ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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銀翼の奇術師〈仮装パーティ〉

 

 今日の予定は怪盗キッドの捕物協力である。

 

 車で汐留までやってきた俺らは、車窓からできたばかりのビルを眺めている。

 

 星の精がコナン君のポケットからチラリと触手を出した。

 「クスックスッ!」と車からの景色を楽しんでいるようだ。

 その触手にはハートのアクセサリーが巻かれ、可愛らしくフリルもついている。

 

 コナン君が心底困った様子で星の精に声をかけた。

 

「ねぇ星の精、それそろそろ脱ごうよ。人に見つかったら大変だよ」

【グスッ】

 

 断固とした星の精は、シュッと触手を引っ込めて服を取られまいと身を固めた。

 実はポッケの中ではフリフリのドレスを着た大満足星の精である。

 魔法少女の格好でステッキを握りしめている気合い入り様は、とても声をかけたぐらいでの説得は不可能だろう。

 

 コナン君が目を三角にして俺を睨んだ。

 

「黄衣さん達のせいだよ!昨日あんな悪ふざけするから!」

「可愛かったよ、魔法少女コナンちゃん」

「全力のサッカーボールを喰らいたいって話?僕博士にキック力増強シューズを改造してもらったばかりなんだ」

 

 恐ろしい顔で靴をパリパリ言わせるので、俺は大人しく平身低頭謝罪した。

 博士に改造してもらった?

 キック力増強シューズは一体何になってしまったんだ……?

 

 ともあれ。

 昨日は実に楽しかった。

 

 疲れて仕事が手につかなかった俺が、不意にむしゃくしゃしてハス子ちゃんへと変身したのが始まりだったか。

 単なる悪ふざけだ。

 

 銀髪サイドテールのかわい子ちゃんなってダブルピース。

 多分結構可愛くなったと思う。

 実際、これは疲れたおっさん達には多少ウケた。

 パラパラと鳴る拍手。

 

 「騙されやすそう」「テストの点低そう」などとヤジが飛んだので、余計にむしゃくしゃ。

 俺は勢いのままにコナン君を魔法少女へと変えた。

 

 そして、怒りのコナン君が全力のサッカーボールを飛ばすなどして部屋は混沌に陥ったのだ。

 

 流れに気をよくした降谷さんも、宴会のノリで零子ちゃんを披露。

 ニャルの化身時代に培った変化技術は流石の一言で、ハリウッド体型の夜の華の超絶美人が現れた。

 なんとなくだが、モデルはベルモットなのかなと思う艶やかなデザインの服装だった。

 羽付き扇子でやや顔を隠した降谷さんがノリノリのまま妖艶に微笑む。

 

「どうかな?僕もプロポーションは負けないつもりだが」

「おお!さっすが美女!強そう!ゾンビ映画でサブマシンガンぶっ放してそう!」

「それは褒め言葉でいいのか…?」

 

 盛り上がる俺の横にススス、と出現する諸伏さんが。

 無言のまま、降谷さんをスマホでパシャリと撮ったわけである。

 

 無論のこと0.1秒で荒ぶる黒い風と化した降谷さんは、諸伏さんを締め上げた。

 まさに諸伏さんの命運も尽きたかに思われた。

 

 しかし、無言で自らにカチューシャをつけ、濃ゆい口紅を付けた諸伏さんが手でハートマークを作った。

 そして「おそろい♡」と口にする起死回生の手段に出た。

 

 降谷さんは無言でチェーンソーのようにギャリギャリ言う風の刃を下ろした。

 降谷さんは真顔で言い切った。

 

「誰一人逃げることは許されない。全員で写真だ。いいな」

 

 そうして諸伏さんは許され、集合写真という名の相互協定が結ばれたのである。

 

 INTが高いのとバカであるのとはまあ別の問題である。

 それを魂で理解した一幕であった。

 

 コナン君は未だ納得いってないらしく、「ガキかよ…オッサンのくせになにやってんだ…」とブツブツ文句を言っている。

 許せ青少年。

 男は何歳になっても小学生なんだ。

 

 ちなみに、その時に見た魔法少女コナンちゃんに憧れて星の精が駄々をこねたからこうなったのである。

 俺手作りの星の精用の魔法少女衣装だ。

 触手にマジックテープではめられるようになっていて、結構凝った作りだったり。

 

 コナン君がブツブツ言っている間に到着し、俺たちは汐留ビュータワーへと足を運んだ。

 

 

 疲れたおっさんは未だ昨日の乱痴気騒ぎを引きずっているらしい。

 カバンを持ったカジュアルな安室透姿で、降谷さんがポツリとぼやいた。

 

「景子ちゃん、私黒毛和牛サーロインのステーキが食べたいわ」

『あら零子ちゃんたらはしたないわ。職場に戻ったら、私たちにはゼリー飲料とカロリーメイトっていう素敵な友達がいるのよ?』

「たまには刺激的な恋がしたい。そんなお年頃なの」

『わかる…近所の牛丼もう飽きた……』

 

 などと社畜の哀愁を漂わせている。

 

 可哀想に、現代社会の荒波に揉まれて頭がおかしくなってしまったおっさんなのだ。

 ちなみに裏声。表情は真顔。

 怖い以外の感想はない。

 

 まあ今回のクライアントを前にすれば彼らもシャキッといつもの調子に戻るだろう。

 

 目的地は汐留ビュータワーにある劇場・宇宙だ。

 

 怪盗キッドは、ここで講演が行われる舞台の小道具を狙っているという。

 始まりは怪盗キッドから予告状が届いたという依頼人の話からだ。

 

 暗号文は謎めいていたが、そこで求められていたものは明白だ。

 彼らの持つ小道具、スターサファイアの指輪を怪盗キッドは狙っているのだ。

 

 キッドにスターサファイアを取られまいと困り果てる彼らの話を聞いて。

 俺たちのやることは一つ。

 

 つまりことの真偽を怪盗キッド本人に確かめる、である。

 

 

 

 汐留ビュータワーに併設された劇場・宇宙の入り口。

 そこでキッドは工藤新一に扮して、ぽやっとスマホを確認していた。

 

 コナン君がブスッとして唇を曲げる。

 

「テメー俺の顔を便利に使いやがって。俺の名誉だけは傷つけねぇようにしろよ」

「悪ぃ悪ぃ。でも仕方ねーだろ。怪盗キッドが狙ってる!なんて謳い文句で売り出してんだから。俺だって動くしかねーんだよ」

 

 キッドはにこやかにVサインを作った。

 そしてやや小さくなりながら、降谷さんと諸伏さんにもぺこりと挨拶する。

 

 降谷さんが威圧的な笑みを浮かべる。

 さっきまで零子ちゃんだったことを微塵も感じさせない冷たい瞳だ。

 

 降谷さんが目をうっそりと細めて口を開いた。

 

「それで君が軽率に予告状を出した、と。そうなると僕らも動かざるを得ないのはわかってのことかな、怪盗君?」

「い、いやぁ…紅子は今回のことに絡んでないしぃ」

「その量の魔術をかけられておいて無関係では済まされないなぁ。カツ丼が食べたいと捉えてもいいのかな」

 

 キッドは震え上がって「ちょっと脅かしたらすぐ帰るから!」と小さくなる。

 青少年をいじめるのは良くないので、「どうどうどう」と間に入った。

 降谷さんがため息をついて眉間を押さえる。

 

「君な。窃盗は犯罪なんだ。大目に見ていられるのは今のうちだけだぞ」

「だから俺と紅子で怪異回収もちょっと手伝ってるじゃんか!」

「今回は大目に見る。が、自重するように」

 

 怪盗キッドが「た、たすけて名探偵!」とコナン君を盾にして隠れている。

 

 まあなんにせよパーティは揃った。

 今回も平穏無事で済むといいのだが。

 





・女装写真
みんなで撮った。
恥ずかしいクオリティなのは諸伏さんだけである。
ハス子ちゃんは高校生ぐらいで、活発そうな表情だけど銀髪色白の線の細さがギャップで可愛い。
集合写真には見切れてるけど遠くに燃える三眼の男がぼんやり写っている。
写真を見るたびに位置が移動して、ハス子ちゃんの隣にくる。
30回以上写真を見ると「僕の彼女に何か?」って話しかけられる。
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