ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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隻眼の残像〈凍える炎〉

 

 今日は毛利探偵と楽しい楽しい仕事のお話である。

 

「毛利先生、そこを何とか!」

「やってられっかよ!オメーら依頼を断るって言葉を知らねぇのか!」

 

 降谷さんが頭を下げるが、お怒りの毛利探偵はフンッ!と鼻息荒くそっぽを向いた。

 

 これまでいくつも毛利探偵に依頼してきているが、俺の事務所には相変わらず事件が舞い込み続けている。

 その数は膨大で、事件性があるものも少なくない。

 一応その全てを精査分類して、公安や知り合いの探偵その他に回してもいる。

 

 が、それを加味しても世の中の治安は悪く、小さな事務所に捌ける量を遥かにこえているわけで。

 

 毛利探偵に引き受ける仕事の増量を提案して、抵抗されている今現在なのである。

 

 俺はパタパタと手を振って攻勢をかけた。

 

「こっちでも厳選して厳選してきな臭いやつだけ選んでるって!」

「そりゃわかるっつの。あれだけ不倫汚職その他きな臭い事件ばっか寄越されりゃ。俺が言いてえのはだからって限界超えて引き受けんなって話だよ!」

「うす……おっしゃる通りっす……」

 

 俺はしおっと項垂れた。

 人間が困って俺に助けを求めてると考えるとね、もうね……。

 

 ウチのがすみません…みたいな顔で降谷さんとコナン君がじろっと俺を睨め付けた。

 俺はますますしょげかえって小さくなる。

 

 でもほっとけないじゃん…どうせ殺人事件になって警察が対応することになるんだし……。

 

 しかしどうするか…もう任せる先がないんだよな。

 俺は軽々に人脈を繋ぐことができない。

 「黄衣ハスタ」という知名度に伴う責任があるし、公安との兼ね合いもある。

 だが断るには事件の芽を感じるものは依然として増え続けているわけで。

 

 公安の協力者から探偵を探してもらうか。

 あとは恥を忍んで白馬君に学業に支障がない程度に協力して貰うか。

 悩みは深まるばかりである。

 

 と、そのあたりで備え付けの電話が鳴った。

 電話の隣でうたた寝していた星のオウムが「キョアッ!?!?」と鳴いて飛び上がった。

 

「ほしのせーは寝てた!こいつ悪いやつ!ヒゲ!ヒゲ!こいつ悪いやつ!」

『はいはい、電話出るからどくんだぞー』

 

 すごく怒っている星の精を押し除けて、一番近かった諸伏さんが電話に出る。

 しばらく会話してから俺に子機を回して来る。

 

『黄衣、鮫谷警部からだ。ほら、この間の蘭ちゃんの記憶喪失の時の』

「ああ!ワニさんか。なんだなんだ?」

 

 ぴくりと毛利探偵が反応する。

 

 鮫谷警部。

 刑事総務課改革準備室の人で、すごく優秀な警察官だ。

 頭の回転も早く、高INT語を駆使してコナンくんと交信したりもする。

 

 俺が電話をとって口を開く。

 

「はい、黄衣です。どうかされましたか?」

『あなたに聞きたい事があるんだ。長野に幾度か事件を解決しにいっているだろう?大和敢助という男を知らないか?』

「ああ、それならそれなり以上に親しいですよ。彼がどうかしました?」

『それは良かった!一ヶ月前に長野の未宝岳の雪崩の件に関係して少しな。急ぎで…いや、週明けの月曜日に会えないか?忙しいだろうし、少しで良いんだ』

「了解です。どこなら会いやすいかな?」

『なら、朝9時に近くの日比谷公園で待ち合わせだと嬉しい』

「了解」

 

 毛利探偵がちょいちょいと手招きしてアピールしている。

 「今ちょうど毛利探偵と一緒にいるんです。代わりますね」と言って電話を渡した。

 

 「よおワニ!」と毛利探偵は至極嬉しそうな声が聞こえる。

 随分と仲がいいようだ。

 あの記憶喪失事件以降、定期的に一緒に酒も呑んでるようだし。

 友はいいものであることよ。

 

 俺も本当は子供達と天文台観光に行く日だったのだが、行けなくなったからな。

 

 元々阿笠博士の大学時代の後輩がここの先生らしくて、特別に招待されたのだ。

 興味はあったのだが、コナン君に用事があったからな。

 

 コナン君は工藤君として蘭ちゃんとサッカー観戦デートに行くことになったのだ。

 俺が面倒を見ている子供が参加しない、つまり俺が行く理由が消滅したわけで。

 

 一人寂しく、家でコナン君がいない間に仕事することになったわけである。

 ううむ、ニャルを呼んでお菓子作りしながら仕事するか。

 

 などと考えていた、その時であった。

 

 

 俺は不意に、ソラを見上げて目を見開いた。

 

 

「ちょっと俺出てくる!!」

「なっ、黄衣さん!?」

 

 驚くコナン君を置いて、俺は事務所を飛び出した。

 静止するような声が響いたが、気にかける余裕がない。

 

 外に出て人通りのない場所まで来ると、俺は魔術を展開した。

 天体望遠鏡の機能を有する高度な監視魔術だ。

 足場を組み、砲塔のような光の構造を映し出して昼の空を見透していく。

 

 俺のこの魔術は、魔力の分布を遠距離から観測する機能がある。

 相手に気付かれないように確認する、ステルス性を重視したものだ。

 

 魔術観測結果を確認して、俺は舌打ちをした。

 

 天の川銀河の各所には鳴子に類するアラート魔術を仕掛けてあるのだが。

 それが先ほど、俺に侵入者接近の検知を知らせた。

 観測結果と照らし合わせて、それに間違いはない。

 

 旧支配者アフーム=ザー。

 

 冷気の炎の主人、生ける炎クトゥグァの子、凍える熱量たるもの。

 それはただ近づくだけで星をスノーボールへと変える、旧支配者という名の大災害である。

 

 このまま真っ直ぐに進めば、地球に到達することは避けられないだろう。

 旧支配者は気まぐれだから、必ず真っ直ぐに進むとは限らないが。

 こんな近場まで接近していることを考えるに、地球が標的の可能性は高いと考えるべきだ。

 

 第一あいつ、クトゥグァのいるフォーマルハウトから滅多に出ないし。

 内気かつ陰気だから、眷属に身の回りの世話をさせるだけで全然外に干渉しない。

 

 俺が険しい顔でソラを見上げていると、降谷さんが後から追いかけてきた。

 

「どうした黄衣君!何があった!」

「……旧支配者が地球に近づいてきてる。まだ遠いけどな」

 

 俺の言葉に降谷さんが凍りついたようだ。

 ニャルVSトルネンブラの戦闘が起こした大惨事は記憶に新しい。

 今でも幾らかの星の復旧が間に合っておらず、天文学界では話題になっているからな。

 

 降谷さんは慎重に唇を湿らせ、言葉を選んだ。

 

「……原因は?」

「不明。もう少し近くなれば、もし『呼んでるやつ』がいるならわかると思う。とりあえず監視と、太陽系に入ってきたら威嚇をするよ」

「頼んだ。人間側で何が準備することはあるか?」

「ない。俺は負けないし、負けたとして人間は滅びるしかない」

 

 あいつは星を一瞬で全球凍結まで持っていく。

 

 スノーボールアース現象とも呼ばれるもので、全球平均はマイナス40度にも達するはずだ。

 解除の見込みがないわけではないが、解除の時に地球の平均気温70度とかになる。

 普通に生命は焼け野原だろう。

 

 もし本気で滅びそうになったら、人間にできることなどクトゥルフを起こしてアフーム=ザーと喧嘩させるぐらいだろう。

 どちらにせよ人類は滅びるので単なる八つ当たりの意味しかないが、アフーム=ザーは嫌がるはずだ。

 

 というかもし本当にアフーム=ザーが来たらニャルどうしようかな。

 あいつ加減知らないしな、地球周辺で遊ばせたらうっかり太陽壊しちゃうだろうしな。

 

 俺はむすっとため息をついた。

 

 次から次へと、呪われてるのだろうか。

 あーーー助けて父上。

 

 そのように俺は神様仏様ヨグ=ソトース様などに祈ったのだった。

 





・アフーム=ザー
目があって呼ばれてきた。トモダチ!
出不精で信者は少なめ。

・宇宙系学問
神に頼めばまだ見ぬ宇宙の知的生命体とか見つけられるのでは?とそわっとしてる。
最近いくつか滅んだことには気づいてないが、神の戦闘のことを知って「当然戦闘に巻き込まれて生命体が滅ぶことはあるはずだ。デブリを調べれば痕跡もあるかも」と活動を開始してる。
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