NOXIS   作:成道真生

6 / 11
第6話 影道ーエイドウー

墜落現場から作業現場へ向かう道中。

 

フィル「アニキ!あと少しでオイラたちの作業現場だ。そこに脱出ポッドがあるからさ!」

 

フィルは楽しそうにノクシスと話している。

 

???「フィルゥウウウ!!」

 

坂道を転がる鉄球のごとく、ガンダスがものすごい勢いで走ってきた。

 

フィル「あ? おやっさんだ!おやっさーん!どうしたんだい?そんなに慌てて──」

 

ガンダス「そいつから離れろぉぉおお!!」

 

フィル「え?」

 

ガンダスはフィルを抱き抱え、ノクシスと距離をとる。自分の後ろにフィルを隠すように立ちはだかる。

 

フィル「な、なにすんだよ!おやっさん!」

 

ガンダス「はぁ…はぁ……うるさい、静かにしてろ。……何が目的だ?」

 

フィル「目的……?」

 

ガンダス「何か隠してるんだろ、ノクシス!」

 

ノクシス「……?」

 

戸惑うノクシス。

 

フィル「おやっさん、何言ってんだよ!アニキは記憶が──」

 

ガンダス「黙れ!フィル!!」

 

これまでに聞いたことのない怒号。

あまりの剣幕に、フィルは言葉を失った。

 

重く、静かな時間が流れる。

 

ガンダス「……お前の乗っていた脱出ポッドを見てきた。驚いたよ、ある物を見つけた……それは俺たちを散々苦しめた奴らのマークだった。そう、カイ──」

 

フィル「やめて!!」

 

ガンダス/ノクシス「!?」

 

ガンダスの言葉を、フィルは涙を流しながら遮った。

その目は、まるで全てを知っているかのようだった。

 

ガンダス「……フィル、まさかお前……」

 

フィル「……知ってるよ。ノクシス……アニキは、闇の存在なんでしょ?」

 

ノクシス「……闇……くっ!(なんだ……)」

 

ノクシスを鋭く重い衝撃が一瞬襲った。

 

フィル「あの夜……オイラが墜落現場に駆けつけたら──」

 

 

【回想・あの日の真実】

 

墜落現場。

 

人のようなシルエットが揺れていた。

 

フィル(回想)「おい!聞こえるか!? 大丈夫か!?」

 

ノクシス(暴走)「うぁあああ!!!ぐわぁ!」

 

フィルに襲いかかる、禍々しい黒い人影。

赤く光るその目に、人の理性はなかった。

 

フィル「うわっ!」

 

勢いに圧され、地面に尻もちをつくフィル。恐怖のあまり腰が抜け、後ずさることしかできない。

 

ノクシス(暴走)「ぐあ!ふん!ぐががが!」

 

フィル「はっ…はぁ…はぁ……!」

 

声も出ない。逃げようとするも──

 

フィル「ひゃっ!」

 

背中が岩にぶつかり、逃げ道が塞がれる。

 

黒い影が、まるで獲物にトドメを刺す獣のようにジリジリと近づいてくる。

 

ノクシス(暴走)「ぐぁああ!」

 

フィル「うわぁあああ!」

 

振り上げられる右の拳。その瞬間──

 

ノクシス(暴走)「んん!ぐううう!んんん!」

 

振りかぶられた右手が止まった。

それは、左手が右手首を掴み、必死に抑えていたからだった。

銀色のブレスレットが微かに光っている。

 

ノクシス(暴走)「んんんん!ぐぁああ!うっ……」

 

──バタンッ!

 

禍々しいオーラをまとった存在はその場に崩れ落ちる。

輪郭がほどけ、姿が変化し──ノクシスの人間体が姿を現した。

 

フィル「はぁ…はぁ……」

 

フィルは恐る恐るその顔を覗き込む。

 

フィル「……兄ちゃん?」

 

フィルはその姿にどことなく死んだ兄の姿がかぶった

遠くから、声が聞こえてくる。

 

ガンダス(回想)「おおおい!大丈夫か!フィル!!」

 

 

【回想終了・現在】

 

ノクシス「俺が……フィルを……闇の……ぐっ、んん!」

 

ガンダス「なに!?じゃあお前、知っててあれこれ理由つけて連れてきたのか!」

 

フィル「だって!!みんなにもし知られたら、絶対命を奪おうとするでしょ!? そんなの、嫌だったんだよ!!」

 

ガンダス「当たり前だろ!こいつの脱出ポッドにはな……カイザーベリアルのマークが入ってたんだよ!!」

 

フィル「へっ……!?」

 

ノクシス「ベリアル……んん!ぐぁああ!!」

 

これまでにない苦痛がノクシスを襲い、身をよじる。

 

ガンダス「な、なんだ!? おい大丈夫か!?」

 

フィル「アニキ!!」

 

前へ出ようとするフィルを、ガンダスが必死に止める。

 

ノクシス「な……なんだ、この異常な……力は……怒りは……うわぁぁあああ!!!」

 

──ノクシスの記憶

 

闇の巨人「フハハハハハ!!!」

 

──現実

 

ノクシスの身体から吹き出す黒いエネルギーが、辺りを荒らしていく。

 

ガンダス「危ない!フィル、こっちだ!」

 

フィル「アニキ!アニキィィィ!!!」

 

ガンダスはフィルを抱きかかえ、来た道を全速力で戻っていく。

 

ノクシス「うわぁぁあああ!!!!!」

 

禍々しい黒いオーラがノクシスを包み、瞳が赤く輝く。

だがその胸元、左腕のブレスレットが呼応するように微かに、優しく光っていた。

 

ノクシス「うわぁぁあ!!うっ……!」

 

その場に、ノクシスは崩れ落ちた──。

 

 

【その頃 作業現場・地下】

 

ブゥン!ブゥン!

ピピピッ……ピピピー!

 

レギオノイドα「闇を検出……再起動」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

 

作業現場の岩盤の奥。

ドリルが通らなかった“鉱物”──それは、かつて戦争で地に伏した兵士。

ベリアル軍のロボット兵・レギオノイドだった。

 

レギオノイドβ「通信不能。上位指令なし」

 

レギオノイドα「侵略行動を再開!」

 

キュイイイイイイン……!!

ドガァァァン!!

 

腕から放たれた光線が地面を破り、

2体のレギオノイドが地上へと飛び出していく──!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。