明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします!!
番外編FGOである。
箸休め。
いつぞやのように、ふらりと世界線から振り落とされたなり。
【いやー悪いね!なんかもてなしてもらっちゃって!】
「いえいえ、どうぞどうぞ!」
オレンジ髪の女性、藤丸立香が特異点で採れたとかいう魔獣ステーキを振る舞ってくれる。
ワイルドだが意外と美味しい、ジビエ的な味わいだ。
俺は触手から生やしたギザギザの歯と口をもってかぶりつき、その味わいを堪能した。
シェフこと白髪に赤い服の偉丈夫さんも誇らしげな顔をしている。
赤髪のお姉さんの作ったポタージュも絶品だ。
奥には猫なのか狐なのか犬なのかわからない謎の獣人が「何アレ。玉藻の前も激萎えのナマモノが我が物顔で歩いてるワン。危うし命助けてアタシ、ただいまライブで大ピンチ!」などと鳴いている。
何語だろうか。
ここは人理継続保証機関フィニス・カルデアというらしい。
歴とした国連承認機関であり、人間の未来を担保するため魔術・科学を結集した組織とのこと。
なんか悪の秘密組織みたいに聞こえるが気のせいだろう。
そんな彼らは現在未曾有の危機にあり、今現在人類は滅亡の危機にある。
それが外に見える、燃やし尽くされた景色ということらしい。
俺はそこに身一つで投げ出された一般旧支配者だ。
何もわからないままこのカルデア周辺に落下して。
混乱してうっかり肉眼でカルデアを視認。
カルデアの魔術障壁を全部吹っ飛ばしてしまいそうになったのである。
その件ではえらい嫌味を言われたが、俺もちゃんと修復に協力したし今では許されている。
許されているといいな……。
なんやかんやで俺は人に化けるタイミングを逸して触手怪物のままだが、そのために本名を名乗っても問題なくなっている。
自身に結界を這わせて周囲への影響を最小限に抑えられてもいるし。
怪我の功名というべきだろう。
「しかしなんというか、君は純粋な人以外の存在にしてはずいぶんと人類に近しいんだね」
焼きついた時間の化身──サーヴァントというらしい──であるダヴィンチちゃんが声をかけてくる。
【いやぁ、何を隠そう俺は人類マニア。友人にもキモがられた、人類で知らぬものはないという生粋の人類ヲタクである!デュフフ】
「黒ひげ氏のご友人ですね!呼んでまいります!」
「マシュ、大丈夫。他人の空似だよ」
渾身のボケだったのに慣れた様子でスルーされた。
こんなキモいものが他にいて、普段共同生活を送っているのか?
本当に大丈夫なのだろうか。
ちょっと心配になりつつ、俺はゴホンと咳払いして変になってしまった空気を修正した。
【まあそれは冗談として。人類と敵対する意思はないと思ってくれ。俺は人類が好きだからね】
しかし、後ろで様子を伺っていた金髪の男が下らなさそうにため息をついた。
「ふん。愛玩動物として人類を飼い、それを愛と騙るか。始末に負えぬ獣だな」
「君の神嫌いは承知の上だが、今我々は下手にことを荒立てたく無い。控えてくれないかね」
「フェイカーが口を挟むな」
怖げな金髪さんはどうも旧神…らしきものとのハーフらしい。
俺は子供の教育方針の行き違いで怒られてるみたいな感覚に陥った。
子供のわがままを全部叶えるだだ甘親を迷惑がる人なサムシングを感じる。
それを止めた強そうな白髪褐色さんは、どうにも内側が剣属性。
心の中に怪異のようなルールを所持しているようだ。
彼らはサーヴァントというらしい。
かつての偉人を召喚している、と彼らは説明していたが……。
これは間違いなく、歴史に焼きついた人々の記憶そのものを擬人化して呼び出してるだけだ。
幽霊よりも虚ろな影法師。
ピン留めされた時間の標本に違いない。
死者にこのような仕打ちは流石に非人道的なのでは…と思いつつ。
そのように同情していること自体、金髪さんは我慢ならないらしい。
すう、と金髪さんが目を細める。
針の筵を感じ取り、俺は姿勢を低くしてトロトロと触手を小さく萎びさせた。
【あ、あ、あ、ともかく、俺の方に害意はないっす。周囲を確認したらすぐ出てくから】
「……人類に何か用事があったんじゃないのかい?」
【いや。ほんと純粋に迷子。ここどこ。早く帰らねば】
「なるほど。それなら構わないとも」
ダヴィンチちゃんが頷いてくれた。
なお、この呼び方は本人の強い希望あってのことだ。
どう見ても記録の中身はオッサンなんだが。なぜガワを美女として出力変更したのか。
いや、アバターは美女の方がいい。それは多くのゲームが証明してる。
それだけだろう。
よし、と一息ついて。
俺も薄目だった目をしっかり開いて、ようやく己の目で状況を確認する。
ギョロリと無数の目が開き、四方八方をぎょろぎょろと覗き見る。
視線はこのカルデアの外だから、この建物に影響を与えることはない。
瞬時に一部の人たちが臨戦態勢に入った。
俺は無害を示すために、無防備にそのまま外を見続ける。
そして、ことのあらましを理解して。
「おあーーーー!!!!」と、俺は悲鳴を上げた。
俺は帰るから何もできない!できないけどコレはあんまりだ!
つい涙ぐんでマスターさんの手を取ってブンブン振ってしまう
「一体なんだね!?」と白髪の偉丈夫に声をかけられた。
なんだじゃないだろ!?!?
伝統的ロールプレイングゲームじゃないんだから滅びがハチャメチャに押し寄せて来過ぎだろう!
俺は人間が酷い目に遭うのはダメなのだ。
それがこんな、こんな酷い目にあって酷い道を進んで、その上全ての責任がのしかかってくるなんて。
そんなのあり得ない!
そんな酷いことあってはならない!
俺はベソベソに泣いて触手を全部しおしおにした。
【加護いる!?沢山いる!?!?これからの道のり長いけど、挫けずに…違う、挫けてもいい、それも違う、あーー!!なんて言ったらいいんだ!?!?】
「え、あ、ありがとうございます…?」
「長い?特異点は残すところあと一つなのだが…」と白髪さんが首を傾げている。
専門用語はわからんが、俺たちの戦いはまだまだ続くだからマジで心を強く持ってくれ。
ついでに周辺で俺が魔術を展開できる場所を探しておく。
が、どうも無さそうなので、此処をお手本に仮作成。
しゅるりと少し離れた場所に本格的な発射台を作成した。
直後に『大変だ!微小特異点が観測された!』との男の人の声がする。
盾っ子が「ドクター!?本当ですか!?」と叫んでいる。
この黒幕カッコ仮さんはドクターというようだ。
俺は慌ててピロピロと触手を一本振った。
【あ、それ俺が帰るための足場を作成したところです。飛び立ったら適当にそっちのリソースにしてくれ】
「………ハスター、と言ったね。それはある作家が創作神話として言い当てた──」
【その話はそこまで。『まだ早い』。俺は名も無き触手として帰るんで】
そう言い置いて、いそいそと出立の準備をする。
今の俺はある種ノーカンであるからして。
あんまり口に出すと見つかってしまうゆえ、言及しないのが吉である。
というか、もう帰った方がよかろう。
しばらく滞在させてくれと言ったが、見れば見るほど長居は厳禁だ。
俺は全力で規模を抑えているが、それでも在るだけで負荷がかかりすぎる。
こちらの人の世界は、あまりに自分のルールに縛られすぎている。
自縄自縛、自らの所業によって滅びる仮初のソラが、星の表面に張り付いているだけ。
もし俺が今のまま完全顕現を続ければ、それだけで表面が剥がれ落ちてしまう。
外が焼け落ちたから辛うじて許されているけれど、それだって限界に近い。
このままでは俺の存在が星を歪曲させ覆い尽くし、俺の星になってしまう。
きっと本来はそうなる前に人の総意が悲鳴を上げ、星の意志が全力で排斥を唱えるはずだったのに。
最悪のタイミングで来てしまったということだ。
俺はもそりと触手を動かして部屋の外に向かい。
マスターたる女性に振り返って、助言した。
【───君の道行きを多くの人が祝福してる。どんな結末になろうと、その道のりの輝きを忘れないで】
マスターは目を見開いて、息を呑んだ。
続けて、縁をひと投げ。金髪の王様っぽい人が舌打ちした。
人類を見守る側として俺みたいなのが嫌なのはわかるが、ちょっとぐらいええやんけ。
【もし、どうしてもヤバそうなら呼んでくれ。きちんと規模縮小して顕現するよ。そこの人型の記憶達みたいなものに似せた形でさ】
「……通りすがりだって言ってたのに、どうしてそんなに親切に?」
【そりゃ君の道行きを見たらな。流石に放っておけないだろ】
きっと多くの、本当に多くの困難がこの先に待ち受けている。
力を貸すぐらいならタダなわけだし。
そこに俺が加わったところで問題ないはずだ。
【じゃ、また縁があったら会おう】
そのようにして。
俺はこれから無数の困難を乗り越えるであろう、彼らと別れを告げたのだった。
・漂流神格災害ハスター・サイクル(参加条件:一部6章をクリア)
突然来た旧支配者ハスター(すぐ帰った)の足場を解体するボックスガチャ。
足場を柱にテクスチャが貼り付けられており、中からはビヤーキーが湧くしイタクァも湧く。
頑張ってリソースを吸い尽くさないと、この風の眷属に星が乗っ取られる、いつもの大惨事へと発展する。
ハスター的には去り際の投下物資ぐらいのつもりだったが、性質的には空想樹が近い。
ゲーティアも仰天の謎イベ。
・正月PU⭐︎5アルターエゴ、黄衣の王
高火力全体宝具「魂の撃滅」とNP配布、「魂あるもの」特攻を備えた優良鯖。
常にベソベソしながら人理を取り戻すたびに協力してくれる。無論トンチキイベントは全力を出す。
ギルガメッシュには嫌われている。
「アレは人類を溺愛のまま飼い殺すタイプの害獣だ」とのこと。
本気を出せば人類悪顕現できるが、部外者の自分がそこまでするのはお門違いだと思って止めている。
バレンタインには金の象眼細工のある滑るような黒い縞瑪瑙でできた「黄色の印」をくれる。
アビーちゃんに会った場合、「俺にめちゃ可愛い妹できた!妹!できた!!!」と語彙力なくなる。
ゴッホちゃんに会った場合、「え…知らん…怖……いやマジで怖いんだが!?!?」となる。