ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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ニャルニャルサバイバー!

 

 その後一週間で、無事長野周辺の超低温現象は解除された。

 

 周辺は朝がたなど−40℃にも達する過酷な気温と化し、水道管の破裂や車の故障なんかが散見されたが。

 ひとまず近隣住民を暖房設備の整った避難所に避難させたこともあり、大規模な被害もなくやり過ごすことができたようだ。

 

 殺人犯もすぐに捕まった。

 

 俺がちょっぴりガン付けてしまったから萎びていたが、問題なかろうよ。

 ちょっと夢見が悪くなるぐらいだし、まぁええやろの精神だ。

 裁判でもちゃんと心神耗弱と判断されない程度にはSAN値が残ると思われる。

 

 死体を隠そうとしていた二人組も逮捕された。

 まあ概ね無事に事件は幕を閉じたと言うべきだろう。

 

 

しかし。

 

 

「ジャカジャカジャン!冥王星!シューティングゲーム!開⭐︎催です!!!」

 

 今日、事務所に突如襲来したニャルはマラカスを鳴らしながら、一人とっても盛り上がっている。

 

 俺の事務所にミラーボールを勝手に出現させ、魔術でキラキラと飾りつける。

 パーティ気分を盛り上げているようだ。

 

 そしてちょっと迷ってから、最後に装填された魔術の発動は取りやめたようだ。

 

 事務所のメンバーを適当な大きなオーナメントに変えて飾るのは思い直してくれたらしい。

 偉い。大変偉いぞニャル。

 

 ちなみに、俺は仕事の真っ最中。

 コナン君と星の精は学校で、降谷さんも諸伏さんも事務所でいつも通り書類の仕分けをしているところだ。

 

 あと定期報告に来た銀髪マフィアもソファに座ってゴールデン君を撫でている。

 さらに俺を米国にラフに勧誘に来た沖矢さんにエンカウント。

 室内はすでに氷点下となっていた。

 

 うーん、この極寒の空気をなんとかしてくれたと言う意味で、ニャルはベストタイミングだったかもしれない。

 

 穏やかな顔の裏で凄まじい殺気を激らせているであろう沖矢さんはニコニコしてカミソリみたいな世間話をしてるし。

 銀髪マフィアは持ち前の直感でその危険性を感じ取り、迷惑そうに「おい、どこのエージェントだこいつは」と降谷さんに話しかけるし。

 ほぼ冷戦状態だったのだ。

 

 ゴールデン君がヒーンと小さい声で鳴いていて大変可哀想だった。

 そろそろ俺も腹痛を訴えてお暇しようと計画していたところの救いの女神だ。

 ありがたくその手を取ろうではないか。

 

 いやディアルガVSパルキアVSダークライみたいな話かもしれないけど。

 

 俺は咳払いして、ゴールデン君をそーっと影に隠しながらいつも以上にやさしくニャルに話しかけた。

 

「どうしたニャル?何かゲームでも思いついたのか?」

「はい!化身を冥王星に放って、ミ=ゴをプチプチするんです!ゲーム性も抜群!化身もストレス発散できる!一石二鳥です!」

「おお」

 

 思ったよりずっとまともな提案に俺はつい瞬いてしまった。

 

 てっきりむしゃくしゃして人間をプチプチし始めるんじゃないかと戦々恐々としていたが。

 まさか降谷さんのことも考えてゲームを考えていたとは。

 

 ニャルは頬を染めて俺に擦り寄り、「やっぱり貴方のそばに置く化身ですし、健康にも気をつかわないと思って…」と恍惚と息を漏らしている。

 

 なお、ニャルは現在何故かピカピカ光る電飾付きのクリスマスツリーの着ぐるみを着ている。

 今は3月である。

 

 優しくて良いニャルなので、俺はたくさんわしゃわしゃ撫で回して抱きしめた。

 

 クリスマスツリー装飾が俺の体に刺さっているが、気にしないこととする。

 ニャルはパタパタ足をパタつかせて喜んだ。

 

 後ろで降谷さんが「俺は何をさせられるんだ…?」と戦慄している。

 とはいえ、そんな怖いことではなさそうなので大丈夫だろう。

 

 銀髪マフィアは全身に冷や汗を流し、呼吸すら薄いまま全力で気配を消している。

 

 かなりギャグ一直線の格好だが、その内実はちゃんとニャルラトホテプだ。

 もし一ミリでも気を引けば「終わり」であることを魂で理解できたのだろう。

 本当に聡い探索者であることよ。

 

 それに比べて常人程度には鈍い沖矢さんだ。

 「おや、黄衣さんの奥さんでしたか。相変わらず仲睦まじいのですね」とのんびりとした声でニャルに話しかける。

 加えて「それに格好もお可愛らしい」と本心で誉め始めた。

 どうして本心なんだよアメリカンセンスか?

 

 クリスマスニャルは気分を良くしたのか、胸を張って「そうです!羽虫にしては良く見える目を持っていますね!」と満足そうだ。

 パーフェクトコミュニケーション。

 あとは好感度を稼ぎ過ぎて瓶詰めされないように注意するだけだろう。

 

 銀髪マフィアは「馬鹿か!?声を出すな!」という言葉が顔全体に浮かんでいるような絶望顔を見せている。

 表情で語るっていうのはこういうののことを言うのだろう。

 

 ニャルはよいしょ、と地球儀…いや、冥王星儀を取り出して卓上に置いた。

 

 どうやら魔術がかかっているらしい。

 見たい位置を注視すると、現在の冥王星の様子を観察できるもののようだ。

 

 少し目を向けるだけで、ミ=ゴの文明が克明に観察できた。

 

 巨大宇宙船に、冥王星を取り巻く巨大建造物。

 軌道エレベーターらしきものが接続され、小さな宇宙船の群れが次々に発着場を行き来している。

 まさに栄華を極めた科学文明の粋が、どこまでも広がっているようだった。

 

 これには流石の銀髪マフィアも驚愕したようだ。

 息を呑んで冥王星儀を凝視している。

 

「ではルールを説明します!」

 

 天井に大映しになったミ=ゴの首都を見上げながら、ニャルが滔々と宣言した。

 

「まずここの塔のてっぺんに化身を投下します。この化身が冥王星内のミ=ゴをどれだけ早く駆逐できるのかのタイムを楽しむわけです」

「…………」

「ニャル先生!降谷さんが『また僕は洗脳されるのか?』って言ってます!」

 

 俺が降谷さんの絶望顔から言いたいことを汲み取って質問した。

 ニャル先生は瞬時にスーツ姿に早着替え「良い質問ですねハスタ君!」とノリノリで回答モードに入る。

 

 よかった、あの目がチカチカする七色のゲーミングクリスマスツリーを止めてくれた。

 

「基本的に操作は自動。つまり化身が自由に引き裂いて殺す感じになります。でもそれだと変に頭を回してゲームが停滞する恐れもありますからね」

「つまり?」

「本能に素直になってもらうよう多少細工しますが、基本そのままで気軽に無双ゲームを楽しんでもらうつもりです」

 

 その上で一定スコアごとに加護を付与。

 どんどん強くなる力でミ=ゴを蹂躙する、ということらしい。

 

 「僕とっても親切じゃないですか?」とニャルはふふんと胸を張った。

 可愛い。しかもとっても親切だ。

 よーすよすよす!とニャルを再び撫でくりまわした。

 

 ニャルは俺の肩に寄りかかってごろにゃんとすりすりした。

 

 聞いた感じ問題はなさそうだが、念のため降谷さんにも意思確認をしておく。

 念話を繋いでデスクで震える降谷さんに話しかける。

 

『大丈夫そうか?結構体力仕事だし、嫌なら断るのは今のうちだぞ』

『断る権利が僕にあると思うか?』

 

 黄昏れた目をした降谷さんにちょっと返事に困って、うーんと俺は唸るしかなかった。

 あ、そうだ。前にミ=ゴ処す話が出た時も同じような話が出たんだったか。

 

『というか前に財界の話でミ=ゴを取っとくとかって話が出た気がするけど、そっちは大丈夫そうか?』

『それは問題ない。やはり人以外の知的生命体は人類には脅威に過ぎるからな。ミ=ゴの生態からして、今後資源をめぐり戦争は避けられないだろうと言う話になった』

『なるほど。なら問題ないな』

 

 ミ=ゴは母星のユゴスから離れ、星々を巡って鉱物資源を集めている。

 その中には当然、地球で言うところのレアアースも含まれているはずだ。

 確かにそれを考えれば、人類にとってかなりの強敵になるのは間違いないだろう。

 

 降谷さんは冷徹に目を細めて「それに……これほどまで繁栄している文明が潜在的な競争相手なのは、あまりに危険だ」と言葉を落とした。

 もしミ=ゴとの戦争となったら俺が止めるが。

 まあ、太陽系周辺のこれ以上の採掘を止めるという発想も間違いはないはずだ。

 

 

 俺はすでにミ=ゴの処分を決定している。

 

 コナン君には罪人を私刑にするなと言われているが。

 これは私刑ではない。

 彼らは罪人ではなく、これは神の遊戯でしかないからだ。

 

 神の寵愛を失った種族の末路はいつだって哀れだ。

 どうでもいいことだが。

 

 

 俺はうんうん頷いて、ニャルをもう一度撫でくりまわした。

 

 ご機嫌のニャルがふわっと降谷さんを手元に転移させる。

 

 そして後頭部にベシッと術式を叩き込んで、その勢いのまま冥王星に投下した。

 諸伏さんが「ぜ、ゼローッ!?」と悲鳴をあげる。

 銀髪マフィアが声を上げることもなくゴールデン君を高速で撫で始めた。

 死屍累々か?

 

 

 さて。

 天井に映された映像には、転移して尖塔のてっぺんになんとか掴まっている降谷さんが映っている。

 灰色の街並みがどこまでも広がり、その繁栄を示している。

 

 降谷さんが様子が少しおかしい。

 

 術式が効いているようで、画面には現在の「取得済みのパークの一覧」「体力」「MP」などが表示されている。

 ゲームかよ。

 

 降谷さんは少し虚ろな顔で眼下に広がる大都市を眺めて。

 ゆったりと、口角が釣り上げられていく。

 

 己の獲物が、好きに蹂躙して遊んで嬲って四肢を捥いでぶちまけていいおもちゃが目の前にあることを理解したのだろう。

 目がギラギラと欲望に輝いていく。

 

 自意識はあるし、理性もあるはずだ。

 証拠に、彼は人間の姿を崩していない。

 

 同時に増幅した欲望を理解した上で。

 それを理性で抑える必要性が無い、思いっきり遊んでなんの心配もいらないことが嬉しくてたまらないのだろう。

 

 降谷さんもニャルラトホテプの化身だ。

 そりゃ化身並みには遊びたい欲もあるはずだ。

 

 特に黒い風は破壊を主とする化身だから、その傾向は強い。

 その上で、日常生活する上で彼は努めて禁欲的に振る舞っている。

 

 今。

 全ての枷が一つずつ取り払われていく。

 

 風を制御する必要性はない。

 家々を地平線の先まで好きに吹き飛ばしても、人に被害は齎されないからだ。

 

 疫病を気にする必要はない。

 地球から遠く離れた星であるが故に、汚水の影響も人類には届かない。

 

 どんなに嬲って残虐に振る舞っても、相手は人でないのだから許される。

 人類の外敵だから許される。

 

 全ての悪辣をはたらく、権利がある。

 

 嗜虐的に歪んだ笑みはあるとき、黒々とした悪意が瞳に宿ることで開眼する。

 それ即ち、本来の姿。

 

 ニャルラトホテプの化身、悪辣なる意思ある大災害。

 「黒い風」の本性が、あらわになった。

 

 黒い風はついに、蟲のざわめくような、歪な哄笑を上げた。

 

 

【あは。はは……はははハハはハ!!!!】

 





・ジンニキ
ああなった降谷さんをよく知ってるので「面倒だぞこれ!」ってなってる。
正気を戻すのにだいぶ苦労したのに!
あとで凹まなきゃいいが…と若干心配中。
ミ=ゴの繁栄っぷりを見て、「これは人類が蹂躙されていないのは奇跡だ」と直感した。
繁栄とは欲望のもとに生まれる。
こんな繁栄なら、人類並みかそれ以上の欲望を持つ生き物に違いない。
それが神の仕業ということで消えるなら、幸運とすら言えるだろう。

・沖矢さん
「!?!?!?!?」ってなってる。
なんなのだこれは!いったいどうすれば良いのだ!?
このメンツの中で一番健全な精神持ちかもしれん。
人間として健全に、「おぞましい化け物の群れを降谷君がシューティングしてる」と理解する模様。

・降谷さん
ニャルニャルしているが半分ぐらい正気。
溜まりに溜まったストレスのはけ口が見つかって歓喜している。
やった♡このおもちゃ全部僕のってことでいいんですよね♡

・ニャルラトホテプ
久しぶりの夫と一緒の下等生物遊び!
張り切っちゃうぞ!!!
クリスマスツリー衣装はドンキで偶然飾ってあったのを見ただけで他意はない。
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