ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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可愛いとビヤーキー

 

 現在は休日夜である。

 

 いるのは俺とコナン君、それに降谷さんと諸伏さんのいつメンだ。

 床の魔術式を囲んで、現在儀式の発動直前なり。

 

 頭に星の精を張り付かせながら、コナン君が困り切った顔で俺を見た。

 

「ねえ、本当に呼ぶの?僕は大丈夫だって言ってるのに」

「だめだ。星の精は小さいし、コナン君には足が必要だろ」

 

 俺が断言する。

 小さいと言われたのを聞きつけた星の精が、ポコポコ怒って「クスクスクス!」と反論した。

 すまん、失言だったわ。

 

 実は本日、野良爆弾魔が湧いてコナン君が吹っ飛ばされかけたのだ。

 そのうえ犯人をギリギリまで説得して逃げ遅れたと来た。

 

 コナン君の防護は完璧だったから、崩れたビルの瓦礫をかき分けて這い出て来たが。

 めちゃくちゃびっくりした俺の心の傷は癒えないままだ。

 

 もし騎獣か何かいれば、コナン君ももう少し俊敏に動けただろう。

 

 というわけで、足になる生き物を召喚する事にしたのである。

 

 降谷さんが「魔術が使えるんだから別に要らなくないか…?」と懐疑的な顔をしている。

 諸伏さんもうんうん頷いてそれに同意し、空気は完全なるアウェー。

 

 俺は静かに憤慨した。

 装備はあればあるだけいいんだよ!!!

 

「はい!円の中央に立って!良い感じに手をかざして!」

「黄衣さんってさぁ」

 

 コナン君は迷惑そうな様子をしつつも、仕方ないなと中央に立ってくれた。

 優しい。嬉しい。

 

 諸伏さんが「何を呼び出すんだ?人の世にいて良いやつなのか?」と心配そうにしている。

 俺は頷いてそれを肯定した。

 

「ビヤーキーって言ってな、俺の奉仕種族なんだ。人間も乗って空を飛べるし、ミ=ゴより可愛い」

「それと比べるなら大抵のものが可愛いんじゃないか?」

「降谷さんは真実を口にするのは謹んで」

 

 ビヤーキー。もしくはバイアクヘー。

 

 俺こと旧支配者ハスターの奉仕種族だ。

 蟻と爬虫類を合体させたようなもので、特徴的なのはその優れた移動能力にある。

 

 フーンという生体機関を使うことで、宇宙空間では光速の10分の1程度の速度で飛行できるのだ。

 さらに亜空間創造能力を持ち、そこを介すことで光速の400倍もの脅威の速度を誇る。

 

 単なる生物としては破格の能力と言えるだろう。

 

 地上はあまり得意ではなく、時速70kmほどの飛行に留まるが。

 人を乗せて自由に移動できると考えれば十分過ぎるスペックのはずだ。

 

 そしてなにより、基本彼らは可愛い。

 人間が見てもSAN値は減らないし、良い生き物である。

 

 「可愛いってホント?」とコナン君が懐疑的な顔をした。

 

「ホントホント。俺が起き抜けに見てもびっくりしない程度にはちゃんとした見た目だよ」

「本当かなぁ」

 

 非常に疑わしげだ。

 星の精も「クスクスゥ…?」と同じように疑わしげな声を漏らしている。

 いや君よりも間違いなく見た目は可愛いんだよ星の精ちゃんや。

 

 じゃあ呼ぶぞー、と俺が声をかける。

 みんなまるでやる気がないが、一応付き合ってくれるようだ。

 のそのそと円の外に出る。

 

 魔術式が光を発しながら駆動を開始する。

 瞬間。コナン君を主として、適当なビヤーキーを召喚が呼び出される。

 

 現れたのは、ディ◯ニーキャラの着ぐるみみたいなものであった。

 

【初メマシテ!僕ヲ呼ンデクレテ有難ウ!コレカラヨロシクネ!】

 

 それは若干カタコトの現代日本語を話して、くるっとターンして決めポーズを取った。

 アリさんを基本にデフォルメした可愛らしい形だ。

 

 カートゥーンじみている、と言って良い。

 ファンシーな羽がついていて、パタパタと小さく羽ばたいている。

 目は大きくクリクリで、表情は硬いがきちんと笑顔だと分かる形になっている。

 だがちょっと造形がイマイチ気味か?

 

 俺は得意満面に皆に紹介した。

 

「な、可愛いだろ?」

「怖い怖い怖い怖い怖い!!!」

 

 コナン君が顔面蒼白でブンブン首を振った。

 なんでや。ミ=ゴよりずっと可愛いやろがい。

 頭に張り付いていたはずの星の精は、怯えて素早くコナン君の服のポケットに入り込んでいる。

 

 そして同時に目の前にいる俺のことをビヤーキー側も遅れて理解したのだろう。

 

 すぐさま地面にへばりついて激しく振動し出した。

 

【───、───!!!】

「ん?お前日本語に堪能ではないのか。若いビヤーキーだな。いいぞ、楽にしろ」

【──ッ!?!?!?】

 

 俺相手にビヤーキーの言葉を話しているあたり、あんまり勉強ができるやつではなかったのだろう。

 緊張しすぎ震えて立てないらしく、ガクガクと蠢いている。

 

 楽にしろって言ったのに。まあちょっと可愛いしいいか。

 

 俺はルンルンでビヤーキーの肩あたり?を掴んでコナン君に微笑んだ。

 

「な?いい感じだろ?俺の本宅がある黒きハリ湖で屋敷の面倒を見てくれてるのもビヤーキーなんだ」

『え、この格好で家事とかできるのか?』

「意外と手先も器用だよ。魔術も使えるし」

 

 俺が頷いてビヤーキーを見つめれば、ビヤーキーは激烈に震えて縮こまった。

 

 どうやら魔術があまり使えないらしく、ビヤーキーの言葉で声を詰まらせている。

 俺の屋敷にいたビヤーキーは全部使えたのに、おかしなこともあるものだ。

 

 それに動きも可愛くない。

 自然じゃないし、愛想も良くない。

 

 うーむ、と俺は腕を組んで悩んだ。

 

 コナン君がおずおずと俺を見上げて口を開いた

 

「やっぱ帰してやろうよ。多分まだ慣れてないんだよ。それに僕、自分の魔術の練習したいから乗り物はいらないし」

「そっかぁ。確かに魔術の使えない乗り物は使いづらいしなぁ」

 

 「帰って良いぞ」と声をかける。

 が、どうやら自己送還が使えないらしい。

 さらに小さくなってメソメソし出した。

 

 仕方ないから俺が魔術で送り返してやる。

 まだまだ可愛さは足りないが、成長途中なだけだろう。

 

 光と共に若いビヤーキーは帰って行った。

 

 「なあ、あれは可愛かったのか?」と降谷さんが眉間に皺を寄せている。

 俺は腕を組んで首を捻った。

 確かにちょっとイマイチだったんだよなぁ。可笑しいなぁ。

 

「でも俺の屋敷にいた奴はみんなめちゃくちゃ可愛かったんだけどなぁ。うーん、個体差かな」

『後宮じゃん』

「そうだな。間違いなく選りすぐりが集められていただけだろう」

 

 皆の非難の視線が突き刺さり、俺は唸らざるを得なかった。

 帝俺氏、後宮で接待を受けていただけだった模様。

 村娘を突然攫って来て悪かったな……。

 

 少し反省して、俺はしょぼくれて星の精を撫でるなどしたのであった。

 





・ハリ湖にあるハスターの宮殿
ビヤーキー界のエリート中のエリートが集う場。
旧支配者ハスターの寵愛を得るならなんでもするし、それこそが種族の生存戦略そのものである。
無論日本語堪能、魔術も自由自在。可愛らしく、愛嬌があり、一挙一動が洗練されている。

・呼び出された一般ビヤーキー
ちょっと落ちこぼれ目だが、酷く低ラインなわけではない普通のビヤーキー。
母星に帰ってから上に呼び出されて死ぬほど問題になる。
「神に呼び出されたがガッカリされて帰された」
「神の寵愛が失われることだけはあってはならない」
「ビヤーキーという種の存続の危機。ビヤーキー全体の底上げが急務」
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