ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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探偵達の鎮魂歌〈成長期〉

 

 大学内に入り案内看板をジロジロ見ていけば、CRYの文字もすぐに見つかった。

 犯罪研究会だ。

 

 部室へと向かうと、扉越しに雑談している学生達の声が聞こえる。

 ノックすると、中の男子学生がおずおずと扉を開けた。

 

「はい、あなたは?」

「すみません。探偵の黄衣ハスタといいます。現在事件の調査中でして、よろしければお話をお聞かせ願えないかと思いまして」

「な………あの名探偵の黄衣ハスタさんですか!?凄いぞみんな!来てくれ!!」

 

 名刺を渡すと、キラッキラの目が俺を捉えた。

 我先にとやってきた学生さん達が俺に話しかけてくる。

 そんな持ち上げられるとゲヘヘってなってしまうのでやめてほしい。

 

 後ろでコナン君が「名探偵ねぇ」みたいな顔をしている。

 

 仕方ないじゃろ!

 コナン君が名探偵なんだからパペット人形も名探偵って言っておかないとバレるんじゃよ!

 俺は最高音質のスピーカーだと何回言ったら分かるのか。

 

 降谷さんと諸伏さんは「作業員でーす」「作業員その2でーす」と目立たないよう後ろに下がるなどしている。

 イケメンどもめ。それで誤魔化せるわけ無かろうに。

 

 ともかく。

 どうもここでは、関係者の接点がわかるヒントになっていたらしい。

 

 この犯罪研究会の3代目の部長が現金輸送車襲撃事件の実行犯の一人、伊藤だった。

もう一人の実行犯で殺された西尾も部員。

また、清水麗子もこの犯罪研究会で活動していたとのこと。

 

 三人は卒業後ファーイーストという会社に勤めており、その会社は現金輸送車襲撃事件を受けて倒産。

 その後、キッドが盗みに入った深山商事に吸収されたらしい。

 深山商事社長の深山もまたこの犯罪研究会に所属しており、伊藤は深山を慕っていたらしい。

 

 部員の男子学生が困ったように眉を下げた。

 

「でも、清水って人はおかしな人だったらしいですよ。魔術研究サークルも兼任してて、怪しげな実験を繰り返してたって聞きました」

「でも今年無くなっちゃったんだよね、魔術研究サークル。怪異対策関連法だっけ。なんか法的に問題あるかもって」

「教務課がサークルの残した怪異品の処分に困ってるって聞いたぞ」

 

 んんんん今聞き捨てならない会の存在が。

 魔術研究サークル???

 

 無実のファンタジーサークルなら取りつぶしは少し可哀想だが。

 清水という女性が入ってた辺りちょっとどころでなく怪しいのが悲しいところ。

 

「ところで、探偵と俳優の両立って忙しいんですか!?」

「ばっか忙しいに決まってんだろ。それより俺、解決してきた事件について聞きたいです!」

「守秘義務があるっつーの。むしろ俺はこの迷宮入りの事件について黄衣探偵に考えをお聞かせ願いたい!」

 

 凄い熱量でやってくるので、俺は「おお、落ち着いてね…」と押されがちになった。

 コナン君がニヤニヤしてるので後でもしゃもしゃにしてやろうね。

 私怨である。

 

 しかし皆本物の探偵が来たということで、率先して話をしてくれるのは嬉しいことだ。

 降谷さんもコナン君も、知名度が抜群の俺に話を任せている感じだ。

 合間合間にかなりの質問が乱舞して、話してかまわない程度の経験を語ることになったのはご愛嬌。

 健やかに社会に出たまえ青少年達。

 

 そんなふうに適当にさばきつつ、なんとか聞くことを聞いて犯罪研究会を後にする。

 

 あとは……暗殺現場であるファーイーストに寄るぐらいか。

 そのように思って大学を出たところで白馬君……に変装したキッドが爽やかに手を上げた。

 

「やあ皆さん。情報交換と行きませんか?」

 

 「なんやこいつは」と不思議そうな服部君に被せるように念話を発動する。

 

『情報交換タイムでーす。彼は高校生探偵に変装したキッドだよ。つまり味方』

『バリバリ敵の怪盗やんけ。現金輸送車襲撃の件はもう聞いたんやろ。ほなら用済みやんか』

『用済みだってよ、キッド』

『働き者の俺になんつーこと言うんだよ!役立つ情報手に入れてやったのに!』

 

 キッドが、ポコポコ怒っていると、星の精が「クスクス!」と言って飛び出した。

 星の精の頭に乗ってキッドをぐるぐる巻きにする。

 

【クスックススッ!】

「な、な、何ですかこれは一体!?!?」

「星の精は元気だね。キッドがどうかしたの?」

 

 コナン君が優しく声をかけると、星の精は誇らしげに触手を揺らして「クスクスッ!」と言った。

 星の精は分かる!こいつは白くて悪いやつ!星の精が悪い奴を捕まえる!

 

 困り果てるキッドを置いて、コナン君が「よくわかったね!星の精は偉いね!」と星の精をわしゃわしゃした。

 ところで依頼主が仕掛けた盗聴器は起動しっぱなしなんだが、ヒキガエルの声が聞こえたりクスクス音が突如聞こえたりしてんだよなぁ。

 

 まあいいか。

 黄衣ハスタが怪異探偵なのは公然の秘密だし。

 

 しかし、星の精の嗅覚が鋭いのは気になるところだ。

 匂いで個人識別ができるのは星の精の特徴だが。

 ある程度大人にならないと嗅覚も発達しなかったはずだ。

 

 俺は星の精のもじゃもじゃを一本ずつ確認して首を捻った。

 

「うーん、なんか幼体にしてはでかい気がする」

【ゲタッ!?!?ゲタゲタ!!】

「痛たた、星の精叩かないで。別に太ってるとは言ってないから」

 

 デブと言われたと思った星の精がポコポコ怒り出したので宥めておく。

 諸伏さんが星の精の触手をぐにぐにしながら首を傾げた。

 

『発育がいいってことか?』

「そう。大きくてがっしりしてる。本来この年の星の精は苗床に入りっぱなしだから小さくてか弱いんだ」

 

 とはいえ、人間も取って食える程度には強いが。

 うちの星の精は運動もしっかりしてるし、食事も俺監修の栄養満点なものを食べてるから成長が早いのだろう。

 軽く見た感じ健康体だし、心配することはなさそうだ。

 

 俺は訝しげに口を歪める星の精をペチペチした。

 

「うん。大丈夫。星の精は将来とても大きくなるってだけだよ。コナン君を守れる強い星の精になるに違いない」

【!!!ゲタッ!!!】

 

 星の精は鼻高々でマッスルポーズをした。

 触手を使って上手く人間の格好を真似するシリーズである。

 器用にダブルバイセップスからサイドチェストを決めている。

 触手がうまく筋繊維みたいに見えて凄く嫌だ。

 

 うーん、肩にちっちゃいジープ乗せてんのかい!と声掛けすべきシーンだったかもしれない。

 

 足場にされたキッドが「早く離していただけると嬉しいんですけど」困り切っている。

 

 ともかく。

 どうやらキッドは倒産したファーイーストのオフィスビルに行ってきたらしい。

 

「このオフィスにて、現金輸送車襲撃事件の実行犯である西尾が狙撃されています。もうご存知かとは思いますが」

「白馬君も調査していたのか」

「ええ、まあ。野暮用でね」

 

 あくまで白馬君のふりをしながら、キッドが資料を提示した。

 

 武器はライフル銃。

 八発全部打ちつくされて、西尾は即死だった。

 デスクから伊藤が書いた現金輸送車襲撃事件の計画書が出てきたために、伊藤が指名手配されたと言う流れになる。

 

「ですが、座面に血液が垂直に垂れている。キャスターの一つも撃ち抜かれてて。間違いなく狙撃手は二人いるということだ」

「なるほど。決まりだな」

 

 降谷さんがスマホの画面を提示する。

 「僕の方でも風見に掘らせた資料と一致している」と言って映した画面には、ライフルの写真と調査結果だった。

 

「ライフルのスコープにマスカラが付着していた。これは珍しいタイプのもので、周囲で使ってたのは清水麗子ぐらいだ」

「なるほど。だから警察は清水麗子を取り調べてたのか」

「最後まで口を割らず、5月15日に崖から飛び降りて自殺したようだがな」

 

 海流が荒い場所で、遺体は発見できなかったらしい。

 

 油圧計が操作され、事故を起こした伊藤は意識が戻って20日後に失踪。

 事故のせいで生死の境を彷徨ったというのに、ガッツのあることだ。

 

 コナン君がむう、と言う顔をしてあえて念話で話しかけた。

 

『お前、なんでこんなこと調べてんだよ』

『仕方ねーだろ命狙われてんだから!しつこいったらねぇよ!なんで深山商事がこんな一銭にもならねぇことするのか疑問だったけど!』

 

 キッドが忙しいって言ってたのはあながち嘘でもなかったらしい。

 ため息を吐いた降谷さんがスマホを確認して肩をすくめる。

 

『ああ、それなら今風見が吐かせた。キッド襲撃は社長の女の要請があったからだそうだ。同じ理由で、僕たちを襲撃したと』

『女、っていうと関係者の中では清水しかいないけど、もう死んでるんだろ?』

『死んだふりをしていたのかもな』

 

 諸伏さんの疑問に、降谷さんが眉間に皺を寄せた。

 しかし、風見さんが素早く締め上げてくれていたのは心強いことだ。

 

 キッドが肩をすくめて……すくめようとして星の精に迷惑そうな顔をされたので、動かず手のひらを上に向けるだけにとどめた。

 星の精が乗ってるのに動くな、と言うことらしい。

 律儀に星の精のいうことを聞くキッドにちょっとほっこりするなど。

 

『あと、盗品だらけだぜあの深山商事美術館。碌でもねぇな』

『それはそれは。絞りがいがありそうだ』

 

 降谷さんがニャルに似た笑顔でニヤリと笑った。

 後でたっぷり摘発してやろうと思っている顔だ。

 

 俺はキッドに巻きついた星の精を回収して、コナン君のポケットに押し込んだ。

 「グス」と星の精が不満そうな声を漏らす。

 

 よく見ると成長に伴い、触手がポッケに入りきらなくなっているようだ。

 新しいポッケをつけねば、と俺は思案したのだった。

 





・成長期な星の精
将来とっても大きくなるかも。
ハスターの作った色々な種類の栄養満点な血をごくごく飲んでトレーニングもして健やかに育っている。
心はほぼ人間の幼児。学校に自分の席がないのが不満。

・依頼主
クスクスゲッゲッに加えて変な話題がたくさん出るから疑問符乱舞してる。
なんぞ????
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