ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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結婚後ニャルデート

 

 今日は米花百貨店で買い物デートである。

 ニャルの到着を入り口で待っているなり。

 

 俺もマモーさん監修の元パリッとした服と髪型で決めている。

 マモーさんは「まさに美!完成された美に違いありません!!」と絶賛していた。

 

 たとえ俺がレゲエのおじさんでも絶賛していただろうから、リップサービス八割なのだろうが。

 まあ、悪い気はしないので胸を張って得意げにするなどした。

 

 コナン君も「そろそろ俺も蘭とまたデート行くか…」とぼやいていたので、俺もついホクホクしてしまった。

 行っておいで行っておいで。

 俺も全面協力するから。

 

 

 しばらく店の前で待っていると、ニャルが空間転移でぬるりと空間の裂け目から這い出してきた。

 

 実にアクロバティックな術式だ。

 転移の出口だけ認識阻害が発動するようになっており、スムーズに人前でも転移が使えるようになっているようだ。

 あれ、便利でいいな。俺も術式パクろ。

 

 なお恒例の粘土細工のため可読性は最悪の一言である。

 例えるなら変数系はabcと順番に振ってあるし、奈落のような深さのネストに苦しめられ、時折AIのように意味不明だけど動き、式は一大叙事詩並みに長い。

 うおおおおおおお!!!

 

 苦しむ俺に気づくことなく、ニャルが微笑んだ。

 

「すみません、待たせてしまいましたか?」

「いや今来たとこだし問題無いよ」

 

 術式のことは忘れて、ニコッと微笑んで手を上げる。

 ニャルは目を見開いて「い、今のセリフは少女漫画で習ったやつ…!」と頬を赤らめた。

 少女漫画なんでも載ってるやん。

 

「最近はたびたび呼び出して悪かったな。助かったよ」

「構いませんよ。先日のグラーキサッカーは楽しかったですね!」

「だな!アレはまたやりたい」

 

 蹴ると泣き言を言うボールを使って、広い湖面でシュートの練習をしたのだ。

 あれもまたニャルデートの一環といえばそうかもしれない。

 ボールはその後傷付いたらしく、もっと遠くへ引っ越して行った。

 

 それはともかく、連れ立って米花百貨店へと入る。

 前に爆弾騒ぎがあった百貨店だが、日常茶飯事であるためとくに人足は遠のいていないようだ。

 屈強な米花町市民の姿に自然と心が引き締まる。

 

 今回は午前に探偵事務所で仕事を済ませた後、午後ニャルと合流してデートとした。

 帰りはそのまま黄昏の館に一緒に帰る感じになる。

 

 入ると、美味しそうな洋菓子和菓子の群れが出迎えてくれた。

 聞いたことある名店のお菓子だ。

 俺もTV番組の食レポで食べたことがあるものがちらほら。

 アレ美味しかったんだよね。

 

 名残惜しそうな俺を置いて、ニャルはズンズン3階へと進んでいく。

 ああ…美味いもん……でもニャルの味覚とは方向性が違うから仕方ないか。

 

 3階は婦人服とアクセサリ類だ。

 普段は目にしないお高いレベルの商品達に、俺も思わずしげしげと眺めてしまう。

 

 でも今の俺はちょっとお金持ちなので一味違う。

 TV収入とY◯tubeの収入に加えて、BabbageMusic(音楽配信サービス)に楽曲登録した収入が入ってきたからだ。

 その収入が意外と莫大で、俺はうふうふとお大臣様にでもなった気持ちである。

 

 BabbageMusicはバベッジ・インコーポレイテッドが運営する大手音楽配信サービスで、音楽のDL販売も行っている。

 黄色の印の兄弟団の下部組織でもあるので、公安信者さんに話を通した後に登録。

 俺の出した楽曲は審査が爆速で終わり、トップページに宣伝が載りつつ販売が開始した。

 

 そうしてあっという間に収入が入り、俺はウハウハ状態というわけだ。

 もう少ししたらコナン君とマモーさんと諸伏さんを連れて高い寿司などを食べる予定でもある。

 

 

 ニャルが店の一つで足を止めて、ふぅむと吟味する。

 そして「これとか良いですね!」と自分に合わせて俺に見せてきた。

 

 ニャルは背の高いモデル体型の美人さんだ。

 どの服もとてもよく似合うし、この上なく美しい。

 

「可愛いじゃないか!気に入ったのがあったら俺が買うよ」

「本当ですか!?少し待ってくださいね!」

 

 ニコニコのほわほわな幸せ笑顔でニャルは服を選び出した。

 

 こんな服一瞬でコピーできるし、買うだけなら降谷さんから毟るだけでいい。

 でも、思い出の品はあった方が嬉しいし、同じ時を共有した印になる。

 「俺からの贈り物」というラベルにこそ価値を見出してくれるとは、本当に嬉しい限りだ。

 

 しばらく悩んで、「これお願いします!」と若草色の春用ワンピースと、それに合う白く繊細なカーディガンを選んだようだ。

 試着してくるりと回ると、フレアするスカート部分が風に舞って実に爽やかだ。

 

 俺が購入するために会計で前に出る。

 

 財布の中でマモーさんのブラックカードが俺を威圧しているが、それは無視。

 ニャル用品を買うのは俺の財布でなければならんのだ。

 

 店員さんは店の外まで紙袋を持ってきてくれた。

 ニャルが「彼に持たせてください」と店員に指示する。

 彼?と疑問に思って視線を向けると。

 

 さっと横から現れた降谷さんが紙袋を受け取り、ニャルのそばに控えた。

 

 ニャルは「次へ行きましょう!」と俺の服の袖を引っ張って勢い付いた。

 いや。いやいやいやいやいや。

 

「おかしいよね!?野生の降谷さんが突如現れるのは絶対おかしいよね!?!?」

「ただの荷物持ちです。ほら、早く行きましょうってば!」

 

 ニャルにぐいぐい手を引かれるので、仕方なく歩きながら事情を聞くことにする。

 

 降谷さんは「荷物持ちとして呼ばれた」とだけ答えた。

 クソ忙しい警視長の公安課長をただの荷物持ちに呼び出したのか。

 というかニャルのことだから前日夜に浮かれた気持ちに浸りながら急に呼び出したに決まってるのに、有給取れたのか。

 

 俺が戦慄していると。

 なぜか降谷さんはほんわり笑顔で機嫌が良さそうにしていた。

 というか凄く嬉しそうだ。

 

 降谷さんが頑張って眉間に皺を寄せて、絞り出すように渋い声を出した。

 

「本体は今、もう凄まじく嬉しいわけだ」

「あっ……了解ですすまんかった」

「責任とってくれ。断れなかった。自意識で断れるような生温い悦びじゃなかった。今ももう、うん、なんか全然気にならない。荷物持ちだけでこんなに嬉しい」

「本当に申し訳ない!!!」

 

 ふわふわと極楽浄土にいるみたいな笑顔で降谷さんが笑っている。

 これは明確な洗脳ですよ!!!

 と思いつつ、同じレベルかそれ以上に嬉しそうなニャルなのである。

 

 「ねえねえ化身なんかと話してないで!良い感じの髪留め選びましょう!!」と俺を揺さぶる。

 

 ニャルが上機嫌だと世界が平和だし、まあ良いということにする。

 降谷さんには手土産に美味しいものを持たせてやろう。

 今の本人は満足そうだし、きっと許してくれるはずだ。

 そうに違いない。

 

 ルンルンのニャルと手を繋ぎながら、雑談する。

 

「昨日楽しみで楽しみで、深夜まで羽虫遊びしちゃいましたよ。やっぱ羽虫で遊ぶ時は羽虫が作るゲームのように凝ったルールが受けますね」

「お、おお……」

「今回は鬼から逃げながら発電機を操作して出口を開く感じのシステムにしたんですけど」

「なんか聞いたことあるなそのゲーム」

「みんな割と動きが良くて楽しめました。二人脱出しましたし」

 

 該当ゲームのプレイヤーいたんじゃねーかなそれ、などと思いつつ。

 でもホラゲーをリアルでやりたい奴などおらんので凶悪さは据え置きである。

 

 しばらく回って、髪飾りとバッグを選んでからお揃いのマグカップを購入した。

 

 可愛い植物柄のマグカップだ。

 ねえねえ飲み物も買って行きましょう!と幸せそうなニャルがホクホク顔で紅茶も選んでいる。

 別に俺たちに飲み物を啜る文化はないが、同じ時間を分かち合う行為としてお茶を選択したらしい。

 俺の顔にも自然と笑顔が浮かぶ。

 

 

 そうして。

 帰りの時間になる頃には、降谷さんはすっかり夢見心地タイムに陥っていた。

 

 俺が平謝りしてもほわほわふわふわ。

 「全然構わないよ。僕もとても楽しかった」と最初にギリギリ絞り出した文句を忘れ去って

優しいとろけた笑顔を浮かべていた。

 これは明日キレられるかもしれん。

 今のうちに謝れるだけ謝っておこう。

 

 俺は丁寧に購入した菓子折りを降谷さんには渡して、持っててもらった買い物袋を受け取った。

 

 ニャルは「うん?アレに屋敷の中に荷物を運び込ませれば良いじゃ無いですか」と不思議そうだったが。

 忙しいんだからこれ以上こき使うのはやめなさい。

 

 加えてコナン君達用に珍しい果物の詰め合わせを購入して、時間を手繰り寄せて自身を分割。

 夜ご飯の時に一緒に剥いて食べることにしたのである。

 

 

 

 翌日。

 怒りの降谷さんが安室の顔をして事務所に殴り込み、ずーっと事務所でずっとブツブツ文句を言っていた。

 

 昨日の余韻で幸せなニャルから波動を受け、時折ホワホワした顔になりつつ。

 平和なデートは幕を閉じたのである。

 





・リアル「Dead by Daylight」もしくは「第五人格」
蛇型神話生物「駆り立てる恐怖」に追われながら頑張って発電機を作動させて出口を開き、脱出するニャルゲーム。
鬼に追いつかれると足を折られ、吊るされる。
吊るされて一定時間経過するとニャルが受け取って適当にプチプチして遊ぶ。
脱出者はきちんと現実に戻れるが、トラウマは据え置き。

・ふわふわ降谷さん
しあわせ。なんでも許せる。
同じかそれ以上ぐらいにニャルはふわふわしている。
なので邪神を鎮めた事実を認め、降谷さんは実はあんまり怒ってない。
ニャルを半日無力化する偉業なら、自分が犠牲になるくらいなら許容してる。
なお突如半休を余儀なくされ仕事予定は死んだ。

・ニャルデート
大抵の場合極めて苛烈。
ハスターは若かりし頃のヤンチャだと思っているが、全然現役でグラーキでサッカーする。
旧支配者界隈ではニコイチの災害として扱われており、警戒されている。
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