ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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ベイカー街の亡霊〈美少女星の精ちゃん!〉

 

 ゲームの完成披露パーティに呼ばれたなり。

 

 開発元はアメリカの巨大IT企業、シンドラーカンパニーだ。

 黄色の印の兄弟団系列であるバベッジ・インコーポレイテッドの勢いに押され、昨今は斜陽気味。

 だからこそ、今回のゲームは社運を賭けた企画であることは間違いないだろう。

 

 光彦君がホールの下に見える繭型のゲーム機に歓声を上げた。

 

「楽しみですね!コクーン!次世代のVR機と呼ばれるそれを体験できるなんて!」

「すっげーよな!俺ヤイバーになれるかな!」

「歩美、美人なお姉さんになってみたい!」

 

 子供達がわちゃわちゃとコクーンを見下ろして騒いでいる。

 俺もつられてついニッコリしてしまう。

 

 外なる神の喧嘩で疲弊していた俺も、今ではすっかり回復したが。

 心の方はまだ疲れが残ってへにゃへにゃだったりする。

 そういう疲れた心にスーッと染み渡る癒しのひとときだ。

 

 子猫が集団でコロコロしてるみたいで大変素晴らしい。

 

 志保ちゃんが優しい先生の雰囲気で子供達に声をかけた。

 

「貴方たち、黄衣探偵にお礼をいうこと。コクーンのプレイチケットなんて希少なものを融通してくれたんだから」

「灰原さんのいう通りですね!ありがとうございます!」

「ありがと黄衣お兄さん!」

「スッゲー嬉しい!」

「それにしても、どうやって限定50枚の枠を手に入れたんですか!?」

「園子お姉さんもできないって言ってたよ!黄衣お兄さんすごい!」

「いやぁ、まあ伝手を少しな」

 

 俺は言葉を濁して肩をすくめた。

 実際は政府要人達に「何かお礼をしたい」と言われたから貰えただけなんだが、正直に言うこともできないし。

 

 地球の危機とかいうウルトラマンみたいな状況下において、俺は代えの利かない戦力になった。

 

 ついでに「将来的にどうにかできたら嬉しいな」ぐらいのお願いをいろいろ叶えてやったし。

 降谷さんに「安請け合いし過ぎだ馬鹿!」と怒られた程度には獅子奮迅の活躍を見せたと思う。

 

 俺があまりにホイホイ願いを叶えたものだから、後半になるとだんだん政府側も慄き出した。

 神へ貢物をするトーンで返礼を申し出て来たのだ。

 

 そんな、俺は後になって生贄を求める邪神じゃないのに。

 

 ともかく、それでちょうど子供達の間で話題になっていたコクーンのチケットを貰うことにしたわけで。

 子供達は今回のゲーム体験チケットを手に入れることができたと言うことである。

 

 俺の働きに比べあまりに安価な返礼だったらしく、政府の人はみんな「まだ本番の要求が残ってんだろ」みたいな顔をしていたが。

 

 星の精がパタパタ嬉しそうに歩美ちゃんに擦り寄った。

 

「ほしのせーもゲーム!楽しみ!あゆみも一緒!」

「そうだね星の精ちゃん!星の精ちゃんは指動くようになった?」

「だいじょうぶ!ほしのせーは人間慣れた!くす!」

 

 星の精はニコッと笑って肩を揺らした。

 

 その姿はシックなワンピースを羽織った、桜色の髪の女の子である。

 皆このパーティのために正装気味なので、ややカチッとした服になっている。

 服装を少し変えればお姫様のような可愛らしさになることだろう。

 

 これは満を持して解禁された星の精人間バージョンである。

 

 元太君がパッと顔を明るくして声を上げた。

 

「それなら一緒にうな重も食えるようになるよな!帰りに黄衣に奢ってもらおうぜ!」

「ダメですよ元太君!黄衣さんにたかっちゃ」

「仕方ないなぁ、よしよし、たんとお食べ。星の精も今回は特別に食べていいけど、普段食べたらお腹痛くなるからな」

「くす!星の精はかしこい!今回だけ!」

 

 コナン君が「またこいつらを甘やかす……」と渋い顔をしている。

 仕方ないじゃん可愛いんだから。

 志保ちゃんが肩をすくめて皮肉げに笑った。

 

「仕方ないわよ。この人、猫カフェを目一杯堪能してる気分だもの。思う存分貢がせておけばいいのよ。私フサエブランドの新作バッグが欲しいわ」

「お前なぁ!」

「仕方ない。工面しよう」

「黄衣さんも真面目に頷かない!!!」

 

 そんなふうに取り留めなく話しながら、会場へと入る。

 

 入った瞬間、俺の姿を見た偉い人達がピリリと神経を尖らせた。

 一瞬だけざわめきが途切れる。

 顔見知りも割といるな。

 

 偉い人の子供達もたくさんいるようで、すぐに子供達の騒ぎ声で静寂はかき消された。

 

 園子ちゃんと蘭ちゃん、そして酒を手に上機嫌の毛利さんがすぐそばのテーブル近くに見えた。

 園子ちゃんが手を振って俺たちに声をかける。

 

「ハァイ!ガキンチョ達。黄衣さん枠でゲーム参加とはやるわね」

「あん、お前もいたのかよ黄衣。お前も飲め飲め!高ェ酒なのが一口でわかる!」

「おう毛利探偵、度数が高いからがぶ飲みすると翌日ゲロゲロになるぞ」

 

 毛利探偵は気にせず「高い酒は悪酔いしねぇって知らねえのか?飲まなきゃ損だろうが!」とニコニコしている。

 この人も自由なんだよなぁ。

 

 と、そこで招かれざる闖入者がやってきた。

 サッカーボールを抱えた男の子が半笑いで少年探偵団に近寄って来たのだ。

 そして値踏みするような視線で一言。

 

「なんだ?貧相な顔しやがって。本当に招待客なのか?」

「な、なんですか急に!?」

 

 男の子は光彦君の動揺を鼻で笑った。

 

 慌ててついて来たのは残り三人の子達だ。

 どうやら四人グループの子のようだ。

 リーダーはこのサッカーボールを持った少年らしい。

 

 少年探偵団を一瞥して、人間体の星の精をじーっと見つめてから、「ふん」と鼻を鳴らした。

 

 後ろで髪を一つ縛りにした男の子が焦ったようにワタワタする。

 

「お、おい。バッジつけてるしマジの招待客だろ。まずいぜ諸星!」

「チッ。行こうぜ」

 

 諸星と呼ばれたリーダーの子は舌打ちして足早に去って行った。

 なんで突っかかってきたかまるで分からない。

 

 星の精がむすっとしてコナン君の服を引っ張った。

 

「ほしのせー、あいつ嫌い」

「ん?なんだこいつ。見ねぇ顔のガキだな」

 

 毛利探偵が訝しげに星の精を見下ろして片眉を上げた。

 俺はむすっとする星の精の頭を撫でて答えた。

 

「星の精だよ。人間に化けてるだけ」

「なっ……あのオウムか!?」

「そうだよ!星の精ちゃんとっても可愛いの!」

「人間に化けるの上手ですよね!僕びっくりしました!」

 

 子供達がわちゃわちゃ星の精を褒め称える。

 星の精は鼻高々になって腕を組んで胸を張った。

 人間になったから誇らしげな臓物群だったときより自然な見た目だ。

 

 園子ちゃんがすごく胡乱な顔をした。

 

「オウムってゲームできるの……?」

「しつれい!ほしのせーはゲーム上手い!みんなと勝負もする!げた!」

「そ、そう。悪かったわね…」

 

 なんとなく納得されてないらしいが、実際星の精はゲームが得意だ。

 触手を器用に使ってコナン君と二人対戦とかするし、なんならコナン君よりゲームは上手い。

 

 などと話しているうちに、先ほどのやんちゃ子供グループが新しい動きを開始した。

 パーティ会場でサッカーを始めたのだ。

 この要人ばかりのパーティで暴れるとは、中々の度胸である。

 

 と、思っていたら警視庁警務部長さんがかっとんで来た。

 「なんてことを!!!」と裏返った悲鳴をあげている。

 公安信者さんが今は副総監だが、先代の副総監を務めていた人だ。

 

 警務部長さんはリーダーの子を掴み上げて、そのまま素早くホール外へと出て行った。

 そういえば警務部長さんも名前は諸星だったと思ったが、もしかしたら孫とかだったのかもしれない。

 

 なんにせよ、警務部長さんの顔色からしてクソほど怒られることは間違いなさそうだ。

 去り際に警務部長さんにはチラリと会釈されたから、俺のことも認識していたらしい。

 

 うむ、可愛がるだけなら楽なものだが。

 子育てというのは実に難しいものなのだなぁ、と俺は深く納得したのであった。

 





・諸星君
警察のお偉いさんの孫。跳ねっ返り。
実は星の精にちょっと一目惚れ気味で、その結果出力された言葉が暴言だっただけ。
無論だが星の精には嫌われた。
人気のない廊下で死ぬほど怒られる定めにある。

・星の精人間バージョン
すごく可愛らしい。
みんなとゲームしたい!って死ぬほど泣いて喚いて今回だけ人間体を許可してもらった。
造形は黄衣がニャルと相談して可愛くした。
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