ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

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明日旅行だし今日のうちにできるだけ投下しとく。



国際情勢の難しさ

 

 テレビはどこにチャンネルを変えても俺の話ばかりしている。

 

『神の奇跡!ダム爆破から村を救った荘厳な氷の壁の秘密に迫る!』

『都営地下鉄を襲った爆弾犯と同一犯と新捜査を進めて───』

『はい、私もお告げを聞きました!これ以上進むと瓦礫が落ちてくるぞって!目の前に爆破で石がドカドカ落ちて来て!もし進んでたら死んでたと思うんです!』

 

 エトセトラ。

 俺の神社への参拝客は増えるばかりだ。

 一応参拝客への対応はエメラルド・ラマの管理機構に任せているから手間はなくていいのだが。

 そちらも順調に実績を積んでいるらしい。

 

 というか、あまりに客が多いため分社を作る話も上がっていて、敷地の選定が始まっているとのこと。

 俺引っ張りだこ。

 子猫にたかられてるみたいで嬉しみである。

 

 テレビをぼんやり見ていると、隣で事務作業を手伝ってくれている降谷さんが渋面を作った。

 

「増大する社会不安を払拭するには非常にいいデモンストレーションにはなったがな。本当にコナン君のいるところ事件ありだ」

「そういや、あの氷のダムなんだけど職員さん使い方わかった?」

「多少混乱はあったらしいが問題ない。『触れば使い方がわかる』怪異として新しく公安で登録する必要はあったが」

 

 中に入るのは寒すぎるので、外側から魔術による操作をする形式のダムになっている。

 

 手袋越しでもいいので触ると操作方法が直感的にわかるように作った。

 初心者でも手取り足取り分かりやすくミスしにくい形で動かせるように工夫してある。

 

 一人に任せると不安だろうから、他のモニターに映して多人数で確認可能。

 個人認証してアカウントを作っての管理だし、設定数値を横断して分析してくれる機能付き。

 

 諸伏さんがうむうむ頷いて補足してくれた。

 

『現場では概ね便利に受け止められているらしいぞ。すごく使いやすいし、カムクラ様はダムの神様だったんじゃないかって噂になってるらしい』

「ふはは。急拵えだったけど現場の思考を流用して作ったからな。評判が良くて嬉しいよ」

 

 俺は胸を張って鼻高々になった。

 カムクラ様は俺の通称である。神座神社より。

 まあ、実際コナン君が全部指示したことだから、あの村を救ったのは実質コナン君ではあるのだがな。

 

 コナン君達は今日は子供達と遊びに出ているようだ。

 オウム姿の星の精もできるように、公園でフリスビーをしている模様。

 

 外は爽やかな陽射しが照り、冬にも負けぬ暖かさが伝わってくる。

 まだ風は冷たく厳しいのに、風にも負けず雨にも負けず。

 皆健やかに育っているようでくる。

 嬉しい限りである。

 

 降谷さんがこちらに向き直り、どこか重苦しい空気を纏いながら慎重に口を開いた。

 

「これはまだ正式な話ではないと言うことを前提で聞いて欲しいんだが」

「うむ。なにかな」

「ここのところ、国際社会の場で『日本が怪異という資源を独り占めしている』という非難が出て来ているようだ」

 

 おおう???

 俺はパチクリと瞬いた。

 

 資源て。

 怪異は基本的に災害の類、現在の人間の文明では制御できない、自然の脅威そのものだ。

 ハリケーンが巨大なエネルギーを秘めていると言われればその通りだが、利用する術なんてないんだから負の現象でしかない。

 

 俺の疑問符まみれの顔に、降谷さんがため息をついて言葉を続けた。

 

「向こうの言い分としてはだ。大戦の時代、日本軍が各国から奪った『資源』を研究して、神の名のもとに実験を繰り返しているらしい」

「信じる奴いるんかそれ」

「無理筋ではある。が、主題はそこではない。ようは日本の怪異の知見を全世界に公開しろと言っているんだ。そしてあわよくば神の力を得たいと。軍事利用できるとなおよし」

 

 はえー。

 俺はアホ面を晒して間の抜けた声を出した。

 人間、やっぱ俺を兵器転用しようとしてんのか。

 米国もそうだけど、どうしてみんな巨大な力はまず同族を殺すことに使おうとすんの。

 もっと優しく生きてくれ。

 

 だが………確かに俺の加護は日本をメインにしている。

 もっと言えば、俺の目の届くところを主としているのは確かだ。

 

 エメラルド・ラマの信仰管理システムは全世界を対象としているが、そもそも俺を信仰していなければ意味がない。

 となると、俺の加護が日本に集中するのは必然。

 

 諸伏さんが事務作業に飽きたのか、ダラダラと足を揺らしながら問いかけて来た。

 

『昔黄衣は人間を統べてたんだろ。その時はどうしてたんだ?』

「ガチガチに加護で管理してた。揺り籠から墓場まで神の園で平等にサポート。なんの怖いこともない社会です。でももうやらんぞそんなこと」

『ディストピアじゃん。でもまぁ、そうか。それなら不平等なんて意見は出ないんだな』

 

 ハイパーボリア成立前は個別に加護をかけてた時期もあったっけ。

 でもやれ「あの村の加護の方が強い」だとか「あっちの奴にはしてくれたのに」だとか。

 不平不満は大量にあったんだよな。

 

 神様やってて一番困るポイントはそこだった。

 だから俺もできるだけ平等にしてやりたいんだが。

 それやると結局ズブズブになるしかないのが悲しいところ。

 

 俺がうんうん唸っていると、降谷さんが悪い顔で提案して来た。

 

「いっそ日本の神になればいいじゃないか。君のメッセンジャーたる僕が日本第一主義なんだ。つまり自身が日本第一主義と言っても過言ではない」

「過言だわい。日本だけ生き残っても困るでしょうが!」

「全世界が日本になれば同じことだ」

「危険思想は慎むように!」

 

 俺はコン!と降谷さんの肩をはたいた。

 くすくすと降谷さんが笑って諸伏さんの影に隠れる。

 

「なんにせよ、まだ噂の段階だ。動く必要はない。もし将来的に知見を公開するにせよ、公安の怪異一覧の概要ぐらいだな。魔術研修資料などは絶対に秘匿する」

「うむ。魔術はなぁ。自爆テロに使いやすすぎるんだよ。身一つで発動できて、命を燃やせば結構な威力が出る」

 

 もし一般に使われるようになれば、世界は一変するだろう。

 

 だから公安の研修でも身を守る知識だけを教えて、攻性魔術の類は教えないようにしている。

 その上で、退職時などには魔術の使用禁止と口外禁止の呪詛が発動する誓約書付き。

 

 とはいえ。

 

 将来、魔術と科学を平和に兼ね備えて、安全に運用できるようになればいいなとも、俺は思うわけなのである。

 

 人類種が宇宙に繰り出す時。

 それは間違いなく必要になるだろうから。

 差し込む昼の光に混じって、外の穏やかな喧騒がここまで伝わってくる。

 

 この平和を永遠にと願うけれど、結局は瞬きのうちでしかない。

 

 

 俺はほうと息をついて、眼下に見える街並みを見つめていたのだった。

 





・国外の情勢
国にもよるが割と怪異の知識が出回りだしている。
怪異を上手く利用していると思しき日本への注目度が高まっているが、協力している魔術組織は皆口を揃えて「神に手を出すな」としか言わない。
相当な利益をもたらす「神」に、各国は脅威を覚えているようだ。
情報を探るべく、日本はたくさんスパイが送られている模様。

・降谷さん
ただでさえスパイまみれなのにどんどんスパイが増殖して禿げそう。
滅!滅!滅!!!
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