ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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番外編です。
遅ればせながら400話記念。
ワンピース世界とハスター達の話。



400話記念与太話:グランドラインに来た日

 

 いつもの通り空間に弾かれ、俺は世界の外側へと落下したなり。

 

 現在、俺たちの乗っていたハイエースは海の底に沈んでしまっている。

 四方八方海原に囲まれ、見渡す限り陸地もない。

 何とか沈みゆく車から脱出はしたものの、状況はあまり良いとは言えなかった。

 

 俺はもじょもじょ触手で海を泳ぎながら、背の船へと問いかけた。

 

【どう?ハスター船の居心地は?】

「揺れも少なくて良い感じだよ。黄衣さんは疲れてない?」

【大丈夫。近場の陸地に向かって泳いでるだけだしね】

 

 降谷さんも「風の具合を調節してある。またおかしな巨大魚が来た時のために対処に集中してくれ」と声をかけてくれた。

 諸伏さんは不安そうに俺の作った船内を見て回っているようだ。

 

 降りてきた場所は、奇妙なほどに無風の見渡す限りの海だった。

 しかも100メートルとかはある怪獣みたいな魚がウヨウヨいるのだ。

 

 ハイエースの落下に気づいて寄ってきたらしく、海は巨大魚で鮨詰めだった。

 しかも肉食のようで、俺が船の底で威嚇していないと、こちらを丸呑みにしようとしてくるのだ。

 慌てて抜け出したから今は巨大魚ゾーンからは抜け出したが、とんでもない場所であった。

 

 うむ、あんなでかい肉食魚に遭遇して、可哀想な諸伏さんと星の精のSAN値がガチ減りしてたからな。

 今は星の精はコナン君のポッケでガタガタ震えている。

 

 早く元の世界に帰る必要がありそうだ。

 

 とはいえ、出発には土台……飛び立つための陸地が必要だ。

 海や空中でも飛び立てないことはないが、空間的に少々揺れる。

 身の安全を考えると、星の精と諸伏さんが心配だ。

 

 そんなわけで陸地を目指してどんぶらこ、旅をしているわけなのである。

 

 

 まだ陽の高い昼間。

 何とものんびりとした穏やかな海を進んでいると、地平線の先に一つの船が視界に入った。

 

 しばらくして近くになると、船首が可愛い羊になっているのが確認できた。

 なんだか陽気っぽい麦わらを被った海賊旗が掲げられている。

 

 ちょっと俺は瞠目せざるをえなかった。

 あそこまで細部が似通っているとなると、信じられないがまさかそういうことなのか!?

 

 転生者的に言って、あれはすごく有名な船だ。

 海賊王に俺はなるタイプの船というべきか。

 

 つまり名作漫画「ONE PIECE」か、それに極めて似た世界に来てしまったようなそうでないような。

 この世がクトゥルフであるからして、可能性がないわけではないが。

 あれだ、ソワソワが抑えきれない。

 

 同時にだからこそここに着陸したのかと納得のいく心地でもある

 

 飛ばされるにしても、俺は咄嗟に世界を踏み抜いてしまわぬように頑丈な場所を選んだつもりだ。

 なるほど、世界に主人公と呼ばれるものが設定されているとして、その強度はどんな場所よりも頑強だろう。

 

 ぼんやりと海を眺めていた諸伏さんが海賊旗を見つけて目を見開いた。

 「お、おい!あれ!不味く無いか!?」と声を上げた。

 降谷さんもしゅるりと風となって看甲板に具現化し、険しく目を細める。

 

「海賊……か?ふざけた旗だが、僕らとしてもあまり面倒には巻き込まれたくない。どうする黄衣君」

【んー、ちょっとこの辺の海について聞いてみるか。安全な場所とか知ってるかもしれないし】

「万一の際は武力行使も辞さないということか。分かるが、交渉になったとして僕らに差し出せるものはないぞ」

【それは俺が用意するよ。新鮮な果物や野菜。船上の生活ではなにかと必要だろ?それに、荒ごとにはならないさ】

 

 コナン君も遅れて海賊船の存在に気付いたようだ。

 船内の読書スペースにいて反応が遅れたらしい。

 

 俺の背負っている、命名「ウィアードテイルズ号」の中はキッチンやプレイルーム、図書室などを完備しており、結構整っているのだ。

 外の異常もそこそこに、コナン君は俺のライブラリデータから作った図書館にあっという間に吸い込まれていった。

 欲望に忠実でよろしい。

 

 慌てて甲板まで上がってきたコナン君が目を見開く。

 魔術で遠見を発動しながら、遠く見えるゴーイングメリー号に驚愕の声を上げた。

 

「な、なんか腕が伸びてる!!来る!!!」

「……は?」

 

 瞬間、ウィアードテイルズが大きく大きく傾いた。

 かなりの力がかかったようだ。

 グラグラ揺れる船を俺が安定させると、マストにしがみついた麦わら帽の男がすとっと降り立った。

 

 ゴムゴムの性質を利用して飛んできたのだろう。

 麦わら帽の男が、目をキラキラさせて俺を覗き込んだ。

 

「すっげぇーー!デカタコが船を乗っけてんぞ!」

【誰がデカタコやワレ!!なめとんのか!!!イカです!イカって言って!!!】

「喋った!タコが喋る!!」

【ワレェ!!!!!】

 

 俺は瞬時に激怒しゲソをバシバシ叩いた。

 激怒の俺を宥め降谷さんが地面に降りた麦わら帽の男に話しかける。

 

「君、僕たちの船に何の用だ?自らの船を置いてまで先行するとは、何か並々ならぬ事情でも?」

「デカタコ見にきたんだ!」

「…………そうか」

 

 降谷さんは表情も含めて「喧嘩なら買うぞ?」と言っていたはずなのだが。

 残念ながら総スルーで俺見学に来ただけらしい。

 コナン君が驚愕の顔で歩み寄った。

 

「お兄さん、さっき腕が伸びてたよね?」

「ん?そだぞ。俺はゴムゴムの実を食べたゴム人間だからな!」

「?????怪異ってこと……?」

 

 だめだ、世界観が違いすぎて皆が宇宙猫と化しているようだ。

 ニシシ、と笑ったゴム人間が自分の口をビヨンと伸ばした。

 彼自身、イーストブルーで育ってびっくりされるのは慣れているのだろう。

 

 俺もコナン君たち向けに補足説明をする。

 

【怪異的な視点に立てば、人の想像力を母体としたルールを養う果実、だな。食べることで、後天的に怪異のルールを獲得できるんだ】

「……それは、あまりに危険じゃないか?統制が利かない」

「んー……言ってることわかんねぇけど、お前ら海軍なのか?船にカモメのマークがねぇ」

「言葉の意味は分かりかねるが、少なくともこの地の治安維持機構ではないな」

 

 降谷さんの言葉に、麦わら帽の男はニパッと笑って「なら俺たちは敵じゃねぇ!」と言い切った。

 なんとも、肩の力の抜ける男である。

 降谷さんも同じ思いだったのか、やや拍子抜けだったかのように眉をハの字に下げた。

 

 後ろで諸伏さんが「おお、ゼロが攻めあぐねてる」とクスクス笑っている。

 

 そのあたりでゴーイングメリー号も到着したようだ。

 俺たちの船の前まで来て、「コラァルフィ!急にあんた何してんのよ!!!」と怒声を響かせている。

 明らかに俺の触手にビビり散らかしている長鼻の男が、刀使いの後ろに隠れてガクブルしている。

 

 推定ロロノア・ゾロに鮮烈な剣気みたいなものを向けられて、俺はしおっと触手を萎びれさせた。

 俺は斬っていい触手じゃないですよー……。

 

 俺はしおしお触手で会釈して声をかけた。

 

【どうもです。お宅の船員さんは上におります。そして、もしよければ軽い情報交換とかしていただければ幸いです】

「!?!?喋った!?ビビ、こんな生き物グランドラインには普通にいるの!?」

「喋る海王類なんて私も見たことない!悪魔の実の能力……にしては海に浸かってるし」

 

 困惑しているらしいが、一応聞く耳は持ってくれるようだ。

 このままだとハスターの刺身にされてしまうから、俺としても争いは避けたいところ。

 刺身になっても全然再生できるし、斬られた破片全部が同サイズに復活して分裂すらできるけど。

 

【ともかく、一旦そっちの船に乗せてもらうか、こっちに来るかしてもらっても?俺たちも知りたいことがあって。お礼は弾むので頼む】

「……わかったわ。そっちの船に行くから、少し待って」

 

 俺たちの船はゴーイングメリー号の10倍ほどのサイズだ。

 船の高さ自体も俺の体の分高い。

 

 縄を張るのは面倒……と、思ったら、軽くジャンプの一つで俺たちの船まで縄を持って登り切ったコックさんが縄梯子を滑らかにかけた。

 触手で橋にしようと思ったが、全然必要なさそうだ。

 身体能力おかしいわこれ。

 というかルフィさんや俺の触手につつかないで、あっ、引っ張るのもダメ…!

 

 諸伏さんが「あ、シナモンの匂い。もしかしてお菓子を作ってたのか?」とコックさんに声をかけた。

 

「へぇ、そこそこ珍しい香辛料だが分かるのか。あんたも料理人か?」

『いや。完全に趣味。店で出すには力不足だ。そっちは本職なのか、凄いな!』

 

 意外と和気藹々と話し込んでいる。

 こっち乗り込んできた彼らは皆、明らかに非戦闘員の長鼻ウソップ君でも鍛え抜かれた公安警察ぐらいは動けるように見える。

 さすがバトル漫画、身体能力のアベレージがおかしい。

 

 降谷さんが代表者を装って前へ出た。

 

「すまない。こちらは漂流者とほとんど変わらなくてな、できればこの辺りの海図が欲しい。大量の巨大魚に追われてその辺が曖昧でね」

「まさかカームベルトに入ったの!?よく無事だったわね。いや、この巨大イカがいれば風がなくてもいけるか」

「ああ。それで、どうだろうか?こちらが出せるのは生鮮野菜と果物だ。船上ではどれも貴重だろう」

 

 おそらくナミと思われる女性がルフィをチラリと見た。

 船長に回答を任せる、ということなのだろう。ルフィはむむう、と考えるような仕草をしてから頷いた。

 

「俺は肉のが好きだけど肉はあるもんな!野菜も嫌いじゃねぇ!」

「なら決まりね。一応質を見せてちょうだい。漂流で多少傷んでても構わないわ」

「ありがとう」

 

 傷んでいても、ということは向こうも俺たちにまともな返礼がなくともある程度は目を瞑るということだ。

 なんと人情味のある海賊一味であることよ。

 

 話の間にコナン君が奥で俺の生成した野菜たちを運んできてくれたようだ。

 ワゴンいっぱいの新鮮な日本産ブランド野菜と果物がゴロゴロと運ばれてくる。

 

 「サンジ君!」とショート髪の女性に呼ばれて来たコックさんが、目を見開いて野菜を吟味した。

 

「こいつは……すげえな、どこ産だ?よほど土が豊かでないとこうはならないはずだ。いや…それよりこの鮮度はおかしい。出航してすぐにカームベルトに流されたのか?」

「お兄さんたちが悪魔の実って呼んでるものと同じ技術で出してるんだ。はいどうぞ、お兄さん」

「悪魔の実の能力でか?へぇ」

 

 少し悩んでから、コックさんは肩をすくめた。

 

「ちょいとキッチンを借りていいか?うちの船長があんたらの船を気に入ってるみたいだし、迷惑料もある。少し料理を振る舞わせてくれ」

【!!!俺も食べる!俺も食べる!俺も食べる!】

「黄衣君、食欲に支配されないでくれ。君の満足する量が出せるわけないだろう」

【触手の先っぽだけの量でいいから!!!】

 

 何で本物のサンジ飯をお前らだけが食べるの!!!

 俺の叫びに、場の空気が緩んだようだ。

 

 そのあたりで人見知りでポッケに入ったままだった星の精が「クス……」と外に出て一悶着になるのは、また別の話である。

 





・ウィアードテイルズ号
全員の数にしてはすごく大きな船。
運動不足にならないようにジムがあったり、暇を潰すための図書室があったりする。
近くの島は治安の悪いウイスキーピークなので、次の島に向かうことになる。

・麦わら一味
なんかちょっと怪しげな奴らかな、と思いつつもひょうきんなイカに乗ってるのでそこまで気にしてない。
サンジが料理を申し出たのも食事の場により真意が聞きたいがためだが、普通にダメなイカと苦労人な金髪という構図が定着するだけである。
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