ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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高木と伊達と手帳の約束〈オウムさん実装〉

 

 コナン君の推理の成果により、無事に少年を一人保護できた。

 

 どうやら身代金目的の誘拐だったらしい。

 去年、フランスの有名自動車メーカーの副社長の息子が攫われた事件があったようだが。

 その身代金の受け取りに来ていたとのこと。

 

 なお、主犯は公衆電話にて身代金要求電話の最中に酔っ払いにビール瓶で殴られて死んでいる。

 米花町の治安の格の違いを見せつけてくるエピソードである。

 

 ポアロに車で現れたのは、一年経ってもまだ主犯が死んだことにも気付かず指示通りに金を受け取りに来ている下っ端だ。

 ちなみに梓さんの証言によると、毎週来ては取引相手がいないということで帰っていくらしい。

 もうガバガバの極みなんよ。

 一周回って牧歌的ですらある。

 

 もちろん、のこのこやってきた下っ端は俺らで捕縛した。

 

 下っ端は現れた警察に泡を食って逃げ出したが、派手に転倒してお縄になった。

 諸伏さんのソフト呪呪呪が決まった形だ。

 

 降谷さんの指示らしい。

 佐藤刑事達にバレないように二人は拳をコツンってやっていた。

 

「調整が上手くなったなヒロ、呪殺せず、かつ逃がさない良い塩梅だ」

『お前なぞ派手に転けて精神的に凹むがいい〜の精神で行ったらいけた。これ汎用性あるかも』

「多人数にかけられるなら制圧にも向くか。よし」

 

 などとよしじゃない会話をしている。

 まあ二人が満足そうだからよしでいいか。

 犯人も警察もガバガバしかない空間がここにはある。

 

 あとは車から救助した子供のケアだ。

 

 可哀想に、攫われていた男の子はメチャクチャに泣いてコナン君に宥められていた。

 半グレメンバーに一年近く誘拐されてたんだから、そりゃたいそう怖かったことだろう。

 

 泣いて泣いて涙が止まらない様子だ。

 コナン君のポッケに入った星の精がほんの小さく「クス……?」と心配そうに声を出した。

 

 この小さいのは怖い目にあった?悲しい?星の精もよしよしすれば嬉しくなる?

 と男の子のことを気遣っているようだ。

 

 でもここで星の精がお目見えしては男の子はもっと泣くからな。

 

 星の精の優しさは嬉しいが、ここは大人しくしてもらい、警察二人がいなくなったらこっそりステッキで変身しようか。

 コナン君がこっそりとポケットに手を差し入れて、星の精を撫でてやった。

 

 

 

 男の子の証言を聞いてからは、推理が固まるのはすぐだった。

 

 なにせこの場はほぼ高INT軍団の集会所だ。

 マモーさんも当然のように何ヶ国語もペラペラだし、頭悪いのもはや俺だけぐらいのイメージである。

 

 男の子の証言を元に、犯人が使っていた潜伏場所が明らかになっていく。

 どうやら子供がもう一人捕えられているらしいため、早く救助してあげるべきだろう。

 

 俺は完全に話に置いていかれたが、コナン君が思い出したように「だよね!黄衣さん!」って言ってくれるので面子は保たれた。

 いや保たれたかはかなり微妙なラインだが、ともかく保たれたと言うことにしておく。

 

 現場には高木刑事が急行したので、そちらは任せれば万事解決。

 佐藤刑事は応援を呼んでノックアウトした先ほどの下っ端を署に移送するらしい。

 

 俺たちはポアロに残って結果を待つのみだ。

 

 佐藤刑事が外に出てパトカーに戻ったようなので、今のポアロは俺たちだけだ。

 

 男の子は気丈にも涙を拭って、もう一人の被害者の子を心配している。

 今ならステッキを発動しても問題なかろう。

 

 コナン君をちょいちょいと手招きして、端の方のソファの裏に隠すように位置取りした。

 コナン君が困惑の眼差しで俺を見上げる。

 

「どうしたの黄衣さん?」

「うん。そろそろステッキの能力を教えておこうと思ってな」

 

 そのように言って、星の精をポケットから出して撫でてやる。

 星の精はきょとんとして「クスクス?」と触手をもしゃもしゃした。

 

 コナン君が目を吊り上げて俺を睨んだ。

 

「黄衣さん、安室さんにちゃんと相談した?」

「してない……けど大丈夫のはず!」

「信用が一ミリも置けない。念のため聞くけど、何しようとしてる?」

「星の精を一時的におっきなオウムに変身させようと思って。ほら、あのアニメに出てくるやつ」

 

 魔法少女の相棒の喋るオウムだ。

 オウムなら多少変でも人間はすぐ受け入れるし、おしゃべりしてもおかしくない。

 人間と会話するにはぴったりだと思ったのだ。

 チワワで人間と触れ合うことを学んで、オウムで人間とおしゃべりを学ぶのだ。

 

 男の子の方も、喋るオウムとの細やかな交流は癒しのひとときになるだろうて。

 

 本当は人間にしてやるのが一番いいのだが……。

 人間の姿に慣れた頃に本当の姿を見られた時、星の精のショックは計り知れないものになる。

 

 まだ人外として慣らしておくべきだと判断した。

 俺も通った道だからかな。

 親しい人ができて、秘密を打ち明けるつもりで正体を明かしたら悍ましい化け物扱いで石を投げられるとかね。

 あれ本当にキツイのよ。十年単位で寝込むまである。

 

 自分が人外だという自覚が出るまでは、人間に化けるのはやめたほうがいいだろう。

 

 そのように説明すれば、コナン君はすごく悲痛な顔で星の精を撫でたようだった。

 星の精には難しいことはわからないらしく、きょとんとゼリー体の上部を傾けている。

 首を傾げているつもりらしい。

 

 コナン君が星の精と真っ直ぐに向き合って語りかけた。

 

「ねえ、星の精はあの男の子とお話ししたい?」

【!?ッゲタ!!!】

「………そっか」

 

 星の精は激しく頷いて触手を全部ざわめかせた。

 友だち!新しい友だち!!!と盛り上がっている。

 

 コナン君が静かに頷いたのを確認してから、俺は星の精にはステッキの振り方を教えてみせた。

 

「星の精ちゃんや。このステッキはこう、ビューンひょいと振るといい。そうすると変身できる」

【ゲタ?ゲタゲタ?】

「魔法少女じゃなくて。相棒のオウムさんに変身できるんだ。ほら、パタパターってお空を飛ぶやつ」

【……クス】

 

 ちょっと不満らしく、ペシっと触手でソファを打った。

 まあステッキ持ってるからには魔法少女になりたいわな。

 空なんて自分でも飛べるし。

 

 ブツブツ文句を言ってる星の精には「でも男の子とおしゃべりできるぞ。オウムさんは喋るからな」と声をかける。

 星の精はカッと口を開き、迫真の様子で期待に満ち溢れ始めた。

 

 ちなみにコナン君は「その振り方すごく某児童小説なんだけど……魔法なのはそうだけどさ」と小さく突っ込んでいる。

 ビューンひょいなのよね。大体一緒ならなんでもいいのよ。

 魔術なんで極論全部「少し不思議」で通せばいい原理でしかないんだし。

 

 魔術の神たる俺が言ってるんだから間違いない。

 

 星の精はステッキを力強く掴みなおして頷いた。

 

【ゲタゲタ!】

「よし。ならビューンひょいだ。できるな?」

【ゲタッ!!!】

 

 びゅーん、ひょい。

 

 そのようにして、星の精の姿がぐにゃりと歪んで大きなオウムに変わった。

 一瞬の早技だ。

 エフェクトも何も無いのは少し地味だが、変身時に目立っても都合が悪いし。

 

 オウムはくるくると辺りを見回して「げた!」と感嘆の声をあげた

 

 そして発生した鳥足でトコトコトコトコ!!と勢いよくソファの上を爆走。

 嘴と足を使ってコナン君の頭の上によじ登り、「げたげたげた!」と満足げに笑ったようだ。

 

 コナン君がオウムを撫でながら声をかけた。

 

「星の精は喋れる?」

「げた。ほしのせー、喋る。聞こえる?ほしのせーはお喋りする」

「聞こえるよ!星の精はおしゃべりが上手だね!」

「うれしい!友だちでうれしい!小さいの、泣いてるからヨシヨシする!ほしのせーはヨシヨシ!」

 

 文法はやや変だが、意味は理解できる範囲内だ。

 これまでは思考を読んで翻訳してきたが、これで星の精も喋る練習ができるだろう。

 

 それにしても星の精頭いいな。

 人間社会で暮らし始めてまだ短いのに、もうこんなに喋るのか。

 

 星の精はどうやら泣いていた男の子を元気付けたいらしい。

 勢いよくニュッニュッと体を上下させている。

 みなぎるやる気を表しているようだ。

 

 コナン君が頭に乗せたオウムを男の子の方へと運んでいく。

 ここは飲食店なので動物禁止だが、これは偽オウムなので例外ということで。

 梓さんにはバレないようにせねばならんな。

 

 ぎこちなく喋るオウムを見た男の子は、パッと顔が明るくなった。

 

 

 それから、たくさんおしゃべりしたようだ。

 寄り添うオウムに男の子の笑顔も次第に増え、星の精も人に受け入れられ、新しい友達ができたと喜びをあらわにした。

 

 良い出会いになったはずだ。

 穏やかな光景に、俺も自然と笑顔になったのだった。

 

 

 なお、語彙が豊かすぎるオウムの出現に、俺は秒で降谷さんに連行されたことを追記しておく。

 開幕一言目は「取調室行くか?あ?」であった。

 やらかしてないから!お巡りさん違うんです、俺は無実だ!!!

 

 そんな、昼のポアロであったのだった。

 





・降谷さん
伊達は本当に後輩のことを思ってたんだな…守護らねば、この遺志…としんみりしている。
そんな中の突然のオウムなのでこのやらかし旧支配者ッッッてなってた。

・星の精オウムモード
チワワモードに次ぐ新形態。
ちょっと喋る。ぎこちない。
なお、乱用を防ぐために変身コストのMPは星の精持ちになっている。
星の精が元に戻った時には疲労のあまり「ゲダッ…ゲ…ゲダ……」とデロデロの倒れ伏す臓物になった。
ステッキをハリーポッター感のある振り方をすることで変身できる。
「ほしのせー、えらい?えらい?とても賢いから喋る。すごいから友だちがナデナデする。えへん」

・ソフト呪呪呪
バッドラックの呪いの薄味版。
やたらと転ける呪い。
暴れる大の大人がアスファルトで派手に転ければ、当然大根おろしになる。
転けた下っ端はショックで力尽きたらしい。
「転ける」は物理でなくてもいい。
計画や事業が失敗する、長期的かつ大規模な呪いにもなる。
俺のように失敗しろ。多くの犠牲を無駄にして無様に無意味に命を落とせ。
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