墜落現場から作業現場へ向かう道中。
フィル「アニキ!あと少しでオイラたちの作業現場だ。そこに脱出ポッドがあるからさ!」
フィルは楽しそうにノクシスと話している。
???「フィルゥウウウ!!」
坂道を転がる鉄球のごとく、ガンダスがものすごい勢いで走ってきた。
フィル「あ? おやっさんだ!おやっさーん!どうしたんだい?そんなに慌てて──」
ガンダス「そいつから離れろぉぉおお!!」
フィル「え?」
ガンダスはフィルを抱き抱え、ノクシスと距離をとる。自分の後ろにフィルを隠すように立ちはだかる。
フィル「な、なにすんだよ!おやっさん!」
ガンダス「はぁ…はぁ……うるさい、静かにしてろ。……何が目的だ?」
フィル「目的……?」
ガンダス「何か隠してるんだろ、ノクシス!」
ノクシス「……?」
戸惑うノクシス。
フィル「おやっさん、何言ってんだよ!アニキは記憶が──」
ガンダス「黙れ!フィル!!」
これまでに聞いたことのない怒号。
あまりの剣幕に、フィルは言葉を失った。
重く、静かな時間が流れる。
ガンダス「……お前の乗っていた脱出ポッドを見てきた。驚いたよ、ある物を見つけた……それは俺たちを散々苦しめた奴らのマークだった。そう、カイ──」
フィル「やめて!!」
ガンダス/ノクシス「!?」
ガンダスの言葉を、フィルは涙を流しながら遮った。
その目は、まるで全てを知っているかのようだった。
ガンダス「……フィル、まさかお前……」
フィル「……知ってるよ。ノクシス……アニキは、闇の存在なんでしょ?」
ノクシス「……闇……くっ!(なんだ……)」
ノクシスを鋭く重い衝撃が一瞬襲った。
フィル「あの夜……オイラが墜落現場に駆けつけたら──」
⸻
【回想・あの日の真実】
墜落現場。
人のようなシルエットが揺れていた。
フィル(回想)「おい!聞こえるか!? 大丈夫か!?」
ノクシス(暴走)「うぁあああ!!!ぐわぁ!」
フィルに襲いかかる、禍々しい黒い人影。
赤く光るその目に、人の理性はなかった。
フィル「うわっ!」
勢いに圧され、地面に尻もちをつくフィル。恐怖のあまり腰が抜け、後ずさることしかできない。
ノクシス(暴走)「ぐあ!ふん!ぐががが!」
フィル「はっ…はぁ…はぁ……!」
声も出ない。逃げようとするも──
フィル「ひゃっ!」
背中が岩にぶつかり、逃げ道が塞がれる。
黒い影が、まるで獲物にトドメを刺す獣のようにジリジリと近づいてくる。
ノクシス(暴走)「ぐぁああ!」
フィル「うわぁあああ!」
振り上げられる右の拳。その瞬間──
ノクシス(暴走)「んん!ぐううう!んんん!」
振りかぶられた右手が止まった。
それは、左手が右手首を掴み、必死に抑えていたからだった。
銀色のブレスレットが微かに光っている。
ノクシス(暴走)「んんんん!ぐぁああ!うっ……」
──バタンッ!
禍々しいオーラをまとった存在はその場に崩れ落ちる。
輪郭がほどけ、姿が変化し──ノクシスの人間体が姿を現した。
フィル「はぁ…はぁ……」
フィルは恐る恐るその顔を覗き込む。
フィル「……兄ちゃん?」
フィルはその姿にどことなく死んだ兄の姿がかぶった
遠くから、声が聞こえてくる。
ガンダス(回想)「おおおい!大丈夫か!フィル!!」
⸻
【回想終了・現在】
ノクシス「俺が……フィルを……闇の……ぐっ、んん!」
ガンダス「なに!?じゃあお前、知っててあれこれ理由つけて連れてきたのか!」
フィル「だって!!みんなにもし知られたら、絶対命を奪おうとするでしょ!? そんなの、嫌だったんだよ!!」
ガンダス「当たり前だろ!こいつの脱出ポッドにはな……カイザーベリアルのマークが入ってたんだよ!!」
フィル「へっ……!?」
ノクシス「ベリアル……んん!ぐぁああ!!」
これまでにない苦痛がノクシスを襲い、身をよじる。
ガンダス「な、なんだ!? おい大丈夫か!?」
フィル「アニキ!!」
前へ出ようとするフィルを、ガンダスが必死に止める。
ノクシス「な……なんだ、この異常な……力は……怒りは……うわぁぁあああ!!!」
──ノクシスの記憶
闇の巨人「フハハハハハ!!!」
──現実
ノクシスの身体から吹き出す黒いエネルギーが、辺りを荒らしていく。
ガンダス「危ない!フィル、こっちだ!」
フィル「アニキ!アニキィィィ!!!」
ガンダスはフィルを抱きかかえ、来た道を全速力で戻っていく。
ノクシス「うわぁぁあああ!!!!!」
禍々しい黒いオーラがノクシスを包み、瞳が赤く輝く。
だがその胸元、左腕のブレスレットが呼応するように微かに、優しく光っていた。
ノクシス「うわぁぁあ!!うっ……!」
その場に、ノクシスは崩れ落ちた──。
⸻
【その頃 作業現場・地下】
ブゥン!ブゥン!
ピピピッ……ピピピー!
レギオノイドα「闇を検出……再起動」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
作業現場の岩盤の奥。
ドリルが通らなかった“鉱物”──それは、かつて戦争で地に伏した兵士。
ベリアル軍のロボット兵・レギオノイドだった。
レギオノイドβ「通信不能。上位指令なし」
レギオノイドα「侵略行動を再開!」
キュイイイイイイン……!!
ドガァァァン!!
腕から放たれた光線が地面を破り、
2体のレギオノイドが地上へと飛び出していく──!