朝日を受け、地下のベッドから起き上がったノクシスは、静かに階段をのぼる。
1階。テーブルには朝食が置かれていた。
フィル「あ、ノクシス。おはよう」
ノクシス「あぁ……」
フィル「ご飯、食べちゃってよ。食べ終わったら墜落現場と、それから脱出ポッドを見に行こう」
ノクシス「……わかった」
ガンダス「おう!おはよう!」
昨晩もたっぷり酒を飲んだのだろうか。ガンダスは朝から一段と酒臭い。
フィル「おやっさん、今日から現場行かないと」
ガンダス「わかってるよ!今回の金はもらえねぇんだろ?ったく……しかたねぇな……いただきまーすっ!」
フィル「いただきます!」
ノクシス「……い、いただきます……」
ガンダス「今日は脱出ポッド見に行くんだろ?」
フィル「うん。その前に墜落現場に行こうと思っててさ。もしかしたら、ノクシスがどこの星から来たとかわかる手がかりが、まだあるかもしれないし」
ガンダス「ん……そうか。じゃ、俺は先に現場行っとくかな」
フィル「うん、そうしてよ」
ノクシス(……うまい)
朝食を終えた3人。
ガンダス「よし!んじゃ久しぶりに現場に顔出すかな〜っと……くらぁ!?」
フィル「行ってらっしゃい!おやっさん。よし、俺らも行こう」
ノクシス「あぁ……うん」
⸻
その頃、作業現場。
―キュイイイイ……
―ドドドドドドド、ガガガッ!
作業員A「ん?なんだ?」
作業員B「どうした?」
作業員A「いや……なんかここ、ドリルが動かねぇし。刃が欠けちまったんだよ」
作業員C「あぁ? 親方ー!!」
ノックス「ん? どうした!」
作業員C「ドリルが欠けちまった!」
ノックス「なぁあにいい!?」
作業員A「ここだけ鉱石の質が違ぇんだよ」
ノックス「……わかった! 一旦作業中止!新しいドリルが来るまで休憩だ!」
作業員たち「おっす!」「やったー!」
ノックス「おい、新しいのの手配たのむわ」
作業員「わかりやした!」
ガンダス「おう!ノックス!来てやったぞ?なんだ?今日はもう終わりか?」
ノックス「ガンダス、この野郎。久々に来たと思えば……。今ちょうど新しいドリル持ってきてもらってるとこだ。それまで休憩だよ」
ノックスはガンダスの声を聞くや、足場の高所から器用に飛び降り、そのまま眼前へと降りてくる。
ガンダス「よう、兄弟」
ノックス「何が兄弟だ! 腰はいいのかよ?」
ガンダス「おう、心配かけたな!」
そう言いながら、なぜかコサックダンスを披露する。
ノックス(……絶対嘘だな、腰痛)
ノックス「そんなことよりよ、大変だぞ」
ガンダス「ん?」
ノックスの表情が曇る。空気に不穏な気配が漂い始める──。
⸻
4日前、ノクシスが脱出ポッドで墜落した場所。
フィル「ここだよ。ここで君を助けたんだ。……ん〜、何もないみたいだね」
ノクシス「そうだな……」
フィル「よいしょっ」
フィルは大きめの岩に腰掛ける。ノクシスも隣に座った。
乾いた風が、優しく2人を撫でていく。
フィル「はー……気持ちいいね」
ノクシス「……うん……」
静かに頷くノクシス。穏やかな時間が流れる。
フィル「あと2日で、オイラは母星に帰るんだ」
ノクシス「え?」
フィル「ほら、昨日おやっさんが言ってたろ?俺たちはこの星に“出稼ぎ”に来てるんだって」
フィル「この周辺の惑星はさ、このザハルダも、オイラの母星グリンデラも、全部ちょっと前まで“侵略”を受けていたんだ」
ノクシス「……侵略?」
“侵略”という言葉が、晴れた空を鋭く切り裂いた─