ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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結婚式当日!

 

 ハロウィンに実行されるはずだった爆破テロは、無事阻止された。

 

 公的には「悪質ないたずら」で処理されたようだ。

 銃撃戦など細かな事件については「怪異を用いたテロ未遂」と発表した様子。

 つまり幻覚だったと言いたいらしい。

 幸運にも死者は出なかったらしいが……怪異というのも便利な言葉になってしまったものだ。

 

 また、反省していないらしいニャルをどうしてくれようか、と再び俺も気炎に燃えた。

 

 しかしそれを察したニャルは降谷さんの内側に張り付いて出てこなくなってしまった。

 降谷さんのふりをしたまま仕事に行ったり縦横無尽に振る舞ったので、仕方なく追加お仕置きは保留にした。

 

 ヤドカリじゃないんだから降谷さんを盾にするのはやめてほしいものだ。

 ニャルも降谷さんの姿で仕事はきっちり行ったが、なんだか奇妙な布石の形跡。

 その再調査で、降谷さんは再び警視庁から帰れなくなってしまったのであった。

 

 なお、複雑そうな顔をしてしょぼくれるコナン君は据え置きだ。

 己の今後について色々思うことはありそうだが。

 聞こうとすると「黄衣さんに聞いて解決しちゃったらもっとモヤモヤするから、僕が考えるよ」と断られてしまった。

 

 ニャルにも「ダメじゃないですか。羽虫は自尊心が強いんですから、瓶詰めにするとだんだん弱るんですよ?」などと責められる始末。

 ニャル野郎に人間を説かれるなんぞ業腹にも程がある。

 

 だが一概に否定できるものでもなくて、なんとなく距離を置かれる今日この頃。

 寂しくて悲しくて胸が張り裂けそう。

 

 むしゃくしゃしてニャルの触手を引っこ抜くなどしたら「あは♡お誘いですか?積極的なんですね♡」などと言われて変な空気になった。

 なんなんや。今そんな話してへんかったやろ。

 

 

 

 ともあれ。

 今日はビッグイベント!結婚式本番の日である!

 

 場所は米花サンプラザホテル。

 渡り廊下で繋がっている広く荘厳なチャペルも備え、今回はそこで人前式を開くことになった。

 

 もしアザトースの収穫に成功していれば、教会式にしてそっとアザトースの一部を飾るつもりだったが。

 アザトースの機嫌がイマイチで、小さく爆発を繰り返すので収穫に失敗したのだ。

 そのため、今回は人前式で執り行うことにした。

 

 ニャルも結構果敢にチャレンジしたのだが。

 千切ろうとした触手がニャルに張り手を放ち爆散。

 2回ほど無惨に散ったところで「今回は止めましょう。なんか荒ぶってます」と再生しても丸焦げのままのニャルがしおっとして言ったのだった。

 

 

 新郎側と新婦側の入場は同時だ。

 それぞれ向かい側の扉から入場して、その美しく着飾った姿を来場者にお披露目する。

 

 ニャルはこの日のために気合を入れて作ったウェディングドレスを身につけている。

 

 真っ白なマーメイドドレスが、褐色の肌を淡く引き立たせている。

 旧支配者アトラック=ナチャの糸を細く細く織って作られたウェディングドレスだ。

 その細く繊細なシルエットに、息を呑むほど美しい白のレースがよく映える。

 透けるような首元は艶かしく曝け出され、結い上げられた髪には蝶の羽ばたくが如きジュエリーが煌めく。

 

 思わず誰もが息を呑むような美しさ。

 現時点でAPP22とかあるし。そろそろ精神攻撃の域に達している。

 

 ちなみに、ジュエリー類は俺が手作りしたものだ。

 こうしてニャルが晴れの舞台で身につけてくれて非常に嬉しい。

 服はニャルの担当で、俺の服もニャル製である。

 

 同じくアトラック=ナチャの糸で織られたライトグレーのタキシードで、胸ポケットは白いコサージュで彩られている。

 

 これはヴルトゥームの花を引っこ抜いて縮小、形を整えて作ったものだ。

 奴はどうしようもなくひ弱だが、花は綺麗だからな。

 

 花を引っこ抜きに行ったらめちゃくちゃ文句言って抵抗したが、会場に飾る用も含めて結構数が必要だ。

 ニャルと手を合わせてヴルトゥームを拘束、20本ほど引っこ抜いて来た。

 

 ヴルトゥームは激しく抵抗していたが、途中からしおしおになって何も言わなくなってしまった。

 己の無力を噛み締めたらしい。

 でもお前地球で暴れようとしたじゃん。人権なんてねーんだよ。

 今日はこのぐらいで勘弁しといてやるけど、きちんと弁えとけよ。ぺっ。

 

 参列者はいつもお世話になってる警視庁捜査一課の皆様など、せっかくなので沢山招いた。

 長野県警の愉快な暴走トリオ、俺の仕事のTV関係者、マモーさんや公安信者さん。

 あと黄色の印の兄弟団の偉い人、他少年探偵団や毛利探偵など近しい人々など。

 

 ニャルの方は招くような羽虫はいないらしい。

 家族席の降谷さん以外に招いたのは一人……否、一柱のみ。

 

 ニャルそっくりな浅黒い肌に黒い髪、深緑のスーツを着こなす陰気なイケメンだ。

 誰かな、と思ってよく見たらイブ=ツトゥルであった。

 

 ニャルの息子にして、ドリームランドの監視者だ。

 

 たぶん無理やりニャルに引っ張られて来たのだろう。

 誰に話しかけれても無言を貫いている。

 単純に羽虫と会話をする気などないのだと思われる。

 

 かと思ったら、降谷さんに話しかけられるとポツポツ雑談に応じているではないか。

 

 散文的な、なんとか人の言語を保っているような口調で「父よ」「偉大なる父よ」とガビガビの音質の録音声で降谷さんをたじろがせている。

 

「……こ、これは。はじめまして。降谷零…です」

【父よ】【忠誠を示す】【勘気を納め賜え】

「………」

 

 おそらく突然拘束されて人間として振る舞え、とか無茶言われたのだろう。

 ガワはなんとか整えたらしいが、喋る時に口が動いてない。

 歩く挙動もバグっている。

 でも触手がはみ出てたり眼球がたくさんあったりしないだけ、父に似て変化上手なのだと思われる。

 

 まあ、クトゥルフ神格界隈で息子娘っていうのは一般的に奴隷を示すし、彼の恐怖もさもありなんだ。

 何してもいい下僕というか、風呂で抜けた髪の毛にも近い。

 その場で捨てられても文句は言えない人権の無さである。

 

 だから俺は子供を作らない。

 可哀想で情が湧きそうになるし、イタクァなんかも魔術的に生み出した部下の類だ。

 

 降谷さんがひたすら困っているのを尻目に、俺の家族席へと目を向ける。

 そこにはコナン君と、あと机にヨグ=ソトースの一部が飾ってある。

 

 生花に擬装しているが、よく見ると虹色に泡立っていて機嫌が良さそうだ。

 コナン君は必死に見ないふりをしている。

 

 入場が終わったら、開会式宣言だ。

 厳かな空気の中で司会進行役のプロが案内を述べ、次に行うのは誓いの言葉。

 

 ニャルと向かい合い、手を取り合う。

 

 これはただの誓いではない。

 魔術的な意味合い、純然たる契約としての概念を織り上げた正真正銘の誓いの言葉だ。

 

 「我らは互いに嘘偽りなく誠実であること」

 「互いの大切な人を尊重すること」

 「喧嘩しても仲直りすること」

 「落ち込んでも挫けず立ち直ることを」

 「誓います」

 

 それは確かに、神と神との契りとして成立している。

 

 そのまま、お互いに左手薬指へと指輪をそっとはめた。

 指輪は装着と同時にその魔術効果を発揮し、美しく煌めいてその周囲に新緑の気配を振りまいた。

 

 そして誓いのキスをする。

 キスなんて所詮は人の概念だ。

 ニャルラトホテプにとっては特に何も感慨深いものなんてないだろうに。

 

 それでも。

 ニャルは本当に嬉しそうに、幸せそうに、柔らかな笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 そのあとは披露宴だ。

 祝辞はコナン君と降谷さんに任せたから、いい具合にユーモアを含めてこなしてくれた。

 

 スムーズかつ穏やかに結婚式が進み、参列者との語らいも自然と言葉が弾む。

 目暮警部が鷹揚な笑い声を上げた。

 

「いやーめでたい!君にもそんな相手がいたんだな!」

「ははは。幼馴染で、昔からずっとつるんでたんです」

「別嬪さんだなしかし。すごく嬉しそうだし、この幸せもんが!大切にするんだぞ!」

「ええ。もちろんです」

 

 向こう側ではニャルがイブ=ツトゥルと降谷さんに「祝え。すごく祝え」と命令している。

 絵面もうちょっと穏やかにできないのかよ。

 

 

 その次は余興だ。

 余興は結局、俺たちの説得もあり、平和的に格付けチェックをすることになった。

 

 ニャルは「こんなんじゃ刺激に欠ける!」と暴れていたが、最終的には納得してくれた。

 羽虫が小さなことで一喜一憂するのも悪くないと思い直したらしい。

 

 出題は五問。

 5000円程度のワインと、マモーさんが用意したロマネ・コンティ(700万円ほど)。

 どちらが高いか、の参加型企画だ。

 

 未成年者組は最高級巨峰ストレートジュースで納得してもらう。

 園子ちゃんブーブー言っていたが、流石に未成年者に飲酒は厳禁だからな。

 

 他にも、以前の事件で知り合った設楽蓮希さんを演奏者に迎え、10万円のヴァイオリンとストラディバリウスの聴き比べなどを行った。

 

 このストラディバリウスは流石にこのために蓮希さんに持って来てもらうのは気が引けたのだが。

 そこに瞬時に現れたマモーさんが、ストラディバリウスの中でも三大名器と呼ばれる逸品を用立ててくれた。

 高額で所有者から貸し出してもらったらしい。

 どんな金額が動いたのか、考えるだけで怖いことである。

 

 なお、参列者としてお抱えのカメラマンを従えたマモーさんは、ペカペカに輝いて今にも天に昇りそうな顔をしている。

 バズーカみたいなカメラを構え、パシャパシャと鳴るシャッター音。

 天井知らずに上がり続けるマモーさんの機嫌。

 五体投地しようとして、今回は禁止なことを思い出して泣く兄弟団関係者。

 

 なんかもうカオス極まりないが、俺も彼の信仰心を受け取って全力で喜ぶより他に道は無いのである。

 

 なお、いくつか実施したすべてを外した毛利探偵の反応は実に会場を盛り上げてくれた。

 蘭ちゃんは恥ずかしそうだったが、会場は和やかになってたし。

 毛利探偵とは後日麻雀がてら礼を言おうと思うなど。

 

 そのように、納得しながら、披露宴も終盤に差し掛かろうとした、その時のこと。

 

 

 会場を。

 突如攻性魔術の嵐が襲った。

 





・イブ=ツトゥル
ニャルラトホテプの息子にして、ナイトゴーントの母(!?)。
穏やかな性質の旧支配者で、人間に興味もないし知識もない。
なんか……沢山いる…羽虫みたいな奴?
羽虫のふりをしろ?ナイトゴーントの世話もあるし、そんな急に言われても(困惑)

・格付けチェック
お酒は未成年禁止。
何問かあって、全問正解者にはお土産がプレゼントされる。
後方腕組みマモーさん。悔しがる園子嬢を添えて。
兄弟団は突如現れた大富豪に神のバックアップの立ち位置を奪われて愕然としている。
我々の神なのに……!?

・攻性魔術
カルコサ新党の残党。
狙いはニャルラトホテプの化身、黒い風。
邪神を討伐して神の栄光を取り戻そうとしている。

・ニャルニャル
は?(は?)
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