ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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エメラルド・ラマ

 

 はんなりとした姿のエメラルド・ラマが色無地の着物を身に纏い、美しい所作で仕事を進めている。

 

 コナン君がしげしげと遠目にエメラルド・ラマを観察している。

 

「綺麗な人だね。仕事もとっても早いし」

「俺の知的で思慮深い部分を集めた化身だからな。賢く優しくをモットーにしました」

「え……なけなしの黄衣さんの知性を集めて外へ出したの……?」

 

 俺はその発言に憤りをあらわにして暴れ出した。

 化身はそういうシステムじゃありません!

 確かにそうだけど、俺の知性が減るわけじゃないから!

 

 エメラルド・ラマは俺の化身だ。

 前に雑に作って回収したまま放っておいたのを、今回新たな役割を付与して作り直したのだ。

 

 具体的には、信者と加護の管理となる。

 神を求める嘆きには適切な加護と機会を、不信心には神罰を。

 先日の株式会社TOKIWAの悪行で、俺も気を引き締め直すのにいい機会だと思って整理したものだ。

 

 ただでさえ俺の神社には毎日数えきれない量の参拝客がいるからな。

 各地の神社の見張りもいるし、やはり一つ統一した管理システムがあると便利だろうと思ったのだ。

 

 そこで、エメラルド・ラマに手を入れ、既存のモジュールを組み合わせる形でさっと信仰管理システムに作り直したわけだ。

 

 元々仏教と馴染み深い化身であったし、その力は強大だったからな。

 器としては非常に適切だった。

 

 俺はせっせと書類をまとめ上げるエメラルド・ラマに声をかけた。

 

「その分の資料をまとめ終わったら本格稼働を開始してくれ。暇だったら人格機能は適宜OFFにしてくれていい」

「かしこまりました。あなた様のご慈悲に感謝を」

 

 ふわりとエメラルド・ラマが笑って礼をする。

 

 初めから人格を搭載しなかった「彼方より来たりて饗宴に列するもの」と違い、エメラルド・ラマには意識が付属している。

 これは神罰や加護の付与にあたり柔軟な決定をしてもらうためだ。

 だが、長きに渡り空に固定される以上、人格があると何かと不都合も多い。

 

 もし暇すぎて辛いようなら自身の意思でOFFにできるよう、化身に細工をしてあるのだ。

 

 今やってもらっているのは、権能とシステムの範囲を公安に提出するための資料としてまとめてもらう仕事だ。

 新しい仕組みだから、念のため公安にも報告した方がいいと判断したのだ。

 

 そんなふうに俺たちがエメラルド・ラマの進捗を見守っているところに。

 

 降谷さんと諸伏さんがちょうどのっそりと現れた。

 というか本当ニコイチだなこの人たち。いつも一緒にいるんだけど。

 たぶん事務所の仕事を手伝いがてら俺の監視に来たのだのは思うが。

 

 入った瞬間。

 降谷さんが目をまん丸にして頬を染めて狼狽えた。

 真っ赤になって後ずさっている。

 

「なっ、な、な、小翠リャマ!?」

「あら。初めまして我が同胞のお方。その名前は以前、わたくしの殻を御方がお使いになられた時のものですね」

「喋っ、あ、はじめまして……黄衣君、化身として成立させてるのか!?」

 

 見たことないくらい狼狽えていて、俺はついプププと笑いを殺した。

 

「そうだぞ。信仰を管理する新しいシステムを構築したんだ。これでだいぶ便利になるぞ!」

「待て!また企画相談無く新システムを作ったのか!?爆死したいのか君は!」

「同胞。御方に向かって口の利き方をよく考えなさい」

 

 ぴしゃりとエメラルド・ラマの叱責が飛ぶ。

 降谷さんはエメラルド・ラマの凍えるような視線を浴び、しょげかえってしおしおになってしまった。

 後ろから諸伏さんがヨシヨシと背中を撫でてくれている。

 

 出来の悪い化身でも見るような冷たい目で、エメラルド・ラマが降谷さんを見る。

 降谷さんは痩せ細った枯れ木のようになった。

 

 まあ…エメラルド・ラマの態度の方が化身としては一般的だからね……。

 俺は降谷さんのはっきり言ってくれるところ、だいぶ助かってるけど。

 

 何も言えず、降谷さんと諸伏さんは自席について仕事を始める。

 降谷さんが細く俺に声を上げた。

 

「ところで、どうして着物なんだ…?」

「降谷さん、そういうの好きだろ?」

「好きだけど!好きだけど!!!」

 

 降谷さんは激しく身悶えて苦悩している。

 結い上げた黒髪にすっと白い肌、日本美人って感じで後ろから見ても中々ええやろ。

 俺、美女のアバター作るのも好きやねん。

 

 頬を赤く染めた降谷さんがチラチラとエメラルド・ラマを確認する。

 エメラルド・ラマは先ほどのことは特に気にしていないのか笑ったようだった。

 

「何かありましたか、我が同胞」

「………いや、なんでもない」

「ふふ。そんなに見られては穴が開いてしまいます」

 

 降谷さんが耳まで赤くして顔を逸らした。

 

 すげーな、瞬時に季節は春を迎えたようだ。

 でも化身の性質上、俺と俺が結ばれるみたいなバグなので特に意味はないのだが。

 ほら、そこに寂しそうに空気に徹する諸伏さんがおるじゃろ?

 黒い風に性別はないから女の子になってもいいんじゃよ。

 

 ニマニマとしていたら、カミソリのような視線が降谷さんから飛んできた。

 怖い怖い。

 というかコナン君気配を消すの上手くなったな…。ニンジャか?

 

 そうして進めていた仕事を全てまとめ上げ、席を立ったエメラルド・ラマは俺に一礼した。

 「それでは、わたくしはこれにて。至高の君よ。あなた様の御心のままに」と忠誠を見せる。

 俺も軽く手を上げて頷いた。

 

「ありがとう。じゃあ通常運行に入ってくれ。空を跨る二つ目の神として、頼んだぞ」

「かしこまりました。わたくしの出来うる限りの力で遂行いたしましょう」

 

 そう言って、エメラルド・ラマは体を宙に溶かした。

 空にかかる巨大術式と化して、地球全土の監視に入ったようだ。

 

 ぽーっとして降谷さんが空を見上げている。

 

「素敵な…人だったな……」

『そうだな』

 

 頷きながら、諸伏さんは堂々と頭に大きなリボンのカチューシャをスポッとはめた。

 

 リボンカチューシャおじが爆誕してしまったらしい。

 諸伏景子ちゃんってやつか。

 俺が暇つぶしに制作してほっといたアクセサリーを悪用しているようだ。

 

 諸伏さんは眉を吊り上げておもむろに叫んだ。

 

『何よあんな女!私の方がいけてるわ!』

「裏声やめてくれ。それやるなら僕の方だったろ」

『ゼロは頑固で喧嘩っぱやくて地雷男であるそのままの姿でいて欲しくて…』

「ありがとう…俺も歯に衣着せぬ悪ノリ好きのお前が好きだよ…」

 

 ひしと公安二人が抱きしめあった。

 降谷さんは一瞬の儚い恋に傷つく心を諸伏さんで慰めているようだ。

 僅かに涙を飲んでいる。

 諸伏さんは片方は相変わらずリボンカチューシャである。

 

 エンダァァアアって叫ぶべきところだったかもしれん。

 分からんが、ここには男しかいないことだけは確かだ。

 

 まぁ、俺も絶世の美女ハス子ちゃんになれるけどな。

 

 ……いや、割とアリだなハス子ちゃん。

 アバターはむくつけき男より可愛い女の子の方が人気。

 その原則を忘れていたかもしれない。

 

 俺がピンと来た顔をしたので、コナン君はいきりたった。

 「ねぇこの空気責任とってよ!僕帰っていい!?」と膝を蹴っ飛ばしてきたのであった。

 





・ハス子ちゃん
抜けてる能天気で人懐っこい超越者ハス子ちゃんが出来上がる。
可愛くウブで明るく怖いのがダメ。
要素だけ見れば美少女かもしれへん(?)

・ニャル夫くん
照応して突如現れるメンヘラ系男。
束縛系(外なる神基準)なので、500年に一回近況連絡しないと暴れる。

・エメラルドラマ(新)
意識ある極大の信仰管理システム。
早期アクセスかもしれん。バグは多い。
今後気が向いたタイミングで機能は増えていく。
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