ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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高木と伊達と手帳の約束〈みっ◯ー〉

 

 現在、俺たちはポアロでゆったりしているなり。

 コナン君は阿笠博士のお見舞いに出ている。

 

 阿笠博士はどうやら派手に階段から落ちてしまったらしく。

 その拍子に腰をグキリとやったとのこと。

 頭を打たなかったのは幸いだが、しばらくは悲しみに暮れることだろう。

 

 退院した後俺がさりげなく治しに行ってやるべきか。

 

 俺はいつも通りナポリタンを頼み、まったり少し早めのお昼ご飯の最中だ。

 梓さんが駆け寄ってきて、注文を取ってくれる。

 梓さんは満面のニコニコ笑顔で敬礼した。

 

「先日はご一緒させていただいてありがとうございました!おかげで生キッド様に会うことができました!!」

「いいよいいよ。でもあんまり警察の人たちに無理言わないようにね」

「はいっ!」

 

 ツヤツヤの梓さんはいい返事で頷いて見せた。

 

 彼女は大の怪盗キッドのファンらしい。

 先日、俺たちはロマノフ王朝の秘宝である「王妃の前髪(クイーンズ・バング)」の警護のために探偵として次郎吉さんに呼ばれていたのだが。

 それを聞きつけた梓さんから、是非とも連れて行って欲しいと熱烈にお願いされたのだ。

 

 まあ俺は半ば怪盗キッドとグルだし、気軽にメンバーに加えて参戦。

 梓さんは無事、侵入してきた怪盗キッドと鉢合わせしたというわけだ。

 

 サービスでキザなセリフを貰い、果てにお姫様抱っこまでいただいた彼女は、もはや怖いことなど何も無いと無敵状態。

 今後ポアロでの食事代は自分が持ちますぐらいの勢いになってしまっている。

 

 ルンルンでカウンターの奥へ引っ込んだ彼女を見ながら、不機嫌そうな降谷さんに声をかける。

 

「なんだ、まだ怪盗キッドが風見さんに化けたこと根に持ってるのか?」

「持ってない。でもお気に入りのマグカップがある日急に別のに変わってたら不愉快だろう」

『風見さんマグカップ並みに使い倒されてるからな。最近ヨレヨレになってきたもん』

 

 諸伏さんのコメントに俺は思わず同情した。

 可哀想に、黒い風愛用のマグカップさん。

 きっと休日に突然私用で呼びつけられるとか、日常的にパワハラを受けてたんだろうな……。

 

 俺が憐れみの涙を溢すと、降谷さんは「そんなのたまにしかしてない」とむっつり言ってのけた。

 

『たまにでもダメですね』

「コンプラ違反じゃん」

「ゔっ……でも最近は僕がやらかすと副総監が松田を派遣してきて、松田が公権力ラリアットを仕掛けてくるんだ」

「面白いの塊か???」

 

 自分が注意すると権力的に各方面に角が立ちすぎるからと、交友関係を把握した上で松田さんをけしかけてくるらしい。

 流石できる女性は違うということか。

 

 降谷さんがニャル化身から俺化身に変わったことは、黄色の印の兄弟団でも大きく取り上げられている。

 公安信者さんはいつも通りの態度だが、むしろ「黒い風を人を導く善き神として育て上げる!」なターンに入っている雰囲気らしい。

 

 降谷さんはブツブツ文句を言って臍を曲げている。

 物理無効の体を利用して、熱いコーヒーをぐびぐびと流し込む。

 

「しかも『でかい私物の持ち込みは許可できねぇから回収するがいいな!』とか言って僕の段ボール祠を押収するんだ!許されないだろう!」

「許されてねぇのは降谷さん説あるわ」

『卓上ミニ神棚ぐらいで満足すればいいのに』

「嫌だ。ハンディマッサージャーを見ても気分は上がらない」

 

 降谷さんは断言した。

 どうせ祠ネットワークで本体の祠に来るんだから別にどんな神棚でもいいのに。

 いい感じの祠が目の前にないと満足できない体になってしまったらしい。

 

 可哀想に……すっかり祠の魅力に取り憑かれて…。

 

 諸伏さんが鉄板ハンバーグをもぐもぐして、降谷さんを見捨てて話題を変えたようだ。

 

『そういや、ハイパーボリアの時代はそういう化身っていなかったのか?意志のある神の分身的なやつ』

「居られませんでしたね。神は唯一、空に跨る偉大なる神のみでした。時と場合によって現れ方が異なるだけです。ミッキーマ◯スみたいなものですね」

『ミッ………』

 

 諸伏さんが噴き出すのをギリギリで堪えた。

 確かに俺はミッ◯ーだったかもしれん。

 各地の都市の式典に出向いては一言言ってたが、頑なに意識を分けたりはしなかったし。

 世界にミッ◯ーは一人だけの都市伝説そのままな運用であった。

 衣装チェンジもするし画風も変わる。

 

 うーむ俺ミッキーマ◯ス説は結構あるぞこれ。

 どうでもいいことを考えながら、俺は咳払いして改めて諸伏さんの質問に回答した。

 

「俺は基本、化身は作らないよ。だって意識的に多重人格になるようなものだぞ?ちょっと居心地悪いじゃん」

『確かに……』

 

 納得してもらえたようだ。

 

 しばし考え込んでから、諸伏さんがドラゴンボール並みにうぉぉぉお!と静かに唸り出す。

 胡乱な顔をして降谷さんが眉間に皺を寄せた。

 

「いやヒロお前何やってるんだ」

『俺も分裂できないかと思って。なんか頑張ればいけそうな気がする』

「いけるけど制御不能の呪詛がたくさんばら撒かれるだけだから止めようか!!!」

 

 俺がストップをかければ、諸伏さんはしおっとして再び鉄板ハンバーグをもぐつく作業に戻った。

 

 おそらく人をビル屋上で自殺させる凶悪な呪詛が拡散されるだろう。

 そのせいでビル屋上に人が殺到して、中途半端に行儀が良いせいで投身自殺を待つ列ができると思われる。

 

 シュールギャグみたいになってしまうので大変良くない。

 

 

 

 そんなふうに話していると、新しい客がポアロにやってきた。

 ドアを潜るのは小さな子供達だ。

 

「あ、黄衣のにーちゃんだ!」

「この間のプール楽しかったですね!また行きたいです!」

「歩美、次はスケート行きたい!」

「はいよはいよ、みんなの黄衣さんでーす。と、後ろの方達は高木刑事に佐藤刑事か」

 

 少年探偵団に連れられて入ってきたのは、佐藤刑事に高木刑事だ。

 コナン君と志保ちゃんもいる。

 どうやらお見舞いの帰りに刑事さん二人に会ったらしい。

 

 刑事二人はだらっとナポリタンを食べる降谷警視正の姿に一瞬うおっ、となったようだ。

 しかし気を取り直して、窓際の席へと座ってコナン君と相談に入った。

 

 何か事件の気配がする。

 

 盗み聞きすると、どうやら伊達航という刑事さんに関する謎があるようだ。

 伊達刑事といえば、たしか降谷さんの友人だったか。

 

 高木刑事と仕事をしていた伊達刑事は、どうやら事故で命を落とす直前、なにか高木刑事と約束していたらしい。

 「このポアロで日曜昼12時に、窓際の席で蝶ネクタイをつけて待つ」。

 それが何を意味するのかは不明だが。

 なんにせよ、それはある種の伊達航の遺言になっている。

 

 もうすでに降谷さんが松田さん達と同期であったことは佐藤刑事も知っている。

 

 ちらり、と降谷さんに向けられている視線は何か聞きたそうなものだった。

 しかしそれを公にするべきでは無いと判断して、佐藤刑事は口には出さないでいた。

 

 なんとなく居心地の悪い空気が滞留する。

 降谷さんはため息をついて頬杖をついた。

 

「僕も探偵として交流がある程度ですが。彼はきっと、高木刑事に手柄を立てさせてやりたかったんですね。メッセージを見る限り、おそらく何かしらの取引があるようですから。少し張り込んでみましょうか」

「………そうね」

 

 高INT語で「僕もその件は初耳だ。お前達の捜査を許可する」ぐらいの意味合いになるだろう。

 

 ゆったりと、昔を振り返るような捜査が始まったのだった。

 





・黒い風と公安信者さんの関係
公安信者さんは「この幼い神の化身は私がきっちりと教え導かねば!!」と真剣に気合を入れている。
主君の小さなお世継ぎを育てる腹心の気持ち。
お世継ぎを立てつつも指導はきっちりする所存。

・小さなお世継ぎ黒い風
厳しい公安信者さんがきらい。
嫌じゃ嫌じゃ!余はおっきな手作り祠で寝るのじゃ!
恨めしそうに松田さんの回収してく神棚グッズを睨みつけている。
風見のことはもう少し大切に扱おうと思いました(感想文)

・風見さん
休日に呼び出されているが、たくさん美味しいお弁当貰ったりしてるしそこまで気にしてない。
それより普通に業務が過密すぎて辛い。
降谷さん…私はあなたや松田と違って無限に体力があるわけではないんです……!

・松田さん
黒い風にラリアットして、体制を崩した隙に神棚を押収する。
押収品は降谷さんの家に持って行って、そのまま二人で飲みにいく模様。
降谷さんには死ぬほど文句言われる。
実は現在の階級は殉職で二階級特進のため警部。

・マモーさん
大人しく神と一緒のナポリタン食べてアイスコーヒーを飲んでる。
神は好きなものを食べる時の速度は少し早くなり、苦手なものだと少し遅くなる。
神はナポリタンが好き、玉ねぎサラダは少し苦手、と……。
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