ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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不吉な縁結び〈神座神社〉

 

 俺の神社に参拝に行くことになった!

 

 俺と降谷さんは正直帰省ぐらいの気持ちだが、コナン君と諸伏さんはあんまり行ったことがなかったからな。

 せっかくだし観光に行こうということになったのだ。

 

 俺の神社では俺と降谷さん、二人が祭神となっている。

 もちろん厄祓いがメインだ。

 各地から持ち込まれるヤバそうな品を引き取ってお焚き上げなどしている。

 そのほか社頭祈願も行っていて、お憑かれっぽい人や呪詛を抱えた人の避難施設化してきている感じがある。

 

 ネットではうちの神社で売ってる「お清め鈴」が大評判らしく、定期的にバズっているらしい。

 ただ鳴らすだけで人に危害を加える魔術とルールを掻き消し、場の調和を整えるものだ。

 

 実は星の精も持っていて、気に入って頻繁にリンリン鳴らしている。

 危害の塊みたいな疫病の嵐こと降谷さんは迷惑そうに耳を押さえていたが。

 星の精が「これで友達を守る!」と誇らしそうなのでそのままにしている。

 

 また、一応縁結びほか交通安全、合格祈願、安産守など各種お守りも販売中。

 

 この間までは俺が薄っすら加護を付与していたのだが、バレて怒られて取りやめとなった。

 だって…俺の名で出すのに効果無いのはダメじゃん……ブツブツ。

 賽銭を放り込んでの祈願は全て聞いてるのでご安心を。

 気になったものや命に関わる願いはピックアップしてこっそり叶えている。

 

 なお、最近本気で評判になってきたのでバレるのも時間の問題かもしれない。

 もうすでに降谷さんに胡乱な顔で見られているし。

 

 

 まあともかく。

 そんな感じで俺の神社は超有名。

 本物の神たるご利益にあやかりたい人が大挙して押し寄せてくる戦場だ。

 

 ちょっと運営状況を確認に行くのにも一苦労だ。

 主に駐車場の確保とか。

 地下鉄で行った方がいいかもしれない。

 

 あと蘭ちゃんも和葉ちゃんと一緒に行ったようで、思い出したらコナン君がジロリと俺を睨め付けてきた。

 

「そういや、先週お参りした蘭に変な加護沢山かけてないよな?」

「でも縁結びのお守り買ってくれたし。買ってくれたならまあ多少はね」

「ガバガバ判定やめて。単純な身の守りは嬉しいけど、黄衣さん変な加護たくさんつけるじゃん」

 

 すげなく言われて、俺はしゅんとして肩を落とした。

 だってだって、コナン君の愛する人だし、今ある加護ぐらいじゃ足りないと思うんだよ。

 

 ドシドシあれもこれもあげたい加護が思い浮かび、無敵のランネー・チャン作成計画が脳内で進んでいく。

 CON(耐久力)とかHPとか50倍ぐらいにするねん。

 それなら多少爆弾テロに巻き込まれても生き延びられるやで!

 

 ギロっと険しい視線をコナン君に向けられる。

 同時にポンチョと帽子でモコモコになった星の精が「クス!」と俺を叱った。

 めっ!と言われているようだ。

 

 俺氏、幼児に叱られるようになった件。

 

 後ろではPCを閉じてせっせと上着を着込む降谷さんがいる。

 

「降谷さんも来るのか。仕事とか大丈夫そうなのか?」

「ああ。少し検討したいことがあってな」

「うん……?具体的には?」

 

 ややそっぽを向いて、降谷さんは恥ずかしそうに口を真一文字に引き結んだ。

 

「………祠間のワープができないかどうかを少し」

 

 祠をファストトラベル地点として使おうとしているらしい。

 できなくはないが、門の創造が使えるようになれば正直下位互換に過ぎる。

 目的は別にありそうだ。

 重ねてじっくりと問いかけてみる。

 

「その心は?」

「……昼飯後の休憩時間に祠で休憩したい。仮眠も祠で取りたい。車で帰る時間はないが、流石にフルサイズの祠を職場に置くのは場所をとる」

「なるほど」

 

 かなり真面目に悩んでいるようだ。

 腕を組んでうんうん唸っている。すっかり旧神をダメにするソファの虜になってしまったらしい。

 

 降谷さんは眉を下げてため息をついた。

 

「試しに卓上神棚もいくつか買ってみたんだ」

「ほう!どうだったんだ?」

「値段に比例する感じだった。あとフルセット無いとそもそも椅子が無い感じ……マッサージャー単体的な」

「資本主義じゃん」

「意外と良かったのが社用神具をフルセットで20万程度を段ボールに設置して備品として誤魔化したやつだな。上質なリクライニングシートの個室みがあった。隙間風はひどい」

 

 めっちゃ色々試してて笑うしかないのである。

 諸伏さんもハッとした顔で「俺も買お」と頷いている。

 空前の祠ブームが到来しているようだ。

 

 

 

 そんなわけで、俺たちは神社に行くこととなった。

 地下鉄を使えばすぐだ。

 駅を降りてから10分ほどかかるが、そこまで遠いわけでも無い。

 

 俺の神社は皇居の敷地の一部をお借りする形で建っている。

 

 よく分からんが皇室との関係もいい感じになっているとのこと。

 俺っぽい伝承もいくつかあるらしいし、伝承からちょいと関連性を見出すのは楽な仕事だったろう。

 俺の力を借りる儀式もあるし、まんざら嘘というわけでもない。

 

 到着したそこは、凄まじい人混みであった。

 外までずらっと長蛇の列が続いて、どうやら想像を遥かに超える大渋滞になっていた。

 

 諸伏さんが「これ、日付が変わる前に入れるのか?」と眉間に皺を寄せた。

 俺が来る時はいつも儀式時で一般人の入場が制限されているから知らなかったが、まさにとんでもない混み具合だ。

 TVでも時々中継してはいたが……その時より増えてるんじゃないか、この人の数は。

 

 俺たちが戦慄していると、ちょうど後ろから声がかかった。

 

「ん、なんや。工藤も来よったんか」

「おお。服部お前、相変わらずフットワーク軽いな」

「まあ黄衣サンとこの御守りやし、間違いない思てな」

 

 西の高校生探偵、服部平次君だ。

 彼のスマホから「ワイもいるやで!」と陽気な猛虎弁も聞こえてくる。

 

 服部君はややぶっきらぼうに、頭をかいた。

 和葉ちゃんとの仲のために縁結びの御守りを買うのは恥ずかしいらしい。

 

 コナン君の膨れたポッケの中から星の精が触手を一本だけ出して、「クスクス!」と服部君に挨拶した。

 友達の友達だ!星の精も挨拶する!

 わけわからん触手に手を差し出された服部君は、平然と触手を握り返し、握手のように振った。

 

「よろしゅうな。工藤はああ見えて無鉄砲なところがあるからな。頼むで」

【クス!!!】

「誰が無鉄砲だ。お前に言われたかねーよ」

 

 友達の友達に託されて、星の精はやる気に満ち溢れたらしい。

 友達は星の精が守るから安心!と力こぶを作った。

 コナン君が星の精を撫でてやったようだ。

 

 

 

 しばらく待てば、意外と回転が速いらしくすぐに目的の拝殿近くまで行くことができた。

 

 降谷さんは非常に満足げな顔をしている。

 自身の社が見えて、その完成度の高さにうっとりしているようだ。

 まあ確かに、高級スパリゾートのいいところをグッと凝縮したみたいな雰囲気が出てるからな。

 

「やっぱ良いな。黄衣君の作ったやつも良いが、本物もめちゃくちゃ良い。みかんの箱を持って中に籠ったらどれだけ幸せだろうと思う」

「みかんは中で出して貰えば良いんだよ。コツはあるけど、ぐっと願えば出てくる」

「なるほど。ますます良いな」

 

 俺たちはうむうむと頷きあった。

 最新のマッサージチェア語りしてるおっさんたちの図である。

 せっかくなので祠間を繋ぐ方法を降谷さんに叩き込んでおく。

 

「オゴッ!?!?」

「偏在の権能はすでにあるだろ?そうするんだ。太いパイプを張り巡らせるようにな」

「君、何も言わずに突然、は、暴行に等しいぞ…!」

 

 フラフラしたあと、すぐに気を取り直して夢の祠ネットワーク構築に思いを馳せたらしい。

 再びうっとりと大満足顔になった。

 

『そういや、ゼロのところの祠は何が出るんだ?』

「僕はメインがマッサージだな。心が安らぐ。あと風呂と十分な広さのグラウンドと体育館もついてる」

『へぇ、やっぱ個人で違うんだな』

「ヒロの祠は飲食店街の香りがするから腹が減るんだよな」

『わかる。そして黄衣に営業終了の看板をかけられてちっとも入れない。辛い』

「それは辛い。許されざる非道だ」

 

 二人が好き勝手言って俺を非難するので、俺はいきりたって営業終了期間を延ばすことに決めた。

 諸伏さんがデブ伏さんになる可能性があるから止めてるんでしょうが!

 

 俺らの呑気な祠談義を放っておいて、高校生組は社務所に釘付けのようだった。

 

 社務所には長蛇の列ができていて、お守りはすでに完売しているらしい。

 「本日分は完売しました」と大きな赤い看板が立っている。

 凄まじい売れ行きだ。まだ午前中なのに。

 

 がっかりした服部君が肩を落としているので、俺が声をかける。

 せっかくきてもらったのに無いのは悲しいからな。

 

「俺が手作りしようか?縁結びのやつ。効果あるぞ?」

「ええんか!?ほんまにええんか!?」

「おうよ。間違いない仕上がりでお届けすることを約束しよう!」

『良かったやないか相棒!今度こそきっちり告白決めたろや!』

 

 キリッと俺が宣言すると、服部君に「神様仏様黄衣様!」とナムナム祈られた。

 よろしい。祈られたからには全力をもって応えようではないか。

 

 なお、後ろからぬっと現れた降谷さんに「やあ黄衣君。面白そうな話をしているね」と睨まれる事案もあり。

 

 そんな、ちゃうんすよ。俺は別に身内贔屓をしようとしただけで……。

 一般販売とかはしてない手作りお守りやし、これなら取り決めには引っかからないとちゃいますん?

 

 降谷さんにじとりと見られたので、俺は愛想笑いをしてへへへと誤魔化した。

 

 

 

 

 と、俺たちが平和なのもここまでであった。

 

 「キャァアアアアア!!!」とつんざくような悲鳴が轟き、探偵諸氏はトップスピードで現場へと駆けつけた。

 

 そこは石畳と階段の境目の辺りで、男が一人、頭を打って亡くなっていた。

 すでに息はなく蘇生の見込みはなさそうだ。

 

 流石に俺の神社内で人殺しは許されざるよ!!!

 

 俺と降谷さんは同時にいきりたって、怒りの炎を燃やしたのだった。

 





・ダンボール祠
黒い風手作りの祠。
滑らかな手触りのリクライニングシートを入れた掘立小屋。
ブランケットを持って仮眠するのにはちょうど良い。
今は降谷零のデスクの足元にひっそりと保管されているようだ。

・肝の据わった服部君
めっちゃわけわからんけど慣れてきて星の精を受け入れた。
工藤が信頼してポッケに入れとるっちゅーことは害はないんやろ。
星の精は友達が増えて大喜び。大きい友達だ!

・神座神社
ハスター神社。凄まじい大盛況。
通常業務のほか、公安から委託された怪異品の保管もしてるのでマジで手が回らない。
あまりに手が回らないのでハスターが単純業務をこなす「バイト式神」を三体ほど貸与している。
バイトなので教えれば結構複雑な仕事も覚えるし、人間と違って命を落とす危険もない。
時給1500円。毎月現金を渡すと満足して契約更新される。
時々上位種である「バイトリーダー式神」に進化する。
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