NOXIS   作:成道真生

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第7話 立影ーリツエイー

――ドゴォォォン! ボカーンッ!

――ピピピ……

――コォォオオオ……

 

黒煙が巻き上がる地上では、再起動した2体のレギオノイドが容赦なく破壊を繰り返していた。

一体は両手がドリル

一体は両手がキャノンになっている

作業場は瓦礫と化し、人々の悲鳴が空に突き刺さる。

 

ノックス「避難しろ!!あっちだ!あっち!急げ!!」

 

作業員たちが血相を変えて逃げ惑う。

 

「親方ー!」

 

ノックス「どうした!」

 

「こちらの避難、あらかた終わりやした!」

 

ノックス「わかった、じゃあおめぇらも避難しろ!!動けないやつは担いでいけ!!」

 

「はい!!」

 

ノックス「くっそー!なんだって今さら……くっ!こっちだ!こっちに避難しろー!!」

 

 

 

――作業現場から避難所へ向かう道中。

 

荒れ狂う音を背に、ガンダスは息を切らしていた。

 

ガンダス「はぁ、はぁはぁはぁ……くっ! はぁ、はぁ、はぁ……!」

 

フィル「おやっさん! おやっさん、降ろして! オイラ走れるから! おやっさん!!」

 

ガンダスは答えず、肩に担いだフィルを抱えたまま全力で駆ける。

轟音が次々と背後を襲い、振動が足元を揺らす。

 

――ピー……ドゴーン!

――ヴィイイイン! ボカーン!

 

 

その刹那、ガンダスの意識が遠い記憶へと引き戻された。

 

――過去。グリンデラ星、戦場。

 

火薬の臭いと血煙が渦巻く戦地を、軍服姿のガンダスが駆けていた。

焦燥と叫びが胸を駆ける。

 

ガンダス(急げ! 間に合え!)

 

火の手の上がる先。

爆煙の奥で、2人の戦士が敵に立ち向かっていた。

 

ガンダス「(間にあっ……!)」

 

――ブォォオオオン!

 

ロガン/エラン「うぉおおおおお!」

 

ガンダス「ロガン隊長ぉぉおおお!!」

 

 

 

――現在。

 

荒れ果てた地上。

揺れる視界の中、ガンダスは己を奮い立たせる。

 

ガンダス「大丈夫だぞ! フィル……今度は……今度は守ってみせるからな! はぁ、はぁ……!」

 

フィル「おやっさん……」

 

 

 

――ドカァン!

――ブォォォォン!

――ドヒューン! ドヒューン!

 

空が赤く染まり、爆発音が作業場を包む。

 

 

一方、避難所として使われる現場では──

 

「親方! ほぼ避難完了です!」

 

「親方! 王国の方でも避難がほぼ済んだと、王族の方から連絡が来やした!」

 

ノックス「……そうか」

 

破壊された施設を見渡し、ノックスの表情が曇る。

 

ノックス「なんてこった……俺たちの頑張りが……またやり直しなのか……」

 

「親方!!」

 

ノックス「ん?」

 

「……あれ! 見てください!」

 

眼下に目をやると、瓦礫の谷間を疾走する一人の男がいた。

 

ガンダスだ。肩にフィルを抱え、岩場を越えて走り抜けている。

 

ノックス「!! 兄弟ぃいい! 急げえええ!!」

 

「急げぇ!」「ガンダスさん!」「速く!速く!」

 

作業員たちの声援が山にこだまする。

 

 

 

ガンダス「兄弟! フィル! 急げ!!!」

 

 

 

――ピピピ……ピピーッ!

 

キャノン装備のレギオノイドが眼下のガンダスに照準を合わせた。

 

――ドキューーーン!

 

直後、閃光がガンダスの元へ放たれる。

 

ノックス「なぁ!!」

 

ガンダス「はっ!」

 

フィル「くっ!」

 

炸裂音が鳴り響き、すべてがスローモーションになる。

 

 

 

――ブォオオン!

 

しかし、爆風は来ない。

 

ゆっくりと目を開いたガンダスとフィルの前に──

 

ノクシス「くっ……ううう……!」

 

ノクシスが立っていた。

彼の左腕から放たれる光の盾が、レギオノイドの攻撃を寸前で防いでいた。

 

フィル「アニキ!」

 

ガンダス「お前……!」

 

ノックス/作業員「うおおおおお!!」

 

ノクシス「はっ……くぅぅ……今のうちに行け! 早く!!」

 

ガンダス「お、おう!」

 

ノクシス「うぉおおお!!!」

 

光の盾を掲げ、ノクシスは攻撃を空へと逸らす。

 

 

 

――ピピピ……

 

レギオノイドα「光検知」

 

レギオノイドβ「抹殺行動に入る」

 

 

 

ノクシスは土煙の中、立つことすらままならぬ様子で、息を荒げていた。

 

ガンダス「……なんで……?」

 

ノクシス「……わ、からない……でもなんだか……これが俺の……正しいと思う……やりたいことな気が……したんだ……」

 

フィル「アニキ!!」

 

ノクシス「行ってくれ!」

 

ノックス「わかった!」

 

ガンダスが強くうなずいた。

その時のノクシスの背中に、かつての尊敬する上司──フィルの父・ロガンの姿が重なって見えた。

 

再び、ガンダスがフィルを抱え、駆け出していく。

 

 

 

その直後──

 

――ガラガララッ……ドゴォオオオン!!

 

ノクシスが立っていた岩盤が崩れ、彼の身体が下へと吸い込まれていく。

 

フィル「アニキ!!」

 

ガンダス「ノクシス!!」

 

落下しながらも、ノクシスは叫んだ。

 

ノクシス「早く、行け!!」

 

その視線の先には、ふたたび迫るレギオノイドの影。

 

ノクシス「(くそ! なんで……なんでこんなに弱いんだ! 守りたい……あいつらを守ってやりたいんだ!!)」

 

 

 

――ビィィイイイイン!

 

攻撃を仕掛けるレギオノイド。

その瞬間、ノクシスの左腕のブレスレットが閃き、胸元の光と呼応するように明滅した。

 

今までの光とは違う。

まるで命を吹き込むかのように、強く、鋭く、大きく──輝く。

 

 

 

「(大丈夫。あなたはできるわ)」

 

優しい声が、光の向こうから届いた。

その先に──黒き戦士の幻影が見える。

 

ノクシスは胸の前で両腕をクロスさせ、全身に力を込めた。

 

そして、左腕を天へと突き上げる!

 

 

 

――バリバリバリッ!!

――ビキャァァァ!!

――ヴゥオオン、ヴゥオオオオン!!

――ドゥゥウウウン!!

 

 

 

眩い黒の閃光が天地を貫いた。

 

黒と深紅の雷が全身を走り、ノクシスの身体が異形へと変貌していく。

 

 

 

その姿は──黒き巨人。

 

 

 

――ボカーン! ドカァァン!

 

レギオノイドの攻撃が命中するが、もはや何のダメージも通らない。

煙の中から姿を現したその巨体は──

 

漆黒のボディに鋭く輝く三角の胸光。

黄色い瞳が炎を映し出し、濃い紫・深紅・銀のラインが、筋肉のように絡み合っていた。

 

黒き巨人が、いま──立ちはだかる!

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