ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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加速してきたので追加投稿。


黄衣ハスタ爆殺事件

 

 コナン君のご両親と会って2日。

 早朝にコンビニに買い物に行って、今帰宅したところなり。

 

 玄関の扉をガチャっと開いて、そのまま重い足取りで中へと入る。

 ソファの上で朝食前の読書としけ込んでいたコナン君が、俺の姿に気づいて顔を上げた。

 

「ただいまー…」

「あ、黄衣さんおかえ、りぃいいいい!?!?」

『おわーーーっメディーック、メディーック!!!』

 

 なお、現在の俺の格好は頭の上から下まで血みどろのボロボロ、黒い煤だらけの散々な有様だとする。

 

 慌てて119番通報しようとしたコナン君を「大丈夫!俺は大丈夫だから!」と必死に止めて、その拍子にまだ頭から滴っていた血が玄関とフローリングに飛び散る。

 あとで掃除せねば。

 

 何もできず右往左往する諸伏さんが全身で「とりあえず横に、横になるんだ!」とジェスチャーした。

 俺はひとまず玄関に座り、髪についた血をとりあえず絞った。

 

 ああもう、朝から大変な目に遭ったもんだ。

 コナン君が俺の大丈夫アピールを聞いて、恐る恐る俺の周りをウロウロして口を開く。

 

「え、返り血ってこと……これ全部…?」

「いや、全部俺の血。コンビニの帰り道で突然車が大爆発してさぁ。痛いのなんのって」

「やっぱ119番で間違ってねーじゃねーか!!!病院ッッ!!!」

『あわわわわ黄衣が幽霊になったらとりあえず浮遊霊のノウハウを教えて、それとそれと!』

 

 わあわあと慌てふためく声をBGMに、とりあえず血でぐしょぐしょかつチリチリの服を脱いで、汚れないよう玄関マットの上に小さくまとめる。

 そうして顕になった俺の体を見て、コナン君が目を瞬かせた。

 

「傷が…ない…?」

「まあな。というかあれ、絶対黒の組織の仕業だろ。車一個丸々爆弾に作り変えやがって。内臓8割吹き飛んだんだぞこっちは!」

『むしろなんでそれで無事なんだよお前は。素直に引く』

 

 幽霊に引かれるという得難い経験をするなど。

 仕方ないだろ無事なんだから!

 まあ、俺としてみれば身体の大部分が魔術的に作成された亜空間にある状態だ。

 今回の爆発も触手の先っぽがちょっと焦がされたに過ぎない。

 

 というか、本来なら俺の皮膚はゴジラみたいな頑丈さを持っている。

 120mm戦車砲とかでもない限り、完全に無防備に横たわっていたってなんの痛痒も与えられないだろう。

 

 ……流石にそんなキモい人間いないので、人間に化けるにあたり柔らかくはしているが。

 

 ひとまず俺の身体に傷らしい傷がないことを確認したコナン君は、俺が魔術で何とかしたのだと思ったらしい。

 怪我についてそれ以上触れることなくギュッと拳を握りしめた。

 

「犯人は見た!?」

「おうよ。しばらく死体のフリしてたんだが、黒づくめの男の仲間が確認に来たよ」

「!」

 

 一人は見覚えのない顔だ。おそらく下っ端だったのだろう。

 もう一人は諸伏さんがゼロと呼ぶ金髪のイケメンその人だった。

 こっちが今回の爆殺計画の主犯らしい。

 

 一応金髪イケメンの方は潜入捜査官だとは諸伏さんから聞いて知っている。

 とするなら、この計画も上に言われて仕方なくやったということなのだろう。

 それでも急に爆殺されて非常にびっくりしたので謝罪の一つぐらいはしてほしいところである。

 

 思い出せばだんだんと腹が立ってきた。

 死体のフリをしていた俺を蹴飛ばした上に死に顔の写真まで撮りやがって。

 この恨み晴らさでおくべきか…とちょっとばかり邪気を送りつつ。

 

 俺は全身がきちんと復元されているかを改めて確認してコナン君達に情報共有する。

 

「幹部の方のコードネームはバーボン。やっぱり俺の命を狙ってたみたいだ」

『………バーボン』

 

 かくかくしかじか、と一部始終を話し終えると、諸伏さんは瞳を揺らして沈黙した。

 何かをいいたげに口を開いて、やっぱり閉じると言う動作を繰り返しているあたり、思うところはあるようだ。

 

 コナン君の方は拳を強く握って「……ッ!」と言葉を飲み込んだ。

 心配と、同時に無力感がありありと伝わってくる。

 俺という例外でなければ死んでいた、身近な人が。

 そういう状況であることに打ちのめされているらしかった。

 

 本心としてはコナン君達を巻き込まずに済んでほっと一安心なのだが。

 それは言わぬが吉だろう。

 

「とりあえず着替えてシャワー浴びてくる。あー、大変な目に遭った!」

「……無理しないで下さいよ、黄衣さん」

「おうともよ。コナン君も少し待っててくれ、朝食作るから」

「それくらい俺が全員分準備しますから、黄衣さんはゆっくりしててください」

『実体化魔術かけてくれ!俺も手伝う』

「お、悪いね二人とも。なら頼んだ」

 

 人差し指だけで諸伏さんに霊体の実体化を施して、俺は風呂場へと向かう。

 

 その背後で。

 

『あまり気負いすぎるな、少年。結果的に無事だったんだ、今後どう動くかを考えよう』

「………ああ」

 

 などというやりとりが、小さく聞こえてくるのだった。

 

 

 

 さて、そんな大事件があっても日常は過ぎていく。

 お昼を食べたら生活費諸々を引き出しに銀行へ行くのだ。

 

 定期的に来ている大手銀行の支店にコナン君、俺、諸伏さんの3人でぞろぞろと来店。

 受付番号を受け取って長椅子に座る。

 

 パタパタと足を揺らすコナン君の足にはキック力増強シューズが鮮やかな赤色を示す。

 腕には腕時計型麻酔銃。

 加えて銀行に行く途中に阿笠博士の家に寄り、新たに犯人追跡メガネを加えたフル装備だ。

 

 諸伏さんがコナン君の姿を覗き込み、感嘆の声を漏らした。

 

『どんどん追加されてるな、コナン君の凄まじい秘密道具』

「んー、けど不具合も多いし肝心な時に動かなくなるポンコツだぜ?黄衣さんの魔術の方が断然すごいと思うけど」

 

 いや…逆にそのキック力増強シューズは魔術でないのがおかしすぎると言うか。

 

 俺が難しい顔をしているのにも気づかず、コナン君はいつも通りポケットからスマホを耳に当て、電話に見せかけて小声で話している。

 

 こうして電話をしているフリをして声を潜めれば、諸伏さんと会話しててもそこまで変ではないということだ。

 

 ふと見ると、受付に「広田」という名札をつけた女性が座っているのが目についた。

 どうやら諸伏さんもその女性を見ているようだ。

 何かあるのか?

 

 諸伏さんが「んー」と言うか言わまいか悩むようなそぶりを見せたあと、コナン君に対して内緒話をするようなポーズをとった。

 

『あとさぁ、ここだけの話なんだけど』

「なんだよ」

『あの広田って名札の女性、見覚えがあるんだよな』

「ふーん」

『たしか組織の下っ端だったと思う』

「ブッ、その情報を先に言え!?!?」

 

 コナン君が盛大に吹き出して喚いた。

 その隣で諸伏さんがダブルピースをしている。

 

『どうだ、肩の力抜けたか?』

「どうしてそれで肩の力が抜けると思うんだよ!?そんな奴が銀行で何を…」

『いやまあ、組織っつったってそれだけで食っていけるのはごく一部だからな。副業ぐらいするだろ』

「黒づくめの男達は…副業をしている…?」

 

 コナン君が背後に宇宙を背負ってしまった。

 とりあえず諸伏さんが適当なことを言っているのは良くわかった。

 

 とか何とか言っている間に俺の受付番号が呼び出された。

 無事お金を引き出す頃には、黒づくめの組織の一員らしい女性は昼休憩に入ったのか席を立つ。

 

 コナン君は咄嗟に駆け出そうとしてから、やや躊躇って戻ってくる。

 どうやら俺のことが心配だったらしい。

 滑らかな動きで発信機だけ取り付けて、深追いするのはやめておいたようだ。

 

「彼女を追わなくていいのか?」

「それより黄衣さんだろ。もし殺し損ねたと分かったら奴らがやってくるかもしれないし」

『たしかに、下っ端の後を追うよりも幹部が直々に狙ってきてる黄衣をマークする方が建設的ではあるな』

「ふっふっふ、いつでもくるがいい!俺は何度でも蘇る!物理的に!」

『それは人間じゃないんだよなぁ』

 

 無慈悲な諸伏さんのツッコミを受けながら、俺たちは銀行を後にしたのであった。

 





・コナン君
黄衣さんを殺し(?)やがって!許せねぇ!黒の組織!みたいな心意気。
身近な人が組織の人間によって殺される(?)という事態に、結構なショックを受けている。

・バーボン
いつも通り任務を遂行中。
黄衣ハスタ殺害について思うところは何もない。
そう言えば昨日、テキーラが一般人に爆殺されたらしいな…などとよそごとを考えている。

・公安の信者さん(君永都)
降谷零からの定期報告で、黄衣ハスタ殺害の件を聞いた。
力を溜めている。
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