ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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カリオストロ導入編

 

「ゴート札?」

「ええ。恐らくは偽札だったのでしょう。私の系列が経営するカジノも面倒なことになったことがあります」

 

 昨日夜にルパンが侵入したモナコの国営カジノについてニュースでやっていたので、それについて雑談する現在なり。

 

 ルパンは金を盗み出したものの、それが途中で偽物だと気づいたらしい。

 逃走中に路上で金を全て撒き散らし、札の雨が降って来た!として現地ではかなりのニュースになったそうだ。

 

 拾った人が「一家総出で拾いに来たよ。もうほとんど残ってなかったけどね」とニュースインタビューに答えるなどしていた。

 近くの銀行は泥だらけ千切れ掛けの紙幣が大量に持ち込まれて大忙しらしい。

 

 降谷さんが難しい顔をして考え込んでいる。

 

「僕も研修で学んだことがある。歴史的な大規模偽札事件だとの話だが。まさか今でも現役なんですか?」

「勿論、忌々しいことに定期的に出回る。ドル札とユーロ札が一番だが、日本札も出ているはずだよ」

 

 マモーさんは教え子に話すように丁寧に降谷さんの疑問に答えた。

 そして「金の流れの不自然なところはいつもそうだ。市場の癌みたいなもので、迷惑なことこの上ない」と吐き捨てている。

 

 財界人として、ゴート札のことは快くは思っていないようだ。

 

 製造元たるカリオストロ公国の主な取引先は各独裁国家や先進国の一部だ。

 強引に金の流れを変えられて読み違えるのが鬱陶しくて敵わないとのこと。

 

 マモーさん自身、幾度かゴート札の取引を打診されたこともあるらしいが。

 金には困ってないと突っぱねたようだ。

 そりゃマモーさんの腕があれば、素で金の流れを支配することなど容易いだろう。

 

 今日は降谷さんと諸伏さんも事務所の仕事だったが、雑談がてら出たとんでもねー厄ネタに二人とも言葉を失っている。

 

 降谷さんは眉間に深い谷間を刻んだまま「平和なルパンの珍事件」として報道されているTVの画面を睨みつけた。

 

「…………厄介な。見分ける方法は確立されていますか?」

「番号のダブり確認。流れ自体を追う。基本はそれだけだ。私は怪しいものを魔術で念入りに調べることで特定しているが。手間がかかって仕方がない」

「それは…本当に頭が痛いな。日本にどの程度入って来ているか見当はつくでしょうか?」

「さて。主観だけで語るなら、『今我々の持っている紙幣にそれが紛れていても何らおかしくない』と考えるがね」

 

 マモーさんは肩をすくめて財布を取り出した。

 シュッとした革の財布には非常時用の紙幣が十枚程度入っているだけで、あとはクレジットカードのみだ。

 

 つまりこれが四つほど揃えば、中にゴート札が紛れ込んでいるだろうとマモーさんは言っている。

 

 諸伏さんがほへぇ、と口を開けて雑に俺に問いかけて来た。

 

『なあ黄衣、なんとかできないのか?』

「ほーん俺をご所望?任せろーバリバリ!」

「ヒロ、滅多なことを言うもんじゃないぞ!怪異の大惨事のあげく怪物が降臨して、世界経済が大混乱とかになったらどうする気だ!」

 

 降谷さんがプンスカ怒っていきりたった。

 もちろん俺はそんなことしないし。

 降谷さんの心配しすぎと言わざるを得ない。

 

 ジトー、と疑わしげに降谷さんに見られたから、俺は胸を張ってマモーさんの持っているお札を一枚渡してもらった。

 

 そのお札はビカビカとサイケデリックに光り、デカ文字で「偽札!!」と文字が浮かび上がった。

 ゴート札だ。

 諸伏さんと降谷さんが同時に息を呑んで目を見張る。

 

「全世界の偽札をこうして七色に点滅するようにするんだよ。これで今後誰が見ても偽札は偽札とわかるだろ?」

 

 俺は誇らしげに言い切った。

 自販機ほか機械の類も通さない機能も追加すれば、それで騙される人はいなくなるというわけだ。

 

 音を追加してもいいな。

 ドゥルルルルジャンジャカジャン!!!と札から大音量でパチンコの曲みたいなのを流し始める。

 音割れしているが、これも偽物の味って感じで良さそうだ。

 

 諸伏さんが静かに頷いて口を開く。

 

『シンプルにうるさすぎて新しい使い道思いつきそう。カカシに付けたりすると電気要らずでいいと思う』

「しかもどっちにしろ経済ショックは起きそうだね…」

 

 コナン君が生温かい感じに視線を逸らした。

 マモーさんも「神よ、それは畏れながら…」と非常に困った顔をしている。

 おかしいな。完璧なやり方だと思ったのに。

 

 全世界同時一斉はだめ?

 国の補償問題とか含めて大混乱で世界的に景気後退が起こる?

 うーむ。ダメじゃったか。

 

 ちなみに、ハイパーボリアはその平等を旨とする性質上、通貨に似たものはあったが非常に限定的な価値しか持たない。

 どちらかと言うと「人類と神に貢献した証」みたいなもので、持っているとやや優遇される勲章みたいなものだった。

 だから偽造対策なんてする必要なかったしそんなもの偽造する不届なハイパーボリア人もいなかった。

 

 なお、マモーさん自身は発見し次第慎重に政府と協議を重ねてゴート札を排除しているようだ。

 特に電子マネーの台頭により、製造元の地位は悪化の一途を辿っている。

 

 偽造紙幣の製作コスト自体も上昇し続けている今。

 カリオストロは今後暴発しかねない、として各国からも距離を置かれているらしい。

 

 カリオストロ公国は「ゴート札が世界中に出回っている事実の公開」という核爆弾のスイッチのみを持たされた状態となりつつあるわけだ。

 

 俺は難しくなって来た話にふぅむと首を捻った。

 

「つまり?」

『過去の負債で人類はピンチ。爆弾の導火線を継ぎ足し継ぎ足し長くして、頑張って解体中ってところか?』

「解体難易度が激ムズじゃないか。これでルパンが今回の件を受けて動いたら、世界経済は爆発するぞ」

 

 皆で唸っていると。

 

 突然バァン!と扉を開けて。

 ニャルが出現したではないか!!!

 

 事務所の扉ではなく、空間に突如出現した両開きの重厚なドアを蹴り開けてのダイナミックエントリーだ。

 

 ニャルは初っ端からテンションマックス。

 豪華で煌びやかな舞台衣装を纏い、空間を歪曲させて長い階段を踊るように降りてくる。

 そしてクルッと1ターンして、宣言した。

 

「話は聞かせてもらいました!遊びの時間です!!!」

「おうニャル、まあ座れや」

 

 手招きして俺の隣のニャル用席に案内する。

 こうすると、ひとまず高まり切ったパッションが落ち着くこともあるからだ。

 必ず落ち着くわけではないことに留意されたし。

 

 ニャルはそそくさと席に座って、俺に擦り寄ってくる。

 まだ昂っているらしく、空間にしまってあった俺の触手を三本ぐらいズボッと引き毟った。

 

 毟ったビチビチ跳ねる触手を大事そうに瓶に入れて、懐にしまったようだ。

 俺の触手を何するつもりなんや。

 そんな太い毛を毟ったから、中で落とし子になってしまってるんだが。

 

 降谷さんが怯え切って星の精と一緒にコナン君の後ろに隠れている。

 スーパーコナン君盾の誕生である。

 

「ぁだっ、なんだよもー。テュフォン君もこの調子で毟ったりしてないよな?」

「あんな駄犬頼まれても毟ってなんてやりませんよ!それより我が夫!羽虫遊びです!!!」

 

 ニャルにとって毟るのは愛情表現らしい。

 うーむ、愛されてる俺と喜ぶべきか、愛が歪み切ってると悲しむべきか。

 

 話の続きを促すと、ニャルはフリップボードを取り出して解説してくれた。

 

「つまりルパン何ちゃらとかいう羽虫で、古式ゆかしいお姫様救助ゲームを企画するわけですよ!!!愛あり!闇堕ちあり!悪の城を舞台にしたキャッスルヴァニア!燃えますね!!!」

 

 俺は深く頷いて真顔になった。

 話は聞かせてもらったが、つまり世界経済は爆発するということだな?

 

 俺たちはさあっと顔を青ざめさせ、沈鬱な空気に包まれたのであった。

 





・ルパン三世
勇者ユニットにさせられそうになっているとはつゆほども知らない。
嫌な予感は覚えているが、流石にカリオストロの哀れな姫クラリスを置いてはいけない。

・カリオストロ伯爵
世界的地位の低下を危ぶみ、現在怪異を用いた軍事的な復権と、秘められしゴートの秘宝を狙っている。
普通の悪役。

・ニャルラトホテプ
最近は気ままに遊びに出て地球外で虫遊びしてることも多い。
よく分からん細いのを族滅したり、遠くの星々を使ってビリヤードしたり。
混沌の宮殿にこっそり入ってフルート乱獲して改造して、宮殿内に変な新曲が流れるようにする遊びもやってる。
でもやっぱりハスターと一緒に遊ぶ時が一番楽しい!!!
そう思って企画を持って来た今回である。

・ヨグ=ソトース
フルート隊の曲が全部デスメタルみたいなのに変わってて、魔王アザトースが「?????」ってなった。
今ニャルの行方を探している。捕まえ次第奥義の拳を放つつもり。
なお、アザトースが意外と気に入って、曲をいつものに変えようとするとぐずって外神を破裂させる爆音で鳴く。
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