思いついた一幕 世界会議編
「お前、わちきの妻にしてやるえ!ありがたく思うえ!」
「…消えろ下郎。もう二度と、私の前で臭い息を吐くな」
「なっ……!!?お、お前ムカつくえ!!」
「…消えろと、そう言ったぞ」
「うるさいえ!!おい!!!お前たち!!!こいつを──うぐっ!!?」
「…三度目だぞ、下郎。うんざりだ。お前の息は臭すぎる」
YOU DIDE
なお、諸事情でこの世界のラニはマリージョアには絶対に行きません。
なんなら人形ボディでもありません。素の肉体です。赤髪巨女です。
ドレスローザSOP作戦が開始され、ルフィ達がヴィオラ王女と王宮へ向かい、オモチャの家の前ではフランキーがおとりとなり、地下からはトンタッタ族とウソップ、ロビンが打倒シュガーを目指し移動していた。
そんな中、王宮『スートの間』ではドフラミンゴとラダーンが対峙していた。
「海軍が動いた。 よく決断してくれたな……赤獅子」
「なに……"麦わらの一味"に加え、さらに不審な者たちの動きがあるのなら被害を最小限に抑えるために戦うべきだと判断したまでのこと。 ここは戦場ではないのでな……戦士でない者を巻き込むのはわたしの誇りが許さん」
ラダーンはエルデの破砕戦争でも民間人に被害を与えるのを良しとはしていなかった。それは前世の倫理観から来るものなのか、それともラダーンが持つ気高さから来るものなのかまでは定かではないが、無辜の民を思う気持ちは本物だ。
その志ゆえか、大将に特任してからも部下となった海兵たちからの信頼は厚く、ラダーンもそれに応えるべく全ての海兵を育てた男と名高い"黒腕のゼファー"に倣い、部下たちの訓練にも励んだ。
その結果、誇り高い第二の赤獅子騎士ならぬ赤獅子海兵が生まれることとなった。
「それにだ、ドフラミンゴよ。 お前には聞きたいことがある」
「……なんだ?」
「……先程、バスティーユに確認したのだが、コロシアムの戦いに参加した選手──賞金首も含めて誰一人として出てきていないというのだが、不可解なことがあってな」
ラダーンは意識的に覇王色の覇気を放出しながらドフラミンゴへと詰め寄る。誤魔化すことは許さないという意を込めて。
「参加者のリストにあった名前に誰一人として覚えがないという。 現時点でバスティーユが把握しているのはAブロックの勝者、黒ひげ海賊団一番船船長"ジーザス・バージェス"。 Bブロックの勝者、"人食いのバルトロメオ"。同じくBブロック参加者"ハイエナのベラミー"。 Cブロック勝者、ルーシーこと"麦わらのルフィ"。 そして今しがた終わったDブロックの参加者ぐらいだという」
「それがどうかしたか? 他の奴が無名だったんだろう?腕利きを集めたとはいえ──」
「あの
ここでドフラミンゴは違和感を感じた。今挙げられた名を自分は知らずとも、目の前の男は知っているという明確な差に。
そしてそれは
(まさか──!!?
驚愕。ドフラミンゴでさえ──否、この世の誰もがオモチャに変えられたものの記憶を失うはずが、目の前の男にはそれが通じていないという事実に焦りを覚える。
「問おう、参加者は──ベラミーを除く敗者達は何処へやった? 誰一人出てこないというのはありえんだろう? わたしの見聞色でもコロシアムの中の人数が減っているのは分かっている」
迫る巨躯の男が静かにドフラミンゴを追い詰める。冷汗は止まらず、迫る相手に対して後退する。
「どうした。 答えられないのか?」
「──フッフッフ。 悪いが俺も参加者全員は把握してなくてな。分かるだろ? 今朝の誤報の件もあっておれも忙しかったのさ。 ただまあ……参加者は別の出口から退場しているのは確かだ」
ドフラミンゴは嘘は言っていない。ただ真実を口にしていないだけだ。
誤報のためにCP-0を動かし、"麦わら"とローの襲来に備え、あらゆる罠を張り巡らせるために忙しかったのは事実。そして、コロシアムの敗者が別の出口から退場しているのも嘘ではないが事実だ。
「参加者には賞金首もいるのは事実だ。 だが、この参加者をみすみす捕らえられでもしたらおれのビジネスに不都合になる。 だからお前たち海軍には悪いが、出口は別に用意しているのさ」
苦しい言い訳だが、
「……そうか。ならば仕方あるまい」
「フッフッフ。理解してもらえたようで何よりだ」
この状況を乗り越えたことで安堵の笑みを浮かべたドフラミンゴだったが、ラダーンには原作知識があるがゆえに「上手いこと言ったもんだ」と内心呆れていた。
それと同時にホビホビの能力の影響を受けずに済んだことにも安堵していた。覇気か、ラダーンの加護か、それとも転生者特有の何かかは不明だったが、忘れなければなんでも良かった。
「聞きたいことは聞いた。 わたしは戻るとしよう」
これから始まる混乱──否、動乱に備えるべくラダーンは王宮を後にした。
『すまねェドフィ~~~~!!! シュガーが気絶しちまったァ~~~~~!!!』
「!!? ……オイ何の冗談だ!!!」
『10年かけて増やし続けたおれ達の
ドレスローザSOP(シュガーおったまげパニック)作戦は成功!おもちゃに変えられた人々は次々に元の姿を取り戻し、ドレスローザはパニックに襲われた。
ドフラミンゴは相次ぐ報告に頭を抱えながら青筋を立てる。
そこへ──
「キュロスか!!?」
「はい!!! 10年間お待たせして!!!申し訳ありませんっ!!!」
「てめェは……!!!」
「今助けに来ました!!!」
片脚の兵隊のおもちゃ──元ドレスローザ軍隊長にして不敗の剣闘士キュロスがドフラミンゴの首を撥ね飛ばし、スートの間の制圧する。
そして追い詰められたドフラミンゴは最終手段に出る。
「これはマズイ事態だ……!! 『
「………………!!! 『鳥カゴ』を!!?」
糸人形の影武者と本体の二人掛かりで制圧されたスートの間を強襲し、キュロスを退けるドフラミンゴ。
最高幹部ピーカのイシイシの実の能力で王宮から放り出されたルフィ達。そしてリク王の「これ以上この国を傷つけないでくれェ~~~!!!」という叫びも空しく、ドフラミンゴは鳥カゴを発動させた。
鳥カゴはドレスローザ全てを覆い、電伝虫の電波さえも遮る。
「始まった……!! 『鳥カゴ』だ……!!! この国の真実が漏れる前に、今この島にいる奴らを
「え!!?」
そして降り注ぐ"
10年前のドレスローザの悲劇の再演──それ以上の惨劇が起きようとしていた。
さらにピーカの能力によって王宮は高く高く地形を変え、SMILE工場も地下から地上へと押し上げられる。
『ドレスローザの国民達……及び……客人達』
映像電伝虫によってドレスローザ中にドフラミンゴの放送が届く。
『別に初めからお前らを恐怖で支配しても良かったんだ……!! 真実を知り……!!おれを殺してェと思う奴もさぞ多かろう!! ――だからゲームを用意した……
おれは王宮にいる。 ……逃げも隠れもしない!!この命を取れれば当然そこでゲームセットだ!! ――だがもう一つだけゲームを終わらせる方法がある……!! 今からおれが名前を挙げる奴ら、全員の首を君らが取った場合だ!! なお、首一つ一つには多額の懸賞金を支払う!!殺るか殺られるか!! この国にいる全員が
ドフラミンゴは煽る。この状況を打開するために個人の欲望を刺激し、少しでも自分の有利な状況を作り出す。
『考えろ……おれの首を取りに来るか!! 我々ドンキホーテファミリーと共におれに盾つく12名の愚か者達に裁きを与えるか。選択を間違えばゲームは終わらねェ。星一つにつき1億ベリー!! こいつらこそが……!! ドレスローザの受刑者達だ!!』
こうしてドフラミンゴが12人のターゲットを発表する。
★1──"リク王の孫"レベッカ
"悪魔の子"ニコ・ロビン
"狐火の錦えもん"
"ドレスローザ元王女"ヴィオラ
"鉄人"フランキー
★2──"ドレスローザ元軍隊長"キュロス
"海賊狩りのゾロ"
★3──"革命軍参謀総長"サボ
"麦わらのルフィ"
"死の外科医"トラファルガー・ロー
"ドレスローザ元国王"リク・ドルド3世
そして──★5
"ゴッド"ウソップ
『迷ってる時間はないぞ!! 刻一刻と人間は倒れ町は燃えていく!!』
通信は切られ、ゲームという名の地獄が始まった──!!
「赤獅子さん、これからどうし──」
「バスティーユ中将、我々はまずドフラミンゴに操られ暴れている人間を抑え込む」
「ドフラミンゴは捕えないんですけ!!?」
「まずは住民の安全を確保するのだ。 こんな混沌とした状況では満足に戦えまい」
ラダーンは遂に始まってしまったこの地獄に対し、独自に動き出す。
確か、原作では打倒ドフラミンゴを邪魔されないようにと革命軍のサボが海軍の足止めに来るはず。
ただ、それはイッショウこと"藤虎"の思惑があり、手を貸さなかったという事情がある。
だが、この状況において海軍が信用を得るのは難しいだろうと判断したラダーンは信頼を置ける部下たちを──戦友を頼る。
「オウガ!! ジェーレン!! レナード!! フレイヤ!!」
「「「「ここに!!!」」」」
世界徴兵の折にラダーンと共に海兵となった戦友四人。
海軍中将"赤獅子騎士最古参"オウガ
海軍中将"異端狩り奇譚騎士"ジェーレン
海軍少将"痩せ馬"レナード
海軍大佐"赤獅子騎士"フレイヤ
共に破砕戦争を生き抜いた仲だからこそ、この様な現場でも安心して任せることが出来る。
そんな信頼できる戦友にラダーンは一言告げる。
「お前たち、海兵服を脱げ」
「「「えェ~~~ッ!!?」」」
ラダーンの発言に戦友以外が驚愕する。海兵服を脱げということは即ち海兵を辞めろということなのだ。この状況でいきなりクビ宣告という理不尽ともいえる発言にラダーンを信頼していた海兵たちの間に動揺が走る。
だが、告げられた本人たちは何の迷いもなく『正義』のコートを脱いだ。
「こ、こりゃあどういうコトですけェ!!?」
海軍に務めて長いバスティーユ中将も困惑している。
ラダーンは説明が必要かと口を開こうとするが、それをジェーレンが遮る。
「バスティーユ殿。 我ら四人はこれより海兵ではなく、世界政府加盟国の救援としてドフラミンゴ討伐の助力に入る。 海兵があの戦いに参加すれば敵味方入り交じり乱戦は免れぬ。 ならば、今この時海兵ではない我々赤獅子騎士が、微力ながらドフラミンゴに挑む勇者たちの力となろう」
「ああ……これほどの規模の戦いは破砕戦争ぶりだ。 我が大弓と剣技で幹部共を撃ち抜いてやろう」
「オウガ殿はうっかり大弓で殴りかかるのはやめるべきだと思うぞ?」
「そういうお前はもう少し肉をつけろレナード。 そんな貧相な身体でラダーン様を支えられると思ってか!!?」
「ハンッ! わいの身体は貧弱じゃない。無駄なものを削ぎ落した結果、ラダーン様を背に誰よりも速く戦場を駆け抜けることが──」
「でもお前ラダーン様に毎回体重軽くしてもらってるだろ。 情けないと思わんのか」
「すんませんっした!!!」
「謝るのが早い!!? まあ、移動は任せるぞレナード」
「イエッサ!!!」
そんな会話をしながら四人は着替えを済ませ、エルデで活躍していた頃の装備に着替え終える。
「ではお前たち、任せたぞ」
「「「「ははっ!!!」」」」
レナードは
「おい待てレナード!!! おれ達を乗せろォ!!!」
「移動は任せろと言っていたじゃろ!!?」
「わいの背に乗っていいのはラダーン様お一人だけだァ~~~ッ!!!」
「はっはっは~~~ッ!!! 戦場が私を待っているぞォーーッ!!!」
「…………赤獅子さん、大丈夫ですかあんなんで」
「大丈夫だ、問題ない。 ああ見えて
ラダーンの発言と同時に王の台地から巨人よりも遥かに大きな石像──ピーカが現れた。
ミケラの魅了が効かないラダーンだ。ホビホビの忘却が効かなくてもおかしくない。(おかしい)
なんなら普段からとてつもない覇気を纏ってるから効かないと言い訳もできる。最強だ……!(やり過ぎ)
まあ、あんまりラダーンを暴れさせるとルフィ達の活躍の場がなくなってしまうので、こういうところで格の差を見せつけようとした結果です。
レナードはラダーンの痩せ馬の名前らしいです。今作では幼少期から仲が良かったとある細身の少年がラダーンと共にあるために馬になる果実──ウマウマの実を食べて戦場を駆け抜けるに至ったという感じです。