ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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世紀末の魔術師〈エッグを狙うもの〉

 

 大阪にて。

 大阪城公園内に建つおしゃれで特徴的な建物、鈴木近代美術館前が遠目から確認できる。

 

 歩き疲れた近場の食事処で、俺たちは夕飯も兼ねて休憩をとっている次第である。

 

 コナン君がいつもどこでもアイスコーヒーを飲みながら、ちょっとだけぼやいた。

 

「どうせまたいつものハートフルだろうけど。なんだってあいつはメモリーズ・エッグなんで狙ってるんだ?」

「嬉しそうだな、コナン君。キッド案件嫌いじゃないのか?」

「……別に、謎として上質なのは認めるだけだよ」

 

 むっつりとしつつも、なんだがちょっとだけソワソワした様子は好奇心と喜色とが滲み出しているようだ。

 人死の含まれない純粋な謎解きをやはり気に入っているようだ。

 

 怪盗キッドは鈴木財閥に対して予告を出した。

 「黄昏の獅子から暁の乙女へ 秒針のない時計が12番目の文字を刻む時、光る点の楼閣からメモリーズエッグをいただきに参上する」と。

 

 これを受けて現在捜査二課の中森警部の部隊が大阪まで出張。

 現在、次郎吉氏からメモリーズエッグを預かって対応に当たっているようだ。

 

 俺はふと、「そういや、大阪にも捜査二課はあるだろ?どうして各地に出張するんだ?」と降谷さんに問いかけた。

 降谷さんはやや息をつきながら、不機嫌そうにコーヒーを飲み込んだ。

 

「銭形警部にあやかっているんだ。一人の大怪盗には、それをよく知る専門家を育成して、それに当たらせた方がいいとな」

「なるほど。そういうことね。というか不機嫌だな……降谷さん」

「犯罪者が堂々とアイドル面してて機嫌のいいはずもない。いつもの通り返却するなら見逃すが」

『そのまま持っているつもりなら「お話」をする必要がある、か?』

「そうだ」

 

 怖い顔をした降谷さんが暗黒の波動を見せる中、星の精はコナン君のポッケの中に潜んでクスクス忍び笑いをしている。

 

【クスックス!】

「よしよし。一緒にキッドを捕まえに行こうな」

【クス!!!!】

 

 星の精はこっそり触手を伸ばして虫取り網を抱えて、強く意気込みを示しているようだ。

 虫取り網で怪盗キッドを捕まえるつもりらしい。

 

 キッドのことをセミだと思っている……?

 

 服部君が左手で星の精のちょろっと出した触手を弄びながら口を開いた。

 

「魔術的品物いうても、安全な品なんやろ?何でこんな物々しいんや」

「別にキッドを疑っているわけじゃないが、海外に流れるならそれがどこの手引きか監視する必要がある。君は父君によろしく言っておいてくれ」

「こんなオープンに権力的接触するやつがあるかいな」

 

 お昼頃に到着した俺たちは偶然服部君に遭遇。

 ニコニコ圧の強い笑顔を浮かべた降谷さんに引っ捕らえられ、行動を共にするようになったのだ。

 

 現在、キッドの件で公安が水面下で動いている。

 捜査二課の中森警部も随分やりづらそうにしていたが、それ以上に大阪府警は面白くないだろう。

 

 降谷さんは服部君を通じて、府警本部長のご機嫌伺いをしているというわけだ。

 服部君は大きくため息をついた。

 

 服部君と合流してからは、キッドの出現場所予測をしながらお好み焼きを食べて、神社に寄るなどしていた。

 旧神のいる神社のちょろっとした現地調査を兼ねているのだ。

 

 俺たちはせっかくならとよく当たると評判のおみくじを引かせてもらった。

 

 俺の分は「全て善し。殺しを控えればなお善し」と全ての項目に書き連ねてあった。

 「命ばかりはお助けを」ってことらしい。

 そんな全力で命乞いせんでも、目についた旧神全部ぶっ殺したりせんわい。

 

 内容を見た降谷さんに吹き出されて不機嫌な俺である。

 「ブフォッ!!」っとか派手に吹き出しおってからに。

 降谷さんだって「病は控え目に」とか書かれてた癖に!

 

 現在、もうとっぷりと日が暮れている。

 時刻は午後7時。予告時間は午前3時だと予想されているから、まだ実行は先だろう。

 

 中森警部を含めた捜査二課の面々はすでに現場入りしてるとは思うが。

 

 俺はぼんやり鈴木近代美術館を見ながら呟いた。

 

「しかしキッドにしてはシンプルな暗号だよな。俺には難問だったけど、比較の問題として」

「せやな。別に解かせるために中森警部に渡してるんやから、シンプルでも構わへんとは思うけども」

「───7時20分、という可能性もあるかな」

「あん?………なるほど、それもありやな」

 

 コナン君の7時20分というコメントに、俺は首を傾げた。

 なぜ7時20分なのか全然わからん。

 少し遅れて降谷さんと諸伏さんも「なるほど!」と得心のいった顔をしている。

 

 分からないの俺と星の精だけだ。

 俺、星の精と同じレベルな件。

 

 星の精をヨシヨシすると、「クスクス?」と首を傾げた星の精が俺を見上げた。

 「友達は凄い?星の精は時計はよくわからない」ときょとんとしている。

 

 まだ時計が読めない星の精では理解は難しかったらしい。

 というか暗号全く分からないところを見るに、俺も実は時計読めてないのかもしれん。うむ。

 

 念のため、7時20分に間に合うように一度通天閣に行こうということで話が纏まった。

 おそらく予告は通天閣だというのはすでに話が出ている。

 今すぐ出れば間に合うだろう。

 急ぎ会計を終えて、車で現地へと走り出す。

 

 車でなら20分もかからない……と思ったのだが。

 途中で渋滞に巻き込まれて、7時20分に間に合いそうにないトラブルが発生。

 思いつくのが一歩遅かったかもしれない。

 

 スケボも持ってきていないから、コナン君と星の精だけでも、土地勘のある服部君のバイクに乗せてもらって先に行ってもらうのがいいだろう。

 「何かあったら連絡する!」という言葉と共に、コナン君達の背中が遠くなる。

 

 俺たちはのんびり渋滞と格闘だ。

 間に合わないのは確定だが、そこまで必死こくこともない。

 

 通天閣が目と鼻の先に来たあたりで。

 突如。

 都市の光があっという間に失われて、あたりは急に車の光のみが照らし出す廃墟の如き静けさに包まれた。

 

 停電によりもちろん信号機も沈黙。

 いくつかの建物に、非常用電源が稼働して灯りが戻るのが見えた。

 

 降谷さんが窓から身を乗り出すように絶句する。

 

「停電だと!?」

「うーん、変電所の一部が機能停止してるみたい。大阪一帯が広域に停電してると思う」

『キッドの仕業だろうなぁ。病院とか以外で非常用電源がつく場所を探してたんだ』

「………テロの容疑で逮捕する」

 

 ガチギレの降谷さんを、諸伏さんがまあまあと言って宥めている。

 彼は善良な方だし、たとえ彼の主観だとして、それだけの理由があったと思うべきだ。

 

 ふっと電気が戻る。ほんの20秒とかその程度だ。

 ひゅう、と諸伏さんが口笛を鳴らす。

 

『自家発電に切り替える場所を特定するために停電させたのか。で、用が済んだらすぐに復旧できるように準備していたと。やるな』

「……あれほどの変装の腕があれば、どこにでも入り放題だ。発電所やそのほか重要施設に入ってテロし放題だと思えば、あまりに危険人物だ」

「おお、黒い風よ鎮まりたまえ。気持ちはわかるがまずは説教あたりから始めてやってくれよな」

「取調室で話ぐらいは聞いてやってもいい」

 

 だめだ、黒い風が荒ぶったままだ。

 目を三角にした降谷さんが握り拳に出す黒い風を纏わせている。

 

 仕方ないので、怪盗キッドに念話で繋いでみることにした。

 コナン君との仲良しバトル中に話しかけたくはなかったのだが、まあ緊急事態ということで。

 

『よう、怪盗キッド。今話いい?』

『黄衣さん!?今俺ちょっと忙し……』

『荒ぶる降谷さんが君を逮捕しようと風の触手を伸ばしてるから、捕まる前に弁明した方がいいと思う』

『ハァイ、怪盗キッド。己の罪を数えろ』

 

 明るい声で降谷さんが念話に割り込んだ。

 テンションがおかしい。ペニーワイズと仮面ライダーが悪魔合体してしまっている。

 

 キッドは震え上がったようだ。

 

『いや待っ、待って待って待って、俺にも言い分が、言い分がある!万が一にも別のやつの手に渡らせる訳にはいかなかったんだって!』

『だとして大都市停電は許されない。逮捕する』

『人類滅亡よりマシだろ!!!』

 

 キッドの叫びに一瞬、黒い風が動きを止めた。

 はて。人類滅亡?

 

 ぐりん、と降谷さんと諸伏さんが同時に俺を凝視する。

 責められるのが一瞬で俺に変わってしまったので、俺は慌てて無実を主張した。

 

『知らん知らん知らんあのエッグにそんな機能はない!』

『あのエッグにはな。あのエッグの力を使って封印を解こうとしてる奴がいるんだよ!』

『ウッソマジで!?』

 

 怪盗キッドか協力者の魔女と共に割り出したところによると、だ。

 

 かつて大儀式と共に外宇宙から悪魔を呼び出そうとした悪い魔術師がいたと。

 それを魔女のおばあさまが、発動前に召喚術式を覆うように封印を施したらしい。

 悪魔の名は不明。

 ともかくその悪魔の再呼び出しを目論む魔術師の末裔が、エッグを狙っているのだとか。

 

 降谷さんは憮然として腕を組んだ。

 

『いや、それなら先に黄衣君に連絡してくれないか』

『もうすでに犯人が鈴木財閥に接触してたっぽいから、急いでひとまずエッグを手に入れてから相談しようと思ったんだよ!』

『………はぁ』

 

 頭痛を堪えて、「説教。取調室」と降谷さんは最終結論を出したようだ。

 ひえ、とキッドは震え上がった。

 

 そして「えっ名探偵飛んでる!?!?ちょっと一旦切る!」と言って通話が終了した。

 コナン君もキッドの姿を見つけて、星の精と一緒に追跡し始めたようだ。

 魔法少年コナン始動ということか。

 

 俺はうーーんと腕を組んで首を捻った。

 一体何を呼び出そうとしたかはまだ分からないが。

 

 万一のためにニャルにも待機していてもらうとするか。

 





・神社の旧神
自分のおっきな社に満足しているタイプの旧神。
昔はやんちゃしていた。
人を滅ぼされたらマイホームの管理者がいなくなってしまうので旧支配者達には暴れないでほしいと思っている。
気が向いたら人間におみくじで運勢を教えている。
現役を退いた後の悠々自適な老後生活みたいなやつ。

・アルワッサ
グレゴリー・ラスなんちゃらー氏にむかし呼び出されそうになった気がする。
呼び出し待機中で永遠呼び出し来ないから疑問符散らしている旧支配者。
前にニャルとハスターに囲ってボコられたのがトラウマ。
破壊的な叫び声を上げたり、人を洗脳したりできる程度の弱々旧支配者。
次に一体生贄を捧げるだけで親切にしてくれる。コスパ良。

・怪盗キッド
頭に虫取り網をうけた。逃げようか考え中。
星の精は勝ち誇っている。
悪いやつ!捕まえた!!!ゲタゲタ!!!
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