ジャノメさんに半殺しにされるので、そんなことをする輩は基本的にいないだろう。最悪見せしめで磔の刑に処される可能性もあるし。

 

「ベスティア以外で「外」を信仰するカルト宗教ってあったかなぁ……」

 

 アーナム地方の宗教はベスティア秘密教団が一強なので、それ以外の宗教の情報はあまり入ってこない。「ベスティア秘密教団以外は邪教だ」とジャノメさん達が教祖を殺し、信者をベスティア秘密教団に引き込むからだ。

 特に報告もなかったからその辺の宗教間の争いはよく分かっていない。

 一応ジャノメさんに連絡して活発な宗教が無いかの確認をしておくのがいいかもしれない。

 

 あとはバカナスさんに金の羽振りがいいグループがいないかどうかの確認かな。

 アーナム地方の警察は大金で買収できる。その辺を調査すれば何か引っかかる人がいる可能性は高い。

 そして、引っかかった人が聞いたことがないグループの場合、接触して話を聞くのもありだと思う。

 

 ……うん。まあ、今考えられる策はこのくらいかな。

 

「ニャルさん、次行ける?」

「にあ~」

「私の予想だとンガイかマドネス山脈」

「んに゛ぃっ」

 

 マドネス山脈と聞いた時点で威嚇のような鳴き声を出すニャルさんに苦笑する。

 ニャルさんはあの山に棲んでるやつ嫌いだよなぁ……。

 紳士的だし、私はわりと好きなんだけど。

 

 さて、では気を取り直して次のドアを開いてみよう。

 

 

 

 

 

 と、思って『どこかしらドア』を開いたら、クトゥールまで着いてきた。

 どうやら寝るのにも飽きて暇らしい。

 着いてくるのはいいけど、ハスラマと喧嘩しないでよ。

 喧嘩するなってば。




・ベスティア秘密教団
 モデルは「ダゴン秘密教団」。勿論どんな団体かは作者の捏造でしかない。
 アーナム地方で最も信徒が多く、幅を利かせているカルト宗教団。ベスティア秘密教団以外は全て邪教認定のため、他宗教の教祖は皆殺しにしているし、信徒も洗脳して乗っ取ったり、ベスティア秘密教団に乗り移らさなければ普通に殺したりしている。
 この後アセビから連絡が入り、背後にクトゥールが居るのが見えて狂喜乱舞する。なんなりとお申し付けくださいませェっっ!!!!

・アーナム警察
 大体買収される。金でなんとかなりやすいが、更に大金を積めば容易に情報を売られるので注意。
 この後アーナム警察の裏帳簿にアセビから大金が振り込まれて買収される。まあ金をくれるならどんな無理難題でも聞いてやるよ。聞くだけな。実行できるとは言ってねぇからな???

・ニャルテップ
 また外したことにちょっと不機嫌。でも、色んな所を旅できて楽しい。はじめてアセビと会って旅した時みたい、とウキウキしている。

・ハスラマ
 アセビと一緒に捜索するのが意外と楽しい。
 クトゥールとは敵対関係のため、仲が悪い。
 ハスラマとしては、クトゥールのことをちょっかいかけるといい感じにキレる面白いやつだと思っているので、これからもちょっかいや悪戯をしかけて遊ぶ予定。

・アザトボス
 絶賛迷子中。
 お前今どこにおるんや。

・クトゥール
 分類  :せいしんポケモン
 タイプ :あく・みず
 通常特性:あおのきょうき
 夢特性 :???
 グレート・オールド・ワンの1体。生け贄が大好きな引きこもり。海底神殿イェルルは自分の棲み処かつ狂気の届く周囲は自身の縄張りだと認識しているため、その中に入ってきたものには非常に敏感。起きてさえいれば反応する。起きてさえいればね。
 ハスラマとは敵対関係にあり、度々ちょっかいをかけてくるハスラマのことを嫌悪している。ある意味での被害者。「ふざけんなよさっさと死ねクソ黄色」と常日頃から思っている。
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