ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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阿笠博士のワクワク実験教室!①

 

「大変なんだ!博士の家が爆発した!」

「な、なんだってー!?」

 

 

 事務所に駆け込んできたコナン君である。

 

 土日の昼時で、平和な昼さがりに俺たちは昼食を作ってまったりとしていた。

 そこにバン!と乱暴に扉を開けたコナン君が駆け込んでくるから、俺たちは仰天した。

 

 一緒にいた星の精も慌てているのか「ゲタッゲタゲタ!クス!!!」となにやら騒いでいる。

 前置きもそこそこに、コナン君が血相を変えて叫ぶ。

 

「黄衣さんも来て!大変なんだ!」

「救急車は!?」

「呼んだけど阿笠邸に辿り着けない!空間が歪んでて道が繋がってないんだ!あと中も迷宮みたいになってる!」

「よし行こうすぐ行こう!いくぞ諸伏さん!」

『お、おう……え?異界化?科学者宅が?なんで???』

 

 諸伏さんが大宇宙を背負ってしまったらしい。

 まあ阿笠博士のとこだしそういうこともあるだろうよ。

 

 皆を連れて慌てて現場へと駆けていく。

 降谷さんと合流予定だったが、それどころではなくなってしまった。

 降谷さんにはメッセージで一報入れたから、気付いてくれるといいのだが。

 

 スマホをしまって阿笠邸を遠目で確認すれば、確かに空間が捻れてしまっていた。

 ある種、亜空間に隔離されるような状況だ。

 

 阿笠邸は分裂し、円筒状のあの屋敷が東都ドーム10個分ぐらいに連なってワッフルみたいになって亜空間内に広がっている。

 意味わからんことになってしまったようだ。

 

 空間を潜り抜け、諸伏さんの手を引いて亜空間の方へと出る。

 コナン君は自力で亜空間へと入り込んだようだ。

 コナン君のブレスレットは「空間に跨り宇宙を泳ぐ戦艦」だ。

 この程度、手慣れた航海士なら楽なものか。

 

 正面入り口は爆発で吹き飛んでいて、ここから中に入れそうに見える。

 

「よーし、突入しまーす。総員気を引き締めること。驚かないこと。泣かないこと」

『まず阿笠邸が増えてるのは一体…』

「仕様です」

 

 適当ぶっこいてトコトコ瓦礫を登っていく。

 諸伏さんは「ぶーーーん」とか言いながら飛行して入ったようだ。

 コナン君は星の精に掴まってふわっと浮き上がったらしい。

 星の精が「ゲダゲダ!」と自慢げにして触手をざわめかせている。

 

 中は土煙が充満していた。

 壊れた機材が散乱しているが、人の気配はない。

 

「阿笠博士と灰原が心配だし、早く見つけてやんねーと」

「そうだな。というか、これ発見した状況ってどうなってんの?」

「博士んとこにスケボーのメンテに行ってたんだよ。それでメンテの間暇だから庭でボール蹴ってたら、爆発が聞こえて…」

「気づいたらこれ?」

「うん。途中で身の危険を感じて引き返さざるを得なかった。あっちの、あの扉を潜った先」

 

 俺のブレスレットで守られたコナン君が身の危険とは。これまたいかに。

 

 コナン君の案内に従って、ねじくれた空間を上がったり下がったり進んでいく。

 二階建てなのにも関わらず、4階以上の階段が続いたりしている。

 俺はははぁ、とあごに手を添えた。

 

「これはあれだな、俺が収納箱に使ってる亜空間拡張魔術の類に手を出したんだな」

「あー、あの難しいやつ?ったく博士は…」

『難しいのか?』

 

 諸伏さんが首を傾げたので、二人して頷いてみせる。

 

 亜空間魔術は、時の神ヨグ=ソトースへの干渉魔術だ。

 雰囲気はヨグ=ソトースの皮膚表面をちょっと押して、そのくぼみを使う感じが近い。

 

 時と空間は分かち難い。

 空間への干渉とは時への干渉でもあるからして、その分制御は非常に大変だ。

 

 今回のこれも、空間制御をミスって阿笠邸が無限増殖バグに見舞われているのだと思われる。

 

 コナン君が扉の前で待機して壁を背にした。

 

「この先。この先にあれがいるんだ」

「オーケー。俺が先頭で行こう」

『怖……俺中列がいい。少年は後ろ見張ってて』

「諸伏さんって意外とか弱いよね…」

 

 コナン君の容赦のない指摘が諸伏さんに突き刺さる。

 諸伏さんは「少年たちが強すぎるんだよ!!」といきりたった。

 

 俺は防御魔術を固めてから、扉を開けて中へと入った。

 

 中にいたソレは、すぐに俺の姿に気づいたようだ。

 

「ガガッ侵入者発見!直チニ排除シマス!!」

「えっっこんなアニメでN回見たロボ実在するんだ!?!?」

「黄衣さん危ない!!」

 

 ハイジョ!と乱射した麻酔銃が、俺の防御魔術を突き破って頬を掠める。

 「嘘ぉ!?」と俺は叫んで慌てて元いた扉の向こうに退避した。

 すかさず諸伏さんが「『動くな!!』」と呪詛をかけたが、それはロボの前で弾かれて霧散したようだ。

 

 扉を閉めれば、それ以上追っては来ないらしい。

 

 俺はぐたっと壁にもたれかかって目を閉じた。

 

「寝ます。おやすみ」

「待って待って今黄衣さんが倒れたら博士たちが!?」

「ギリ起きてる。大丈夫。俺に効く麻酔薬かぁ。なるほど、アザトースが寝ているという事実を利用してZzzz……」

「黄衣さんッッッ!!!」

 

 コナン君がバチコーンと俺の頬を叩いたので、強制的に起きざるを得なくなった。

 眠い目を擦りながら息をゆるゆる吐く。

 

「おっと、寝るとこだった。あー、対処法は分かった。ロボを無力化して先に進もう」

「あの防御を突破する麻酔銃をなんとかしないと」

「あれは別に古典的な防壁破壊だからどうとでもなる。コナン君も自分で編んだ防壁は突破されるだろうけど、ブレスレットの加護は破れないだろうしね」

 

 相手の防壁を突破するのは、俺も昔から追求していた手法だから慣れたものだ。

 それを人間が一代で完成させたのは意味不明だが、まあ防げないものではない。

 

 諸伏さんが難しそうな顔をして考え込む。

 

『俺の呪呪呪が効かなかったのは?』

「ロボ自体に状態更新魔術が絶えずかかってているからだ。まぁ、劣化防止機能の副産物だろうな」

「喋って動くのは何?」

「それは知らん。科学の力ってすげー」

 

 あまりにすげー過ぎて困っちゃう。

 まあ、劣化防止魔術は正確には科学で再現された魔術っぽい現象でしかないわけだけれど。

 

 俺は伸びをして改めて扉の向こうに意識を集中した。

 

 パチン、と指を一つ鳴らしただけで対処完了。

 俺の魔術で機能を停止したから、今度こそ、中に入っても問題はないだろう。

 

 ぞろぞろと、俺を先頭に慎重に中へと入る。

 

 停止して俯いたロボは頭に風見鶏がついていて、その隣にハンディ扇風機が付いていて勝手に回っていた。

 俺はほへぇ、とロボを見て感嘆の声を上げた。

 

「凄すぎワロタ。永久機関じゃん」

「その塗りの甘くてムラになってる手作り風見鶏がどうしたの」

「これ、MPが無限に出るシステムだよ。状態更新魔術連打に必要な魔力をどこから調達してるのかと思ったらさぁ」

「その間抜けな仕掛けが?」

 

 コナン君が胡乱な顔をする。

 いや確かにハンディ扇風機は100均の流用だし、風見鶏は小学生の工作みたいだけど。

 

 俺は重苦しく頷いて腕を組んだ。

 

「MPと電気を交互に変換してるんだ。生産に必要な電力より発生するMPの方が多い。マジかぁ。もうこの研究所爆破した方がいいかもわからん」

「は、博士ェ…!」

 

 一ヶ月程度放っておいたらとんでもないことになってるじゃないか。

 面白がって魔術資料渡したまま自由にさせるべきじゃなかった。

 

 星の精がロボの上の風見鶏に留まって「クッス!」と勝ち誇っている。

 

 諸伏さんが険しい顔で「ゼロに報告していい?」というので、俺は頷いた。

 

 「うす、極秘事項ってことですぐ連絡してくれると助かる」と言って、諸伏さんのスマホに電波の補助魔術をかけたのだった。

 





・阿笠博士のワクワク研究所
夢の無限に動く警備ロボなどを作成している。
旧支配者ハスターに効く麻酔薬は灰原さんの製品。
なんでも入る四次元ポケット開発中に事故が起きた。
今、阿笠博士はノリにノっている。

・灰原哀
インシデントだけは注意しなさいって口酸っぱくしていったけどダメだった。
個人的な研究で、地球に攻めてきた旧支配者を封印する術を探している。
麻酔薬はその一つ、「10万年眠って貰えば封印と同じ」の理屈。
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