ライブ感で進めてきた設定を見直すのじゃ…!
今日は全国剣道大会にて、みんなで平次君を応援に行くなり。
会場は東都体育館だ。
俺、諸伏さん、コナン君の三人で車に乗り込み、日曜の簡単な行楽として向かっている。
俺は助手席からやや後ろを向いて、後部座席のコナン君に声をかけた。
「星の精の様子はどうだ?」
「うーーん、ダメみたい。めちゃくちゃしょぼくれてる」
コナン君がカバンを持ち上げて、中の様子を見せてくれた。
中ではブランケットの塊がモゾモゾ動いている。
その端っこからやや干からびた触手がのぞき、「クス………」とか細い声を上げた。
重症みたいにみえるが、単なる筋肉痛である。
星の精は最近とみに肥満体型になってきたからな。
運動も兼ねて、祝日の昨日は少年探偵団と一日チワワの姿で遊び尽くしたのだ。
それはもうたくさん楽しんだらしい。
サッカーしたりかくれんぼしたり、殺人犯と鬼ごっこして撃退して佐藤刑事に引き渡したり。
帰ってきた星の精は全身が誇らしさで満ち満ちて煌めいていた。
夕飯の席でも、ずっと得意げに今日の星の精の活躍を身振り手振りをつけて「クスクス!!!クスクスクス!!!」と語ってくれた。
「そうかそうか、後ろから忍び寄って吠えついて、見事犯人の意識を逸らしたのか!やるじゃないか!」
【クス!!!】
「僕何言ってるのか全然わかんないんだけど、意外とたくさん喋ってたんだね…」
『共通触手語とかあるのか?』
「いや、俺もわからんから思考を読んでる」
俺は首を振って諸伏さんの言葉を否定した。
というか共通触手語ってなんやねん。あるわけないやろ。
単に思考を読んで、星の精の言いたいらしいことを抜き出しているだけだ。
とりあえず、ビルよりも大きい星の精がコナン君を乗せて悪い黒づくめをやっつけた回想はデマだとはわかった。
星の精的には将来はそのぐらいおっきくなる予定らしい。
でもそれはもう旧支配者なんよ。
とはいえ、神話生物クトーニアンの名前付き異常個体である、旧支配者シュド=メルなんかの例もある。
夢は大きく、ということかもしれない。
でも想像の中のコナン君もウルトラマン並みにめちゃデカかったのは思わず吹かざるを得なかった。
そうはならんのじゃよ。
そして、その夜。
拾い食いしたトカゲの血に当たってお腹を壊しつつ、全身筋肉痛で星の精はグスグス泣くことになったのであった。
お腹は俺が治した。
軽い食あたりみたいなものだし、心配することもない。
全身筋肉痛の方は迷ったが、筋肉をつけるためにも安易に元に戻さないことにした。
バッグの中の星の精は、弱々しく鳴いてコナン君に触手を伸ばした。
末期の患者みたいなテンションだ。
コナン君が「よしよし、すぐ治るから気にすんなよ」と笑いかけて握り返した。
星の精は少しだけ元気づけられたようだ。
「クス!」と言ってモゴモゴとブランケットにくるまった。
まあ子供だし、筋肉痛程度すぐ治るだろう。
昨晩は星の精はもう死ぬしかないんだ!と絶望して泣いて一晩中コナン君に泣きついていたし。
随分元気になってよかったよかった。
さて、そんなこんなをしつつ、東都体育館へと到着。
すでに蘭ちゃんと和葉ちゃんが現地入りしていたようで、和葉ちゃんが手を振って俺達を歓迎してくれた。
「あ、黄衣さん来てくれたん?嬉しいわぁ!」
「服部君には俺も世話になってるからな。俺も剣道大会には興味があったし」
全国大会で、東都で開催だからそこまで手間でもない。
大会の様子を見下ろしながら、諸伏さんが懐かしそうに微笑んでいる。
『俺は安室みたいに剣道は強くなかったからなぁ。若い才能は羨ましい限りだ』
「へえ、日色さんも剣道の心得があるんですね!」
蘭ちゃんに言われて「学校でやった程度だから、心得のうちにも入らないさ」と諸伏さんがカラカラと笑った。
たぶん警察学校の話だろう。
しかし降谷さん、ボクシングがメイングラウンドだと思っていたが、剣道もできるんだな。
コナン君が難しい顔をしてブツブツと呟いている。
「空手、は蘭に絶対勝てないし。赤井さんにジークンドー教えてもらうか……?」などと思案しているようだ。
チクタクマンもコソコソと会話に参加している。
『せやかて工藤、そんなナリで蹴ったり殴ったりしても大人はノーダメやで』
「わかってるよンなこと!くっそ、降谷さんも奴らを潰すならさっさとしてくれよ!」
『どうせ多少鍛えたところであの姉ちゃんの空手のがずっと上なんやし、そう焦んなや』
「服部、真実は時に人を傷つけるんだぞ」
コナン君が怨念の籠った声を漏らしている。
可哀想に、探偵の身で真実の鋭さに気付いてしまわれたようだ。
まあでも、確かに一個ぐらい近接戦の心得があるのも悪くないからな。
俺も人型でこそ運動音痴の弱弱だが。
触手状態でなら、ステゴロも旧支配者の中では比較的強い方だ。
「魂の撃滅」を極限まで圧縮して触手に纏わせ、クトゥルフと肉弾戦したこともあるし。
ちんたらやってるより一発ぶん殴った方が早いこともある。
ヤンキー語録とか言ってはいけない。
見ているうちに服部君の試合が終わったようだ。
見事な後の先を決めて勝利している。
力が入りすぎて振りが大きい相手の面の隙をつき、最小の動きで胴を薙いだのだ。
流石、全国大会までのし上がった強豪だ。
そして、その隣で時間差で始まった試合も実にすばらしい。
和葉ちゃん曰く、この大会一番の難敵である沖田総司という選手らしい。
STR(筋力)もDEX(技量)もCON(耐久力)も高い値で纏まっていて、かなり強そうだ。
あと、多分もう一人。
剣道版京極さんみたいなのが居るように思われる。
そのように試合を観戦していると、ふとコナン君のスマホがバイブ音を鳴らした。
コナン君が電話するふりをしてコソコソと場を離れる。
俺もちょっと会話を盗み聞き耳することとする。
どうやらバイブ音はチクタクマンが会話したいがために鳴らしたものらしい。
二人が物陰で会話し始める。
『なあなあ工藤、あの姉ちゃんパパンを応援しとるんか?』
「お、おう。和葉ちゃんなら服部を応援しにきたで間違いねぇけど」
『つまりパパンは姉ちゃんと結ばれとるっちゅーこっちゃな?』
「まあ。時間の問題?みたいな?」
時間の問題なのは、まあ、間違いないだろう。
二人は否定しているが間違いなく両思いだ。
服部君が短い沈黙を挟んで、慎重に口を開いた。
『つまり俺はあのえらい別嬪な姉ちゃんの実の子供ってことやな!』
「それは違うと思う」
『既に男がいるって聞いた時はどないしたろか思てん、なんやパパンの妻やないか。ほならワイのママンっちゅーこっちゃな!』
「お前割と都合いい思考してるよな」
俺らの第一子がどっか行った!!!
俺は静かに驚愕した。
まあどっちの子供の方が幸せになれるかって観点で言うと、俺は悔し泣きをしながら臍を噛むしかない。
悲しいので静かにコナン君にメッセージを送った。
ピロン。
『ん、なんや、工藤のSNSにメッセージ入っとるで…どれどれ』
「おい勝手に人のメッセージ覗いてんじゃねぇよ」
『!!!く、くどーー!!!』
慌ててチクタクマンが俺のメッセージを大映しにしてコナン君に見せた。
しかもご丁寧に集中線まで入れられている。
そこには「別の家の子になりたいのか……?」とだけ書かれた俺のメッセージが送信されていた。
柱の陰から覗いてるゆるキャラ系イカ君のスタンプも添えて。
コナン君から返信が来る。
「認知に後ろ向きだったからじゃない?子を思うなら親権は渡しといたら」と冷静なコメントであった。
俺は無事撃沈し、泣き暮れるイカのスタンプを返した。
そのようにして午前の部は過ぎていった。
昼休憩は二時間。
午後二時から午後の部が始まる予定だ。
それまでのうちにどこか近場でランチを取ろう、ということ話は纏まる。
せっかくなので車という足がない蘭ちゃんも入れて、美味しい店でご飯を食べるのだ。
その前にコナン君と蘭ちゃんは一度トイレに向かう、ということで。
見送りしてはや30分。
俺たちがまったりと入り口で待っていたが、なかなか戻ってこないとに疑問を感じ始めてきた。
そして何故かパトカーが複数台、東都体育館の前で停車する。
こ、これは絶対事件に巻き込まれている!!
俺は諸伏さんと真顔で警察の後を追って走り出したのであった。
・イカのスタンプ
実はニャルラトホテプが作った販売中の手描きスタンプ。
「使いやすい俺っぽい可愛いスタンプ描いて!」と無茶振りして描いてもらった。
当初はグロ実写ハスターだったが、何度もリテイクを重ねてこの形にしてもらった。
「え、でも第一案の方が絶対可愛い…」
「俺は最終案が使いたいんだ!頼む!!!」
「我が夫がそこまで言うなら……???」
第一案も同時販売したが、第一案の方が10倍ぐらい売れてる。
ネタスタンプとしてだが。
・降谷&諸伏さん&ハスター
トイレ行かない勢。
飲み食いはするが、食べたものは全てMPに変換されている。
風呂の意味も結構薄い。
ハスターは体全部で風呂に入りたいどずっと思っているが、極小足湯の気持ちでいつも人間体の風呂を楽しんでいる。
降谷さんは地味に風呂中に本性と人間体を切り替えて体を洗っている。
別に疫病の風を洗っても意味ないどころかマイナスだが、なんとなく小汚い気がして。
諸伏さんも当初は本来の幽霊体で風呂に入ったが、すぐに虚無だと気付きやめた。
・星の精
ご飯の後にコナン君と一緒にお風呂に入るのが日課。
丸々泡だらけになり、コナン君に触手を洗われる。
風呂の浴槽には星の精用の踏み台があり、そこに座っていい感じに入浴を楽しむ。