ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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憎きものども

 

「今日、大変だったんだよ。阿笠博士が年代物の小皿で一儲けしようとして事件が起きてさ」

 

 晩御飯の席である。

 今日のご飯係は諸伏さんで、お手製のジューシーなハンバーグは絶品だ。

 諸伏さんの料理上手具合にはいつも頭が下がる思いである。

 

 なお、その体には狐耳と狐尻尾がぴこぴこと生えている。

 

 最近では謎に数を増やして、九尾ごっことかもするようになった。

 その際間違えて耳まで9個に増えて、悲しきクリーチャーが爆誕したりもした。

 

 顔を縦断し頭をぐるりと一周するように右耳だけ一列に9個生えたのは見物だったな。

 「うわーーっ黄衣ーーッッ!?」と悲鳴をあげて走りまわる妖怪九尾未満に、偶然居合わせた降谷さんが悲鳴をあげて。

 そうはならんやろの極みみたいな事件であった。

 

 実のところ、もう諸伏さんの身分も安定していて、俺たちと同居する必要は無くなっている。

 

 組織の危険も今はなく、魔術を付与すれば一人暮らしをするのに支障はない。

 それでもこうして家事を分担してくれているのは嬉しい限りだ。

 

 まあ、「黄衣達を見張っておきたいしな」ということでもあるらしいが。

 

 俺が何かやらかすか疑っているらしい。

 心外だが、これまでのことを考えると自宅で何か起こる可能性は十分にあるので言い訳しようもない。

 俺のせいじゃないのに……。

 

 俺はハンバーグをもぐつきながら、コナン君の話に相槌を打った。

 

「なんだ、殺人事件か?」

「うん。でもそっちは本題じゃなくて」

『殺人事件が本題じゃないの凄いな。治安悪過ぎじゃないか?』

「僕に言われても困るんだけど」

 

 コナン君が複雑そうな顔をして文句を言った。

 

 星の精はコナン君の隣で血液製のハンバーグをフォークを使って美味しそうに頬張っている。

 ちなみに牛の血だ。牛乳も少し混ぜている。

 飲み物はストロー付きマグに少量のシャンタク鳥の血を入れた。

 

 星の精は喜んで一心不乱に食いついている。

 こぼさず上手に食べられてえらい!

 

「ともかく。本題は鑑定士さんの家にあった骨董盆なんだ」

『古美術鑑定士さんか。そんなとこに持ってくほどの小皿があるなんて、流石阿笠さんだな』

「残念ながらそっちは大外れだったよ。でも他のお客さんが持ち込んだ堆黒盆が怪異関連でさ」

『なんだと?』

 

 一瞬で空気が張り詰める。

 

 星の精がすわ敵襲かと思って、飛び上がってベチンとコナン君の頭に張り付いた。

 コナン君は優しく星の精を引き剥がし、椅子に座り直させた。

 

「なんか魚人間みたいなのが封印されてたみたいで。事件で返り血を吸って復活して襲いかかってこようとしたんだ」

「………」

『黄衣ステイ、ステイ』

 

 深きものどもやんけ。

 まだ居たのか。

 ジンの冒険の話を聞くに、ちらちら各地に隠れ潜んでいる気はしてたけど。

 

 深きものどもは眠る前のクトゥルフが加護をかけたから見つけづらいんだよな。

 あの蛆虫どもめ。

 

 族滅!族滅!族滅!!

 

 コナン君が深いため息をついた。

 

「その魚人間は封印が解かれた瞬間、上から凄い雷が落ちてきて黒焦げになったよ」

『お、おい、それ怪我人は出なかったのか?』

「不思議なことにね。人質として魚人間と密着してた人もいたけどその人も無傷だったよ」

『黄衣、サムズアップは無しな』

 

 俺がいい笑顔でサムズアップしたら、諸伏さんに注意されてしまった。

 

 たぶん「彼方より来たりて饗宴に列するもの」の防衛機能に感知されて始末されたのだろう。

 地上の蛆虫は基本始末するように設定してあるからな。

 そのために深きものどもの集落にはクトゥルフの加護付きの感知阻害結界があることが多い。

 

 蛆虫がまた一匹駆除されたのは非常に朗報である。

 俺はコナン君をたくさんヨシヨシした。

 コナン君はぺっと手を払って「虐殺禁止」と言い放った。

 

 なんで…蛆虫は殺せば殺すほどお得なのに…。

 

 俺がしょぼんとすると、星の精が俺の皿にプチトマト型の血の塊を置いた。

 慰めてくれるのか思って星の精を見たら、なぜか歯を食いしばって嫌そうな顔をしている。

 

 星の精はその血は嫌い。変な味する。

 

 好き嫌いが芽生えてきたらしい。

 俺はこん!と星の精にチョップを入れてプチトマト型の血を星の精の口に放り込んだ。

 

【ゲタッ!?!?ゲタゲタゲタ!!】

「ダメです。好き嫌いせず食べましょう」

【ゲタ!!!!】

 

 星の精は憤慨した。

こいつ酷いことした!こんな酷いことした!とコナン君に言いつけた。

 

 コナン君は「どうしても嫌いなら仕方ないけど、星の精はいい子だからできる限り食べようね」と頭を撫でた。

 星の精はしょぼんとして口をへの字に曲げた。

 

 諸伏さんがふうむ、と言う顔をする。

 

『そういや、黄衣。ゼロからの連絡なんだが、もうすぐ政界のお偉いさんとの正式な面会があるそうだ』

「お、まじか。降谷さんはなんて?」

『顔通しのため、一応初回だけは同席して欲しいらしい。その後は自分だけで対応するとか』

「了解。ありがたい…降谷さんパワーほんと助かる」

 

 降谷さんはアクの強いコミュ障気味だが、社内政治が意外と得意だ。

 でなければ探り屋として組織で成り上がれない。

 コミュ力を取り繕う力は常人以上にあるようなんだが、それを取り繕う気があるかどうかは別問題なんだよな。

 

 降谷さんがコミュ障問題に俺はうーんと頭を悩ませた。

 コナン君がこちらを向いて問いかけてくる。

 

「今後は降谷さんにこの手の類は対応してもらうの?」

「そのつもりだよ。俺の対人社会向け化身として活動してもらうと思う。そのための権能も順次付与していくつもり」

 

 俺は風の神であり情報量の神だ。

 人を相手にするにあたり、情報処理の権能は優先的に渡していきたい。

 

 また、「ハスターの瞳」の上位アクセス権も現在整備中。

 

 今まで人類向けとハイパーボリア国民向け、俺の管理者権限の三つしか階級がなかったからな。

 準管理者という区分を作成して、降谷さん向けに開放するつもりだ。

 地球全土のスキャン情報や時系列別多次元地球データライブラリなど、知っておいた方がいい情報はたくさんある。

 

 俺がつらつらと語ると、諸伏さんが恥じらって体をくねらせた。

 そして「つまり、ゼロが俺の恥ずかしい過去を知ることになる……?」と真面目な顔をする。

 

「いやそれぐらいなら俺も現在進行形で知ってるんよ」

『黄衣のえっち!少年もそう思うだろ!?』

「黄衣さんのえっち!」

【ゲタ!】

 

 皆に謎の責められが発生し、俺はしょぼんと肩を落とした。

 

 いいんだ。

 明日の朝リビングにみんなの恥ずかしい歴史を手書き用紙で貼り出すから。

 急いで剥がすと表記が変化して、「バラされたくなければ今日のゴミ捨てはお前が行け」と出る。

 

 よし。これで行こう。

 

 俺の邪悪な思考が漏れていたらしい。

 「ゲタゲタ。ゲタゲタゲタ」と星の精に説教を受けた。

 お前は悪いやつ。反省するべき。星の精も一緒に友達に謝ってやる。

 

 俺はなんとも言葉にし難い気持ちで、星の精の頭をヨシヨシしたのだった。

 





・星の精
最近になって、学校で自分の席がないのに疑問を覚え出した。
なんで星の精は友達のポッケに隠れなきゃいけないんだろう。
どうしてみんなと一緒にドッジボールできないんだろう。
星の精とみんなは全然姿が違う。
おしゃべりもできない。星の精は小さくて足も手もない。

不安になって友達に聞いてみた。
友達はいつも通り穏やかに優しく笑って星の精を撫でてくれた。

「星の精は星の精だから、人間とは違う生き物なんだよ」
【クスクス?】
「変じゃないよ。違うことは変なことじゃない。学校でも習ったでしょ?」
【クス!】

星の精は安心した。
変じゃないなら大丈夫!

それに、まだ星の精が小さいから席がなくてみんなと違うだけかもしれない。
大きくて強い星の精になったら、みんなと同じように椅子に座ってみんなと同じ給食を食べるのだ。

星の精は大きくなるのがもっと楽しみになった。
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