ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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ハスター神社!

 

 平和な日々が続いているが、キュラソーの処遇はまだ決まっていない。

 子供達とは細々と連絡を取り合っているみたいだが、それだけだ。

 

 マモーさんはウジウジすることが増えた。

 その憂さを晴らすように超高級ディナーに俺達を連れ出して、美味いもんを食わせようとしてくる。

 

「神よ…忙しすぎて、当時食事もまともに取れなかったとは本当ですか?」

「まあ実質的な支配者だからな。例の年一の大会の時ぐらいだな、食べれたの。食べなくても問題ないからいいけどさ」

「………」

 

 などという会話をした後は毎日レベルで外食になった。

 たしかに俺は飯を食うのは好きだが、それ以上に当時の人々への奉仕は充実した日々だったので気にすることはないのに。

 でもそれはそれとして超高級ディナーは美味しいので思う存分堪能する俺である。

 ホクホク顔のコナン君も添えて。

 

 

 

 さて、そんなこんなもあって今日。

 ついに俺の神社が完成したということで、式典にお呼ばれしているのである。

 

 不満そうなマモーさんも式典にはお呼びしている。

 マモーさんも言い方によっては氏子…?的な?感じだし。

 本人は非常に複雑そうな顔をしていたが、それはともかく神を讃える場なら、と参加を決めたようだ。

 

 とはいえ、俺の神社を作るに当たって一筋縄ではいなかなった。

 

 多くの神社は、通常神社本庁の傘下にある。

 しかし神社本庁とは名前から受ける公っぽさとは裏腹に、区分としては普通の宗教法人である。

 

 ただの宗教法人にマジもんの神の神社の権限を渡して良いわけがない、とお国は考えたらしい。

 絶対に国家で管理しておきたい。

 しかし宮内庁に任せるにしても、政教分離を考えると神社を建てるのはかなり厳しい。

 

 ということで揉めに揉めて。

 

 結局、俺の神社は「純粋な観光施設・文化的展示施設」として、宮内庁の管理のもと皇居にこっそり建つことになったのである。

 

 宗教施設じゃないですよー。

 皇室の怪異関連品を保管して、かつ人々にその恐ろしさと歴史を知ってもらう場所ですよー。

 ということらしい。

 

 かなり苦しい気がする。

 確かに博物館に併設された神社みたいな形だが、神社部分もかなり大きいのに。

 

 ともかく、今回はその祭神として俺はお呼ばれすることになっている。

 

 儀式中に神霊が招かれる段があるので、その時に姿を現すということで打ち合わせは完了済み。

 配属される予定の専門職さん達とも事前に話はしてある。

 

 今回の儀式担当の代表者として五人いらっしゃったが、凄まじくオドオドしていたのか記憶に新しい。

 うち二人は強力な霊視に類する能力をもっているらしく。

 俺がなんか後ろに本体を収納しているのを察してビビり散らかしていた。

 

 すまんね怯えさせて。

 俺は無害な旧支配者じゃけん、気にすることなかよ。

 

 なお「本当に鎮まっていただけるんですよね?」と百回ぐらい聞かれた。

 別に荒ぶってねーんだわ。気持ちはわかるけど。

 

 閑話休題。

 服装もきちんと揃えた俺は、服の具合を確かめるべくぐるりと体を回して皺などを整えた。

 

 今回は和っぽく組み換えたハイパーボリアの正装を使用している。

 材料からこだわった一品で、アトラック=ナチャの糸を使い、布地の模様自体に魔術的意味を持たせて織り上げてある。

 滑るような仕上がりは上品だ。

 

 俺はあちこちから自分の姿を確認して、コナン君に声をかけた。

 

「変なとこない?大丈夫そう?」

「大丈夫。格好良いよ。普段より10倍ぐらい格が高そうに見える」

「いつもの格がすごい低いって聞こえる」

 

 俺が恨みごとを漏らすと、「いいから行ってらっしゃい!」と強制的に送り出される。

 ちくせう。

 俺は星間宇宙の帝王、旧支配者ハスターだぞ!怖いんだぞ!

 

 ぶつぶつ言いながら、演出用の魔術などを装填。

 バレたら自分でエフェクト出してるめっちゃ恥ずかしいやつになるので慎重に。

 こういうのはバレないように見えないように光らせる必要があるから難しいんだよな。

 手品に似てくるというべきか。

 

 式典が降神の儀に入ったようだ。

 どこかから遠く小さな声で呼ばれた感覚がある。

 

 転移後、上空から降り立つようにふわりと着地する。

 

 蒼白の仮面で顔を隠した神が、祈りに応えて荘厳な一筋の光と共に降臨したようにも見えただろう。

 ご神職の方々も含めて、見知ったお偉いさん達が驚きにざわめいている。

 式典参加者のマモーさんがひたすら俺に祈るポーズをしている。

 

 今の俺の姿はやや透明な、触手を己の体に巻いた神々しそうな光を放つ謎の物体だ。

 

 予定通り、その場に設られた一段高い御簾の向こう側に座る。

 良い具合だ。

 旧神をいい感じにする効果があるらしく、俺も妙にリラックスしてしまう。

 

 その後はご飯……というより食材そのまま?が供されて、祝詞が唱えられる。

 俺を讃え、この地の安寧などを願う祝詞だ。

 

 俺もそれに応え、返礼を授けることにする。

 

【───、─────】

 

 旧神達がよくやるように思念で語り掛ければ、また場の空気が大きくどよめいた。

 いや、ここまで全部打ち合わせ通りやんけ。

 脳内に語りかけるから適当に流しといてって言ってあったのに。

 

 思わずと言ったように神職さんが祈りのポーズを取った。

 おう、焦るな焦るな。

 今から全員に祝福を与えるからな。

 

 マモーさんが何か高速で唱えていると思ったらハイパーボリアの時代の神を讃える文だった。

 落ち着け。俺より荒ぶらないでくれ。

 

 よく見たら公安信者さんの姿もあった。

 警察代表らしく完全に普通の偉い人に擬態していて分からなかったが、よく見たら透明な涙をつう、と流している。

 感極まったように泣こうとして、途中で踏みとどまるの繰り返し。

 どいつもこいつも落ち着いてくれ。

 

 ふわりと風に権能を乗せる。

 オーソドックスかつ基本嫌がる人がいない、病気治癒の効果を授けていく。

 加えて交通安全と厄除けの加護も追加する。

 

 俺的には加護としては鉄板の組み合わせだと思っている。

 一番ハズレがないというか、万人が喜ぶ無難なお中元みたいなものだ。

 

 なお、これはちゃんと事前の話し合いで授けると伝えている。

 

 みんな凄い何か言いたげだったが。

 俺が聞くと「いえ、なんでもありませんとも!」「ええ、ええ!祝福は嬉しい限りでして!」「黄衣さんはお気になさらず!」と誤魔化されるのだ。

 何なんだ一体。

 

 ともかく、同時に周囲の土地と空気を清め、俺の仕事は終わりだ。

 式典参加者用のお酒が用意されていたので、そちらも祝福しておく。

 

 軽く祝福しておくと、とりあえず美味しくなるから祝福得ではあるんだよな。

 俺も飲む前に自分で祝福してるし。

 

 そうして、すべての工程を終えた俺は、ゆらりとその場から姿を消したのであった。

 

 

 

 

 家に帰ると、「意外と時間かかったね」とコナン君が出迎えてくれた。

 

 さらりと概要を言ったものの、中身は細かな儀式でみっちり詰まっていたからな。

 およそ二時間ぐらいか。

 

 温かい紅茶を入れてまったりしていると、コナン君がハーゲンダッツを食べながら俺に問いかけてきた。

 

「明日から神社の一般開放だよね、どんな感じなの?」

「なんか怪異の歴史とかその辺が展示されるミュージアムが横にあって、そこがメインの観光スポットになるんじゃないかな」

 

 入館は無料。

 怪異とは何か、ということを分かりやすく解説した新感覚博物館だ。

 展示されるのは非常に危険性の低いと認定されたものだけ。

 

 例えばやや振動するだけの空の貝殻とか。

 電気もないのに点いてる豆電球とか。

 そういう実につまらないものだけだ。

 

 メインはおそらく教育・研究施設としての側面が大きいのだろう。

 将来的には怪異関連の書籍も揃えて、怪異を何か新しい資源などとして使えないかを研究していくようだ。

 

「へー、でも確か公安の抱える危険な怪異物品を預かる場所でもあるんじゃなかった?」

「それは俺の神社の奥だな。拝殿の奥に本殿があるんだ。そこに一括管理してる」

 

 人を自殺に追いやる血のついたロープとか、危険な場所に通じる木製ドアとか。

 そういうのは全て俺預かりとなっている。

 

 この間俺の本殿に全て移送が終わったのだ。

 その際やっと新入りが心を病んでリタイアしなくなる、と怪異対策課の課長さんが男泣きしていた。

 キャビネットの中から無数の何かに話しかけられて、まず真っ先に新入りから脱落していくらしいからな。

 

 その死と隣り合わせの過酷な任務を果敢にこなす彼らの奮闘は、万人に賞賛されるべきだ。

 

 しかし、支払われるのは普通の公務員の給与にちらっと気のせいばかりの危険手当がついたものだけ。

 早く公安信者さんには待遇改善を実施してほしいところである。

 

 

 

 しばらくすると、マモーさんも帰って来た。

 黒服の運転する車に乗って来たらしく、優雅に高級車から出てくるのが見えた。

 

 俺がティーポットの茶を出してやると、マモーさんは直角にお辞儀した。

 

「お疲れさま。あれさ、結構いい感じの神社じゃなかった?」

「ええ。よくぞあそこまで旧神を納得させるのに特化した建造物を作ったものですね」

「それ。なんか俺まで居心地良かったもん」

 

 神社という建築物には、原始魔術的意味合いが含まれている。

 

 そこに儀式と合わせれば、旧神にとって非常に居心地の良い空間の完成だ。

 あれだけ良い感じになっていれば、旧神も初手で羽虫を潰したりせず「ちょっとぐらい話を聞いてやっても良いかな?」と思うはずだ。

 

 そう思わせるのがどれだけ難しいかを思えば、一種の芸術品じみていると言わざるを得ない

 

 「ふーん、僕らの住むマンションより?」とコナン君がニヤニヤして問いかけてくる。

 

「まさか。どんな場所よりも我が家が一番さ。黄昏の館とは甲乙つけ難いけど」

「というか、結局新婚生活ってどうなってるの?黄衣さんずっとここにいるよね?」

「勿論ニャルと過ごしてるぞ。俺には分裂って手がある」

「アメーバじゃん」

「不敬!これは不敬ですよ!どう思われますかマモーさん!?」

 

 マモーさんが「ええと、その…」とコメントに困っている。

 

 

 まさにこれ、平和な日々なのである。

 





・加護を授けられた関係者諸君
「黄衣ハスタは暴走して超常の能力を安売りしがちだから止めろ」って言われてた。
が、加護を受ける側に自分がいたなら止めるわけないのである。
ふふ、先生…私、長年の酷い小麦アレルギーも卵アレルギーも治りまして…何でも融通しますよ……そうですよ先生、私も変形性膝関節症がすっかり…(一般政界偉い人並感)

・ハスター神社
「神座神社」が正式名称のようだ。
降谷さんが念入りに再三注意したため、お守りにはご利益はないし、祈っても加護は降りてこない。
ハスターは祈りがあるたび、酷く不満げにイライラしている。
100%願いを叶える神社があってはならないことはわかるが、心が納得していない。
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